三次予防とは?
再発防止・社会復帰・リカバリーをわかりやすく解説
三次予防は、精神疾患を発症した後の回復・社会復帰・再発防止を支える包括的な取り組み。定義から疾患別の支援、職場での復職プロセス、地域資源、利用できる制度、家族の役割、リカバリーの考え方まで、必要な情報をすべてここにまとめました。
三次予防とは
三次予防(Tertiary Prevention)は、すでに疾病や障害が発生した後に、悪化を防ぎ、機能の回復を促し、社会復帰を支援する包括的な取り組み。メンタルヘルス領域では、精神疾患を発症した方が治療を受けながら再発を防ぎ、地域・職場・家庭へと戻ることを支えるすべての活動を指します。
三次予防の基本的な定義
三次予防(Tertiary Prevention)とは、すでに疾病や障害が発生した後に行われる予防活動であり、病状の悪化を防ぎ、機能の回復を促進し、社会復帰を支援するための包括的な取り組みを指します。
メンタルヘルスの領域においては、精神疾患を発症した方が適切な治療を受けながら再発を防ぎ、地域社会・職場・家庭へと円滑に戻ることができるよう支援するすべての活動が三次予防に含まれます。個人の回復を支えると同時に、社会全体の医療費削減や生産性の維持にも直結することから、近年ますます重要性が高まっています。
予防医学における三段階の分類
予防医学の父と称されるレベル(Leavell)とクラーク(Clark)が1958年に提唱した「疾病の自然史と予防の水準」という概念に基づき、予防活動は三段階に整理されます。
一次予防(Primary Prevention)は、まだ疾病が発生していない状態において発生を未然に防ぐ活動。健康教育、生活習慣の改善、ストレスマネジメントの普及、ワクチン接種など。メンタルヘルスでは職場環境の改善やこころの健康に関する啓発活動。
二次予防(Secondary Prevention)は、疾病の初期段階で早期発見・早期治療する活動。スクリーニング検査、健康診断、ストレスチェックなど。メンタルヘルス領域では早期受診の促進や管理職による不調の早期察知。
三次予防(Tertiary Prevention)は、すでに疾病・障害を抱えた人が治療を受けながら機能を回復し、社会参加を取り戻す活動全体。
WHO・厚生労働省の立場
世界保健機関(WHO)は三次予防を「すでに発症した疾患による機能障害を最小化し、患者の生活の質(QOL)を最大限に高めるための活動」と位置づけています。単に症状を抑えるだけでなく、その人が社会の中で自分らしく生きることを支援するという視点が強調されています。
厚生労働省も職場のメンタルヘルス対策において三次予防を重要な柱として位置づけており、「こころの耳」ポータルサイトでは「すでに発病した後に、治療過程において保健指導やリハビリテーションを行うことにより社会復帰を促したり、再発を防止したりする取り組み」と定義しています。職場においては、休職中の労働者への精神的フォロー、職場復帰支援プログラムの実施、主治医との連携、管理職への職場復帰時対応研修などが具体的内容として挙げられています。
なぜ今、三次予防が重要なのか
日本における精神疾患の患者数は増加の一途を辿っており、厚生労働省の患者調査によれば、うつ病・不安障害・統合失調症などを含む精神疾患の患者数は約600万人を超えています。メンタルヘルス不調を理由とした長期休職は職場における最大の課題のひとつで、復職率の向上と再休職の防止は企業経営上の重要テーマです。
精神疾患は再発リスクが高く、一度回復しても適切な支援なしには再び不調に陥る可能性があります。うつ病の場合、初回エピソード後の再発率は50〜60%とも言われており、2回以上の再発歴がある場合の再発率はさらに高くなります。
また、障害者雇用の促進、精神障害者の地域移行、ピアサポートの活用など、社会的包摂(インクルージョン)の観点からも三次予防は注目されています。精神疾患があっても社会の中で働き、生活し、つながることができる環境づくりは、当事者の回復にとって本質的な意味を持ちます。
一次予防・二次予防との違い
三段階の予防は独立したものではなく、連続したプロセス。自分や身近な人がどの段階にいるかを把握し、適切な支援を選ぶうえで重要です。
一次・二次・三次予防の対象と目的
一次予防・二次予防・三次予防の違いを理解することは、自分や身近な人がどの段階にいるのかを把握し、適切な支援を選ぶうえで重要です。それぞれの主要な特徴を整理します。
三段階は連続したプロセス
重要なのは、この三段階が独立したものではなく、連続したプロセスであるという点です。一次予防が十分であれば二次予防の必要性が減り、二次予防が適切であれば三次予防の負担も軽減されます。逆に、三次予防をしっかりと行うことで再発が防がれ、再び一次予防の恩恵を受けられる状態に戻ることができます。
また、個人レベルと組織・社会レベルの両方での取り組みが不可欠です。個人が回復に向けて努力するだけでなく、職場・地域・家族・専門機関が連携して三次予防の環境を整えることが、真の回復と社会復帰を可能にします。
疾患別の三次予防——特徴と支援
精神疾患は疾患ごとに経過・再発リスク・有効な介入が異なります。代表的な5つの疾患について、三次予防の具体的な支援内容を見ていきます。
うつ病・不安障害・統合失調症・双極性障害・PTSD
タブで疾患を切り替えて、それぞれの三次予防の中心となるアプローチを確認できます。
うつ病は日本で最も多い精神疾患の一つで、職場における長期休職の主要原因。治療は急性期(症状の安定化)・回復期(エネルギーの回復)・維持期(再発防止)の三段階で進みます。
回避行動への対処が中心。不安を感じる場面を回避すると短期的には楽だが、長期的には回避範囲が広がり社会参加が困難になる悪循環が生じます。
慢性的な経過を辿ることが多く、長期的な維持療法と社会復帰支援が中心。薬物療法の継続は再発防止に不可欠ですが、副作用への対応や服薬継続の支援も重要です。
うつ状態と躁(あるいは軽躁)状態を繰り返す疾患で、再発リスクが高いことが特徴。気分の変動を本人・家族・職場で共有することが要です。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)では、トラウマ体験の影響を処理し、日常生活の機能を回復させることを目指します。
- 薬物療法の継続(抗うつ薬の維持療法)
- 認知行動療法(CBT)による認知の歪みへのアプローチ
- 再発サインの早期認識(本人・家族・職場)
- 生活リズムの安定(睡眠・食事・運動の規則化)
- 段階的な活動量の増加(行動活性化療法)
- 支持的な人間関係の構築・維持
- 睡眠の乱れ・食欲の変化・集中力低下・関心の喪失などの前兆を主治医へ相談
- 暴露療法(不安な状況に段階的に慣れる)
- 認知再構成(思考パターンの修正)
- リラクゼーション技法(呼吸法・漸進的筋弛緩法)
- 薬物療法(SSRI等)の継続
- 自助グループへの参加
- 職場へのパニック発作への理解の要請
- 発作時の対処法の事前決定
- 段階的な職場環境への曝露
- デイケア・就労継続支援(B型・A型)
- グループホーム等の障害福祉サービスの活用
- ACT(積極的地域生活支援)
- ピアサポーターとの交流
- SST(社会生活技能訓練)
- 家族への心理教育
- 感情表出(EE)を低減する家族療法的アプローチ(再発率を著しく低下させることが研究で示されている)
- 気分安定薬の継続服用
- 気分チャートによる状態のモニタリング
- 睡眠リズムの維持(睡眠の乱れは躁転のトリガー)
- 過活動・過大な目標設定への気づき
- 躁状態時の言動が職場に与える影響の最小化
- 早期に医療機関へ相談できる体制の整備
- EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
- 持続エクスポージャー療法(PE療法)
- 認知処理療法(CPT)
- トラウマ焦点化認知行動療法
- 職場でのトラウマを想起させる環境の調整
- 安全な人間関係の構築
職場における三次予防——復職支援の実践
職場は成人にとって最も重要な社会参加の場の一つ。メンタルヘルス不調からの復職は、本人・職場双方にとって慎重な対応が必要なプロセスです。
厚生労働省「職場復帰支援の手引き」
厚生労働省が公表している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(復職支援手引き)は、職場における三次予防の実践において最も重要なガイドラインであり、多くの企業がこれを参考に職場復帰支援プログラムを構築しています。
職場復帰支援の5つのステップ
復職支援手引きでは、職場復帰支援を5段階のステップで整理しています。
試し出勤制度(リハビリ出勤)
多くの企業で導入されている試し出勤制度(リハビリ出勤・慣らし勤務)は、正式な職場復帰前に職場への慣れを促し、本人と職場の双方が復帰可否を判断するための段階的なプロセスです。
一般的には、最初は短時間(たとえば午前中のみ数時間)から始め、徐々に就業時間を延長していきます。業務内容も最初は軽微な作業から始め、本人の回復状況に合わせてステップアップしていきます。
試し出勤中は、産業医・産業保健師による定期的な面談、管理監督者による日常的なサポート、本人の自己評価のモニタリングを組み合わせることが重要です。
リワーク(Return to Work)プログラム
リワーク(Return to Work)プログラムは、精神疾患により休職中の労働者を対象とした、職場復帰に特化したリハビリテーションプログラムです。医療機関(精神科・心療内科)、地域障害者職業センター、EAP機関などで提供されています。
リワークプログラムの主要内容:
- 生活リズムの回復——規則的な起床・就寝、通勤訓練
- 認知行動療法(CBT)——思考パターンの修正
- 再発防止プログラム——ストレス対処法の習得、セルフモニタリング
- グループワーク——対人スキルの向上、同じ経験を持つ仲間との交流
- 作業訓練——軽作業・パソコン作業等による集中力・持続力の回復
4つのケアと三次予防
厚生労働省はメンタルヘルス対策における「4つのケア」として、セルフケア(本人)、ラインによるケア(管理監督者)、事業場内産業保健スタッフによるケア、事業場外資源によるケアを挙げています。三次予防においても、この4つのケアが相互に連携することが重要です。
特に三次予防段階では、ラインによるケア(上司の役割)が重要になります。復職後の従業員に対して適切な業務量の調整、定期的な声かけ、変化への早期気づきを行うことで、再発を防ぐことができます。管理監督者向けの研修(部下の変化への気づき方、適切な声かけの仕方、限界を感じたときの相談先)は、三次予防の重要な一環です。
職場における三次予防の課題
日本の職場における三次予防には、いくつかの構造的な課題があります。
- スティグマの問題精神疾患を理由とした休職が明らかになると、職場での人間関係が変化したり、昇進に不利に働くという恐れから、当事者が適切な支援を求めることを避けてしまうことがある。社会的スティグマ(社会全体の偏見)とセルフスティグマ(当事者自身が内面化した偏見)の二種類があり、「自分はダメな人間だ」「回復できるはずがない」という誤った信念として回復を妨げる。
- 産業保健スタッフの不足常勤の産業医や産業保健師を置けるのは規模の大きな企業に限られ、中小企業では十分な産業保健体制が整っていないことが多い。
- 復職後の業務負担調整の難しさ人員の余裕がない職場では復職者の業務量を減らすことが難しく、結果として本人に過大な負担がかかり再発につながる。
- 地域支援の格差地域移行・地域定着のための受け皿整備(グループホーム・地域活動支援センター・訪問看護等)は十分とは言えず、地域間格差が大きい。
地域における三次予防——社会復帰を支えるサポート体制
地域社会には、精神保健福祉センターを中心に、就労支援・地域活動・自助グループ・訪問支援など多様な資源があります。当事者の状況や希望に合わせて組み合わせることが重要です。
地域における三次予防の主要な資源
地域における三次予防では、医療機関だけでなく、福祉サービス・支援施設・自助グループが相互に連携することが重要です。それぞれの役割を確認しましょう。
ピアサポートの可能性
精神疾患の当事者・経験者(ピア)が同じ課題を抱える人を支援するピアサポートは、三次予防において近年注目が高まっているアプローチです。ピアサポーターは、回復のロールモデルとして機能するとともに、専門家では提供できない「同じ経験者としての共感と理解」を提供します。
2021年度から、精神障害者の就労継続支援・就労移行支援においてピアサポーターの雇用が促進されており、行政・医療・福祉の各場面でピアサポーターの活躍の場が広がっています。ピアサポーターが存在することで、支援を受ける側の当事者が「回復は可能だ」「社会の中で生きていける」という希望を持ちやすくなります。
三次予防を支える制度・資源
経済的支援・医療費軽減・就労支援など、当事者が利用できる公的制度を知っておくことは、安心して回復に向き合うための基盤です。
当事者が知っておくべき主要制度
三次予防の段階で利用できる主な制度を整理します。経済的安定は回復の基盤となるため、申請窓口や条件を確認することが大切です。
- 自立支援医療制度(精神通院医療)精神疾患の治療のため継続的に通院する方の医療費負担を軽減。通常3割負担が原則1割に。世帯収入に応じた月額自己負担上限(0円〜2万円)が設定され、上限超過分の負担は発生しない。精神科通院・投薬・訪問看護が対象。市区町村の福祉担当窓口または精神保健福祉センターで申請、診断書が必要。2年ごとに更新。
- 精神障害者保健福祉手帳一定の精神障害の状態にある方が申請できる手帳。等級は1〜3級で障害の程度に応じて判定。税の控除・減免、公共交通機関の運賃割引、障害者雇用枠での就労、障害福祉サービスの利用などが可能に。取得は任意で、取得することによるデメリットはほとんどない。
- 傷病手当金健康保険(協会けんぽ・組合健保)の被保険者が病気やけがで連続3日以上仕事を休んだ場合、4日目から最長1年6ヶ月間、標準報酬日額の3分の2が支給される制度。療養中の経済的支えとなる。
- 障害年金精神疾患で日常生活や就労に著しい制限がある場合に受給できる年金。障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金(厚生年金)があり、発症時に加入していた年金制度で種類が異なる。診断書(年金用書式)と病歴・就労状況等申立書が必要。社会保険労務士のサポートが手続きを進めやすくする。
- 就労系支援(ハローワーク・障害者職業センター)ハローワークの精神障害者雇用トータルサポーター、地域障害者職業センターのリワーク支援や職業リハビリテーション、就労移行支援事業所のサポートが活用可能。障害者雇用(オープン就労)では障害を開示し配慮を受けて働ける。クローズ就労は配慮が受けにくいリスクがある。
活用できる相談窓口の一覧
三次予防の段階で活用できる主要な相談窓口は以下のとおりです。
家族・周囲の人にできること
家族や身近な人のサポートは当事者にとって大きな力。同時に家族自身も大きなストレスを抱えるため、家族支援は三次予防の重要な柱です。
家族の感情表出(EE)と再発リスク
研究によれば、家族の感情表出(EE:Expressed Emotion)のパターンが、精神疾患の再発リスクと強く関連していることが知られています。批判的なコメント、敵意、過干渉などの高EE環境は再発リスクを高め、温かく共感的で適切な距離感を保つ低EE環境は再発リスクを低下させます。
これは家族を責めるためのものではなく、家族も疾患についての適切な知識と対応スキルを身につけることで、意図せず回復の妨げになることを避けられるということです。そのためにも、家族が精神疾患についての正確な情報を得て、専門家のサポートを受けることが重要です。
してよいこと・してはいけないこと
精神疾患の回復期にある家族へのサポートとして有効なこと、避けるべきことを整理します。
家族のための支援資源
家族が一人で抱え込まず、専門家や同じ立場の仲間と繋がることは、家族の回復(ケアラー支援)にとって重要です。
家族相談では、疾患についての正確な知識の習得、適切な対応スキルの習得、家族自身の感情の整理、地域資源の情報収集などのサポートが受けられます。
リカバリーと回復期の自己ケア
単に症状を消すのではなく、精神疾患があっても自分らしく意味のある人生を歩むこと——「リカバリー」という考え方が、三次予防の新たなパラダイムです。
リカバリーという考え方
リカバリー(Recovery)とは、単に症状が消えることや「元の状態に戻ること」ではなく、「精神疾患があっても、自分らしく意味のある人生を歩むこと」を指します。
リカバリーには二つの側面があります。「臨床的リカバリー(Clinical Recovery)」は、症状の軽減・消失、機能の回復という医学的な回復を指します。一方「パーソナルリカバリー(Personal Recovery)」は、症状がある程度残っていても、本人が自分の人生に希望と意味を見出し、自己決定に基づいて生きることができている状態を指します。
パーソナルリカバリーの観点は、三次予防の目標設定を大きく変えます。単に「症状をなくす」「職場に復帰させる」ことが目標なのではなく、「その人がその人らしく、希望を持って生きること」が目標となります。
リカバリーの5つの要素(CHIME)
Leamyらの研究(2011年)では、当事者の語りを分析することで、リカバリーの促進要素としてCHIMEという5つの概念を特定しました。
ストレングスモデルと当事者の自己決定
ストレングスモデル(Strengths Model)は、精神障害者支援において当事者の欠点・弱点ではなく「強み(ストレングス)」に注目するアプローチです。従来の医療モデルが「問題」「欠如」「治療」に焦点を当てるのに対し、ストレングスモデルは「能力」「可能性」「達成」に焦点を当てます。
このアプローチは、精神疾患を抱える方の三次予防において非常に有効であることが研究で示されており、本人の意欲・自己効力感・社会参加の促進につながります。
三次予防では、当事者が支援の受け手であるだけでなく、自分の回復の主体(エージェント)であるという認識が重要です。アドボカシー(権利擁護)の観点から、当事者が自分の権利を知り、必要な情報を得て、支援について自分で選択できる環境を整えることが基盤となります。インフォームドコンセント、SDM(Shared Decision Making:共同意思決定)、電子カルテへのアクセスなど、当事者中心のアプローチが広がっています。
再発サインの把握と危機対応計画(WRAP)
三次予防における当事者の最も重要な取り組みの一つが、自分の再発サインを把握し、それに対応する「危機対応計画(クライシスプラン・WRAP)」を作成することです。
WRAP(Wellness Recovery Action Plan:元気回復行動プラン)は、米国のメアリー・エレン・コープランドが開発した、リカバリーを促進するための自己ケアプランです。日本でも広く普及しており、精神保健福祉センターや医療機関でWRAPファシリテーター養成が行われています。
- 自分が元気なときのリスト毎日の活動・好きなことを書き出し、ベースラインを把握する。
- 引き金のリスト調子を崩すきっかけとなるもの(人間関係・場所・季節・出来事等)を整理する。
- 早期警戒サインのリスト調子が崩れ始めたときのサイン(睡眠の乱れ・食欲の変化・集中力の低下・楽しみへの関心の喪失等)。
- 調子が悪くなったときの対処法リスト早期に実行する具体的なセルフケア行動。
- クライシスプラン危機状態になったときに誰に連絡するか・どこに行くかの計画。
回復期の自己ケア
精神疾患の再発防止において、生活リズムの安定は薬物療法と並んで重要な要素です。日常で取り組める具体的な領域を整理します。
スティグマ・地域包括ケア・デジタル技術
精神疾患に対するスティグマ(偏見・差別・烙印)は三次予防の大きな障壁。スティグマ軽減のためには、正確な情報の普及、当事者の声の可視化(回復した当事者がメディアや地域で語ることの重要性)、接触教育(精神疾患を持つ人との実際の交流が最も効果的なスティグマ軽減法であることが研究で示されている)が有効です。
2004年の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」以降、日本では長期入院の解消と地域移行・地域定着の推進が国の方針となり、「入院から地域へ」というシフトが進んでいます。2017年の精神保健福祉法改正以降は「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築が推進されています。医療(精神科病院・診療所)、保健(保健所・精神保健福祉センター)、福祉(障害福祉サービス事業所)、住まい(グループホーム・一般住宅)、就労(就労移行支援・障害者雇用)が一体となった支援体制を、市町村単位で構築することが目標です。
デジタル技術を活用した三次予防のアプローチも急速に発展。スマートフォンアプリを利用した気分モニタリング、オンラインCBTプログラム、AIによるセルフケア支援ツールなどは、地方在住者や精神科医療へのアクセスが限られた方々にとって重要な補完的手段。ただし対面支援を完全に代替するものではなく、補完的なツールとして位置づけることが適切です。
三次予防の評価指標
三次予防の取り組みがどれだけ効果を上げているかを評価する指標として、以下のようなものが用いられます。これらを定期的にモニタリングし、支援の質の向上に活かすことが継続的な改善(PDCAサイクル)に不可欠です。
- ✓再入院率・再休職率の低下
- ✓地域での生活継続期間の延長
- ✓就労・就学率の向上
- ✓生活の質(QOL)の向上
- ✓本人・家族の満足度
- ✓職場定着率(就職後6ヶ月・1年後も継続就労している割合)
再発が怖い、復職が不安——
そんなあなたへ
三次予防は「一人で頑張ること」ではありません。医療・職場・地域・家族・仲間が連携してあなたを支えます。一人で抱え込まず、ココトモにも話してみませんか。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。
