共依存関係とは?
恋愛・夫婦・親子の特徴・チェックリスト・抜け出す方法を解説
「この人には私がいないとダメだから」「この人がいないと自分には価値がない」——愛情のようで、実は苦しい『共依存関係』。恋愛・夫婦・親子・職場で起こるパターンから、特徴のサイン、原因、心身への影響、そして抜け出すための具体的な方法まで、専門的な知見に基づいて包括的に解説します。共依存は元々、アルコール依存症者を支える家族の行動パターンを説明する概念として1970年代に登場しましたが、現在ではあらゆる対人関係で生じうる『不健全な相互依存のパターン』として広く使われています。『自分が共依存かもしれない』と気づくこと自体が、すでに回復の最初の一歩です。焦らず、ご自身のペースで読み進めてください。
共依存関係の定義
共依存関係(codependent relationship)とは、お互いが相手に過度に依存し合い、不健全な形で互いを必要としている関係のことです。一方が相手の世話をしたり問題を解決したりすることで自分の存在価値を見出し、もう一方がその世話やサポートに依存するという関係パターンが典型的です。
共依存関係の核にあるのは、「相手に必要とされることで初めて自分の価値を感じられる」という心理です。自分自身の中に安定した自己価値を見出すことが難しく、他者(特定の相手)からの承認や必要性を通じてのみ、自己の存在意義を実感します。このため、相手が問題を抱えていたり、助けを必要としていたりする状況は、共依存の方にとって無意識には『居場所がある』『役に立てている』という安心感をもたらすことがあり、これが結果的に問題の維持に寄与してしまうという逆説的な構造を生みます。
共依存は恋愛関係に限らず、夫婦関係、親子関係、友人関係、職場の上司部下関係など、あらゆる対人関係で起こりえます。関係に含まれる「依存」は物質(アルコール、薬物)への依存を伴うこともありますが、必ずしもそうとは限りません。現代では、病気・介護・経済的困窮・精神的不安定・ギャンブルや買い物などの行動嗜癖・過剰な仕事への没頭——といった幅広い『抱え込みたくなる状況』が共依存の温床となっています。また、SNSやメッセージアプリの普及により、物理的に離れていても常に相手の状態をモニタリングできる環境は、共依存パターンをさらに加速させる要因にもなっています。
健全な関係と共依存関係の比較
同じ「親密な関係」でも、健全な関係と共依存関係では8つの側面で対照的な違いが見られます。自分の関係がどちらに近いかを見比べてみましょう。
「共依存」という概念の歴史
「共依存(codependency)」という概念は、1970〜1980年代にアメリカで生まれました。もともとはアルコール依存症者のパートナー(配偶者や恋人)の行動パターンを説明するために使われた用語です。
アルコール依存症者の治療が進む中で、治療者たちは、依存症者のパートナーにも特徴的なパターンがあることに気づきました。パートナーは依存症者の飲酒を止めようとしたり、飲酒の後始末をしたり、問題を外部に隠したりする行動を繰り返していました。この行動は一見「献身的」に見えますが、実際には依存症の維持・悪化に寄与していたのです。このパターンを、治療者たちは『イネーブリング(enabling:問題行動を無意識に許容・支援してしまう行動)』と名付け、依存症治療における家族支援の中心的なテーマとしました。
その後、共依存の概念はアルコール依存症の文脈を超えて拡張され、現在では幅広い対人関係のパターンを説明する概念として使われています。1980年代にはメロディ・ビーティの著書『Codependent No More(共依存症——いつも他人に振り回される人たち)』が世界的なベストセラーとなり、一般にも広く知られるようになりました。共依存はDSMなどの診断基準には正式に収録されていませんが、臨床現場では広く認知され、治療の対象とされています。日本では1990年代以降、アダルトチルドレン(AC)や機能不全家族の議論とともに共依存の概念が紹介され、自助グループや臨床心理の現場で活用されるようになりました。
4つの領域における共依存パターン
共依存はあらゆる対人関係で生じますが、特に『恋愛』『夫婦』『親子』『職場』の4領域では典型的なサブパターンが知られています。それぞれの領域での『二人組の役割関係』を理解することで、自分の関係を構造的に見直す手がかりになります。
恋愛関係における共依存は、愛情と執着の区別がつかなくなるのが特徴です。「愛しているから」という名目で、束縛、監視、自己犠牲、問題行動の容認が正当化されます。恋愛初期の「熱烈な愛情」と共依存的な執着は区別が難しいですが、関係が進むにつれて支配と従属のパターンが明確になっていきます。
夫婦関係の共依存は、長年にわたって固定化されやすく、子どもにも大きな影響を与えます。「家庭を守るため」「子どものため」という理由で関係を続けることが多いですが、共依存的な夫婦関係の中で育つ子どもは、将来自身も共依存関係に陥りやすくなります。
親子の共依存は、子どもの人格形成に深い影響を与え、成人後の対人関係パターンの基盤となります。親自身が共依存的な家庭で育っている場合が多く、世代間で連鎖する傾向があります。
職場の共依存は、見えにくいですが組織全体のパフォーマンスに影響を与えます。「チームワーク」や「献身」と混同されやすいですが、健全な協力関係と共依存は本質的に異なります。
💑 恋愛関係の共依存
恋愛関係における共依存は、愛情と執着の区別がつかなくなるのが特徴です。「愛しているから」という名目で、束縛、監視、自己犠牲、問題行動の容認が正当化されます。恋愛初期の「熱烈な愛情」と共依存的な執着は区別が難しいですが、関係が進むにつれて支配と従属のパターンが明確になっていきます。
💍 夫婦関係の共依存
夫婦関係の共依存は、長年にわたって固定化されやすく、子どもにも大きな影響を与えます。「家庭を守るため」「子どものため」という理由で関係を続けることが多いですが、共依存的な夫婦関係の中で育つ子どもは、将来自身も共依存関係に陥りやすくなります。
👨👩👧 親子関係の共依存
親子の共依存は、子どもの人格形成に深い影響を与え、成人後の対人関係パターンの基盤となります。親自身が共依存的な家庭で育っている場合が多く、世代間で連鎖する傾向があります。
🏢 職場の共依存
職場の共依存は、見えにくいですが組織全体のパフォーマンスに影響を与えます。「チームワーク」や「献身」と混同されやすいですが、健全な協力関係と共依存は本質的に異なります。
共依存関係の特徴・サイン
「もしかして共依存?」と感じたら確認してほしい、共依存関係の典型的な特徴とサインを、3つのカテゴリに分けて解説します。
自己認識に関するサイン
関係性に関するサイン
行動に関するサイン
自分の対人関係を振り返る15の項目
以下の項目に当てはまるものが多いと感じる場合、共依存的なパターンが対人関係に影響している可能性があります。これは医学的な診断ではなく、『自分のパターンに気づく』ための手がかりです。気になる項目があれば、専門家やカウンセラーへの相談を検討してみてください。
- ✓相手がいないと自分に価値がないと感じる
- ✓相手の問題(借金、依存症など)を自分が何とかしなければと思う
- ✓「ノー」と言うと罪悪感を感じる
- ✓相手の機嫌によって自分の気分が大きく左右される
- ✓相手のことを常に考えていて、自分のことは後回しにしている
- ✓相手が離れていくことを考えると強い不安やパニックを感じる
- ✓相手の行動を監視したり、コントロールしようとしてしまう
- ✓自分が何をしたいか、何を感じているか分からないことがある
- ✓相手の問題行動を周囲に隠したり、言い訳をしたりする
- ✓「自分さえ我慢すれば」と思って感情を抑えている
- ✓自分の趣味や友人との付き合いが減っている
- ✓関係に疲れ果てているのに、離れることができない
- ✓相手に認められたい一心で、自分を犠牲にする行動をとる
- ✓過去にも似たような関係パターンを繰り返している
- ✓相手のためにしていることが当然視されると、強い怒りや虚しさを感じる
共依存は『学習された生存戦略』
共依存は単一の原因から生まれるのではなく、幼少期の家族環境・愛着形成・個人の気質・社会文化的な期待・過去のトラウマ体験など、さまざまな要因が重なり合って形成されるパターンです。『自分のせい』でも『相手のせい』でもなく、『長い時間をかけて学習された生き延びるための戦略』として理解することが、回復の第一歩となります。子どもの頃は、自分を犠牲にしてでも相手の気分を取ること・家庭の平和を守ることが、本当に必要な生存戦略だった方も少なくありません。大人になった今、その戦略がもう必要ないことに気づき、少しずつ別の関わり方を学んでいくことは、決して『自分を責める』ことではなく、『幼い頃の自分をようやく労う』プロセスです。
🏠 幼少期の家庭環境
🧠 心理的要因
🌍 社会的・文化的要因
長期化したときに現れるサイン
共依存の関係は、短期的には『自分が役に立っている』『相手に必要とされている』という感覚を与えてくれるため、それ自体が悪いものには感じられないことがあります。しかし長期的には、慢性的な疲労、燃え尽き、抑うつ、不眠、自律神経症状、身体化症状(頭痛・胃痛・めまい・耳鳴りなど)、アルコールや過食などの別の依存行動、そして『自分が何者かわからない』というアイデンティティの喪失感を引き起こしがちです。さらに、共依存のパートナーは自分の不健全な役割を無意識に強化し続けることになり、双方の成長を妨げます。『なんだか最近、自分がわからない』『楽しいと感じることが減った』『自分の意見がなくなってきた』という感覚は、共依存が心身に与えている影響のサインかもしれません。
精神的な影響
身体的な影響
社会的な影響
回復への6つのステップ
共依存からの回復は直線的ではなく、前進と後退を繰り返しながら進みます。以下の6ステップは順番通りでなくても構いません。「いま自分にできること」から始めてみてください。
- 自分の行動パターンを客観的に観察する
- チェックリストで自己評価してみる
- 信頼できる人に自分の関係について話してみる
- 「共依存」に関する書籍や情報に触れてみる
- 共依存や愛着障害に詳しいカウンセラーを探す
- まずは相談だけでもOK——敷居を低く考える
- オンラインカウンセリングも活用できる
- 精神的な症状がある場合は精神科の受診も検討する
- 「ノー」と言う練習を小さなことから始める
- 「これは私の問題か、相手の問題か」と自問する習慣をつける
- 自分のニーズを認識し、言語化する練習をする
- 他者の問題を引き受けそうになった時に立ち止まる
- 自分の小さな成功体験を記録する(成功日記)
- 自分の強みや良いところを書き出す
- 「自分はこれでいい」と自分に言い聞かせるアファメーション
- 自分が楽しめる活動を見つけ、実践する
- 自分の感情や欲求を大切にすることを許可する
- CoDA(共依存者の匿名グループ)のミーティングを探す
- アルコール依存症の家族の場合はアラノン(Al-Anon)も選択肢
- まずは見学・オブザーバーとして参加してみる
- オンラインミーティングも活用できる
- アサーティブ・コミュニケーション(対等な自己表現)を学ぶ
- 感情を適切に認識し表現する練習をする
- 「与えること」と「受け取ること」のバランスを意識する
- 一人の時間を意識的に作り、孤独に慣れる
- 新しい趣味や活動を通じて自分の世界を広げる
共依存に有効な治療法
共依存に対しては、複数の心理療法が効果を示しています。それぞれアプローチが異なるため、自分の状況や背景に合うものを専門家と一緒に検討してください。
『結論を出させる』のではなく『話せる場』を提供する
共依存の関係の中にいる方は、外から見ると『どうしてこんなに苦しい関係から離れないのだろう』と感じることがあります。しかし、本人にとってその関係は長年のアイデンティティの一部であり、『離れる=自分を失う』ほどの恐怖を伴うことが少なくありません。周囲の方が焦って『別れなよ』『目を覚まして』と伝えても、本人はかえって身構えて関係に閉じこもってしまうことがあります。大切なのは、『結論を出させる』ことではなく、『本人が自分の気持ちを安全に言葉にできる場』を提供することです。急かさず、責めず、評価せず、ただ話を聴く——この姿勢こそが、本人が少しずつ自分の輪郭を取り戻していく土台になります。
周囲からのサポート方法
下記の6つは、共依存関係の中にいる人を支えるときの実践的な指針です。状況に応じて、できるところから取り入れてみてください。
よくある質問
共依存関係に関するよくある疑問に、専門的な知見を交えてお答えします。
共依存関係に関する16の質問
A. 共依存(codependency)は、DSM-5やICD-11などの国際的な診断基準に正式な精神疾患として収録されていません。しかし、臨床的に広く認知されている概念であり、多くの精神保健の専門家が治療の対象としています。共依存自体は「病気」というよりも「不健全な対人関係パターン」であり、その背景にはうつ病、不安障害、パーソナリティ障害(特に依存性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害)、複雑性PTSD(C-PTSD)などの精神疾患が存在する場合があります。共依存は適切な治療とサポートによって改善できる状態であり、『診断名がつかない=問題ではない』ということではなく、むしろ多くの方の人生の質に大きな影響を与えている重要なテーマです。臨床現場では、認知行動療法、スキーマ療法、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)、EMDR、内的家族システム療法(IFS)など、さまざまな心理療法的アプローチが効果を上げています。
A. 愛情深い人は、相手を思いやりながらも自分自身のニーズも大切にします。境界線が明確で、「ノー」と言うことができ、相手の問題を自分の問題として引き受けることはしません。一方、共依存の方は、相手のために自分を犠牲にすることが「愛情」だと信じ、自分のニーズを完全に抑圧します。最も分かりやすい違いは、関係における「選択の自由」です。愛情深い人は自分の意志で相手と一緒にいますが、共依存の方は恐怖(見捨てられ不安、孤独への恐怖)から関係を離れられません。もう一つの重要な違いは『エネルギーの方向』です。愛情深い人は『自分の中から湧き出る愛情』を相手に向けますが、共依存の方は『相手からの承認を得るため』に愛情を向けます。後者は、どれだけ尽くしても満たされることがなく、むしろ慢性的な空虚感を抱えることになります。
A. 必ずしもそうではありません。共依存のパターンを変えることは、関係を終わらせることと同義ではありません。双方が問題を認識し、専門家のサポートを受けながら関係性のパターンを変えることができれば、関係を維持したまま回復することは可能です。ただし、DV(暴力)がある場合は、まず身体的な安全を確保することが最優先です。また、片方だけが変化を望み、もう一方が変わる意志がない場合は、関係の見直しが必要になることもあります。『関係を続けるか終わらせるか』という二者択一で考えるのではなく、『自分の中の共依存パターンに取り組む』ことを最優先にしてください。自分自身の健全さが育っていくと、『続ける・続けない』の判断は自然と見えてくることが多いのです。焦って決断する必要はなく、回復のプロセスの中で時間をかけて答えを探していきましょう。
A. アダルトチルドレン(AC)は、機能不全家庭で育ち、成人後もその影響を受け続けている方を指す概念です。ACの方は共依存のパターンを形成しやすい傾向があります。これは、幼少期に「安全な愛着」「適切な境界線」「自己価値の感覚」を十分に発達させる機会がなかったためです。ACの問題と共依存の問題は重なる部分が多く、治療においても両方の側面に取り組むことが多いです。機能不全家族の中で育った子どもは、『ヒーロー(優等生)』『ケアテイカー(世話役)』『スケープゴート(問題児)』『ロストチャイルド(目立たない子)』『マスコット(お調子者)』といった役割を無意識に引き受け、家庭の機能不全を補償しようとします。これらの役割の多くが、成人後の共依存パターンの原型となります。ACA(Adult Children of Alcoholics & Dysfunctional Families)というグループでは、こうした役割の気づきと癒しを仲間と分かち合う場が提供されています。
A. 共依存自体が遺伝するわけではありませんが、共依存の背景にある要因には遺伝的要素と環境的要素の両方が関わっています。低い自己肯定感、不安傾向、依存的な性格傾向などには遺伝的な素因が関与する可能性があります。しかし、より大きな影響を持つのは「環境」です。共依存的な親のもとで育った子どもは、そのパターンを観察学習し、自身の対人関係にも同様のパターンを適用する傾向があります。これは「共依存の世代間連鎖」と呼ばれ、治療によって断ち切ることが可能です。『自分の代で連鎖を断ち切る』という決意は、次世代の子どもたちに健全な関係性のモデルを贈る贈り物になります。共依存のパターンに気づいてそれに取り組むこと自体が、家系の中に新しい流れを生み出す行為なのです。世代間連鎖を断ち切った方の物語は、自助グループやセラピーの現場で繰り返し語られる希望の源となっています。
A. はい、共依存は性別に関係なく起こります。ただし、その表現形態に性差が見られることがあります。女性の共依存は「世話焼き」「自己犠牲」「従属」として現れることが多いのに対し、男性の共依存は「過剰な保護」「コントロール」「経済的な支配」として現れることが多い傾向があります。また、男性は「弱みを見せてはいけない」という社会的プレッシャーから、共依存の問題を自覚しにくく、支援を求めにくい傾向があります。日本では特に『男は弱音を吐くな』という文化的な期待が強く、男性の共依存は見逃されがちです。『相手の問題を一人で抱え込み、誰にも相談できず、酒や仕事に逃げる』というパターンが典型的で、背景にはしばしばアレキシサイミア(感情表現が苦手な傾向)が存在します。男性にとっての回復の第一歩は、『助けを求めることは弱さではなく強さだ』と体験することから始まります。
A. 共依存からの回復には個人差が大きく、一概にどのくらいの期間とは言えません。長年かけて形成されたパターンは、短期間では変わりません。一般的に、認知行動療法やカウンセリングを定期的に受けた場合、6ヶ月〜1年程度で具体的な変化を実感し始める方が多いですが、根本的な変化には数年かかることもあります。回復は直線的ではなく、前進と後退を繰り返しながら進んでいきます。焦らず、長期的な視点で取り組むことが大切です。回復のマイルストーンとしては、①『自分にもニーズがある』ことに気づく段階、②小さく『ノー』と言えるようになる段階、③相手の感情を自分の責任と感じなくなる段階、④自分一人の時間を心地よく過ごせるようになる段階、⑤自分の人生の選択を自分で決められるようになる段階——などがあります。どれも劇的ではなく、静かな変化ですが、振り返ると大きな違いを生んでいます。
A. 共依存の問題を認めたがらないパートナーに対して、無理に認識を変えようとすることは逆効果になることが多いです。まず、あなた自身が自分のパターンに取り組むことから始めてください。あなたが変わることで、関係全体のダイナミクスが変化し、パートナーも変化せざるを得なくなることがあります。あなたが境界線を設定し始めると、パートナーは抵抗を示すかもしれませんが、それは変化の過程で自然なことです。夫婦カウンセリング(カップルセラピー)を提案してみるのも一つの方法です。システム論的には、関係は二人で作り上げるダンスのようなものであり、一人がステップを変えれば、もう一人もステップを変えざるを得なくなります。パートナーを『変えよう』とするのではなく、自分のダンスのステップを健全なものに変えていく——この視点が、関係全体の変化を促す最も確実な道です。
A. 共依存は、幼少期に形成された愛着スタイルと深く関わっています。特に『不安型愛着(preoccupied attachment)』の傾向を持つ方は、相手との距離が少しでも開くと強い不安を感じ、過剰に近づこうとしたり、相手を失うことへの恐怖から自分を犠牲にしがちです。一方『回避型愛着(dismissive attachment)』の方は、表面的には距離を取りながらも、相手の問題を引き受けてコントロールしようとする共依存パターンに陥ることがあります。安全型愛着(secure attachment)は、自分と相手の両方を尊重できる健全な関係の基盤であり、成人後でもセラピーや安全な関係体験を通じて少しずつ育てていくことが可能です。これを『獲得された安全型愛着(earned secure attachment)』と呼び、共依存からの回復の重要な目標の一つとなります。
A. 共依存のパターンを持つ方は、『自分を必要としてくれる人』『何か問題や困難を抱えている人』に強く惹かれる傾向があります。具体的には、アルコール・薬物・ギャンブルなどの依存症を抱える人、うつ病やパーソナリティ障害を持つ人、感情的に不安定で世話を必要とする人、経済的・社会的に困窮している人、過去にトラウマを抱える人などです。これは『相手を救うことで自分の価値を確認する』という無意識の戦略から生じます。しかし、このパターンは双方の成長を妨げ、しばしば『救済者(rescuer)と被害者(victim)』の役割固定を引き起こします。これを『カープマンのドラマの三角形(救済者・被害者・迫害者)』と呼び、認識することで脱却の第一歩となります。
A. いいえ、むしろ逆です。共依存から回復することは、『恐怖ではなく選択として相手を愛する』力を取り戻すことです。共依存の関係における『愛』は、本質的には見捨てられ不安や罪悪感に支えられた『しがみつき』であり、純粋な愛情とは異なります。回復の過程で、あなたは『この人と一緒にいたいから一緒にいる』『離れる自由がある上で、あえて選んで一緒にいる』という健全な愛情を体験するようになります。多くの回復者が『共依存のときより、今の方がずっと深くパートナーを愛している』と語ります。愛情を失うのではなく、愛情の質が変わるのです。
A. 親の介護における共依存は、特に日本社会では『親を見捨てるなんてできない』という文化的な価値観と結びつき、本人を極限まで追い詰めることがあります。まず大切なのは『完璧な親孝行』を諦めることです。あなたが倒れてしまえば、親の介護はもっと困難になります。具体的には、①地域包括支援センターに相談し、介護保険サービス(訪問介護、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームなど)の利用を検討する、②家族や親族と役割分担を話し合う、③介護者の会やヤングケアラー支援団体に参加する、④自分自身のカウンセリングを受ける、⑤罪悪感と正面から向き合う——といった取り組みが有効です。『親を施設に預ける=愛情がない』ではありません。むしろプロの手に委ねることは、親と自分の両方を守る賢明な選択です。
A. 母子密着型の共依存は、『愛情深い母親』という社会的評価の陰に隠れやすく、本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。サインとしては、①子どもの年齢に不相応な過干渉・過保護(食事・着替え・友人関係まで管理)、②子どもの失敗を自分の失敗と感じる、③子どもが自立しようとすると強い不安や喪失感を感じる、④夫婦関係よりも親子関係を優先する、⑤子どもに『あなただけが頼り』と繰り返し伝える、⑥子どもの進路・職業・結婚相手を強くコントロールしようとする——などが挙げられます。このパターンの子どもは、成人後も親との心理的な分離に苦しんだり、自分のアイデンティティを確立できなかったり、自分自身の対人関係で共依存を再演したりすることがあります。親子間の健全な距離を取り戻すには、親自身のカウンセリングや、自分の人生の充実を取り戻す努力が欠かせません。
A. 密接に関連していますが、完全に同じではありません。恋愛依存症(love addiction)は『恋愛関係に耽溺する』こと自体に焦点があり、恋愛における高揚感・承認・ドラマを求めて相手を次々と変えたり、一人の相手に異常に執着したりする状態を指します。一方、共依存は『関係における役割の不健全さ』に焦点があり、恋愛に限らず、夫婦・親子・友情・職場などあらゆる関係で起こり得ます。多くの場合、恋愛依存症の方は共依存の特徴も併せ持っており、両者は重なり合う概念として理解されます。治療アプローチも似ており、認知行動療法、愛着修復、自助グループ(SLAA:Sex and Love Addicts Anonymousなど)への参加が有効です。
A. 共依存からの回復に役立つ古典的な書籍としては、メロディ・ビーティの『共依存症——いつも他人に振り回される人たち』、ピア・メロディの『共依存かもしれない』、ジョン・ブラッドショーの『インナーチャイルド』などが日本語訳で読めます。自助グループとしては、CoDA(Co-Dependents Anonymous:共依存者匿名会)が国際的に知られ、日本でも一部地域でミーティングが開催されています。また、AlcoholicsのパートナーのためのAl-Anon(アラノン)、Adult Children of Alcoholics(ACA/ACoA)なども、共依存と関連する問題に取り組む方々を支えています。本を読むだけ・グループに参加するだけでも大きな気づきと安心感が得られますが、深刻なケースでは専門家のセラピーと併用することが推奨されます。
A. まず、気づけたことそのものが非常に大きな一歩であることを認めてください。多くの方は何十年も気づかずに苦しみ続けます。最初にできる具体的な行動は、①『共依存』というキーワードで書かれた書籍を1冊読んでみる(自分の体験が言語化されていく安心感があります)、②信頼できるカウンセラー・心療内科を探して相談予約を取る、③ノートに『自分がどんなとき苦しいか』『どんなとき自分を犠牲にしているか』を書き出してみる、④今すぐ大きな決断(別れる・辞める・引っ越すなど)をしない——ことです。共依存からの回復は、急激な変化ではなく、少しずつ自分の輪郭を取り戻していく静かなプロセスです。焦らず、一歩ずつ進みましょう。ココトモのチャット相談も気軽にご利用いただけます。
一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。
『相手に振り回されて自分がわからなくなってしまった』『離れたいのに離れられない』『自分ばかり我慢している気がする』——共依存関係の中にいる苦しさは、とても言葉にしにくいものです。愛情と恐怖、責任感と怒り、希望と絶望が入り混じり、自分の気持ちすら整理がつかない状態に陥りがちです。そんなときこそ、一人で考え続けるのをやめて、安心できる第三者に話してみてください。ココトモのチャット相談は匿名・無料で、あなたの話を評価せずに、あなたのペースで受けとめます。『まだ決断しなくていい』『ただ話を聞いてほしい』だけでも、どうぞお気軽にご利用ください。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。共依存の問題に取り組む専門の相談窓口としては、各都道府県の精神保健福祉センター、CoDA(Co-Dependents Anonymous:共依存者匿名会)、アラノン家族グループ、ACA(Adult Children of Alcoholics & Dysfunctional Families)などがあります。DVや暴力が関わる場合は、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008)、女性の人権ホットライン(0570-070-810)にもご相談ください。
