メンタルヘルス用語辞典 · 整形依存症

整形依存症とは?
原因・症状・醜形恐怖症との関係・治療法を解説

整形依存症(美容外科依存)は、美容整形を繰り返すことが止められない状態です。「もう一回だけ」が続く背景には自己価値の問題・醜形恐怖症・脳の報酬系が関わっています。原因からBDDとの違い、回復方法まで詳しく解説します。

ABOUT COSMETIC SURGERY ADDICTION

整形依存症とは——止まらない美の追求

整形依存症(美容外科依存症)とは、美容整形手術を繰り返すことを自分でコントロールできない状態です。「もう一回だけ」が止まらない背景には、自己価値の問題・醜形恐怖症・脳の報酬系が深く関わっています。

定義

整形依存症とは——「美の追求」から「強迫的反復」へ

整形依存症(Cosmetic Surgery Addiction)とは、美容整形手術(美容外科・美容皮膚科での各種施術を含む)を繰り返すことへの強迫的な衝動を自分でコントロールできない状態です。単なる「美意識の高さ」とは異なり、手術後の満足感が持続せず、次の欲求が絶えず生まれることが特徴です。

整形依存は医学的に独立した診断カテゴリーとして確立されているわけではありませんが、行動依存(プロセス依存)の一形態、または醜形恐怖症(BDD:身体醜形障害)の症状として概念化されることが多い。DSM-5の「強迫症および関連症群」における身体醜形障害との重複が非常に多い。

適切な美容医療の利用
目的的・計画的な施術
特定のコンプレックスへの対応として計画的に受ける。施術後に一定の満足感が持続する。医師の意見を尊重し、過剰な施術は行わない。生活への影響が最小限。
整形依存症
強迫的・反復的な手術行動
手術後の満足感が数週〜数か月で消え、次の欲求が生じる。コントロール困難な衝動がある。医師の反対を無視してドクターショッピング。生活・経済・健康への重大な影響が出ている。
💡
「もう一回」が止まらない心理的メカニズム整形依存の核心は「外見を変えれば自己価値の問題が解決する」という信念にある。しかし外見は変わっても、外見に依存した自己評価システム自体は変わらないため、次の「直すべき部位」が常に見つかり続ける。これは「移動するゴールポスト」と呼ばれる現象で、依存の典型的なパターン。
「整形好き」と「整形依存」の違い美容整形を好む・関心を持つこと自体は依存ではありません。「止めたいのに止められない」「やめると強い不安・苦痛が生じる」「手術のために生活を犠牲にしている」——これらが揃って初めて依存のパターンと言えます。
タイプ分類

整形依存の4つのタイプ

整形依存は、その背景にある動機・心理によっていくつかのタイプに分類されます。自分のパターンを理解することが、適切な回復アプローチを選ぶ助けになります。

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外見修正型(コンプレックス解消型)
特定のコンプレックス(鼻・目・輪郭など)を「直したい」という強い欲求から始まり、一か所を修正した後に別の部位が気になり始め、次々と手術を繰り返すパターン。手術後の一時的な満足感が次のターゲットを生み出す悪循環に陥る。醜形恐怖症(BDD)との関連が強い。
コンプレックス起点部位の連鎖醜形恐怖症関連
若返り維持型(アンチエイジング強迫型)
加齢による外見変化を受け入れられず、若い頃の外見を維持・取り戻そうとして繰り返し手術を受けるパターン。「少し老けた気がする」という知覚が次の手術の引き金になる。自分の年齢・老化への強い恐怖と自己価値の外見依存が根底にある。
加齢への恐怖若さ=価値の信念繰り返し施術
📱
承認欲求充足型(SNS映え追求型)
SNSへの投稿・他者からの「いいね」・賞賛によって自己価値を確認するために整形を繰り返すパターン。理想の外見に近づくたびに「もう少し」という欲求が高まる。SNSのフィルター・加工アプリと現実の自分とのギャップに苦しみ、手術でそのギャップを埋めようとする。
SNS承認依存賞賛の一時的効果加工との乖離
🌫
感情回避型(感情麻痺・コントロール欲求型)
手術の計画・受診・回復というプロセス全体が「コントロール感覚」「何かに集中できる感覚」を与え、感情的苦痛(うつ・不安・空虚感)から一時的に逃げる手段として機能するパターン。手術そのもの(計画立案・リサーチ・カウンセリング通院)が強迫的な「ルーティン」になる。
感情回避コントロール感覚強迫的プロセス
実態

整形依存の実態——国内外の状況

整形依存の正確な有病率を把握する疫学研究は少ないが、関連する醜形恐怖症(BDD)の有病率から一定の推計が可能である。美容外科を受診する患者の10〜15%にBDDが認められるという研究もあり、潜在的な整形依存者は想定以上に多い可能性がある。

10〜15%
美容外科受診者のうちBDD(醜形恐怖症)が認められる割合(国際的研究)
2〜3%
一般人口における醜形恐怖症の推定有病率。整形依存はその一部を占める
若い女性に多い
10〜20代の若い女性に多く見られるが、男性・中高年にも増加傾向
セルフチェック

整形依存のセルフチェックリスト

以下の項目に複数当てはまる場合、整形依存のパターンが形成されている可能性があります。

  • 🔍1回の整形で満足できず、次の部位・同じ部位の追加修正を繰り返している(3回以上)
  • 🔍整形後は一時的に満足するが、すぐに「他にも直したい」という欲求が生じる
  • 🔍手術の費用のために借金をしたり、生活費を削ったりしている
  • 🔍医師から「これ以上は必要ない」と言われても別のクリニックを探す(ドクターショッピング)
  • 🔍鏡や反射面で特定の部位を何度も確認せずにはいられない
  • 🔍家族・友人に心配されているが、反対意見を退けて手術を続けている
  • 🔍手術さえできれば自分の外見・人生が大きく変わると強く信じている
  • 🔍外見の問題を理由に外出・仕事・人付き合いを避けることが増えている
💡
3つ以上に当てはまる場合は、精神科・心療内科または行動依存専門のカウンセラーへの相談を検討してください。
SYMPTOMS & SIGNS

整形依存症の症状・サイン

整形依存には、行動面・感情面・認知面にわたる特有のサインがあります。「これは依存かもしれない」という気づきが、回復への第一歩です。

🔄
手術後の短期的満足と次の欲求
整形手術を受けた直後は「これで満足できた」と感じるが、数週間から数か月のうちに「次の部位が気になる」「やっぱりここも直したい」という欲求が生じる。この短期満足→新たな欲求のサイクルが繰り返される。
🔍
特定部位への強烈な注視(ボディ・チェッキング)
鏡・スマホのカメラ・ガラスへの映り込みを使って特定部位を何十回も確認する。光の当たり方・角度・時間帯によって見え方が変わるたびに不安が高まり、手術の計画を考え始める。
💸
手術への過剰な資金投入
本来の生活費・貯蓄を削って整形費用に充てる。消費者金融・カードローンを利用してまで手術を繰り返す。家族に費用を隠す・嘘をつく行動が生じている。
📱
整形情報の強迫的な収集
整形クリニックのSNS・口コミサイト・ビフォーアフター画像を何時間も見続ける。複数のクリニックを「梯子」し、医師が手術に反対すると別のクリニックを探す(ドクターショッピング)。
💊
手術リスクの軽視・無視
過去の手術での合併症・副作用・後悔があるにもかかわらず、次の手術を計画する。医師からの術前カウンセリングでリスクを指摘されても「自分は大丈夫」と否定する。
🕳
空虚感・慢性的な不満足感
何回手術を受けても「どこかまだ足りない」という感覚が続く。鏡を見るたびに「まだダメだ」という感情が生じ、一時的にしか解消されない。この慢性的な不満足感がさらなる手術を求める動機となる。
🚫
日常生活・社会活動の回避
外見への不満を理由に外出・仕事・人との付き合いを避けるようになる。「手術が終わったら普通の生活を送れる」という先送りの論理で生活が狭まっていく。
😣
家族・友人の反対を無視する
心配する家族・友人の意見を「理解してもらえない」「嫉妬だ」と退け、関係が悪化しても手術を優先する。反対意見が聞こえなくなるほど依存が深まっている状態。
「美しさへの追求」は止めなくていい——でも「苦しさ」は変えられる外見を大切にすること、美しくなりたいと思うことは自然な気持ちです。しかし、その追求が「楽しさ」ではなく「強迫と苦しさ」になっているなら、それはケアが必要なサインです。美の追求の仕方を変えることが、回復の目標です。
性差と年代別傾向

性別・年齢による整形依存の特徴の違い

整形依存は特定の性別・年代に限られた問題ではありませんが、その現れ方に傾向があります。理解することで、自分や身近な人の状況に気づきやすくなります。

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10〜20代女性
SNSの影響を強く受け、「韓国アイドルのような顔」「インフルエンサーの外見」への同一化欲求から始まるケースが多い。二重・鼻・輪郭の施術から始まり、連鎖的に広がる傾向。また、思春期の外見評価への敏感さとBDDが重なるリスクが高い。
👤
30〜40代女性
加齢への恐怖・若さの喪失感から若返り施術を繰り返すパターン。「若い頃の自分に戻りたい」という強い願望がベースにあり、ボトックス・ヒアルロン酸・リフトアップ手術の連鎖が生じやすい。
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男性全般
かつては少なかったが近年増加傾向。目・輪郭・あご・髪の毛に関する施術への関心が高い。男性はBDDの有病率が女性と同程度とも言われながら、受診・相談のハードルが高く、潜在的な依存状態が長期化しやすい。
👤
50代以上
定年・子育て後・パートナーとの関係変化などのライフイベントをきっかけに外見への関心が高まるケース。「まだ輝いていたい」という承認欲求と、加齢受容の難しさが整形依存の背景になる。
警告サイン

緊急に対応が必要な警告サイン

以下のサインがある場合は、本人の意思に関わらず早急な専門的介入が必要です。家族・周囲の方も含めて、ためらわずに専門機関への相談を行ってください。

  • 🚨未承認・違法な施術を受けている(緊急)
    健康上の重大なリスクがある未承認施術や、無資格者による手術を受けている場合は、身体への危険が差し迫っている。
  • 🚨自傷・自殺念慮が出現している(緊急)
    外見への強い嫌悪・自己嫌悪から「消えてしまいたい」という思いが出ている場合は、緊急の精神科受診が必要。
  • ⚠️合併症・後遺症があるのに追加手術を望んでいる(要注意)
    過去の手術による問題(感染・変形・機能障害)が解決していないにもかかわらず、次の手術を計画している。
  • ⚠️外出・就労・日常生活が外見への囚われにより完全停止している(要注意)
    外見の問題により家から出られない、仕事に行けない状態は、BDDの重篤化を示す可能性があり、早急な専門的介入が必要。
CAUSES & BACKGROUND

整形依存の原因・背景

整形依存は「外見へのこだわりが強い性格」ではありません。心理的・社会的・神経生物学的な要因が複合的に絡み合っています。

🧠自己評価と外見依存の心理

整形依存の根底には、自己価値を外見に過度に依存させる認知パターンがある。「美しければ価値がある」「欠点がなければ愛される」という信念が、外見の小さな変化を脅威として認識させ、手術への衝動を生み出す。完璧主義・自己批判的思考・慢性的な自尊心の低さが組み合わさると、整形による「修正」で自己価値を満たそうとする強迫的なパターンが形成される。認知行動療法で言う「外見に基づく自己評価スキーマ」が中核にある。

  • 外見に基づく自己価値評価(外見スキーマ)
  • 完璧主義・「欠点ゼロ」への強迫的欲求
  • 低い自尊心・慢性的な自己嫌悪
  • 感情調節の手段としての整形(感情回避)
  • 社会的承認欲求の外見への過度な投資
SNS時代の整形依存——新しいリスクスマートフォンのカメラ・フィルター・加工アプリの普及により、「自分の外見を常に評価する機会」が飛躍的に増大した。SNSで見る加工済み画像との日常的な比較が、外見への不満足感を持続的に高め、整形衝動の頻度を増加させることが示されている。
BDD CONNECTION

醜形恐怖症(BDD)との関係

整形依存と醜形恐怖症(身体醜形障害)は深く重複しています。適切な治療のために、この関係を理解することが重要です。

醜形恐怖症とは

醜形恐怖症(BDD)——外見の欠点への強迫的囚われ

醜形恐怖症(身体醜形障害、BDD:Body Dysmorphic Disorder)は、客観的には存在しないか非常に軽微な外見の欠点に対して、強烈で反復的な囚われが生じる精神疾患です。DSM-5の「強迫症および関連症群」に分類されます。整形依存を持つ人の多くが、程度の差はあれBDDの特徴を持っています。

整形依存:外見への囚われ
一部位に集中することもあるが、複数部位への関心が連続する
BDD:外見への囚われ
特定部位への強烈で持続的な囚われ(1日数時間以上)
整形依存:知覚の歪み
外見の問題を過大評価するが、客観的な見え方との乖離は比較的小さい
BDD:知覚の歪み
非常に軽微または客観的には存在しない欠点を重大な欠陥として知覚
整形依存:手術への期待
手術で問題が解決すると信じて繰り返す
BDD:手術への期待
手術後も「直っていない」「別の問題が見えた」という不満が続く
整形依存:日常生活
手術ができていれば一定の機能が保たれることも多い
BDD:日常生活
外見への囚われが仕事・対人関係・外出を著しく妨げる
整形依存:治療反応
認知行動療法・依存治療のアプローチが有効
BDD:治療反応
SSRIとERP(曝露反応妨害法)が第一選択治療
⚠️
BDDがある場合、整形手術は症状を悪化させるBDDが背景にある整形依存において、手術は症状の根本的な解決にならないどころか、「直った」という満足感が得られないため不満が増大し、次の手術への衝動が強まります。BDDの治療なしに整形手術を繰り返すことは、症状の悪化につながるリスクが高い。
BDDの治療

醜形恐怖症(BDD)への具体的な治療アプローチ

BDDが確認または疑われる場合、整形依存の治療には以下のアプローチが推奨されます。

🧠
認知行動療法(CBT)with ERP
外見確認行動(鏡での確認・比較)を段階的に減らす曝露反応妨害法(ERP)。「外見の欠点への囚われ」を「思考として観察する」練習。
💊
薬物療法(SSRI)
フルオキセチン・フルボキサミン・エスシタロプラムなどのSSRIがBDDの症状軽減に有効。通常のうつ病より高用量が必要な場合がある。
🪞
ミラー・エクスポージャー
鏡を使った段階的曝露練習。「全身を中立的に観察する」練習から始め、外見への評価的反応を脱感作する。
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マインドフルネスベース療法
外見への思考に「飲み込まれる」のではなく「思考として気づいて距離を置く」スキルを育てる。セルフ・コンパッション(自己への思いやり)の実践も有効。
TREATMENT & RECOVERY

整形依存の治療・回復

整形依存は、適切な専門的サポートによって変化が可能です。「外見を変えること」ではなく「自分との関係を変えること」が回復の核心です。

🧠
認知行動療法(CBT)—— 外見スキーマの修正コアアプローチ
整形依存の中核にある「外見=自己価値」という信念を特定し、より柔軟でバランスの取れた自己評価のあり方を探求する。ボディ・チェッキング行動(鏡での繰り返し確認)の制御、手術衝動が生じた際の認知的再評価技法の習得が治療の核心。「安全行動(手術)」なしで不安に耐える曝露練習も重要。
💊
醜形恐怖症(BDD)への治療(ERP + SSRI)BDD併存時
整形依存にBDDが併存している場合(非常に多い)、曝露反応妨害法(ERP)とSSRIの組み合わせが推奨される。ERP では「鏡を見ない」「確認行動をしない」練習を段階的に行う。SSRIはBDDの強迫的な外見への囚われを軽減するエビデンスがある。
🌳
スキーマ療法——自己価値の根本的な再構築長期的変容に
幼少期から形成された「欠陥/恥スキーマ」「自己犠牲スキーマ」「承認欲求スキーマ」などに働きかけ、外見に依存しない自己価値の基盤を育てる。整形依存の多くは「外見以外に自分に価値がない」という深いスキーマが背景にあるため、この根本的なアプローチが長期的回復に不可欠。
📲
SNS・メディアリテラシー教育現代的アプローチ
SNSのフィルター・加工画像が作り出す非現実的な美の基準との批判的関わり方を習得する。SNS利用時間の制限、「比較トリガー」となるアカウントのフォロー解除、リアルな多様な外見への再露出などの行動的介入が有効。
「整形をやめる」ことが目標ではない回復の目標は「美容整形を一切しない」ことではなく、「整形への衝動に強迫的に従わないでいられる」こと、「外見以外の自己価値を感じられる」ことです。外見へのケアと強迫的依存は異なります。
RECOVERY PATH

回復の道のり——専門機関と社会資源の活用

整形依存からの回復には、心理療法だけでなく、医療・制度・地域の資源を組み合わせた包括的なアプローチが有効です。一人で抱え込まず、専門的なサポートを活用してください。

受診の方法

専門機関へのアクセス——どこに相談すればいいか

整形依存の疑いがある場合、まず「精神科・心療内科」への相談が第一歩です。日本では整形依存を専門に扱うクリニックは少ないですが、強迫症・身体醜形障害(BDD)を専門とする精神科であれば、適切な診断と治療の入り口になります。かかりつけ医や地域の精神保健福祉センターへの相談から始めるのも有効な方法です。

STEP 1
精神保健福祉センターへの相談
各都道府県に設置された精神保健福祉センターは、こころの健康に関するあらゆる相談を無料で受け付けています。「自分は病気なのか」という段階でも相談可能で、適切な医療機関への紹介も行っています。匿名での相談にも対応しています。
STEP 2
精神科・心療内科の受診
BDD(醜形恐怖症)や強迫症の専門的な治療が受けられる医療機関を受診します。初診では現在の状況・手術の経緯・生活への影響などを詳しく聞かれます。「整形依存かもしれない」と正直に伝えることが、正確な評価につながります。
STEP 3
自立支援医療制度の活用
精神疾患(BDD・強迫症・うつ病など)で継続的な通院治療が必要な場合、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用することで医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。市区町村の窓口または精神保健福祉センターで申請手続きができます。整形依存に伴う精神疾患の治療にも適用可能です。
STEP 4
心理カウンセリングの並行利用
医療機関での薬物療法と並行して、公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング(認知行動療法・スキーマ療法)を受けることで、より包括的な回復を目指せます。精神科内のカウンセリング室、または民間のカウンセリングルームで利用可能です。
💡
自立支援医療制度(精神通院医療)について精神疾患の治療を続けながら経済的な不安を感じている場合、自立支援医療制度が助けになります。通院にかかる医療費の自己負担を軽減する公費制度で、市区町村や精神保健福祉センターで相談・申請が可能です。整形依存の背景にあるBDD・強迫症・うつ病などへの治療費に適用できます。
家族へのサポート

家族・周囲の人ができること——支え方のポイント

整形依存を抱える人の家族や友人は、しばしば「どう接すればいいかわからない」「何を言っても聞いてもらえない」という困難を感じます。強引な阻止・批判・説得は逆効果になりやすく、適切な支え方を知ることが重要です。

👂
批判せず、気持ちを聞く姿勢を持つ
「またそんなことを」「もういい加減にして」という反応は本人を孤立させ、より周囲から隠れて行動するようになります。まず「そんなに気になっているんだね」と気持ちを受け止めることが信頼関係の土台になります。
🏥
専門家への相談を一緒に検討する
「病院に行った方がいい」と一方的に言うのではなく、「一緒に相談に行ってみようか」「精神保健福祉センターに電話してみようか」と寄り添いながら提案することが効果的です。
💰
経済的な援助を無条件に続けない
整形費用を際限なく援助し続けることは、依存行動の継続を可能にしてしまいます。「治療(精神科)への費用は出せる」「整形費用の追加援助は難しい」という境界線を穏やかに伝えることも必要です。
🤝
家族自身も専門家に相談する
整形依存を抱える家族を支える側も、精神的な疲弊を感じることがあります。精神保健福祉センターや家族相談窓口では、支える側の家族からの相談にも対応しており、適切な関わり方のアドバイスを得ることができます。
DAILY CARE

日常生活でできること

整形依存からの回復は日常の小さな実践の積み重ねです。専門的治療と並行して、日々の生活の中でできることを取り入れましょう。

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鏡を見る時間を意図的に制限する
1日の鏡確認回数を記録し、徐々に減らす練習をする。特定の「確認ルール」(例:洗面台の鏡を1回だけ、5秒以内)を設定することで、強迫的な確認行動を置換する。
📱
SNSの美容・整形コンテンツを整理する
「ビフォーアフター」「美容クリニック広告」「理想的な外見」を推奨するアカウントをフォロー解除または非表示にする。多様な外見・ボディポジティビティのコンテンツに意識的に触れる機会を増やす。
✍️
手術衝動の日記をつける
「手術したい」という衝動が生じた時間・状況・その時の感情を記録する。記録することで、手術衝動が特定の感情状態(不安・孤独・退屈など)と結びついていることに気づける。衝動に自動的に従うのではなく、「一歩引いて観察する」練習になる。
💬
外見以外の自分の価値を書き出す
「外見と関係のない自分の強み・才能・価値」を毎日1つ書き出す習慣をつける。最初は難しく感じるかもしれないが、続けることで外見以外の自己評価の根拠が育っていく。カウンセラーとの作業として取り組むとさらに効果的。
🧘
身体と友好的な関係を育てるマインドフルネス
外見を「評価するもの」としてではなく「機能し、感じ、経験するもの」として認識し直す練習。ヨガ・ストレッチ・バランス練習など、外見ではなく「身体の機能・感覚」に焦点を当てた身体活動も有効。
👥
サポートグループへの参加
整形依存・身体醜形恐怖症の経験者グループ、行動依存のセルフヘルプグループへの参加。同じ問題を抱えた人々との交流は、「自分だけではない」という安心感と、回復の可能性を示すモデルを提供してくれる。
外見以外で「自分を感じる」体験を増やす整形依存からの回復の本質は、「外見を変える」ことではなく「外見以外で自己価値を感じる経験」を積み重ねることです。創作活動、人との深いつながり、身体を使った経験(スポーツ・料理・音楽など)が、外見に依存しない自己価値の基盤を少しずつ育てていきます。
ボディポジティビティ

ボディポジティビティと整形依存からの回復

ボディポジティビティ(Body Positivity)とは、あらゆる体型・外見・年齢の身体をありのままに肯定しようとする考え方です。整形依存からの回復において、「完璧な外見を手に入れること」ではなく「今の自分の身体と友好的な関係を築くこと」へと目標をシフトさせる上で、この視点が重要な役割を果たします。

ただし、ボディポジティビティは「外見を全く気にしてはいけない」というメッセージではありません。外見へのケアと強迫的な「完璧追求」を区別し、「ありのままの自分」を軸にしながら生活の質を高めていくことが回復の本質です。

  • 多様な外見・年齢・体型を肯定するSNSアカウント・メディアに意識的に触れる
  • 自分の身体が「どう見えるか」より「何を感じ、何ができるか」に注目する時間を増やす
  • 外見への批判(自己批判・他者批判)に気づいたとき、批判の言葉を中立的な観察の言葉に言い換える練習をする
  • 「今日の自分の身体に感謝できること」を1つ見つける習慣をつくる(機能・感覚・経験)
  • 外見以外の自分の価値(創造性・優しさ・知識・ユーモア)を言語化する練習を続ける
回復は「外見をやめる」ではなく「外見との新しい関係」を築くこと整形依存からの回復とは、外見への関心を失うことではなく、「外見が自己価値の唯一の根拠」という認識を変えていくプロセスです。美しくなりたいという願いと、自分をありのままに受け入れる力の両方を持てるようになることが、長期的な回復のゴールです。
再発予防

再発防止——回復を長く続けるために

整形依存の回復は一直線ではありません。ストレスの増大・重要なライフイベント・SNSでの強い比較体験などがきっかけで、手術衝動が再び高まることがあります。これは回復の失敗ではなく、予期された回復の一部です。重要なのは、衝動が高まったときの「対処プラン」を事前に持っておくことです。

「72時間ルール」を設ける
手術の予約・カウンセリング予約・費用の支払いを72時間保留にする。衝動は時間とともに弱まることが多く、「今すぐ行動する」を防ぐことが第一歩。
📓
衝動日記に記録する
「どんな状況・感情のときに衝動が生じたか」を記録する。パターンが見えてくることで、衝動のトリガーを事前に回避できるようになる。
📞
サポーターに連絡する
あらかじめ信頼できる人(家族・友人・カウンセラー)を「サポーター」として決めておき、衝動が高まったときに連絡する取り決めをしておく。
🧘
身体を動かす・感覚に集中する
ウォーキング・ストレッチ・料理など、外見ではなく身体の感覚・機能に集中できる活動に衝動のエネルギーを向け替える。
🏥
治療者に相談する
衝動の再燃を治療者に正直に伝える。「また悪化した」と隠すのではなく、治療プロセスの一部として共有することが、効果的なサポートにつながる。
関連用語

関連する用語

整形依存を理解する上で関連する心理学・精神医学の概念です。

醜形恐怖症身体醜形障害(BDD)行動依存認知行動療法スキーマ療法強迫症ボディポジティビティSNS依存自己価値自尊心
FAQ

よくある質問——整形依存症について

整形依存症についてよく寄せられる疑問に答えます。

Q. 美容整形依存症は「病気」として診断されますか?
Q. 何回以上の整形で「依存」と言えますか?
Q. 整形依存は意志の弱さが原因ですか?
Q. 治療すれば整形を全くしなくなりますか?
Q. 精神保健福祉センターとはどのような機関ですか?
Q. 自立支援医療制度は整形依存の治療にも使えますか?
Q. SNSを見るのをやめれば整形依存は改善しますか?
Q. 醜形恐怖症(BDD)と整形依存は同じですか?

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

「もう一回だけ」が止まらない苦しさ、外見への囚われで生きづらさを感じている気持ち——どうかあなたの大切な悩みをココトモに聞かせていただきたいです。

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いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。継続的な通院治療には自立支援医療制度(精神通院医療)を活用することで医療費の負担を軽減できます。詳しくはお住まいの市区町村または精神保健福祉センターへご相談ください。

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