メンタルヘルス用語辞典 · 動物恐怖症

動物恐怖症(ズーフォビア)とは?
症状・原因・治療法をわかりやすく解説

動物恐怖症は、特定の動物に対して極度の恐怖を感じる限局性恐怖症です。虫・犬・蛇など、恐怖対象は多岐にわたります。進化的な背景を持つ人類に最も身近な恐怖症であり、曝露療法で約90%が改善できます。主な種類・症状・原因・治療法・日常のケア・周囲のサポート方法まで、必要な情報をすべてまとめました。

ABOUT ANIMAL PHOBIA

動物恐怖症とは、どのような状態か

動物恐怖症(ズーフォビア)は、特定の動物に対して極度の恐怖を感じる限局性恐怖症です。最も一般的な恐怖症のひとつであり、人口の約3〜6%が該当します。進化的な防衛反応が過剰に働いている状態で、適切な治療で約90%が改善できます。

定義

動物恐怖症の定義——本能が過剰に働く状態

動物恐怖症とは、特定の動物に対して、日常生活に支障をきたすほどの強い恐怖や不安を感じる状態をいいます。DSM-5では「限局性恐怖症——動物型(Animal type)」に分類されます。単に「虫が嫌い」「犬が苦手」なのとは異なり、恐怖対象の動物に遭遇するとパニック反応が起こり、生活範囲を大幅に制限する回避行動が見られる医学的な状態です。

日常的な苦手意識
多くの人が感じる嫌悪感
虫は嫌いだが、必要なら対処できる。犬がやや苦手でも、触らなければ大丈夫。日常生活に大きな支障はない。
動物恐怖症
パニックと広範な回避を伴う恐怖
特定の動物を見ただけでパニック反応が起こる。動物がいる可能性のある場所を徹底的に回避し、行動範囲が著しく狭まる。旅行・外出・社交に深刻な支障が出る。
「怖い」と思うのは自然なこと蛇やクモへの恐怖は人類が進化の中で獲得した防衛反応です。動物恐怖症はその反応が「過剰に」働いている状態であり、治療で調整できます。
有病率

動物恐怖症は、最も身近な恐怖症

動物恐怖症は限局性恐怖症の中で最も多いサブタイプです。

3〜6%
一般人口における動物恐怖症の生涯有病率。女性は男性の約2倍
7
平均発症年齢。限局性恐怖症の中で最も発症年齢が低い
90%
曝露療法に忠実に取り組んだ患者の約90%で症状が改善
動物恐怖症は女性に多い傾向がありますが、男性でも多く見られます。「恥ずかしい」と感じて相談しない人も多いですが、短期間の治療で大きく改善できます。
進化と恐怖

なぜ動物が怖いのか——進化のレンズで理解する

動物恐怖症を理解するには、人類の進化的背景が鍵になります。現代では危険のない動物を「怖い」と感じるのは不合理に思えますが、進化的には理にかなった反応です。

セリグマンの「準備性理論」

人間の脳は、進化的に危険だった刺激(蛇・クモ・大型動物など)に対する恐怖を素早く学習し、なかなか消去しない「準備された」状態にあります。これに対し、車や銃のような現代の危険物に対する恐怖は学習しにくく、消去しやすいのです。つまり、動物恐怖症は「時代遅れの防衛システム」が過剰に作動している状態と言えます。

動物恐怖症は「弱さ」ではなく、人類の生存戦略の名残です。ただし、現代社会では過剰な反応が生活を妨げるため、治療で適切なレベルに調整することが大切です。
受診の目安

こんなときは専門医に相談を

以下の項目に心当たりがあれば、心療内科・精神科への受診を検討してください。

⚠️動物恐怖症を疑うチェックポイント
  • 🔍
    特定の動物に対する恐怖が日常生活に支障をきたしている
  • 🔍
    恐怖対象の動物を避けるために行動範囲が著しく狭まっている
  • 🔍
    動物との遭遇でパニック発作が起きたことがある
  • 🔍
    動物の画像やイメージだけでも強い恐怖を感じる
  • 🔍
    恐怖のために旅行・アウトドア活動・友人との交流を避けている
  • 🔍
    恐怖対象の動物の侵入的なイメージが繰り返し浮かぶ
  • 🔍
    回避行動が過剰になり、生活の質が低下している
  • 🚨
    恐怖に伴い、抑うつ気分や孤立感を感じている
💡
上記に3つ以上心当たりがあれば、専門医への相談をおすすめします。動物恐怖症は限局性恐怖症の中でも特に治療効果が高い恐怖症です。
COMMON TYPES

動物恐怖症の主な種類

動物恐怖症の対象はあらゆる動物に及びますが、特に多いのは虫(クモ・ゴキブリ)、犬、蛇です。それぞれの特徴を知ることが、治療への第一歩です。

昆虫・クモが怖い
虫恐怖症(エントモフォビア)
最も一般的な動物恐怖症です。ゴキブリ、クモ、蛾、蜂、ムカデなどの虫に対する極度の恐怖を指します。特にクモ恐怖症(アラクノフォビア)は世界で最も多い限局性恐怖症のひとつで、人口の約3〜6%が該当します。虫の予期しない出現・素早い動き・独特の外見が恐怖の主な対象です。自宅で虫を見つけた時にパニックになり、部屋に入れなくなるケースもあります。進化的に毒を持つ生物への警戒反応が過剰に働いていると考えられています。
最も一般的クモ恐怖症が多い進化的恐怖自宅での遭遇
犬が怖い
犬恐怖症(キノフォビア)
犬に対する強い恐怖で、世界的に2番目に多い動物恐怖症です。幼少期に犬に吠えられた・噛まれた経験がきっかけになることが多く、すべての犬種に恐怖を感じます。散歩中の犬を見ただけで道を変える、犬を飼っている家に訪問できないなど、日常生活への影響が大きいです。特に都市部では犬との遭遇を完全に避けることが困難なため、生活の質が著しく低下します。子どもの発症率が特に高く、早期介入が効果的です。
2番目に多い噛まれた体験日常での遭遇が多い子どもに多い
蛇が怖い
蛇恐怖症(オフィディオフォビア)
蛇に対する極度の恐怖で、人類に最も古くから存在する恐怖のひとつとされています。進化心理学では、蛇への恐怖は人類の祖先が毒蛇から身を守るために獲得した「準備された恐怖」であるとする「蛇検出理論」が提唱されています。実際に、生後6ヶ月の乳児でも蛇の画像に対してストレス反応を示すことが研究で確認されています。蛇の写真やおもちゃの蛇、蛇に似た形状のロープやホースにも恐怖を感じることがあります。
人類最古の恐怖進化的に準備された恐怖蛇検出理論乳児でも反応
猫・鳥・ネズミ等
その他の動物恐怖症
猫恐怖症(エルロフォビア)、鳥恐怖症(オルニトフォビア)、ネズミ恐怖症(ムソフォビア)、魚恐怖症(イクチオフォビア)など、あらゆる動物が恐怖の対象になり得ます。対象動物は文化や生育環境によって異なり、その動物との否定的な体験や、親の恐怖反応の観察学習が発症のきっかけになります。ペットとして人気のある動物(猫・鳥・ハムスター等)が恐怖対象の場合、友人宅を訪問できないなど社会生活への影響が大きくなります。
あらゆる動物が対象文化による差ペット恐怖の社会的影響観察学習
どの動物が対象でも、曝露療法の手法は共通しています。対象動物に段階的に慣れていくことで、恐怖反応を弱めることができます。
SYMPTOMS

動物恐怖症の症状

動物恐怖症では心理的症状と身体的症状の両方が現れます。恐怖反応は自動的に起こるため、意志の力だけではコントロールできません。

😱
即座のパニック反応
恐怖対象の動物を見た瞬間、コントロール不能な恐怖に襲われる。叫び声を上げる、逃げ出す、固まるなどの反応が自動的に起こる。理性で恐怖を抑えることができない。
😰
強い予期不安
恐怖対象の動物に遭遇する可能性がある場面を事前に心配し続ける。「公園に行ったら犬がいるかも」「部屋に虫がいるかも」と常に警戒している状態。
🚪
広範な回避行動
恐怖対象の動物がいる可能性のある場所を徹底的に避ける。公園・動物園・ペットショップはもちろん、友人の家(ペットがいる)、自然豊かな場所も回避対象になる。
🔍
過度の警戒(ハイパービジランス)
恐怖対象の動物がいないか常に周囲を確認する。部屋の隅、天井、植木鉢の下など、動物が潜んでいそうな場所をチェックし続ける。この警戒が疲労と不安を増幅させる。
🧠
侵入的イメージ
恐怖対象の動物のイメージが不意に頭に浮かぶ。虫が体を這うイメージ、蛇に噛まれるイメージなどが繰り返し想起され、リラックスできなくなる。
😔
生活の質の低下
恐怖のために行動範囲が狭まり、旅行・アウトドア活動・友人との交流が制限される。「こんなことで怖がる自分が情けない」という自己嫌悪も伴いやすい。
💡
回避行動は恐怖を強化する動物を避けることで一時的に安心しますが、「避けたから安全だった」という学習が恐怖を維持・強化します。治療では「避けずに向き合う」ことで恐怖を弱めます。
回避行動パターン

動物恐怖症でよく見られる回避行動

動物恐怖症では、以下のような回避行動が生活範囲を著しく狭めます。

🏕
アウトドア活動の回避
キャンプ・ハイキング・海水浴・バーベキューなど、動物に遭遇する可能性のある屋外活動を避ける。家族旅行の計画にも影響する。
🏠
友人宅への訪問回避
ペットを飼っている友人の家に行けない。「犬がいるから」と断り続け、人間関係に影響が出る。
🔍
過度の確認行動
部屋に虫がいないか入念にチェックする。窓を開けられない、洗濯物を外に干せないなど、虫の侵入を防ぐための行動が過剰になる。
📺
メディアの回避
動物が登場する映画・番組・ニュースを避ける。SNSで動物の画像が流れてくるのを恐れて、特定のアカウントをブロックする。
回避行動に気づいたら、それは治療を検討するサインです。回避が広がるほど恐怖は強くなり、生活の質が低下していきます。
CAUSES & RISK FACTORS

動物恐怖症の原因とリスク要因

動物恐怖症は、進化的な素因・直接体験・観察学習・脳の恐怖回路・環境要因が複合的に関わって発症します。

🧬進化的に準備された恐怖

ある種の動物への恐怖は、人類の進化の中で生存に有利であった防衛反応と考えられています。セリグマンの「準備性理論(Preparedness Theory)」によると、人間は毒蛇・毒グモ・肉食動物など、祖先の生存を脅かした生物に対して恐怖を学習しやすい「準備された」状態にあります。実際に、蛇やクモへの恐怖は銃や車への恐怖より容易に条件付けされ、消去されにくいことが実験で示されています。ただし、この進化的素因だけで恐怖症になるわけではなく、個人の体験や学習が加わることで臨床的な恐怖症に発展します。

  • セリグマンの準備性理論
  • 蛇・クモへの恐怖は条件付けされやすい
  • 進化的に危険だった生物への警戒反応
  • 素因+経験=恐怖症の発症
悪化の誘因

恐怖が高まりやすい場面

恐怖が高まりやすい場面
恐怖対象の動物との予期しない遭遇
95%
動物園・ペットショップ
70%
自然豊かな場所(キャンプ等)
80%
動物の映像・写真
55%
友人宅のペット
65%
動物の話題・ニュース
35%

※ 恐怖の相対的な強さを示すイメージ図です

最も強い恐怖は「予期しない遭遇」です。予測可能な場面から段階的に取り組むことで、恐怖を効果的に弱めることができます。
TREATMENT & RECOVERY

動物恐怖症の治療法と回復

動物恐怖症は曝露療法で約90%が改善する、最も治療効果が高い恐怖症のひとつです。短期間での回復も期待でき、「治らない」と諦める必要はありません。

主要な治療法

曝露療法と認知行動療法——治療の中心

エクスポージャー(曝露療法)第一選択・約90%に効果

動物恐怖症の治療で最も効果が高い治療法です。恐怖対象の動物に段階的に曝露していきます。例えば犬恐怖症の場合:犬の写真→動画→遠くから犬を見る→近くで見る→小型犬に触れる→大型犬と過ごすという段階を踏みます。各段階で不安が十分に下がるまで曝露を続け、約90%の患者で症状の改善が報告されています。1セッション(2〜3時間の集中曝露)で劇的改善を示すケースもあります。

認知行動療法(CBT)認知の修正

恐怖対象の動物に対する非合理的な認知(「犬は必ず噛む」「虫は汚い」「蛇は全て毒がある」)を特定し、現実的な考え方に修正します。動物の行動や生態を正しく学ぶことも認知修正の一部です。例えば「日本のクモのほとんどは人を噛まない」「犬が尻尾を振っているのは友好のサイン」といった知識が恐怖を軽減します。曝露療法と組み合わせることで最大の効果が得られます。

補助的治療

VR療法・薬物療法・アニマルセラピー

バーチャルリアリティ(VR)療法最新アプローチ

VRヘッドセットを用いて、仮想空間で恐怖対象の動物と対面する最新の治療法です。実際の動物に触れる前段階として特に有効で、恐怖レベルの精密な調整が可能です。VRクモ曝露療法では、従来の曝露療法と同等の効果が複数の研究で確認されています。実際の動物を用意する必要がないため、治療の実施が容易で、患者の抵抗感も少ないメリットがあります。

薬物療法補助的な位置づけ

動物恐怖症では薬物療法が主要な治療法になることは少ないですが、重度の予期不安やパニック発作を伴う場合に補助的に使用されます。曝露療法のセッション前にD-サイクロセリン(NMDA受容体部分作動薬)を投与すると、恐怖の消去学習が促進されるという研究結果もあります。SSRIやベンゾジアゼピン系抗不安薬は症状管理に用いられますが、根本的な治療は心理療法です。

アニマルセラピー(動物介在療法)穏やかなアプローチ

恐怖の程度が軽度〜中等度の場合、訓練された動物とセラピストの指導のもとで穏やかに触れ合う体験が効果的です。特に犬恐怖症にはドッグセラピーが、動物全般への恐怖にはアニマルセラピーが用いられます。安全な環境で「動物は怖くない」という体験を積み重ねることで、恐怖の条件付けを解消していきます。子どもの動物恐怖症にも適した穏やかなアプローチです。

動物恐怖症の治療は、比較的短期間(数セッション〜十数セッション)で完結することが多いです。1回の集中セッションで劇的に改善するケースも報告されています。
回復のステップ

曝露療法の実際——段階的な回復プロセス

曝露療法は段階的に恐怖対象に近づいていく治療です。以下は犬恐怖症を例にした回復ステップです。実際の治療では、専門家とともに自分専用の「恐怖階層表」を作成します。

犬恐怖症の曝露ステップ例
STEP 1
犬の写真を眺める
不安レベル: 20〜30%
STEP 2
犬の動画を視聴する
不安レベル: 30〜40%
STEP 3
窓越し・遠くから犬を見る
不安レベル: 40〜55%
STEP 4
同じ部屋に小型犬がいる(リード付き)
不安レベル: 55〜70%
STEP 5
小型犬の近くに座る
不安レベル: 70〜80%
STEP 6
小型犬に触れる
不安レベル: 80〜90%
STEP 7
大型犬と同じ空間で過ごす
不安レベル: 90%以上

各ステップでは、不安レベルが十分に低下するまで(通常50%以下になるまで)同じ場面にとどまります。不安は自然に低下する(「馴化」)ことを体験し、「直面しても大丈夫だった」という新たな学習が恐怖回路を書き換えていきます。セラピストと一緒に行う場合は通常5〜15セッション程度で大きな改善が見込めます。

1セッション集中曝露療法研究では、2〜3時間の集中的な1セッション曝露療法(One-session Treatment)でも劇的な改善が得られることが示されています。通院が難しい方も、まず専門家に相談してみてください。
併存症

動物恐怖症に伴いやすい他の精神的困難

動物恐怖症は他の不安症や精神的困難を伴うことがあります。併存する問題を把握することで、より適切な治療計画が立てられます。

😰
パニック症(パニック障害)
動物との遭遇がパニック発作を繰り返し引き起こすと、「また発作が来るかも」という予期不安が生まれ、パニック症を併発するケースがあります。動物恐怖症の約20〜30%にパニック発作の既往があります。
🧠
広場恐怖症
公園・自然の多い場所・ペットショップ周辺など「動物がいそうな場所」を広く避けるようになり、外出自体が怖くなる広場恐怖症を発展させるケースがあります。回避範囲が広がるほど注意が必要です。
😔
うつ病・抑うつ状態
恐怖による行動制限が続くと、友人関係の希薄化・趣味の喪失・自己嫌悪が積み重なり、うつ病を発症することがあります。「こんなことで怖がる自分が情けない」という自責感がうつを深めます。
🔁
強迫症(OCD)
虫恐怖症と強迫症は類似した確認行動を伴うことがあります。「虫が入っていないか」「服に虫がついていないか」という過剰な確認・洗浄行動は、OCD的な側面を持つことがあります。
💡
複数の問題が重なっている場合動物恐怖症と他の問題が重なっている場合でも、曝露療法を中心とした認知行動療法で複数の問題に同時にアプローチできます。まず一つひとつの問題を専門家に話してみてください。
DAILY LIFE

日常生活でできること

治療と並行して、日々の生活の中でも動物への恐怖を和らげるためにできることがあります。小さな成功体験の積み重ねが回復の鍵です。

📝
恐怖の段階表を作る
恐怖レベルの低い順に場面をリストアップ。例えば犬恐怖症なら「犬の写真→遠くの犬→小型犬→大型犬」。低いレベルから慣れていく自主トレーニングの指針に。
📖
恐怖対象の動物について学ぶ
その動物の行動・生態・実際の危険性を正しく学びましょう。「クモは人を襲わない」「犬の友好的なサイン」など、正確な知識が不合理な恐怖を弱めます。
📱
写真や動画で段階的に慣れる
まずは恐怖対象の動物のイラスト→写真→短い動画→長い動画と、段階的に視覚的刺激に慣れていきましょう。YouTubeの動物動画は強度を選びやすいツールです。
🫁
リラクゼーション法を身につける
腹式呼吸、漸進的筋弛緩法、マインドフルネスなど、恐怖場面で使えるリラクゼーション技法を日常的に練習しましょう。
🗣
恐怖を周囲に伝える
「犬が苦手」「虫がとても怖い」と信頼できる人に伝えましょう。理解してもらうことで、動物に遭遇した時のサポートが得られやすくなります。
🏠
安全な環境を整える
虫恐怖症なら防虫対策を徹底する、犬恐怖症なら散歩コースを事前に確認するなど、予期しない遭遇を減らす工夫も大切です。ただし、回避が過剰にならないよう注意。
🎯
小さな成功体験を記録する
「犬とすれ違えた」「虫の写真を見られた」など、小さな進歩を日記に記録しましょう。成功体験の蓄積が自信と回復力を育てます。
🧘
自分を責めない
動物恐怖症は進化的に「準備された恐怖」であり、脳の正常な防衛反応が過剰に働いている状態です。「こんなことで怖がる自分はおかしい」と責める必要はありません。
まずは「恐怖対象の動物について正しく学ぶ」「写真から段階的に慣れる」の2つから始めてみてください。知識と慣れが恐怖を弱める二本柱です。
関連する用語
限局性恐怖症エクスポージャー認知行動療法パニック障害準備性理論VR療法
職場・社会生活

職場・社会生活での動物恐怖症への対処

動物恐怖症は職場や社会生活にも影響を与えます。以下の場面での対処法を参考にしてください。

🏢
職場への申告について
職場でペットの写真を見せられる、害虫が出た際に対応を求められるなどの場面で困る場合は、上司や同僚に「特定の動物が苦手」と伝えておくことで配慮を受けやすくなります。障害として申告する必要はなく、「アレルギー的に苦手」という表現でも構いません。
✈️
旅行・出張時の準備
宿泊先のペット可否、訪問地の動物情報(野生動物・自然環境)を事前に調べておくことで、予期しない遭遇を減らせます。「ペットフリー」の宿を選ぶ、訪問先を屋内施設中心にするなどの工夫も有効です。
🎉
社交場面での対処
ペットを飼っている友人宅への訪問を断り続けることで人間関係が希薄になりやすいです。「ペットは別の部屋にいてもらえる?」と依頼する、屋外で会う提案をするなど、関係を保ちながら対処できる方法を探しましょう。
🆘
パニック時の応急対処
予期せず恐怖対象の動物に遭遇してパニックになった際は、まず「安全な場所に移動する」ことを優先します。その後、4秒吸って8秒吐く「4-8呼吸法」を数回繰り返し、交感神経を落ち着かせましょう。
日本の支援制度

日本で利用できる支援・相談窓口

動物恐怖症を含む限局性恐怖症の治療では、日本の精神医療支援制度を活用できます。経済的負担を軽減しながら継続的な治療を受けることが可能です。

利用できる主な支援制度
自立支援医療制度(精神通院医療)
精神科・心療内科への通院医療費が原則1割負担になる制度です。限局性恐怖症(動物恐怖症を含む)も対象となる場合があります。認知行動療法のために継続通院する場合に大きな助けとなります。申請は住民票のある市区町村の担当窓口で行います。医師の診断書が必要です。
精神保健福祉センター
各都道府県・政令指定都市に設置されている公的相談機関です。「心の健康相談」として、どこに受診すべきか迷っている場合の相談、精神科受診への橋渡しなどを無料で行っています。動物恐怖症について「どんな専門家に相談すればいいかわからない」という場合の最初の相談先として活用できます。
認知行動療法(CBT)の保険適用
日本では2010年より認知行動療法が保険診療として認められています。恐怖症に対するCBTも保険適用の対象となる場合があり、専門の研修を受けた医師・心理士によるセッションを保険で受けることができます。「CBTを行っている心療内科」を探して相談してみましょう。
まずは精神保健福祉センターや心療内科に相談することから始めましょう。「どこに行けばいいかわからない」という場合は、かかりつけ医や精神保健福祉センターへの電話相談が入口として最適です。
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人にできること

動物恐怖症は「怖がっている姿」を目にする機会が多い恐怖症です。からかわず、正しい理解をもって支えることが回復を後押しします。

対応のポイント

してほしいこと・避けてほしいこと

✅ してほしいこと
動物への恐怖を真剣に受け止め、「大げさ」「情けない」と言わない
恐怖対象の動物との遭遇を事前に伝える(訪問先にペットがいる場合など)
パニックになった時は穏やかに声をかけ、安全な場所に誘導する
小さな進歩を認め、肯定する
専門医への受診を穏やかに勧める
恐怖対象の動物の話題を不必要にからかいに使わない
❌ 避けてほしいこと
「犬は怖くないよ」「虫くらい平気でしょ」と軽視する
驚かせるために恐怖対象の動物を近づける(虐待に等しい行為)
「慣れれば治る」と素人判断で無理やり曝露させる
恐怖反応を面白がったり、SNSに投稿したりする
「あの人は犬が怖い」と本人の了承なく他人に話す
回復が遅いことに対して苛立ちを見せる
子どもへの対応

お子さんの動物恐怖症への対応

動物恐怖症は平均7歳前後で発症することが多く、子ども時代の対応が将来の恐怖の軽減に大きく影響します。

🤝
恐怖を受け止める
「怖くないよ」と否定せず、「怖いんだね」と気持ちを受け止めましょう。子どもの恐怖は大人には小さく見えても、本人にとっては大きな苦痛です。
📖
動物について一緒に学ぶ
絵本や図鑑で恐怖対象の動物について一緒に学びましょう。「知る」ことが恐怖を弱める力になります。「この虫は人を噛まないよ」など正しい情報を伝えましょう。
🐕
穏やかな曝露体験を設ける
無理強いせず、安全な環境で恐怖対象に触れる機会を作りましょう。「遠くから見る」「ガラス越しに見る」など、子どもが安心できるレベルから始めます。
😊
親の反応に注意する
親が虫を見て叫ぶと、子どもは「虫は怖いもの」と学習します。可能な限り、恐怖対象の動物に対して落ち着いた反応を見せるよう心がけましょう。
子どもの動物恐怖症は治りやすい幼少期の動物恐怖症は、適切な対応で自然に軽減することも多いです。ただし、6ヶ月以上続く、日常生活に支障がある場合は、専門家に相談しましょう。
FAQ

動物恐怖症についてよくある質問

動物恐怖症に関してよく寄せられる疑問をまとめました。治療・回復・日常生活についての疑問にお答えします。

もっと詳しく知りたい方へここに書いてある以外のご質問は、心療内科・精神科の専門家や、ここで紹介している相談窓口にお気軽にお問い合わせください。一人で抱え込まず、まず話すことが第一歩です。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

動物への恐怖で生活が制限されていませんか。どうかあなたの大切な悩みをココトモに聞かせていただきたいです。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
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いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
精神保健福祉センター各都道府県に設置心の健康相談・無料

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。継続的な通院には自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると医療費が原則1割負担になります。お住まいの市区町村窓口にご相談ください。

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