メンタルヘルス用語辞典 · 不登校

不登校とは?
定義・35.4万人の最新統計・原因・保護者の対応・支援機関を徹底解説

2024年度、小・中学校の不登校児童生徒数は35万3,970人と過去最多。文部科学省も「問題行動ではない」と明確にしています。定義・統計・原因・心理・対応・支援機関・回復段階まで、必要な情報をすべてここにまとめました。

ABOUT SCHOOL REFUSAL

不登校とは——定義と分類

文部科学省は不登校を「心理的・情緒的・身体的・社会的要因により登校しない/できない状況」と定義し、年間30日以上の欠席を量的基準としています。「問題行動ではない」と明確に位置づけられています。

文科省の定義

文部科学省による公式定義

文部科学省は不登校を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)」と定義しています。さらに実態把握の観点から、年間30日以上の欠席という量的基準も設けられており、この基準に満たない場合でも「不登校傾向」として注意が必要とされています。

重要なのは、この定義が「できない」状況を含むという点です。子どもが意図的にさぼっているわけではなく、心身のいずれかに何らかの困難が生じており、その結果として登校できていない状態を指します。文部科学省は2016年の「教育機会確保法」制定以来、「不登校はどの児童生徒にも起こり得るものであり、問題行動ではない」という立場を明確にしています。

「不登校」は問題行動ではない文部科学省は不登校について「問題行動と判断してはならない」と通知しており、学校や教育委員会に対しても登校を強要することなく、子どもの状況に応じた支援を行うよう求めています。不登校を「悪いこと」「本人の意志の弱さ」と捉えることは誤りです。
5つの類型

状態像による不登校の分類

かつては「学校恐怖症」「登校拒否」「不登校」という用語が混在していましたが、現在は「不登校」に統一されています。状態像による主な分類は以下のとおりです。

📋
不安型(情緒混乱型)
学校や特定の場面に対する強い不安・恐怖が主因。腹痛・頭痛・吐き気などの身体症状が現れやすい。朝になると症状が出るが、夕方には回復するパターンが多い。
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無気力型(アパシー型)
特定のきっかけなく、学校に対する意欲や関心が失われた状態。「なんとなく行けない」「行く理由がわからない」と表現することが多く、外見上は比較的穏やか。
📋
遊び・非行型
ゲームやSNS、特定の場所(ゲームセンター等)への過度な没頭が背景にあるタイプ。昼夜逆転しやすく、家庭環境・友人関係の問題が絡む場合も多い。
📋
意図的拒否型
明確な意思を持って登校を拒否しているタイプ。いじめや特定の教師との関係など、明確な理由を持っていることが多い。
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混合型
上記の複数の要因が絡み合っているケース。多くの不登校はこの混合型であり、単純な分類が難しい。

文部科学省の調査では不登校の主な要因として「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(30.1%)」「生活リズムの不調(25.0%)」「不安・抑うつ(24.3%)」などが挙げられています。これらは複数が重なっているケースがほとんどです。

類似概念

不登校・登校拒否・学校恐怖症・ひきこもりの違い

似た概念との違いを整理しておきます。

  • 不登校年間30日以上欠席、病気・経済的理由以外。現在の公式用語(文部科学省が調査・対策)
  • 登校拒否不登校の旧来の呼称。子どもの意志で拒否しているような印象を与えるとして現在は使わない(現在は「不登校」に統一)
  • 学校恐怖症学校に対する強い恐怖・不安が主因の場合の医学的概念。不登校の一形態(医学的文脈で使用される場合あり)
  • ひきこもり6か月以上、家庭内にひきこもり社会参加していない状態。不登校が長期化した場合に移行するリスクがある(厚生労働省が別途定義・対策)
  • 不登校傾向年間30日未満だが、欠席が増えている・行きたくない気持ちが強いなど、不登校に近い状態(早期支援が重要)
STATISTICS

不登校の最新統計と現状

2024年度(令和6年度)、小・中学校における不登校児童生徒数は35万3,970人と過去最多を記録し、12年連続で増加しました。全小中学生の約25〜26人に1人が不登校という計算です。

最新データ

2024年度(令和6年度)の最新データ

文部科学省が2025年10月29日に公表した「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学校における不登校児童生徒数は353,970人(前年度346,482人)となり、12年連続で過去最多を更新しました。これは全小中学生の約3.9%にあたり、クラスに1〜2人の割合で不登校の子どもがいる計算です。

137,704
小学生(前年度比5.6%増)
216,266
中学生(前年度比0.1%増)
67,782
高校生(前年度比1.4%減、初の減少)
5.5
小学生10年前比
2.2
中学生10年前比
153,828
新規不登校(9年ぶり減少)

なお、2024年度の増加率は前年度(15.9%)から大きく低下し2.2%となりました。また新規不登校児童生徒数(小中合計)は153,828人と9年ぶりに減少しており、「増加の勢いが鈍化してきた」という見方もあります。ただし絶対数は依然として過去最多水準にあります。

長期トレンド

長期的な増加トレンドと転換点

日本における不登校の認識は時代とともに変化しています。1990年代から2000年代にかけて増加し、2012年前後に一時的に減少に転じた後、2013年以降は一貫して増加が続いています。

  • 教育機会確保法(2016年)の施行学校以外の学びの場も認め、無理な登校を求めないという方針が社会に浸透した。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響(2020年以降)学校を休むことへの心理的ハードルが下がり、学校生活のリズムが崩れた子どもが増加。
  • 社会的な認知の変化不登校を隠さずに相談・支援を求める家庭が増えた。
  • 学校環境の問題の複雑化いじめ、学習への適応困難、人間関係の難しさが多様化・複雑化している。
学年別・地域別

学年別・地域別の特徴

不登校は学年によって様相が異なります。特徴的なのは「小1の壁」「中1ギャップ」と呼ばれる、入学時に不登校が急増する傾向です。

  • 小学校入学時(小1)幼稚園・保育所とは異なる環境への適応困難、分離不安が増加の要因。近年は小学生全体の不登校増加率が中学生を上回っている。
  • 中学校入学時(中1)環境変化、部活・学習量の増加、人間関係の複雑化により中1での不登校が急増する「中1ギャップ」が従来から指摘されている。
  • 中学2〜3年不登校者数が最も多い時期。受験のプレッシャーや思春期の問題も重なる。
  • 都道府県別不登校の出現率には都道府県によって約2倍の差があり、地域の支援体制・学校文化が影響している可能性がある。
主な要因

不登校の主な要因(文科省調査)

令和6年度調査において、学校または家庭から報告された不登校の主な要因(複数回答)は以下のとおりです。

  • 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった30.1%
  • 生活リズムの不調に関する相談があった25.0%
  • 不安・抑うつの相談があった24.3%
  • いじめを除く友人関係をめぐる問題があった約15〜18%
  • 学業の不振があった約13〜15%
  • 家庭の生活環境の急激な変化があった約10%
  • いじめがあった約3〜5%

注意すべきは、これらの要因は「学校側・保護者から見た要因」であり、子ども自身が感じている原因とは異なる場合があります。子どもに直接聞いた調査では「身体的不調(腹痛・頭痛など)」「特定の場面や人への恐怖・不安」「疲れた・学校に行く意味がわからない」などの回答が多く見られます。

CAUSES

不登校が起きるメカニズム——原因と背景

不登校を「これが原因」と一つに絞ることは難しく、多くの場合は複数の要因が絡み合っています。個人要因・家族要因・学校要因・社会文化要因の4層が互いに影響します。

個人的要因

子ども本人の特性・状態

公益社団法人子どもの発達科学研究所が文部科学省委託で実施した「不登校の要因分析に関する調査研究(令和6年3月公表)」では、不登校の要因を単純化するのではなく、個々の子どものケースをていねいにアセスメント(評価)することの重要性が強調されています。

  • 不安傾向の強さもともと不安を感じやすい気質の子どもは、学校という社会的場面でのストレスに敏感。分離不安・社会不安が高い子どもに多い。
  • 完璧主義・高い自己基準「できて当然」「失敗してはいけない」という思考パターンを持つ子どもが、成績の低下や失敗体験をきっかけに崩れるケース。
  • 身体的な疲れやすさ慢性疲労症候群、起立性調節障害(OD)、過敏性腸症候群(IBS)など、身体的な疾患が登校を困難にしているケースが少なくない。
  • 感覚過敏・感覚処理の問題騒音、光、特定の触感(制服の素材など)に対して強い不快感を持つ子どもが、学校環境に馴染めないケース。
  • 学習上の困難読み書きの困難(ディスレクシア)、計算の困難(ディスカリキュリア)など、学習障害が背景にあり、授業についていけないことへのストレスが蓄積するケース。
  • 思春期・青年期特有の変化自己意識の高まり、アイデンティティの模索、異性への意識など、思春期の発達課題が学校不適応の一因となることがある。
家族要因

家族・家庭環境要因

家庭環境は子どもの精神的健康に大きな影響を与えます。

  • 親子関係の問題過保護・過干渉(子どもの自律性が育ちにくい)、または逆に放任的な関わり(安全基地の不在)が不登校と関連する場合がある。
  • 家庭内の不和・ストレス夫婦間の葛藤、家庭内暴力(DV)、きょうだい間の緊張関係は子どもの情緒の安定を損なう。
  • 転居・引っ越しによる環境変化親の転勤や離婚などに伴う転校は、友人関係の断絶や新しい環境への適応コストを高める。
  • 親自身のメンタルヘルスの問題うつ病や不安障害を抱える保護者の子どもは、遺伝的要因・環境的要因の両面から不登校リスクが高い可能性がある。
  • 親の不登校に対する捉え方「不登校は恥」「絶対に学校へ行かせなければ」という強迫的な態度は子どもをさらに追い詰める。逆に「学校へ行かなくてもいい」という過度な容認が無気力を長引かせることもある。
学校要因

学校環境要因

学校側の要因は不登校の直接的なきっかけとなりやすいものです。

  • いじめ不登校の直接的な要因として報告されるのは3〜5%に留まりますが、いじめが発覚されにくいことを考えると実際の割合はより高い可能性があります。「友人関係をめぐる問題」の中にいじめが含まれているケースも多い。
  • 教師との関係叱責、体罰、特定の生徒への不公平な対応、教師による言葉のハラスメントが不登校のきっかけになることがある。
  • 学習の難しさ授業についていけない、テストで点数が取れない、という経験の積み重ねが「学校に行っても意味がない」という気持ちにつながる。
  • 学校の硬直したルール厳しい校則、細かすぎる規律、「みんなと同じ」を求める圧力が、多様な特性を持つ子どもにとってストレスとなる。
  • クラスの雰囲気・集団の問題特定の子どもへの排除・無視(ソーシャル・エクスクルージョン)、グループ力学による疎外感が不登校の一因となることがある。
社会要因

社会・文化的要因

より大きな社会・文化的文脈も不登校に影響します。

  • SNS・スマートフォンの影響24時間つながり続けるSNS上での人間関係のトラブル(グループLINEでの無視、陰口、不登校への言及)が学校での関係と直結するため、「学校以外でも休まれない」ストレスが増加。
  • コロナ禍後の変化長期の臨時休校を経験した子どもたちは学校へ行くリズムが崩れ、再登校への心理的ハードルが上がった。「学校に行かなくても生活できる」という経験の蓄積。
  • 子どもの権利意識の変化子どもの権利条約の浸透、子どもが自分の意見を表明することへの社会的理解が広まり、「嫌なことは嫌と言う」ことへの心理的ハードルが下がった。
  • 学業・競争のプレッシャー受験競争、習い事、塾など、子どもへの学習的負荷が増大している一方で、精神的なサポートが追い付いていない。
起立性調節障害

起立性調節障害(OD)と不登校

近年とくに注目されているのが、起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)と不登校の関係です。自律神経の機能異常により、起立時に立ちくらみ・頭痛・倦怠感・動悸などが生じる身体疾患です。

  • 中学生の約10%(10人に1人)が起立性調節障害を有するとされる
  • 症状は午前中に強く午後には軽減する「日内変動」があり、「朝だけ体調が悪い」パターンが不登校と見誤られやすい
  • 「怠け」「気持ちの問題」と誤解されることが多く、適切な診断・治療が遅れるケースが少なくない
  • 不登校の子どもの4割以上が起立性調節障害を抱えているという報告もある
  • 小児科・循環器内科での専門的な診断と、薬物療法・生活指導・心理的サポートの組み合わせが有効
⚠️
起立性調節障害が疑われるサイン朝に起きられない、立ち上がるとクラクラする、頭が痛い、吐き気がする、午後になると症状が改善する、学校の日だけ症状が出る……これらの症状が見られる場合は、小児科または循環器内科への受診をご検討ください。「根性で乗り越えられる」問題ではなく、適切な医療的支援が必要です。
DEVELOPMENTAL & PSYCH

不登校と発達障害・精神疾患の関係

不登校の子どもの20〜57%に何らかの発達障害の特性があるとする報告があります。英国の大規模調査では発達障害のある子どもの32%が継続的な学校欠席を示しています。

発達障害との重複

不登校と発達障害の重複

近年の研究・調査では、不登校の子どもの中に発達障害の特性を持つ子どもが一定割合含まれることが明らかになっています。調査によって幅がありますが、不登校の子どもの20〜57%に何らかの発達障害の特性があるとする報告があります。英国での大規模調査では、発達障害のある子どもの32%が継続的な学校欠席を示しているとも報告されています。

ASD

ASD(自閉スペクトラム症)と不登校

ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)の特性を持つ子どもは、以下の理由から不登校になりやすいとされています。

  • 社会的コミュニケーションの困難暗黙のルールやグループの力学を理解しにくく、友人関係のトラブルが起きやすい。
  • 感覚過敏学校の騒音、照明の明るさ、教室の特定の臭い、制服の肌触りなどが強い不快感を引き起こす。
  • 変化への適応困難時間割の突然の変更、担任の交代、行事の変更などが強いストレスになる。
  • こだわり・パターンへの固執「いつもと違う」ことへの強い抵抗感が登校を妨げる場合がある。
  • いじめのターゲットになりやすい集団の中でのコミュニケーションの違いが「変わっている」と見られ、排除の対象になりやすい。
ADHD

ADHD(注意欠如多動症)と不登校

ADHD(注意欠如多動症)の特性を持つ子どもが不登校になる背景には以下の要因があります。

  • 授業への集中の困難長時間座っていることや、一定の刺激のない授業に集中し続けることが難しく、授業妨害と見なされることがある。
  • 不注意による失敗忘れ物、締め切りを守れない、提出物の不備などが積み重なり、教師や親に叱られる経験が多くなる。
  • 衝動性・感情制御の困難カッとなって友達とトラブルになる、後先考えずに行動して問題になるなどの経験の蓄積。
  • 二次障害のリスク繰り返す失敗体験と叱責により、自己肯定感が著しく低下し、うつ病や不安障害などの二次障害が生じ、それが不登校につながるケースがある。
関連する精神疾患

不登校と関連する精神疾患

不登校の子どもの心理的評価では、以下の精神疾患が認められることがあります。

  • 不安障害・恐怖症(分離不安、社会不安等)(約35%)強い不安・恐怖、身体症状、回避行動
  • 適応障害(約22%)特定のストレス因(いじめ等)に対する情緒的反応
  • 身体化障害・身体症状症(約18%)頭痛、腹痛、吐き気など身体症状が前景に立つ
  • うつ病・抑うつ状態(約15%)気分の落ち込み、無気力、睡眠障害、食欲変化
  • その他(選択性緘黙、強迫症等)(約10%)特定の場面での沈黙、強迫的な思考・行動

ただし、これらは不登校の「原因」とも「結果」ともなり得ます。精神疾患が不登校を引き起こす場合もあれば、不登校の状態が長期化することで精神疾患が生じる場合もあります。また、不登校の子どもの70%以上にメンタルヘルスや睡眠リズムの問題が見られるという報告もあり、早期の専門的アセスメントが重要です。

受診サイン

医療機関への受診が必要なサイン

以下のサインが見られる場合は、小児科・精神科・心療内科への受診を積極的に検討することが勧められます。

  • ほとんど毎日、身体的な不調(頭痛、腹痛、倦怠感)を訴える
  • 気分が長期間(2週間以上)落ち込んでいる、涙が多い、何も楽しくないと言う
  • 自分を傷つけたい、死にたいという言葉が出る(緊急性が高い)
  • 食事量の著しい減少、または過食が見られる
  • 睡眠が著しく乱れており、昼夜逆転が続いている
  • 不登校が3か月以上続いている
  • 家族や友人とのコミュニケーションが著しく減少している
CHILD PSYCHOLOGY

不登校の子どもの心理——内側で何が起きているか

「学校に行きたくない」の裏には複雑な心理が隠れています。多くの場合、子ども自身も「なぜ行けないのか」を言語化できません。

行きたくないの裏

「行きたくない」の裏にあるもの

不登校の子どもが「学校に行きたくない」と言うとき、その言葉の裏には複雑な心理が隠れています。多くの場合、子ども自身も「なぜ行けないのか」を言語化できないことがあります。

  • 学校への強い不安・恐怖感朝になると漠然とした、しかし強烈な不安感が押し寄せる。「何が怖いのかわからないけど怖い」という経験。これは脳の扁桃体(感情・恐怖の処理中枢)が過活性化した状態。
  • 身体的症状への困惑本当に腹痛・頭痛・吐き気がするのに「気のせい」「仮病」と思われることへの混乱と傷つき。身体症状は「演技」ではなく、心理的ストレスが身体に現れた本物の症状。
  • 強い罪悪感・自己否定「学校に行けない自分はダメだ」「親に迷惑をかけている」という罪悪感が、さらなるストレスとなって回復を妨げる。特に「いい子」「優秀な子」と見られていた子どもに強く出やすい。
  • 引き裂かれた気持ち「行きたい気持ち」と「行けない/行きたくない気持ち」の両方があり、その葛藤自体が苦しい。「怠けているわけではない」が、なぜか体が動かない。
  • 時間の経過による孤立感欠席日数が増えるにつれて「クラスについていけない」「みんなに置いていかれた」「今更戻れない」という感覚が強まる。
心理的プロセス

不登校の心理的プロセス(段階的変化)

不登校は突然起きるものではなく、多くの場合段階的に進みます。一般的なプロセスは以下のとおりです。

前駆期
サインの段階
登校はしているが、頭痛・腹痛が増えている、表情が暗い、学校の話をしなくなった、持ち物を学校に忘れてくることが増えた……など、変化のサインが現れる。
発症期
不登校の始まり
特定の出来事(いじめ、失敗体験など)またはきっかけのない突然の欠席が始まる。この段階では子ども自身も「明日は行く」と思っていることが多い。
安定期
状態の固定化
欠席が継続し、生活リズムが変化する。親・学校との摩擦が続くと消耗する。焦り・混乱・無気力が混在する。
回復の兆し
エネルギーの蓄積
部屋から出てくる時間が増える、家族との会話が増える、趣味への関心が戻るなど、少しずつ変化が現れる。
社会復帰の準備
再挑戦
学校以外の場所(フリースクール、オンライン学習、習い事)への参加から始まり、学校復帰や別の進路への移行を模索する。
ゲームの背景

「ゲームばかりしている」背景を理解する

不登校の子どもがゲームやスマートフォンに多くの時間を費やすことは、保護者にとって心配の種の一つです。ただし、これを単純に「悪いこと」と捉えるのは適切ではない場合があります。

  • ゲームが「安全な世界」になっている現実の学校での失敗・拒絶を経験した子どもにとって、ゲームの中は自分がコントロールでき、失敗しても許されると感じられる空間。心理的安全基地として機能していることがある。
  • オンラインでの社会性の維持学校に行けなくても、オンラインゲームを通じて友達とつながり続けることが、孤立感の軽減に役立っている場合がある。
  • 自己効力感の回復ゲームで目標を達成する経験が、失われた自己効力感を少しずつ回復させることがある。
  • 問題になるとき睡眠を大幅に圧迫する、食事をとらなくなる、現実生活への関心がまったくなくなるほどのゲーム依存は、別途専門的な対応が必要。
親に求めるもの

不登校の子どもが親に求めていること

不登校の経験を持つ当事者へのアンケートや研究では、子どもたちが親・保護者に求めていることとして以下が多く挙げられています。

  • 「学校に行けない自分を責めないでほしい」
  • 「無理に登校させようとしないでほしい」
  • 「理由を問い詰めないでほしい(自分でもわからないことが多い)」
  • 「普通に接してほしい——特別扱いされると逆につらい」
  • 「話を聞いてほしい——解決策より共感を求めている」
  • 「居場所があることを示してほしい——「ここにいていい」という安心感」
LONG-TERM RISK

不登校が長期化するリスクと社会的ひきこもりとの関係

不登校が長期化(1年以上)すると、社会的スキルの停滞・学習の遅れ・精神的健康悪化・ひきこもりへの移行リスクなどが高まります。

長期化リスク

長期化する不登校の特徴

不登校が長期化(1年以上)すると、以下のリスクが高まることが知られています。

  • 社会的スキルの停滞学校という集団生活の場を離れた時間が長いほど、対人コミュニケーションの経験が乏しくなり、社会復帰への心理的・実際的なハードルが上がる。
  • 学習の遅れ特に、進学や資格取得に必要な学習内容の未習得が、将来の選択肢を狭める可能性がある。
  • 昼夜逆転・生活リズムの乱れ生活習慣の乱れが固定化すると、回復の妨げになる。
  • 精神的健康の悪化社会からの孤立感、将来への不安、罪悪感が蓄積し、うつ病・不安障害が慢性化するリスク。
  • ひきこもりへの移行リスク不登校が長期化・高校卒業後も継続すると、成人後の「社会的ひきこもり」につながる可能性がある。
ひきこもりへの連続性

不登校からひきこもりへの連続性

厚生労働省の調査によれば、ひきこもりの経験者の中に、不登校をきっかけとした人が一定数含まれています。ただし、不登校がそのまま必ずひきこもりになるわけではありません。不登校経験者の多くは成人後に就労・進学・社会参加を果たしています。

重要なのは、不登校の時期に「学校以外での居場所」「自己肯定感を育む体験」「社会とのつながり」が保たれているかどうかです。フリースクール、習い事、オンラインコミュニティなどを通じて社会との接点を維持することが、ひきこもりの予防につながると考えられています。

成人後の状況

不登校経験者の長期的転帰(成人後の状況)

不登校を経験した子どもたちが成人後どのような生活を送っているかについて、複数の追跡研究が行われています。

  • 不登校経験者の多くは、高校・大学・専門学校への進学、または就職を通じて社会に参加している
  • 一方で、不登校経験のない人と比較して、成人後の精神的健康や社会経済的地位において課題を抱えやすい傾向も報告されている
  • 「不登校の時期に適切なサポートを受けられたかどうか」が、その後の生活の質に大きく影響する
  • 当事者・元不登校経験者の中には、不登校の経験を経て「自分に合った生き方を見つけた」「結果的に自分を守るために必要な時間だった」と振り返る声も多い
不登校は「人生の終わり」ではない不登校は決して「失敗」でも「人生の終わり」でもありません。多様な学びの場が整備され、通信制高校・高卒認定試験・フリースクールなど、さまざまな選択肢が存在する現代では、不登校の時期を経ても自分らしい生き方を切り開いている人はたくさんいます。
早期対応

長期化を防ぐための早期対応の重要性

不登校が長期化するほど回復は難しくなるため、早期に適切な対応をとることが重要です。以下のポイントが早期対応のカギとされています。

  • 欠席が続いたら早めに学校や専門機関に相談する欠席が2〜3週間続いたら、放置せず相談を始める。
  • 責めない・焦らせない登校を急がせることはかえって状態を悪化させる。まず安心できる環境を整える。
  • 身体的疾患の確認起立性調節障害など、医療的対応が必要な場合を除外する。
  • 居場所の確保学校以外にも居場所があること(家でも安心して過ごせること)が回復の土台。
  • 専門家への早期相談スクールカウンセラー、教育相談センター、子ども家庭支援センター、精神科・心療内科など。
FOR PARENTS

保護者ができること——具体的な対応と心構え

不登校の子どもにとって最も重要なのは、「家が安心できる場所であること」です。保護者の最初の役割は「治す」ことではなく、「安心させる」ことです。

安心できる家

まず「安心できる家」をつくる

不登校の子どもにとって最も重要なのは、「家が安心できる場所であること」です。学校に行けなくなった子どもは、学校という主要な社会的場所を失ったうえ、罪悪感や自己否定を抱えながら日々を過ごしています。

  • 「学校に行けなくても、あなたが大切」というメッセージを繰り返し伝える条件なしの愛情を示す。「学校に行かない自分を愛されているか不安」という子どもへの最大の安心材料。
  • 日常の会話を大切にする不登校の話題ばかりでなく、食事、天気、好きなものの話など、普通の日常会話を続ける。
  • 不登校を過度に意識させない一日中不登校のことが話題に上がる家庭は、子どもにとってさらなるストレスになる。
傾聴の技術

子どもの話を聴く——傾聴の技術

子どもが話してくれるときは、アドバイスや解決策を急がず、まず「聴く」ことを最優先にしましょう。

  • 評価せずに聴く「そんなことで悩むの?」「それは気にしすぎだよ」などの評価は、子どもの口を閉ざす。「そうか、そんなことがあったんだね」と共感する。
  • 解決を急がない「じゃあどうすればいいか考えよう」と即座に問題解決モードに入るのではなく、まず感情に寄り添う。
  • 沈黙を恐れない子どもが黙っているときでも、隣にいることが安心感を生む。「何か言いなさい」とプレッシャーをかけない。
  • 体を使ったコミュニケーション言葉でうまく話せない場合でも、一緒に食事をする、同じ空間で過ごす、軽く肩に触れるなど、非言語コミュニケーションが支えになる。
生活リズム

生活リズムを整えるサポート

長期の不登校で昼夜逆転や生活リズムの乱れが生じている場合、急激な修正より緩やかな調整が有効です。

  • 食事の時間を一定に保つ食事の時間は生活リズムを整えるアンカー(錨)になる。一緒に食べることで会話の機会にもなる。
  • 起床時間の緩やかな前倒しいきなり学校の時間に合わせようとせず、現在より30分ずつ早める程度の小さなステップで。
  • 日光を浴びる機会をつくる昼夜逆転の修正には、朝の光を浴びることが生体リズムの調整に効果的。「カーテンを開けてみようか」から始める。
  • 軽い運動の促し近所の散歩など、プレッシャーを感じない範囲での外出が気分転換と体力維持に役立つ。
専門機関連携

学校や専門機関との連携

保護者が一人で不登校の問題を抱え込む必要はありません。学校・専門機関との連携が重要です。

  • 担任・養護教諭への相談子どもの状況を正確に伝え、学校側の理解と協力を得る。「無理に登校させないでほしい」という意思を明確に伝えることが大切。
  • スクールカウンセラーの活用子ども本人だけでなく、保護者へのカウンセリングも受けられる。学校内で相談しやすい窓口。
  • スクールソーシャルワーカー(SSW)の活用家庭環境の問題、福祉的支援が必要なケースでは、学校と家庭・地域の橋渡し役として機能する。
  • 教育支援センター(適応指導教室)への相談各市区町村の教育委員会が設置しており、個別の学習・生活支援が受けられる。
保護者ケア

保護者自身のメンタルヘルスをケアする

子どもの不登校は保護者にとっても大きなストレスです。「自分がきちんと育てられなかった」という罪悪感、周囲への体裁、将来への不安、配偶者との意見の相違……さまざまな感情が押し寄せます。

  • 保護者の会・自助グループへの参加同じ経験を持つ保護者との交流が、孤立感の軽減と情報共有に役立つ。「不登校の親の会」は全国各地で活動している。
  • カウンセリング・相談窓口の活用子ども家庭支援センター、精神保健福祉センター、民間のカウンセリングサービスを自分自身のために利用する。
  • 「自分を責めない」意識をもつ不登校は特定の保護者の育て方だけで決まるものではなく、複合的な要因による。過度な自己批判は回復の妨げになる。
  • パートナーとの連携・コミュニケーション父母で対応方針がバラバラになると子どもが混乱する。定期的に話し合い、方針を統一する。
WHAT NOT TO DO

保護者が絶対にやってはいけないこと

善意から行われる保護者の言動が、子どもの状態を悪化させてしまうことがあります。避けるべき言動と「登校刺激」の判断基準をまとめました。

NG行動と代替案

逆効果になる言動・対応

善意から行われる保護者の言動が、子どもの状態を悪化させてしまうことがあります。以下は不登校の子どもへの対応として避けるべきことです。

✗ 「なんで行けないの?」と問い詰める
なぜいけないか:子ども自身もわからない場合が多く、罪悪感を深める
代わりにできること:「つらかったんだね」と感情に共感する
✗ 無理やり学校に連れて行く
なぜいけないか:トラウマになり、学校へのさらなる恐怖感が生まれる
代わりにできること:本人のペースを尊重し、段階的なアプローチを検討する
✗ 「甘えるな」「根性が足りない」と叱る
なぜいけないか:自己否定感を強め、うつ状態を悪化させる
代わりにできること:「あなたは悪くない」と伝え、環境の問題として捉え直す
✗ 兄弟・姉妹と比較する
なぜいけないか:劣等感・無力感を強め、家庭内の関係も悪化させる
代わりにできること:その子ども個人の成長と努力を認める
✗ 放置して何も言わない
なぜいけないか:「見捨てられた」「どうでもいいんだ」という感覚につながる
代わりにできること:「見ているよ、いつでも話せる」と存在を示し続ける
✗ 登校を条件に特典を与える
なぜいけないか:「行けない自分」への罪悪感を増幅させる。表面的な行動変容しか生まない
代わりにできること:登校とは切り離して、普段の生活の中で楽しみを一緒につくる
✗ 詳細に学校のことを聞き続ける
なぜいけないか:休むたびに尋問のような時間ができ、家が安心できない場所になる
代わりにできること:子どもが話し始めるのを待つ。聞く前に「話したくなったら教えて」と伝える
登校刺激

「登校刺激」に関する注意点

「登校刺激」とは、登校を促す言葉・行動・働きかけのことです。かつては積極的な登校刺激が有効と考えられていた時代もありましたが、現在は子どもの状態と時期によって判断することが重要とされています。

  • 回復初期(エネルギーが底をついている時期)登校刺激はほぼ逆効果。まず安心できる環境を整えてエネルギーを回復させることが先決。
  • 回復中期(少しずつ外に出られるようになった時期)本人の意思を確認しながら、小さなステップ(保健室登校、放課後だけ顔を出すなど)を提案することができる。
  • 回復後期(本人が動き始めた時期)本人の自発的な意欲を尊重し、そのサポートに徹する。

どの段階でも、最終的な決断は子ども本人が行えるよう、選択肢を示しながらも強制しないことが原則です。

SCHOOL & GOVERNMENT SUPPORT

学校・教育委員会・行政による支援

スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育支援センター、学びの多様化学校など、公的な支援機関を活用できます。

学校内支援

学校内の支援体制

学校が提供する支援の選択肢として、以下があります。

  • スクールカウンセラー(SC)臨床心理士・公認心理師などの資格を持つ専門家が学校内に配置。子ども・保護者どちらも相談可能。予約制が多い。
  • スクールソーシャルワーカー(SSW)社会福祉士等の資格を持つ専門家が、家庭・学校・地域を橋渡しする。家庭環境、福祉的問題が絡む場合に特に有効。
  • 保健室登校(別室登校)教室には入れなくても保健室や相談室に登校できる場合、出席として認められる。担任以外の関係性をつくる機会にもなる。
  • 校内教育支援センター(支援室)教室に入れない子どもが別室で個別に学習・生活できる場所として整備が進んでいる。
教育支援センター

教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センターは、各市区町村の教育委員会が設置する公的な支援施設です。不登校の子どもが学校以外で学び、社会性を育てる場として機能します。

  • 対象主に義務教育段階(小・中学生)の不登校の子ども。
  • 主な活動個別学習、グループ活動、スポーツ、体験活動など。
  • 費用無料(公立の場合)。
  • 出席認定学校との連携により、通所が学校の出席として認定される場合がある。
  • 専門家指導員として教員経験者・心理士などが配置されていることが多い。
学びの多様化学校

学びの多様化学校(不登校特例校)

文部科学省は「学びの多様化学校(旧称:不登校特例校)」の整備を推進しており、2025年時点で全国に増設中です。「経済財政運営と改革の基本方針2024」では令和9年度までに全都道府県・政令指定都市への設置が目標とされています。

  • 特徴通常の学校とは異なるカリキュラムを組み、不登校の子どもが無理なく通える環境を整備。
  • 弾力的な時間割週3日登校・午後のみ登校など、柔軟な設定が可能。
  • 少人数クラス一般の学校より少人数で、個別のサポートが受けやすい。
  • 卒業資格学籍を置くことができ、卒業資格も得られる。
相談窓口

相談窓口・支援機関

行政・公的機関が提供する相談窓口は以下のとおりです。

  • 教育相談センター各市区町村・都道府県に設置。無料で相談が可能。電話・来所・オンラインなど。
  • 子ども家庭支援センター子育て全般の相談を受け付ける。不登校に関する情報提供・紹介も行う。
  • 精神保健福祉センター各都道府県に設置。子どものメンタルヘルスについての専門的な相談ができる。
  • 子どもの人権110番0120-007-110(無料)法務省が設置。いじめ・不登校に関する相談。
  • よりそいホットライン0120-279-338(24時間・無料)子どもを含む幅広い相談に対応。
  • 文部科学省「子どもの SOS 相談窓口」各都道府県の相談窓口リストが公開されている。
PRIVATE & ONLINE

フリースクール・民間支援・オンライン学習

教育機会確保法以降、学校以外の学びの場が広く認められるようになりました。フリースクール、オンライン学習、通信制高校、民間カウンセリングなどの選択肢があります。

フリースクール

フリースクールとは

フリースクールは、学校以外の学びの場として、民間団体やNPO等が運営する施設です。不登校の子どもの「居場所」として機能し、学習・体験・人間関係の回復をサポートします。

  • 特徴子どものペースを尊重し、無理な登校を強要しない。インクルーシブな環境。
  • 活動内容施設によって異なるが、個別学習、体験活動、スポーツ、芸術、ゲーム、調理、農作業など多様。
  • 出席認定学校・教育委員会の承認があればフリースクール通所が学校の出席に認定される場合がある(2016年の教育機会確保法以降、認定が広まった)。
  • 全国の実態NPO法人や民間団体が全国に約500か所以上を運営(全国フリースクール等ネットワーク調べ)。
費用と助成

フリースクールの費用と経済的支援

フリースクールの費用は施設によって大きく異なり、月額数千円〜数万円程度が一般的です。公立の教育支援センターと異なり、原則として有料です。

  • 東京都の助成制度フリースクール等に通う不登校の義務教育段階の児童生徒の保護者を対象に、月額最大2万円の助成金を支給(2024年時点)。
  • その他自治体の動向東京都に続く形で、他の都道府県・政令指定都市でも同様の助成制度の導入を検討・実施する動きが広がっている。
  • 奨学金・授業料免除一部のフリースクールでは、経済的に困難な家庭向けに費用を軽減する仕組みを設けている。
オンライン学習

オンライン学習・自宅学習の可能性

2024年8月の文部科学省通知により、学校以外の支援機関や自宅でのオンライン学習の成果を、通知表の評価に適切に反映することが求められるようになりました。これにより、自宅・オンラインでの学習が正式に評価される道が広まっています。

  • オンラインフリースクール自宅にいながらビデオ通話で仲間と繋がり、学習や活動に参加できる。外出が難しい子どもにとってのセーフな選択肢。
  • 通信制高校全日制高校への復帰が難しい場合、通信制高校という選択肢がある。月数回の登校でも卒業資格が取得可能。近年は登録者数が増加中。
  • ICT・タブレット学習自宅でのタブレット等を活用した学習が、不登校支援として活用される自治体が増えている。
  • 家庭学習支援訪問型の家庭教師・支援員が自宅を訪問し、個別学習・生活支援を行う形態も広がっている。
民間支援団体

民間カウンセリング・支援団体

公的機関以外にも、不登校の子どもと家族を支援する民間の資源があります。

  • 不登校専門のカウンセリング機関臨床心理士・公認心理師による個別カウンセリング。子ども本人・保護者どちらも対象。
  • 認定NPO法人カタリバオンラインの学びの場「room-K」など、不登校支援の取り組みを実施。
  • 不登校の親の会同じ経験を持つ保護者が集まり、情報交換・サポートを行う自助グループ。全国各地で活動。
  • 当事者・経験者のコミュニティ不登校経験者によるオンラインコミュニティが複数存在し、子ども自身の居場所となっている。
RECOVERY

不登校からの回復の段階と復学以外の選択肢

回復は一直線ではなく、行きつ戻りつしながら4つの段階を進みます。「復学だけが正解」ではなく、社会的自立に向けた多様な進路があります。

回復4段階

回復の4段階モデル

不登校からの回復は一直線ではなく、行きつ戻りつしながら進みます。一般的に以下の4段階が想定されますが、すべての子どもがこの順序をたどるわけではありません。

PHASE 1
休養・充電期(エネルギーゼロの時期)
身体も心も限界を迎えており、安静が最優先。何もしないことが最大の回復支援。この時期に無理に動かすことは逆効果。
数週間〜数か月
PHASE 2
自分を取り戻す期(エネルギーの蓄積)
少しずつ表情が明るくなり、好きなことへの関心が戻ってくる。家の中での活動(ゲーム、読書、料理など)が増える。焦らず見守る。
個人差大
PHASE 3
外への接触期(少しずつ外の世界へ)
部屋から出てリビングで過ごす時間が増える。短い外出、習い事、フリースクールの体験参加など、学校以外の場所での活動が始まる。
段階的
PHASE 4
社会復帰期(次のステップへ)
復学(保健室登校・別室登校から徐々に教室へ)、または別の進路(通信制高校・高卒認定・就労準備など)に向けて動き始める。
数か月〜数年

回復の各段階で重要なのは、子ども自身の意思とペースを尊重することです。段階4まで達するには、短くて数か月、長くて数年かかることもあります。

復学以外の選択肢

「復学だけが正解ではない」という視点

現在の不登校支援の方針は、必ずしも「元の学校に復帰すること」を目標にしていません。文部科学省も「社会的自立に向けた支援」を目標とすることを明確にしており、本人にとって最善の進路は個人によって異なります。

  • 元の学校への復学本人が望み、環境が整っている場合には選択肢の一つ。ただし「無条件に最善の選択」ではない。
  • 別の学校・転校いじめや特定の問題が原因の場合、環境を変えることで状況が改善するケースがある。
  • 通信制高校・定時制高校全日制への復帰にこだわらず、自分のペースで高校卒業資格を得る方法。
  • 高卒認定試験(高認)高校に在籍しなくても大学受験・就労の資格要件を満たす方法。
  • フリースクール・学習塾・専門学校自分の興味・強みを生かした学びの場への移行。
  • 自分のペースでの社会復帰ボランティア活動、アルバイト、インターンシップなどを通じた段階的な社会参加。
復学時のサポート

復学する際のサポートのポイント

子どもが「学校に戻りたい」という意思を示した場合、以下のような段階的・計画的なサポートが有効です。

  • 小さなステップから最初から毎日フルタイムの登校を目標にするのではなく、週1回・午前中だけ・保健室から、という段階的なアプローチ。
  • 学校との事前調整担任・養護教諭・スクールカウンセラーと事前に話し合い、子どもが戻りやすい環境を整える。
  • 「戻れなかった日」のフォロー頑張って行こうとしたが行けなかった日は、特に失敗と捉えずに労う。一歩進んで半歩引くのが回復の自然なプロセス。
  • クラスメートへの対応を検討する久しぶりの登校は緊張が高い。担任から事前にクラスに伝えてもらうことが助けになる場合もある。
  • 本人の「行きたくない」を尊重する一時的にまた行けなくなることは「後退」ではなく、回復の自然な波。支え続けることが最も重要。
MEDICAL CARE

不登校の子どものメンタルヘルスと専門医療

背景に精神疾患・医療的な問題が疑われる場合、専門医への受診が重要です。小児科・児童精神科・心療内科を上手に活用しましょう。

受診サイン

受診が必要な状態のサイン

不登校の背景に精神疾患・医療的な問題が疑われる場合、専門医への受診が重要です。以下のサインが複数見られる場合は、早めに医療機関への相談を検討してください。

  • 2週間以上、ほぼ毎日気分が落ち込んでいる、または何も楽しめない
  • 睡眠の問題が顕著——眠れない(不眠)、または過眠(起きられない)が1か月以上続く
  • 食欲が著しく低下または増加し、体重の変化が著しい
  • 「死にたい」「消えたい」「いなくなりたい」という発言や、自分を傷つける行為
  • 幻聴・幻視・意味不明な発言など、現実認識に問題が疑われる言動
  • パニック発作(急激な動悸・息苦しさ・恐怖感)が繰り返し起きる
  • 強迫的な行動(手を何度も洗う、鍵を何度も確認するなど)が日常生活を妨げている
  • 朝になると起き上がれない、立ちくらみが強い(起立性調節障害の疑い)
受診先

受診先の選び方

子どものメンタルヘルスの問題に対応できる医療機関の種類は以下のとおりです。

  • 小児科身体症状(頭痛・腹痛・起立性調節障害など)が主訴の場合、まず小児科に相談。発達障害の初期評価もできる場合がある。
  • 児童精神科・小児精神科子どものメンタルヘルス・発達障害に特化した専門科。予約待ちが長い場合があるため早めの問い合わせを。
  • 思春期外来のある精神科・心療内科中学生〜高校生を対象とした専門外来を設けている施設がある。
  • 一般の精神科・心療内科15歳以上であれば一般の精神科・心療内科での受診が可能な施設が多い。
  • 公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング薬を使わないカウンセリングを希望する場合。医療保険は適用されない場合が多いが、心理的サポートとして重要。
初診のポイント

初めて受診するときのポイント

精神科・心療内科の受診に抵抗を感じる保護者・お子さんは多くいます。以下の点を知っておくと受診のハードルが下がります。

  • 受診したからといって「精神病」のレッテルが貼られるわけではない受診はあくまで専門的な視点からの評価・サポートを受ける行為。
  • まず親だけ受診・相談してもよい子ども本人が「病院は嫌だ」という場合、まず保護者だけが相談し、対応を聞くことができる。
  • 記録を事前にまとめていくと効率的いつから、どんな症状が、どのくらいの頻度で起きているかを簡単にメモしておく。
  • 初診は症状の説明・評価がメイン初回からすぐに薬が処方されるわけではなく、話を聞いて状況を評価するのが中心。
自立支援医療

自立支援医療制度(精神通院医療)について

精神疾患(うつ病、不安障害、適応障害など)で精神科・心療内科に継続的に通院している場合、自立支援医療制度(精神通院医療)を申請することで、医療費の自己負担が原則3割から1割に軽減されます。

  • 申請窓口市区町村の福祉担当課(子ども家庭福祉課、福祉事務所など)。
  • 必要書類医師の診断書(指定様式)、健康保険証、マイナンバーなど。
  • 有効期間1年間(更新手続きが必要)。
  • 対象精神科・心療内科での通院が継続的に必要な状態の方(子どもを含む)。
  • 詳細最寄りの精神保健福祉センターまたは市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせください。
精神保健福祉センターに相談する精神科・心療内科の受診に迷っている場合、まず各都道府県に設置されている「精神保健福祉センター」に無料で相談することができます。専門の相談員が対応し、適切な支援機関や医療機関への橋渡しをしてくれます。
ECONOMIC SUPPORT

不登校と経済的支援・制度の利用

不登校の子どもと家族が利用できる公的な制度・支援は複数あります。知らないと損をする制度も多いので、積極的に情報収集しましょう。

主な制度

利用できる主な制度・支援

不登校の子どもと家族が利用できる公的な制度・支援は複数あります。

  • 就学援助制度経済的に困難な家庭の学校教育に必要な費用(学用品費・給食費等)を援助する制度。不登校でも在籍していれば利用可能な場合がある。
  • 自立支援医療制度(精神通院医療)精神科・心療内科の通院医療費を1割に軽減。子どもも利用可能。
  • 障害者手帳・療育手帳発達障害・精神障害の診断がある場合、各種支援を受けるために手帳の取得を検討する。
  • 放課後等デイサービス6歳〜18歳の発達障害・精神障害などの子どもが利用できる通所支援。学習・生活・社会性を支援する。
  • フリースクール助成金東京都など一部自治体では月額最大2万円の助成。他自治体でも導入の動きが拡大している。
  • 奨学金制度通信制高校・高専・大学への進学を検討する際に利用できる奨学金(日本学生支援機構等)がある。
困窮家庭支援

経済的困難が重なる家庭への支援

不登校は特定の経済階層に限らず起きますが、経済的に困難な家庭では支援へのアクセスが難しく、不登校が長期化しやすいという指摘があります。以下の窓口を利用することが重要です。

  • 子ども家庭支援センター経済的困難を含む子育て全般の相談に対応。フードバンクや他の支援への橋渡しも。
  • 社会福祉協議会緊急小口資金・生活福祉資金など、緊急の経済的支援を提供。
  • 生活保護制度一定の条件を満たす場合、生活・医療・教育等の扶助を受けられる。
政策動向

不登校に関する最新の政策動向(2024〜2026年)

不登校対策は近年、政府・文部科学省が積極的に取り組む重点課題となっています。

  • COCOLOプラン(2023年)文部科学省が策定した不登校対策パッケージ。「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」として、学びの多様化学校の設置促進・校内居場所カフェの整備等を推進。
  • 学びの多様化学校の設置目標令和9年(2027年)度までに全都道府県・政令指定都市への設置完了を目標。
  • ICT活用の推進GIGAスクール構想によるタブレット・PC端末の整備を活用し、不登校の子どもの自宅でのオンライン学習を正式に評価する動きが拡大。
  • フリースクール支援の法整備フリースクールへの公的支援・助成の拡充を求める声が高まり、制度整備が進展中。
FAQ

よくある質問

不登校の保護者・子ども・支援者から寄せられる代表的な質問にお答えします。

Q&A

不登校に関するよくある質問

Q. 子どもが「学校に行きたくない」と言い始めました。すぐに受診が必要ですか?

A. すぐに受診が必要かどうかは、状態によります。「行きたくない」と言い始めたばかりで、身体的な症状が軽く、会話もできている場合は、まず子どもの話をていねいに聴き、学校の担任やスクールカウンセラーに相談することから始めましょう。一方で、強い身体症状(毎朝腹痛・頭痛が続くなど)、気分の著しい落ち込み、「死にたい」という発言がある場合は早期の医療機関への相談が必要です。悩む場合は、かかりつけの小児科や教育相談センターに「どこに相談すればいいか」を聞くだけでも一歩です。

Q. 不登校は「甘え」ですか?性格の問題ですか?

A. いいえ、不登校は甘えでも性格の問題でもありません。文部科学省も「不登校は問題行動ではない」と明確にしており、心理的・情緒的・身体的な要因が複合して生じる状態です。不登校の子どもの多くは「行きたいけれど行けない」「自分でも理由がわからない」というつらさを抱えています。「根性がない」「意志が弱い」という見方は誤りであり、その言葉が子どもをさらに傷つけ、回復を遅らせます。むしろ、「なぜ行けなくなったか」を理解しようとする姿勢が、支援の第一歩です。

Q. 不登校の子どもに「明日は学校に行く?」と毎日聞いてもいいですか?

A. 毎日「学校に行く?」と聞くことは、多くの場合、子どもにとって大きなプレッシャーとなります。子どもは「行けなかった」「行けない自分」を毎日突きつけられているような感覚になり、罪悪感が増します。特に回復の初期には、登校の話題を日常の会話に持ち込まないほうが子どもが安心できる場合が多いです。子ども自身が「行ってみようかな」と言い始めたとき、そのサインを受け止めてサポートするスタンスが理想的です。

Q. フリースクールに通えば出席にカウントされますか?

A. はい、一定の条件を満たせばフリースクールへの通所が学校の出席として認定される場合があります。2016年の教育機会確保法の施行以降、学校外での学習の評価・認定が広がっています。認定の要件は「保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること」「フリースクールに継続的に通所していること」などです。認定されるかどうかは学校・教育委員会との協議が必要なので、まず担任または教育相談センターに相談してください。

Q. 不登校の子どもが一日中ゲームをしています。やめさせるべきですか?

A. 不登校の初期・回復期において、子どもがゲームやSNSに多くの時間を費やすことはよくあります。ゲームが「安全に過ごせる空間」として機能しており、心理的な回復を助けている側面があります。ただし、睡眠が著しく妨げられる、食事をとれなくなる、家族とのコミュニケーションが完全になくなるなど、日常生活に重大な支障が出ている場合は対応が必要です。まずは「何時間まで」という上限を設けるより、一緒にゲームをする・ゲームについて話し合うなど、関係性を保ちながら生活リズム全体を整えていくアプローチが有効です。

Q. 不登校が続いて、そのまま引きこもりになってしまうのではないかと心配です。

A. 不登校がそのまま必ず引きこもりにつながるわけではありません。不登校を経験した子どもの多くは、時間をかけながらも学校・社会へ復帰したり、自分に合った進路(通信制高校、専門学校、就労など)を見つけています。引きこもりへの移行を防ぐためには、「学校以外でも社会と繋がる場所・人間関係を保つこと」が重要です。フリースクール、オンラインコミュニティ、習い事、地域の活動など、学校以外の居場所を少しずつ広げることが、長期的な社会参加につながります。心配な場合は、精神保健福祉センターや教育相談センターへの相談を早めに行いましょう。

Q. 不登校の子どもを持つ親のための支援・相談窓口はありますか?

A. はい、保護者向けの支援・相談窓口も充実しています。主なものは以下のとおりです。(1)スクールカウンセラー——学校に配置されており、子ども本人だけでなく保護者への相談も受け付けています。(2)教育相談センター——市区町村・都道府県に設置されており、無料で相談できます。(3)精神保健福祉センター——子どものメンタルヘルスに関する専門的な相談が無料でできます。(4)不登校の親の会——全国各地で活動しており、同じ経験を持つ保護者とつながることができます。(5)子ども家庭支援センター——育児・子育て全般の相談に対応しています。一人で抱え込まず、積極的に外部のサポートを活用してください。

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よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
子どもの人権110番0120-007-110法務省・無料

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、小児科・児童精神科・精神科・心療内科への受診をご検討ください。自立支援医療制度(精神通院医療)を申請することで、医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。詳細は最寄りの精神保健福祉センターへお問い合わせください。

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