メンタルヘルス用語辞典 · 摂食障害

摂食障害とは?
拒食症・過食症・過食性障害の症状・原因・治療法を解説

摂食障害は「食べない」「食べすぎる」「食べて吐く」を特徴とする脳と心の病気です。拒食症(AN)・過食症(BN)・過食性障害(BED)の3タイプの違いから、ボディイメージの歪み、原因、治療法、日常ケア、家族のサポートまで、回復に必要な情報をすべてまとめました。摂食障害は意志の問題ではなく、適切な治療と支援で回復できる病気です。どうか一人で悩まず、専門家に相談することが回復への確かな第一歩になります。

ABOUT EATING DISORDERS

摂食障害とは、どんな病気か

摂食障害は、食行動の異常と体重・体型への過度なこだわりを特徴とする精神疾患です。「食べない」「食べすぎる」「食べて吐く」——その背景には、心と体の複雑な問題が絡み合っています。適切な治療で回復できる病気です。

定義

摂食障害の定義——「ダイエットの延長」ではない

摂食障害(Eating Disorders)は、食行動の深刻な障害と、体重・体型に対する歪んだ認知を特徴とする精神疾患です。単なる「食べすぎ」や「ダイエットの行きすぎ」ではなく、脳の機能、遺伝、心理、社会文化的要因が複合的に関わる医学的な病気です。放置すると深刻な身体合併症を引き起こし、精神疾患の中で最も死亡率が高い疾患のひとつとされています。

一般的なダイエット
自分の意志でコントロールできる
健康や美容のために食事を調整する。目標に達したらやめられる。食事以外の生活も楽しめる。体重に気分が多少左右されても、生活に大きな支障はない。
摂食障害
自分の意志では止められなくなった状態
食行動のコントロールが効かず、やめたくてもやめられない。体重や体型が人生のすべてを支配し、身体的・精神的に深刻なダメージを受ける。専門的な治療が必要。
🧠

摂食障害は「脳の病気」でもある

飢餓状態は脳の機能を変化させ、食べ物への強迫的な思考、感情の不安定さ、認知の歪みを引き起こします。「痩せたい」という意志の問題ではなく、脳が飢餓モードに入ることで症状が維持・悪化するという悪循環が生じています。栄養の回復が脳機能の回復の第一歩です。

摂食障害は「選択」ではありません摂食障害は本人が望んでなるものではなく、「やめようと思えばやめられる」ものでもありません。糖尿病や喘息と同じように、専門的な治療を必要とする医学的な病気です。
有病率

摂食障害は、決して珍しくない

摂食障害は特定の人だけがなる病気ではありません。年齢、性別、体型に関係なく誰でも発症しうる病気です。

1〜3%
若年女性における摂食障害の生涯有病率。BEDを含めると約3%に上る
10〜19
発症のピークは思春期。ただし30代・40代での発症も増加傾向にある
60〜80%
適切な専門治療により、60〜80%が回復または大幅に改善する
摂食障害は女性だけの病気ではありません。患者の約10〜25%は男性であり、男性の摂食障害は見逃されやすいため注意が必要です。また、性別を問わずあらゆる体型の方が発症します。
ボディイメージ

ボディイメージの歪み——摂食障害の中核

ボディイメージとは、自分の体に対する認知・感情・行動のことです。摂食障害では、このボディイメージに深刻な歪みが生じます。鏡に映る自分の姿が実際とは異なって見え、客観的には痩せていても「太っている」と確信します。この歪みは単なる「思い込み」ではなく、脳の視覚情報処理の変化に基づくものであることが脳画像研究で示されています。

ボディイメージの歪みの特徴
🔍
体の過大評価
自分の体(特にお腹、太もも、二の腕)を実際よりも大きく感じる。他者の体は正確に評価できるのに、自分の体だけが歪んで見える。
🔄
ボディチェックの反復
鏡で体を何度も確認する、お腹を摘む、骨の出っ張りを触る、服のサイズで体型を確認するなどの行為を繰り返す。
🚫
回避行動
鏡を見ない、写真に写ることを拒む、体のラインが出る服を避ける、プールや海に行かないなど、体を直視することを避ける。
💡
ボディイメージの歪みは栄養状態が改善しても最後まで残ることがある症状です。認知行動療法でボディイメージに直接取り組むことが、再発予防において重要です。
受診の目安

こんなサインがあれば、専門家に相談を

以下のサインが見られたら、できるだけ早く摂食障害の専門家(精神科・心療内科)に相談することをおすすめします。早期介入が回復の可能性を大きく高めます。

⚠️摂食障害を疑うべきチェックポイント
  • 🔍
    食事の量が極端に減り、体重が急激に減少している
  • 🔍
    食後にトイレに行くことが習慣化している、嘔吐の形跡がある
  • 🔍
    短時間に大量の食べ物を食べ、強い罪悪感に苦しんでいる
  • 🔍
    「太っている」と訴えるが、客観的にはやせている
  • 🔍
    月経が3か月以上止まっている
  • 🔍
    食品のカロリーや成分を異常に気にする、食のルールが極端に厳しい
  • 🔍
    体重や体型のことばかり考えている、体重計に1日に何度も乗る
  • 🚨
    めまい、失神、動悸、常に寒がるなどの身体症状がある
💡
上記に2つ以上心当たりがあれば、摂食障害の専門外来に相談してみてください。摂食障害は早期発見・早期治療で予後が大幅に改善します。SCOFF質問票(5問の簡易スクリーニング)も参考になります。
THREE TYPES

摂食障害の3つのタイプ

摂食障害は主に「神経性やせ症(拒食症)」「神経性過食症(過食症)」「過食性障害」の3タイプに分類されます。それぞれ症状や経過が異なりますが、タイプ間の移行も起こり得るため、専門家による継続的な評価が重要です。

著しい低体重
神経性やせ症(AN:拒食症)
極端な食事制限・体重減少
体重や体型への強い恐怖から、極端な食事制限や過度な運動によって著しく低い体重を維持しようとします。BMI 17.5未満が目安とされ、重症例ではBMI 15未満まで低下します。栄養不足により無月経、骨粗しょう症、低体温、徐脈、産毛の増加などの身体症状が現れます。本人は「まだ太っている」と感じるボディイメージの歪みが特徴的で、病識が乏しいことが治療の大きな壁となります。制限型と過食・排出型の2つのサブタイプがあります。
著しい低体重ボディイメージの歪み病識の欠如死亡率が最も高い精神疾患の一つ
正常〜やや高体重
神経性過食症(BN:過食症)
過食と代償行為の反復
短時間に大量の食物を摂取する「過食エピソード」と、体重増加を防ぐための代償行為(自己誘発性嘔吐、下剤の乱用、過度な運動、絶食など)を繰り返します。体重は正常範囲内であることが多く、外見からは気づかれにくいのが特徴です。過食後に激しい自己嫌悪や罪悪感に襲われ、それがさらなる過食を誘発する悪循環に陥ります。嘔吐による歯のエナメル質の侵食、唾液腺の腫脹、手の甲のタコ(ラッセル徴候)、電解質異常(特に低カリウム血症)が身体的な特徴です。
過食と代償行為の悪循環外見では気づかれにくい電解質異常のリスク歯や食道への損傷
過体重〜肥満が多い
過食性障害(BED)
過食のみ(代償行為なし)
大量の食物を制御できない感覚で食べる過食エピソードを繰り返しますが、嘔吐や下剤使用などの代償行為は行いません。過食は通常ひとりで行われ、満腹感を超えて不快になるまで食べ続けます。食べている間は感覚が麻痺し、ストレスや感情の苦痛から一時的に逃れる手段となっています。過食後に強い罪悪感、恥ずかしさ、嫌悪感を感じます。摂食障害の中で最も有病率が高く、成人の約2〜3%が該当するとされています。肥満、糖尿病、高血圧などの身体的合併症のリスクが高まります。
代償行為を伴わない過食最も有病率が高い肥満・生活習慣病のリスク感情調節の困難
3タイプの比較表
AN(拒食症)
BN(過食症)
BED(過食性障害)
体重
著しい低体重
正常〜やや高
過体重〜肥満
食行動
極端な制限
過食+排出
過食のみ
代償行為
ある場合も
常にあり
なし
有病率
0.3〜1%
1〜2%
2〜3%
病識
乏しいことが多い
あることが多い
あることが多い
身体リスク
低栄養・臓器不全
電解質異常
肥満合併症
治療の第一選択
FBT / CBT-E
CBT-E
CBT-E
摂食障害のタイプは固定ではなく、経過中に変化することがあります(例:ANからBNへの移行は約30〜50%に見られます)。どのタイプであっても、専門的な治療が必要です。
SYMPTOMS

摂食障害の症状

摂食障害では「心理的症状」「身体症状」「行動の変化」が現れます。それぞれの特徴をよく知っておくことが、早期発見と適切な対応の大切な鍵になります。

🪞
ボディイメージの歪み
実際の体型とは異なる「太っている」という強い確信を持つ。鏡を見るたびに体の一部が異常に大きく感じられ、客観的な評価ができない。
⚖️
体重・体型への過度なこだわり
体重がアイデンティティの中心になり、0.1kg単位の増減で気分が大きく左右される。1日に何度も体重計に乗る、ボディチェックを繰り返すなどの行動が見られる。
🍽
食べることへの恐怖と罪悪感
「食べたら太る」という恐怖から食事を極度に制限する。食べた後に激しい罪悪感や自己嫌悪に襲われ、「取り消したい」という衝動に駆られる。
🔒
食のルールへの固執
「炭水化物は絶対に食べない」「カロリーは○○以下」など独自の厳格なルールを作り、それを破ることに強い不安を感じる。食品の成分表示を異常に気にする。
😔
自己評価の低下・完璧主義
「痩せていなければ価値がない」という信念に支配される。完璧主義的な傾向が強く、体重管理が唯一のコントロール感の源泉になっている。
🙈
食行動の隠蔽・孤立
異常な食行動を隠すため、人前での食事を避ける。過食は必ず一人で行い、食べ物を隠し持つ。社交的な場面を回避し、次第に孤立していく。
💭
食べ物への強迫的な思考
1日中食べ物のことを考え続ける。カロリー計算、食事の計画、レシピの閲覧に過度な時間を費やす。食への執着と回避が矛盾して共存する。
💡
ボディイメージの歪みは「心の眼鏡」摂食障害の方は「歪んだ眼鏡」を通して自分の体を見ています。周囲が「痩せている」と伝えても、本人には響きません。この歪みは治療を通じて少しずつ修正していくものです。
早期の警告サイン

見逃さないで——拒食症の早期サイン

拒食症は早期に気づくことが極めて重要です。体重が危険な水準まで低下する前に介入できれば、回復の可能性が大幅に高まります。以下のサインに注意してください。

  • ⚖️
    急激な体重減少
    短期間で体重が大幅に減少している。BMI 17.5未満は医療介入が必要なサイン。
  • 🥗
    食事量の極端な減少
    食事の量が目に見えて減っている。「もう食べた」「お腹いっぱい」が口癖になる。
  • 🏃
    過度な運動への執着見逃しやすい
    天候や体調に関係なく、毎日長時間の運動をしないと不安になる。運動を制限されると怒る。
  • 🥶
    常に寒がる見逃しやすい
    夏でも長袖を着ている。手足が冷たく、低体温が続いている。体型を隠す目的もある。
  • 💇
    髪が抜ける・肌が荒れる見逃しやすい
    栄養不足のサインとして頭髪が薄くなり、肌が乾燥して荒れる。爪がもろくなる。
  • 😤
    食事に関する話題でイライラする
    食事や体重の話題を極端に嫌がる。食事に誘うと不機嫌になる。
「ちょっとダイエットしているだけ」が危険信号最初は軽いダイエットに見えても、食事制限がエスカレートし、やめられなくなっていたら要注意です。本人が「大丈夫」と言っていても、体重減少が続いている場合は専門家に相談してください。
CAUSES & RISK FACTORS

摂食障害の原因とリスク要因

摂食障害は単一の原因で起こるのではなく、心理的・社会文化的・生物学的・対人関係的な要因が複雑に絡み合って発症します。「原因探し」よりも「回復に必要なこと」に目を向け、専門家とともに歩むことが大切です。

摂食障害の発症メカニズムは完全には解明されていませんが、以下の4つの要因が複合的に関わっていると考えられています。どれか一つだけが原因というわけではなく、これらが重なり合った時に発症リスクが高まります。「なぜ自分だけ」と責めるのではなく、早めに専門家に相談することが大切です。

🧠心理的要因

摂食障害の発症には、さまざまな心理的特性が関与しています。完璧主義、低い自己評価、感情調節の困難さが土台となり、体重や食事のコントロールが自己価値の代替手段となっていきます。トラウマ体験(身体的・性的虐待、いじめ)も重要なリスク因子です。

  • 完璧主義——「すべてを完璧にコントロールしなければならない」という信念が、体重管理に向かう
  • 低い自己評価——「痩せていなければ自分には価値がない」という歪んだ自己認知
  • 感情調節の困難——食べる・食べないことが感情をコントロールする手段になっている
  • トラウマ体験——幼少期の虐待、いじめ、ネグレクトが摂食障害のリスクを2〜3倍に高める
  • 過度な自己批判——些細な失敗も許せず、体型を「改善すべき欠点」として執着する
リスク要因

摂食障害の発症リスクを高める要因

以下の要因が重なるほど、摂食障害を発症するリスクが高まります。ただし、リスク要因があるからといって必ず発症するわけではなく、適切な予防的介入も可能です。

主なリスク要因
思春期(10〜19歳)
90%
女性(男性の約10倍)
85%
完璧主義的な性格傾向
80%
ダイエット経験
75%
体型重視の活動(バレエ等)
70%
家族に摂食障害の方がいる
65%
SNSの過度な利用
55%

※ リスクの相対的な大きさを示すイメージ図です

リスク要因を知ることは、予防と早期発見に役立ちます。特に思春期のダイエットは摂食障害の最大の入り口です。若い世代に「健康的な食との関係」を伝えることが予防の鍵になります。早期に相談することで回復の可能性が高まります。
TREATMENT & RECOVERY

摂食障害の治療法と回復

摂食障害は適切な治療で回復できる病気です。「食べる・食べない」の問題だけではなく、心と体の両面からアプローチすることが回復の鍵です。治療は長期戦になることもありますが、必ず希望があります。

心理療法

心理療法——回復の中心的アプローチ

摂食障害の治療では心理療法が中心的な役割を果たします。食行動の正常化だけでなく、その背景にある認知の歪み、感情調節の問題、対人関係の困難に取り組みます。

認知行動療法(CBT-E:強化版CBT)BN・BEDの第一選択

摂食障害に特化した認知行動療法で、特にBNとBEDに対して第一選択とされています。「体重や体型が自己価値のすべてを決める」という歪んだ信念を修正し、過食・代償行為の悪循環を断ちます。食事の記録、規則的な食事パターンの確立、ボディイメージの改善、再発予防を段階的に進めます。ANに対する有効性も示されています。通常20セッション程度を要します。

家族療法(FBT:モーズレイ法)思春期ANの第一選択

18歳未満の思春期の拒食症に対して、最もエビデンスが高い治療法です。家族を「治療チームの一員」として位置づけ、親が一時的に食事の管理を担います。第1期(体重回復)では親主導で食事を管理し、第2期(コントロールの移行)で徐々に本人に食事の自律を戻し、第3期(自立の確立)で思春期の発達課題に取り組みます。「家族が原因」ではなく「家族が解決の力になる」というアプローチです。

対人関係療法(IPT)対人関係に焦点

対人関係の問題(悲嘆、対人関係の不和、役割の変化、対人関係の欠如)に焦点を当て、コミュニケーションスキルの改善と対人関係の質の向上を通じて摂食症状の改善を図ります。BNやBEDに対してCBTに匹敵する効果が示されており、CBTが合わない方の代替選択肢となります。感情を食行動以外の方法で処理する力を育てます。

栄養・薬物療法

栄養指導と薬物療法——体の回復を支える

心理療法と並行して、栄養状態の回復と身体合併症の管理が不可欠です。特に低体重の方は、まず安全に体重を回復させることが最優先課題となります。

栄養指導・栄養リハビリテーション回復の土台

管理栄養士と連携し、安全かつ段階的に栄養状態を回復させます。極度の低栄養状態からの急速な栄養補給は「リフィーディング症候群」(急激な電解質異常による心不全や呼吸不全)を引き起こす危険があるため、慎重に行います。規則的な食事パターン(1日3食+間食)の確立、「良い食品・悪い食品」という二分法的思考の修正、恐怖食品への段階的暴露なども含まれます。

薬物療法補助的治療

摂食障害に対する特効薬はありませんが、補助的に薬物が使用されることがあります。BNにはSSRI(特にフルオキセチン高用量)が有効とされ、過食衝動を軽減します。BEDにはリスデキサンフェタミン(ビバンセ)がFDA承認を受けています。ANに対しては体重回復後のオランザピンが不安や強迫的思考の軽減に用いられることがあります。併存するうつ病や不安障害の治療も重要です。

注意点

治療における重要な注意点

⚠ リフィーディング症候群に注意

長期間の栄養不足の後に急速に栄養を補給すると、体内の電解質バランスが急激に変化し、心不全、呼吸不全、意識障害などの致命的な合併症を引き起こすことがあります(リフィーディング症候群)。体重回復は医療チームの管理のもとで慎重に、段階的に行う必要があります。特にBMI 15未満の方や、2週間以上ほとんど食事をとっていない方は入院での管理が推奨されます。

⚠ 「見た目が回復した」=「治った」ではない

体重が正常範囲に戻っても、心理的な回復には更に長い時間がかかります。ボディイメージの歪み、食への恐怖、完璧主義的な思考パターンは、体重回復後も持続することがあります。体重の数値だけで治療の終了を判断せず、心理面の改善も含めた包括的な評価が必要です。再発率は約30〜50%とされており、再発予防のための継続的なフォローアップが重要です。

回復には平均5〜7年かかるとされていますが、これは「5〜7年間ずっと辛い」という意味ではありません。治療を進める中で、少しずつ食事が楽になり、体型への執着が薄れ、人生を楽しめるようになっていきます。
DAILY LIFE

日常生活でできること

治療と並行して、日々の生活の中でも回復を助けるためにできることがたくさんあります。完璧を目指す必要はありません。小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化を生みます。諦めずに続けることが大切です。

🍽
規則的な食事パターンを確立する
1日3食+2〜3回の間食を決まった時間にとりましょう。空腹を我慢しすぎると過食の引き金になります。「完璧な食事」を目指す必要はなく、「十分な食事」を目標にします。食事を抜かないことが回復の基盤です。
⚖️
体重計と距離を置く
体重測定の頻度を減らすか、可能であれば体重計を手放しましょう。毎日の体重は水分量や食事のタイミングで変動するため、1日の変動は本当の体重変化ではありません。体重計の数字に気分を左右されない生活を目指します。
📱
SNSを整理する
体型比較を誘発するアカウント(ダイエット、フィットネス、加工された体型の写真)をミュート・フォロー解除しましょう。代わりにボディポジティブやリカバリーに関するアカウントを取り入れます。SNSの使用時間自体を制限するのも有効です。
📝
感情日記をつける
食行動の記録だけでなく、食べたい衝動や食事制限の衝動が生じた時の感情・状況を記録します。「何を食べたか」ではなく「何を感じていたか」に注目することで、摂食行動の引き金となる感情パターンが見えてきます。
🗣
信頼できる人に話す
摂食障害は秘密と恥の中で悪化します。信頼できる友人、家族、カウンセラーに自分の状況を打ち明けましょう。すべてを話す必要はありませんが、「一人じゃない」と感じられることが回復を支えます。
🧘
体を「敵」ではなく「味方」として扱う
体に感謝する習慣をつけましょう。「体がしてくれていること」(歩ける、息ができる、笑える)に意識を向けます。ヨガやマインドフルネスなど、体との穏やかなつながりを回復するアクティビティも役立ちます。
🎨
食以外の対処法を持つ
ストレスや辛い感情が生じた時に、過食や食事制限以外の対処法を複数用意しておきます。散歩、音楽を聴く、友人に連絡する、絵を描く、温かいお風呂に入るなど、自分に合った方法を「対処法リスト」として書き出しておくと便利です。
回復は直線ではないと知る
回復の過程では、前進と後退を繰り返すのが普通です。「また過食してしまった」「食べられなかった」と自分を責めるのではなく、「また立ち上がれた」ことに目を向けましょう。1回の失敗がすべてを台無しにするわけではありません。
すべてを一度にやろうとしなくて大丈夫です。まずは「規則的な食事」と「信頼できる人に話すこと」——この2つから始めてみてください。完璧でなくていいのです。精神保健福祉センターや心療内科にも気軽に相談できます。自立支援医療制度で通院費の負担を軽減することも可能です。
関連する用語
拒食症過食症過食性障害ボディイメージ認知行動療法ボディポジティブリフィーディング症候群無月経
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人にできること

摂食障害の回復には、周囲の理解とサポートが大きな力になります。「何を言えばいいかわからない」「どう接したらいいかわからない」と感じるのは自然なことです。正しい知識を持ち、無理のない範囲で、あたたかく寄り添いましょう。

対応のポイント

してほしいこと・避けてほしいこと

✅ してほしいこと
食事の場を穏やかで安全な雰囲気にする——批判やコメントを控え、リラックスした食事環境をつくる
体型や体重についてのコメントは一切避ける——「痩せたね」も「太った?」もどちらも悪影響になる
食べることを強要せず、しかし食事を用意し続ける——「食べなさい」ではなく「一緒に食べよう」という姿勢で
摂食障害を本人の「わがまま」や「意思の弱さ」と捉えない——脳と体が関わる病気であることを理解する
回復には長い時間がかかることを受け入れる——平均5〜7年。焦らず寄り添う覚悟を持つ
専門家(摂食障害専門の医師・カウンセラー)につなげる——家族だけで抱え込まない
本人の小さな変化や努力を認める——「食べてくれてありがとう」ではなく「一緒に食べられて嬉しい」と伝える
❌ 避けてほしいこと
「もっと食べなさい」「いい加減に普通に食べて」と食事を強要する——逆効果になる
「痩せすぎ」「ガリガリ」など体型についてコメントする——たとえ心配からでも症状を悪化させる
食事中に本人の食べ方を監視したり、食べた量をチェックする——食事が「試験」のようになる
「意志が弱い」「自分で治せるはず」と精神論で片付ける——摂食障害は病気である
家族の食事を本人に合わせて極端に変える——他の家族の通常の食生活を維持することも大切
SNSやメディアの「ダイエット成功談」を本人の前で話す——回復の妨げになる
支える側のケア

支える側のセルフケア

摂食障害の家族をサポートすることは、大きな心理的負担を伴います。食事のたびに緊張が走り、「食べてくれるだろうか」「また吐いているのでは」と常に不安を抱えることになります。支える側が倒れてしまっては、サポートは続きません。家族自身がまず精神保健福祉センターや専門機関に相談することが、本人の回復を助けることにもつながります。

🛁
自分の生活と健康を守る
摂食障害のサポートは長期戦です。自分の趣味、友人関係、休息の時間を犠牲にしすぎないようにしましょう。「自分も大切にしていい」と自分に許可を出してください。
👥
家族会や同じ立場の人とつながる
日本摂食障害協会や各地の家族会に参加してみましょう。同じ経験を持つ家族との交流は、孤立感を和らげ、具体的な対処法を学ぶ貴重な機会になります。
📚
摂食障害を正しく理解する
摂食障害は「わがまま」でも「意志の弱さ」でもありません。脳と体の病気であることを理解することで、本人への怒りや失望を減らし、より建設的なサポートができるようになります。
💬
専門家に相談する
「どう対応すればいいかわからない」と感じたら、摂食障害の専門家に家族としての相談をしましょう。本人が治療を拒否している場合でも、家族だけで相談できる窓口があります。
あなたのせいではありません摂食障害の原因は複雑であり、「育て方が悪かった」「親のせいだ」という単純なものではありません。自分を責めるよりも、今できるサポートに目を向けましょう。あなた自身が健やかでいることが、本人にとっても最大の安心材料です。精神保健福祉センターでは、ご本人だけでなく家族向けの相談にも無料で応じています。一人で抱え込まず、まず相談してみてください。通院が必要になった場合は、自立支援医療制度を活用することで医療費の自己負担を軽減できます。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

「食べることが怖い」「食べ方をコントロールできない」——摂食障害のつらさを一人で抱えないでください。どうかあなたの悩みをきかせてください。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
精神保健福祉センター各都道府県に設置平日・無料相談

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。通院医療費の自己負担を1割に軽減できる自立支援医療制度も活用できます。

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