ウェルビーイング(well-being)とは?
PERMA5要素・高める方法・職場活用をわかりやすく解説
単に『病気でない』を超えて、『良く生きている状態』を指すウェルビーイング。セリグマンのPERMAモデル、ヘドニアとエウダイモニア、日常の実践10選、職場や社会の動向、メンタルヘルスとの関係、ライフステージごとの課題まで、ポジティブ心理学に基づく必要な情報をすべてまとめました。
ウェルビーイングとは
ウェルビーイング(well-being)とは、心身ともに良好な状態で、満たされた人生を生きていることを指します。単に『病気ではない』だけでなく、『充実して幸せに生きている』という積極的な状態です。
WHOが示す包括的な健康観
ウェルビーイングは、世界保健機関(WHO)の憲章(1948年)の『健康』の定義に由来します——『健康とは、単に病気や虚弱でないということではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態(well-being)である』。つまり『病気がない』状態ではなく『良好な状態』そのものを指し、健康の積極的側面を表す言葉として使われてきました。
現代ではこの概念がさらに広がり、幸福感・生きがい・自己実現・社会的つながりなど、人間の生の質を多面的に捉える『傘のような概念』として使われています。心理学、経済学、医学、教育学、経営学など、幅広い分野で中心概念となっています。
ウェルビーイング研究の歴史
ウェルビーイング研究は、1960年代にエド・ディーナーらが『主観的ウェルビーイング(Subjective Well-Being:SWB)』を提唱したことから始まりました。SWBは『感情的な幸福(ポジティブ感情が多く、ネガティブ感情が少ない)』と『認知的な満足(人生満足度)』の2つの要素から成ります。
1990年代末、マーティン・セリグマンが『ポジティブ心理学』を提唱。それまでの心理学が『病気・異常』ばかりを扱ってきたことへの反省から、『人間の強み・幸福・繁栄』を科学的に研究する分野として確立されました。2011年、セリグマンは著書『Flourish(邦題:ポジティブ心理学の挑戦)』の中で、幸福より広い概念として『PERMA』モデルを提唱しました。
近年ではOECDが『Better Life Index』を発表し、GDPに代わる社会の豊かさの指標として各国が国民のウェルビーイング測定に取り組んでいます。日本でも岸田政権下で『新しい資本主義』の一環としてウェルビーイングが政策課題となり、2023年には首相官邸にウェルビーイングに関する有識者懇談会が設置されました。
なぜ今ウェルビーイングが注目されるのか
ウェルビーイングが世界的な注目を集める背景には、複数の社会的・経済的・心理的な要因があります。
PERMAモデル——ウェルビーイングの5要素
マーティン・セリグマンが2011年に提唱した、持続的な幸福(flourishing)を構成する5つの次元。それぞれが独立した価値を持ち、他のために犠牲にならない要素として選ばれました。
PERMA——5つの構成要素
PERMAはセリグマンが選んだ5要素の頭文字です。それぞれをタブで切り替えて、内容と実践のヒントを確認できます。
喜び・感謝・愛情・希望・楽しさ・誇りなどのポジティブな感情を日常的に経験すること。バーバラ・フレドリクソンの『拡張−構築理論』によれば、ポジティブ感情は思考の幅を広げ、長期的な心身のリソースを構築します。
『時間を忘れて没頭する』体験。チクセントミハイが提唱した『フロー』と重なります。スキルと挑戦のレベルが一致したときに起こり、自己成長と深い満足感をもたらします。
良質な人間関係は、幸福とウェルビーイングの最大の予測因子です。ハーバード成人発達研究(85年以上継続)で『良い関係性こそ幸福の鍵』と結論づけられました。
自分を超えた何か大きなもののために生きている感覚。ヴィクトール・フランクルが『意味への意志』として強調した、人間の深い欲求です。宗教・価値観・社会貢献・芸術などが源になります。
目標に向かって努力し、成し遂げる経験。結果そのものだけでなく、『自分の能力を発揮している』『成長している』という感覚が大切です。グリットや自己効力感と深く関連します。
- 3つのよいこと日記得意なことに集中する時間週1回は大切な人と会う自分の価値観を言語化SMART目標を立てる
- 感謝の手紙明確な目標と即時フィードバック『助けを求める』練習ボランティア活動小さな成功を記録
- 好きな音楽を聴くスマホ通知を切る能動的・建設的応答社会貢献の視点を持つ成長マインドセット
- 自然の中を歩くディープワークの時間確保相手の話を聴くジョブクラフティング定期的な振り返り
- 笑う時間を作る趣味への没頭親切な行動『なぜ』を問い続ける自分の成長を祝う
PERMAの3つの選定基準
セリグマンはPERMAの5要素を、次の3つの厳しい基準で選定しました。
5要素のバランスが大切
PERMAは『5要素のどれかを最大化すればよい』という話ではありません。人によって重みの置き方は違いますが、すべての要素がバランスよく満たされることが持続的な幸福につながります。一つの要素が欠けていると、他で補えません。
ヘドニア vs エウダイモニア——2つのアプローチ
ウェルビーイングには古代ギリシャから続く2つの哲学的系譜があります。快楽(ヘドニア)と有意味性(エウダイモニア)です。
ヘドニアとエウダイモニアの違い
ウェルビーイング研究は古代ギリシャ哲学の2つの伝統を引き継いでいます。一方はヘドニア(快楽主義的伝統)、もう一方はエウダイモニア(自己実現的伝統)です。
興味深いのは、これらが対立するものではなく、補完し合う関係にあるということ。『楽しいだけの人生』も『意味だけの人生』も長期的には満足できず、両方のバランスが必要であることが研究で示されています。ハッピネスと意味の両方を追求する人が、最も高いウェルビーイングを示します。
キャロル・リフの心理的ウェルビーイング(PWB)6次元
リフはエウダイモニアを6つの次元で測定する尺度を開発しました。エウダイモニア的ウェルビーイングを科学的に評価する代表的な指標として、世界中で使われています。
日常で実践できる、10の方法
どれか一つに絞らず、できそうなものから少しずつ取り入れてください。10個すべてを一度に始める必要はありません。最も惹かれるもの1つから始めて、2〜3週間続けてみるのが現実的です。
なぜ実践が効果を持つのか——ポジティブ心理学の神経科学
ウェルビーイング向上の実践が効果を持つ背景には、脳科学・神経科学の知見があります。感謝・親切・運動といった行動は、ドーパミン・セロトニン・オキシトシンといった神経伝達物質の分泌を促し、脳の報酬系を活性化します。特に感謝の実践は、前頭前皮質の活動を高め、不安や恐れに関わる扁桃体の反応を抑制することが神経画像研究で確認されています。
また、マインドフルネス瞑想の継続は、海馬(記憶・学習に関わる脳部位)の灰白質密度を増加させ、扁桃体を縮小させるという研究結果もあります(ハーバード大学・Sara Lazar博士)。これらは脳の可塑性(ニューロプラスティシティ)を示しており、大人になってからでも脳の構造は変えられることを示しています。
実践を妨げる『心理的障壁』とその乗り越え方
ウェルビーイングの実践を始めても続かない理由として、次のような心理的障壁が挙げられます。第一に『完璧主義』——毎日完璧にやらなければという思い込みが、少しの失敗で挫折を引き起こします。第二に『効果への懐疑』——「自分には効かないだろう」という先入観が取り組み自体を妨げます。第三に『時間の言い訳』——忙しいを理由に後回しにし続けるパターンです。
子どもとウェルビーイング——教育現場の取り組み
文部科学省は2023年度より、学校教育における子どもたちのウェルビーイング向上を政策課題として明記しました。OECD教育2030プロジェクトも『Student Agency(生徒の主体性)』をキーワードに、学力だけでなくウェルビーイングを教育の目標として位置づけています。
実践女子大学のウェルビーイング・プロジェクトをはじめ、国内複数の大学・学校でPERMAモデルを活用したプログラムが導入されています。特に『強みの発見』と『感謝の実践』は、子どもの自己効力感と社会情緒的スキル(SEL)の向上に効果が確認されています。
職場のウェルビーイング
従業員のウェルビーイングは、個人の幸福だけでなく、企業の生産性・創造性・定着率に直結します。ウェルビーイング経営は近年の経営課題の中心です。
なぜ企業がウェルビーイングに投資するのか
ウェルビーイングへの投資は、慈善的な発想ではなく、経営的合理性に基づいています。複数の研究で具体的なリターンが示されています。
職場ウェルビーイングの5次元(ギャラップ社モデル)
ギャラップ社は職場のウェルビーイングを5つの次元で整理しました。仕事に直接かかわるキャリアだけでなく、社会・経済・身体・地域という人生全体の領域が含まれます。
企業ができる10の施策
職場ウェルビーイング向上のために企業が取り組める代表的な施策は次の10種類です。
- 目的・ビジョンの明確化と共有
- 心理的安全性の高い職場文化
- 仕事の自律性(ジョブクラフティング)の推奨
- 学習・成長機会の提供
- 運動・健康プログラムの導入
- マインドフルネス・EAPの提供
- 柔軟な働き方・休暇制度
- 成果の承認と祝福の文化
- 多様性・包摂性(D&I)の推進
- ウェルビーイング指標の定期的測定
心理的安全性とウェルビーイングの深い関係
Googleが5年間の調査(プロジェクト・アリストテレス)で明らかにした『最も生産的なチームの共通点』は、メンバーのスキルでも経験でもなく『心理的安全性』でした。心理的安全性とは、『このチームでは、リスクを取っても安全だ』という共有された信念です。
心理的安全性はウェルビーイングと密接に連動します。心理的安全性が高い職場では、従業員の意味(M)・人間関係(R)・達成(A)の各次元が向上し、ウェルビーイング全体が高まることが確認されています。逆に心理的安全性が低い環境では、慢性的なストレスとバーンアウトリスクが高まります。
バーンアウト(燃え尽き症候群)とウェルビーイング
バーンアウトはウェルビーイングの対極に位置する状態です。WHO(2019年改訂版ICD-11)はバーンアウトを『慢性的な職場のストレスが適切に管理されないことから生じる症候群』と定義し、3つの特徴(消耗感・シニシズム・効力感の低下)で描写しています。
Christina Maslachの研究によれば、バーンアウトは個人の問題ではなく、職場環境の問題です。過剰な仕事量・コントロールの欠如・報酬の不足・公平性の欠如・コミュニティの崩壊・価値観の不一致という『バーンアウトの6つの不一致』が原因とされます。したがって、バーンアウト予防の責任は個人だけでなく、組織にもあります。
- 初期サイン慢性的な疲労・職場への皮肉・効力感の低下。
- 中期サイン感情の麻痺・人間関係の回避・身体症状の出現。
- 重症サイン出勤困難・抑うつ・パニック発作の発生。
- 予防のポイント仕事量の管理・意味の再確認・休息の確保・サポート体制の整備。
職場ウェルビーイングの測定と可視化
日本では、2015年から従業員50名以上の事業所に『ストレスチェック制度』が義務づけられています。しかしストレスチェックは『不調の早期発見』が目的であり、ウェルビーイングを積極的に測定するものではありません。企業が本格的にウェルビーイング向上に取り組むには、より広範な指標の測定が必要です。
NTTデータ経営研究所(2024年)のレポートでは、一人ひとりのウェルビーイングを涵養するため、PERMAモデルや主観的幸福感の定期的サーベイと、その結果をマネジメントに反映するサイクルが重要と指摘されています。具体的には、四半期ごとのパルスサーベイ・1on1ミーティングでのウェルビーイング対話・職場環境改善のフィードバックループが有効です。
社会全体のウェルビーイング——政策・国際動向
個人や企業の問題を超えて、国や国際機関がウェルビーイングを重要な政策課題として取り組んでいます。
世界と日本の政策動向
ウェルビーイングは個人の心理学的課題から、国家・国際機関の政策アジェンダへと拡大しています。代表的な動きは以下の通りです。
- ブータン(1972〜)『GNH(国民総幸福量)』で有名。1972年から国家指標として採用。
- イギリス(2010〜)2010年から国民のウェルビーイング測定を開始(ONS Well-being Index)。
- ニュージーランド(2019〜)2019年に『ウェルビーイング予算』を世界で初めて導入。
- OECD『Better Life Index』で加盟国のウェルビーイングを比較。
- 日本(2021〜)2021年の骨太方針にウェルビーイングを明記、2023年に首相官邸で懇談会設置。
- 国連世界幸福度報告(World Happiness Report)を毎年発表。
『GDPを超えて』の議論
20世紀の後半から、『GDP(国内総生産)だけでは国の豊かさを測れない』という問題意識が高まりました。経済成長しても、環境が破壊され、人間関係が希薄化し、メンタルヘルスが悪化するなら、本当に豊かな社会と言えるでしょうか?
スティグリッツ報告(2009年、ノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・スティグリッツらによる報告書)は、GDPを補完する指標として、主観的ウェルビーイング・健康・教育・環境・人間関係・社会的つながりなどを測ることを提言しました。この流れは現在、各国のウェルビーイング政策の土台になっています。
日本のウェルビーイングの現状
国連の『世界幸福度報告2023』で日本は147か国中47位。先進国の中では依然として低い順位です。日本の低さの要因として、『主観的な自由度』『寛容さ』『社会的サポート』のスコアが相対的に低いことが指摘されています。
日本人は客観的指標(長寿・治安・所得)では世界トップクラスですが、『自分の人生を自由に選べる』『他者を信頼できる』という主観的評価が低い特徴があります。この『客観と主観のギャップ』を埋めることが、日本のウェルビーイング向上の課題とされています。
ウェルビーイングの測定方法——主要な尺度と国際比較
ウェルビーイングを科学的に測定する主な尺度として、以下が広く使用されています。エド・ディーナーの『SWLS(生活満足尺度)』は5項目で人生全体の満足度を測る古典的尺度です。セリグマンの『PERMA-Profiler』は23項目でPERMAの5次元を包括的に測定します。キャロル・リフの『PWB尺度』は42〜84項目でエウダイモニア的ウェルビーイングを測定します。OECDの『Better Life Index』は11の政策領域(住宅・所得・雇用・コミュニティ・教育・環境・市民参加・健康・生活満足度・安全・仕事と生活のバランス)で国際比較します。
日本では、ウェルビーイング学会が2021年第2四半期から四半期ごとに主観的ウェルビーイング調査を実施しており、2024年第4四半期の結果が2025年3月に公表されました。また、第一生命経済研究所は2025年の世界幸福度ランキングを踏まえ、日本のウェルビーイング向上にはファイナンシャル・ウェルビーイング(経済的な安心感)の強化が重要であると指摘しています。
ファイナンシャル・ウェルビーイングと経済的安心
ウェルビーイングの重要な一側面が、経済的な安心感——ファイナンシャル・ウェルビーイングです。単に収入が高いということではなく、『現在の生活費を賄える』『予期せぬ出費に対応できる』『将来の経済的見通しがある』という包括的な安心感を指します。
第一生命経済研究所(2025年)によれば、日本では老後の経済的不安が主観的幸福感を大きく押し下げていることが示されています。特に単身世帯・非正規労働者・若年層では、将来の生活への不確実性がウェルビーイングを慢性的に低下させています。経済的リテラシーの向上・社会保障制度の理解・緊急資金の準備などが、ファイナンシャル・ウェルビーイング向上の鍵となります。
デジタル時代のウェルビーイングと課題
スマートフォンとSNSの普及により、現代人のウェルビーイングは新たな課題に直面しています。スクリーンタイムの増加・SNS上の比較・情報過多・デジタル依存は、特に若者のメンタルヘルスに影響を与えています。ジョナサン・ハイトの研究は、スマートフォンが10代の精神的健康の悪化と強く関連していることを示しています。
一方で、デジタル技術はウェルビーイングを支援するツールにもなります。マインドフルネスアプリ・感謝日記アプリ・オンラインカウンセリング・ウェルビーイング測定ツールなど、テクノロジーが介入の民主化を後押ししています。重要なのは、テクノロジーを主体的にコントロールし、デジタル・ウェルビーイングを意識した使い方をすることです。
心の不調とウェルビーイング
メンタルヘルスの問題はウェルビーイングに深刻な影響を与えますが、ウェルビーイングの向上はメンタルヘルスの回復・予防にも貢献します。この双方向の関係を理解することが重要です。
精神的健康の2軸モデル——不調がなくても幸福ではない
『メンタルヘルスの問題がない』ことと『ウェルビーイングが高い』ことは、別の次元の話です。コリー・キーズが提唱した『精神的健康の2軸モデル』では、症状の有無(縦軸)とウェルビーイングの高低(横軸)を組み合わせて、4つの象限で精神的健康を捉えます。
うつ病とウェルビーイング——回復を支える視点
うつ病はウェルビーイングを広く損ないます。PERMAのすべての次元——ポジティブ感情の減退、没頭の困難、人間関係の回避、意味の喪失、達成感の欠如——が影響を受けます。しかし、うつ病の治療において、ウェルビーイングの向上介入(ポジティブ心理学的アプローチ)を標準治療と組み合わせることで、回復を促進し再発を予防できることが示されています。
セリグマンらが開発した『Well-Being Therapy(WBT)』は、うつ病・不安障害の再発予防に特化したポジティブ心理学的介入で、通常のCBTと組み合わせることで再発率を大幅に低下させるという研究成果があります。
- 回復初期休息・睡眠・基本的ケアを最優先に。
- 安定期3つのよいこと日記・感謝の実践を少しずつ取り入れる。
- 維持期人間関係の再構築・意味の再発見に取り組む。
- 継続期運動・マインドフルネス・強みの活用で再発予防。
不安・ストレスとウェルビーイングへの影響
慢性的な不安・ストレスは、ウェルビーイングの全次元に影響します。特に、慢性ストレスはコルチゾール(ストレスホルモン)の持続的分泌を引き起こし、海馬の萎縮・免疫機能の低下・睡眠障害・集中力低下をもたらします。これらはPERMAのEとA(没頭・達成)を特に妨げます。
日本の職場では、仕事に関するストレスを感じている労働者が58%(厚生労働省令和4年調査)に達しています。主なストレス要因は、仕事の質・量・人間関係・将来の見通しの不安です。職場のウェルビーイング向上施策は、こうしたストレス要因の軽減から始める必要があります。
専門的サポートを求めることの大切さ
ウェルビーイングが低下し、日常生活に支障が出るようなつらさが2週間以上続く場合は、専門家への相談を検討してください。心療内科・精神科では、適切な診断と治療(薬物療法・精神療法)を受けることができます。『精神科に行くのは敷居が高い』と感じる方は、まずかかりつけ医や保健センター、精神保健福祉センターへの相談から始めるのも良い方法です。
精神保健福祉センターは、各都道府県・政令指定都市に設置されており、精神科医・臨床心理士・精神保健福祉士などが相談に応じています。電話相談・来所相談が利用可能で、地域の医療機関への紹介もしてもらえます。費用は無料です。また、精神科・心療内科への通院が始まった場合は、自立支援医療制度(精神通院医療)を活用することで、医療費の自己負担を1割に抑えることができます。
ライフステージ別のウェルビーイング
ウェルビーイングの課題は年代によって大きく異なります。子ども・青年期・中年期・高齢期それぞれの特徴と、効果的な実践を紹介します。
年代別のウェルビーイングの課題
エリクソンの発達段階論や愛着理論、最新の縦断研究をもとに、各ライフステージで重要なテーマを整理します。
青年期に効果的な5つの実践
青年期は、自分らしさを見つけ、深いつながりと健全な習慣を作る大切な時期です。次の5つは特に効果が確認されています。
高齢期のウェルビーイングを支える5つの実践
高齢期に良質な人間関係・身体活動・認知刺激を維持することは、ハーバード成人発達研究を含む複数の長期研究で支持されています。
ウェルビーイングをめぐる11の質問
A. 重なる部分はありますが、同じではありません。『幸福』は一時的な感情状態を指すことが多く、『ウェルビーイング』はより持続的で包括的な『良い状態』を指します。ウェルビーイングは『意味』『成長』『つながり』など、瞬間的な快楽を超えた要素を含みます。セリグマンも『happiness』という曖昧な言葉を避けて『well-being』を使うようになりました。
A. ある程度までは相関しますが、基本的な生活ニーズが満たされると、お金とウェルビーイングの相関は弱まります。特に人間関係・意味・健康といった要素は、お金で直接買えないため、高所得者でもウェルビーイングが低いケースは多くあります。
A. 介入研究では、2〜4週間の実践で測定可能な変化が現れることが多いです。ただし持続的な変化には習慣化が必要で、3か月以上の継続が推奨されます。筋トレと同じく、継続が鍵です。
A. うつ病の時期はウェルビーイングが一時的に大きく低下します。治療と並行して、小さなウェルビーイング向上の実践(3つのよいこと日記など)を取り入れることで、再発予防にも役立ちます。ただし重症期には無理せず、治療を優先してください。
A. いいえ。ウェルビーイングは『無理にポジティブでいる』ことではありません。ネガティブな感情も人生の大切な一部で、否定すると『毒性のポジティブさ』になります。すべての感情を受け入れつつ、全体として充実した人生を生きることが大切です。
A. 適切に実施されれば効果的です。ただし『形だけのウェルビーイング施策』は逆効果のこともあります。真のウェルビーイング経営は、制度だけでなく文化・リーダーシップ・心理的安全性の根本的な改善を伴います。
A. 世界幸福度ランキング2024では日本は143か国中51位で、G7の中で最下位です。主な要因として、①自分の人生を自由に選べるという感覚(自律性)の低さ、②他者への信頼・寛容さの低さ、③謙遜文化による主観的評価の低め申告、④長時間労働と人間関係の希薄化、⑤将来への経済的不安——が指摘されています。客観的指標(健康寿命・治安・インフラ)は世界トップクラスですが、主観的な充実感とのギャップが大きいことが特徴です。
A. レジリエンスは『逆境から立ち直る力』であり、ウェルビーイングの重要な構成要素の一つです。ウェルビーイングが高い人はレジリエンスも高い傾向がありますが、両者は異なる概念です。レジリエンスはストレス対処の能力を指し、ウェルビーイングは日常の充実・意味・つながりを含む幅広い状態を指します。レジリエンスを高める実践(感謝・マインドフルネス・社会的サポート)は、ウェルビーイング向上にも直結します。
A. 日常的な実践(感謝日記・運動・つながりの強化など)は自分でできますが、うつ・不安・バーンアウトなど心理的苦痛が強い場合は、専門家の支援が大きな助けになります。認知行動療法(CBT)・ポジティブ心理学に基づくコーチング・カウンセリングは、ウェルビーイング向上に科学的根拠があります。まずはかかりつけ医や地域の精神保健福祉センターに相談することもできます。費用については、自立支援医療制度(精神通院医療)を活用することで、医療費の自己負担を大幅に軽減できます。
A. VIA(Values in Action)強みテストは、VIA Instituteの公式サイト(viacharacter.org)で無料で受けられます。240問の設問に答えることで、24のキャラクター強みがランキング形式で表示されます。日本語版も利用可能です。また、金沢工業大学心理科学研究所では日本語版PERMA-Profilerを無料で提供しています。これらのツールを使って自分のウェルビーイングの現状を把握することが、実践の第一歩です。
A. 研究では、宗教的・スピリチュアルな実践がウェルビーイング(特に意味・M)と正の相関を示すことが多いです。ただし宗教的である必要はなく、自然・芸術・ボランティア・瞑想などを通じた『超越的なつながり』も同様の効果をもたらします。大切なのは、自己を超えた何かとのつながりを感じる経験です。
あなたの『良く生きる』を
応援します
今のあなたのウェルビーイングはどうでしょうか。もし満たされない思いや、つらさを抱えているなら、ひとりで抱え込まず、まずは話してみませんか。ココトモでは匿名・無料でチャット相談ができます。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。つらい状態が続く場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。精神科・心療内科への通院医療費は、自立支援医療制度を利用することで自己負担を最大1割に軽減できます。お住まいの市区町村窓口または精神保健福祉センターにご相談ください。
