メンタルヘルス用語辞典 · ケースマネジメント

ケースマネジメントとは?
精神保健の橋渡し役・6つの役割・ACT・日本の制度をわかりやすく解説

精神障害を抱える人が地域で自分らしく暮らせるよう、医療・福祉・住まい・就労を総合的に調整する『ケースマネジメント』。歴史・モデル・個別支援計画の作り方・危機介入・日本の制度・効果と課題まで、必要な情報をすべてここにまとめました。

ABOUT CASE MANAGEMENT

ケースマネジメントとは

精神障害や心の病を抱える人が地域社会で自分らしく暮らせるよう、医療・福祉・住まい・就労など多岐にわたる支援を総合的に調整する実践アプローチです。一人ひとりの強みと希望を軸に、必要なサービスをつなぎ合わせる『橋渡し役』。

定義

ケースマネジメントの定義

ケースマネジメント(Case Management)とは、複数のニーズを抱える人が必要なサービスや支援を適切なタイミングで受けられるよう、関係機関・専門職・インフォーマル資源を調整・統合するプロセスです。精神保健・メンタルヘルスの領域では『精神科ケースマネジメント』あるいは『精神保健ケースマネジメント』とも呼ばれ、当事者を中心に置いた継続的・包括的な支援を実現するための枠組みとして広く普及しています。

世界保健機関(WHO)はケースマネジメントを『精神障害のある人が地域社会の中で可能な限り自立した生活を送れるように支援するための、個人に焦点を当てた多職種協働のアプローチ』と定義しています。日本の障害福祉の文脈では、『相談支援』という言葉がケースマネジメントとほぼ同義で使われることも多くなっており、障害者総合支援法のもとで『相談支援専門員』が位置づけられています。

WHOの定義の中核『個人に焦点を当てた多職種協働』というキーワードに、ケースマネジメントの本質が凝縮されています。診断名でも症状でもなく、その人の生活全体を見つめ、複数の専門職が手を携える姿勢が出発点です。
3つの本質

WHOの定義が示す3つの柱

WHOの定義から、ケースマネジメントの本質は次の三点に集約されます。

🌐
包括性
医療だけでなく、住まい・経済・就労・家族関係・社会参加など、当事者の生活全体を視野に入れて支援を組み立てます。
🔄
継続性
状態の変化や危機にあわせて、長期にわたり支援関係を継続。途切れない見守りで再入院や生活破綻を防ぎます。
🤝
協働性
医師・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・ピアサポーターなど多職種・多機関が連携してチームで支えます。
なぜ必要か

精神疾患の複雑さがケースマネジメントを必要とする

ケースマネジメントが特に重要視される背景には、精神疾患の複雑さがあります。統合失調症・双極性障害・重篤なうつ病などの精神障害は、医療のみならず生活全般にわたる困難を引き起こします。住まいの確保、経済的問題、社会的孤立、就労の困難、家族関係の摩擦、さらには身体疾患の合併など、複合的な課題が絡み合うため、一つの専門機関だけで対応することは現実的に難しいのです。

ケースマネジメントは、こうした複合的なニーズに一人の専門職(ケースマネジャー)が責任をもって継続的に関わりながら、チーム全体を調整するための仕組みとして機能します。

111,588
精神保健福祉士の登録者数(2024年度末時点)
10人以下
ACTにおけるスタッフ1人あたりの担当者数
1
自立支援医療制度による医療費の自己負担割合(通常3割→原則1割)
代表的なモデル

ケースマネジメントの5つのモデル

ケースマネジメントには複数のモデルが存在します。それぞれ支援の強度・アプローチ・対象者が異なりますが、すべてに共通するのは『当事者の生活の質(QOL)を高めること』という目標です。

🪟
仲介モデル(Broker Model)
アセスメントとサービスへの紹介・調整に重点を置く軽めのモデル。担当者は直接的なケアではなく、サービスを『つなぐ』役割を中心に担います。
🏥
臨床ケースマネジメントモデル
ケースマネジャー自身が心理社会的介入や個別療法的関与も行うモデル。サービス調整に加え、治療的関係も同一の担当者が担います。
🔥
集中型ケースマネジメント(ICM)
担当ケース数を絞り込み、頻回・濃密な関わりを行うモデル。再入院リスクが高い当事者や複合的ニーズを持つ人を主な対象とします。
🚐
ACT(包括型地域生活支援)
多職種チームが24時間365日体制で訪問支援を提供する最も集中的な形態。重篤な精神障害を持つ人の地域生活を支えます。
🌱
ストレングスモデル
問題や欠損ではなく、当事者の強み・才能・希望・環境的資源を出発点とするアプローチ。ラップらが1980年代に開発しました。
HISTORY

精神科ケースマネジメントの歴史と背景

20世紀初頭のアメリカ社会福祉運動から脱施設化、ACT開発、そして日本の地域移行政策へ。ケースマネジメントの発展には、精神医療の歴史そのものが反映されています。

脱施設化

脱施設化と『回転ドア現象』

精神科ケースマネジメントの源流は、20世紀初頭のアメリカにおける社会福祉運動にまで遡ることができます。特に重要なのは、1950〜60年代に始まった脱施設化(deinstitutionalization)の流れです。アメリカでは1963年に『地域精神保健センター法』が制定され、精神科の長期入院患者を大規模病院から地域社会へと移行させる政策が本格的に推進されました。同様の動きはヨーロッパ各国でも広がり、イタリアでは1978年のバザーリア法(精神科病院廃止を定めた法律)がその象徴として知られています。

脱施設化によって多くの患者が地域へ戻りましたが、地域側の受け皿が十分に整っていなかったため、住居不足・医療の中断・社会的孤立といった深刻な問題が生じました。『回転ドア現象』と呼ばれる入退院の繰り返しや、ホームレス状態に陥る精神障害者の増加が社会問題となったのです。この状況を打開するために開発されたのが、地域で包括的な支援を提供するケースマネジメントでした。

💡
ACT誕生の経緯1980年代、ウィスコンシン大学のMarx、Stein、Testらによって『訓練された地域生活(Training in Community Living: TCL)』プログラム、後のACTが開発され、ランダム化比較試験によってその有効性が実証されました。これを契機にケースマネジメントは精神保健における主要な介入手法として国際的に認められるようになりました。
年表

主要な歴史的トピック

1950〜60年代
アメリカでの脱施設化
精神科の長期入院患者を大規模病院から地域社会へと移行させる政策が本格的に推進されました。
地域移行の起点
1963年
地域精神保健センター法(米)
アメリカで地域精神保健センター法が制定され、地域精神保健の制度的基盤が整いました。
米国の制度化
1970年代
NIMHのCSS提唱
アメリカの国立精神保健研究所(NIMH)がコミュニティ支援システム(CSS)を提唱し、ケースマネジメントを中核機能の一つに位置づけました。
CSSの誕生
1978年
バザーリア法(伊)
イタリアで精神科病院廃止を定めたバザーリア法が成立。脱施設化の象徴とされます。
欧州の象徴
1980年代
ACT・ストレングスモデル開発
ウィスコンシン大学のMarx・Stein・Testらによって『訓練された地域生活(TCL)』プログラム(後のACT)が開発され、RCTで有効性が実証。同時期にラップらがストレングスモデルを開発しました。
国際的な確立
2004年
日本:精神保健医療福祉の改革ビジョン
厚生労働省が『入院医療中心から地域生活中心へ』という基本理念を明確化。地域の相談支援体制の整備、退院支援の強化、ACT導入が本格的に議論されるように。
日本の転換点
2006年
障害者自立支援法施行
相談支援専門員制度が創設され、ケースマネジメント的な機能が法制度として組み込まれました。
制度的位置づけ
2012年
サービス等利用計画作成義務の強化
法改正により相談支援専門員の養成・確保が政策的な課題として位置づけられました。
計画相談の強化
2024〜2025年
精神保健福祉法改正と制度改革
地域の精神保健相談窓口の充実が求められ、地域移行・地域定着支援の強化策としてACT的要素を取り入れた訪問型支援の拡充が議論されています。
近年の動向
日本の歩み

日本における精神科ケースマネジメントの展開

日本における精神科ケースマネジメントの展開は、欧米と比べて遅れをとりました。日本は長らく『精神科病院への長期入院』を中心とした処遇体制をとっており、1990年代に入ってもOECD諸国の中で突出して多い精神科病床数を維持していました。

転換点となったのは2004年の厚生労働省による『精神保健医療福祉の改革ビジョン』であり、『入院医療中心から地域生活中心へ』という基本理念が明確に打ち出されました。この改革ビジョンをもとに、地域の相談支援体制の整備、退院支援の強化、そしてACTの導入が日本でも本格的に議論されるようになりました。

2006年に施行された障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)では、相談支援専門員制度が創設され、ケースマネジメント的な機能が法制度として組み込まれました。その後、2012年の法改正でサービス等利用計画の作成義務が強化され、相談支援専門員の養成・確保が政策的な課題として位置づけられています。2024年度末時点で精神保健福祉士の登録者数は111,588人に達しており、精神科ケースマネジメントを担う人材の裾野は着実に広がっています。

日本では、国立精神・神経医療研究センターが『ACT-J』として日本への導入研究を進めており、2000年代以降いくつかの地域で実施されています。千葉・東京・福岡などの一部地域でACTモデルを採用したサービスが展開されており、その実践から日本独自の課題(多機関連携の困難さ・診療報酬体系との不整合・人材確保の問題など)も明らかになっています。

6 FUNCTIONS

ケースマネジャーの6つの役割と機能

ケースマネジャーには精神保健福祉士・社会福祉士・看護師・作業療法士・臨床心理士など様々な職種が就きますが、共通して求められる機能は6つのプロセスに整理できます。

6プロセス

アセスメントから始まる支援の循環

アセスメント → プランニング → リンケージ → 調整 → モニタリング → アドボカシーは、一方向の流れではなく循環するサイクルです。状態の変化に応じて何度も繰り返され、支援はそのつど作り直されていきます。

🔍STEP 1アセスメント(Needs Assessment)

身体的健康・精神的健康・日常生活能力・社会的ネットワーク・経済状況・住居・就労状況・家族関係・本人の希望や価値観など、生活のあらゆる側面を包括的に評価します。重要なのは『できないこと・困っていること』だけでなく、『できること・強み・資源』にも目を向けること。アセスメントは一度で完結するものではなく、関係形成の中で継続的に行われます。

🗺STEP 2プランニング(Care Planning)

アセスメントをもとに、当事者と共に支援計画(ケアプラン・個別支援計画)を作成します。目標設定は『本人が望む生活』を基軸とし、短期・中期・長期目標の三層構造で具体的に設定。誰が何をいつまでに行うかを明確にし、当事者の同意のもとで計画を策定することが不可欠です。専門職が一方的に決定するものではありません。

🔗STEP 3リンケージ(Linkage / Brokerage)

医療機関・福祉サービス事業所・行政窓口・就労支援機関・住居支援機関・当事者会・ピアサポートグループなど、様々な社会資源を把握し、適切なタイミングで連携・紹介します。形式的な『つなぎ』で終わらせず、実際に利用できているかを確認することも重要な業務です。

🎛STEP 4調整・コーディネーション(Coordination)

複数の支援機関・専門職が関与する場合、支援の重複・漏れ・矛盾を防ぐための調整が必要です。サービス担当者会議・退院前カンファレンス・ケース会議などを通じて関係者間の情報共有と役割分担を明確化。ケースマネジャーは調整の『要』として、当事者の最善利益のためにコミュニケーションを促進します。

📈STEP 5モニタリング(Monitoring)

定期的な面談・電話・訪問を通じて、目標への進捗・サービスの適切性・新たなニーズの発生・リスクの変化などを評価します。必要があれば計画を修正し、支援内容を柔軟に見直すプロセス。支援の質を担保するための重要な機能です。

📣STEP 6アドボカシー(Advocacy)

偏見や差別にさらされやすい精神障害者が、適切なサービスを受け、自らの意思を尊重される権利を守るために、必要に応じて代弁・交渉・情報提供を行います。制度的な障壁(サービスの不足・不公正な扱いなど)に対して組織・制度レベルでの変革を求めるシステム・アドボカシーも含まれます。

プランニングの心得プランニングは当事者の主体性を尊重するプロセスであり、専門職が一方的に決定するものではありません。短期・中期・長期目標の三層構造で、誰が何をいつまでに行うかを明確にしながら、本人の同意のもとで作り上げていきます。
MODELS

ストレングスモデルとACT

現代のケースマネジメントを代表する2つのアプローチ。問題ではなく『強み』に着目するストレングスモデルと、24時間体制で地域生活を支えるACT。両者の特徴を詳しく見ていきます。

ストレングスモデル

ストレングスモデル――強みに着目したアプローチ

ストレングスモデル(Strengths Model)は、1980年代にアメリカのカンザス大学チャールズ・ラップ(Charles Rapp)らによって開発されたケースマネジメントのアプローチです。従来の『病理・欠損・問題』に着目するアプローチとは根本的に異なり、当事者が持つ『強み(ストレングス)』――才能・スキル・知識・関心・意欲・環境的資源・社会的なつながり――を出発点にする点が最大の特徴です。

従来のアプローチ
病理・欠損・問題に着目
症状や課題のリストアップから出発し、それを修正・補填することを目指す。診断名と『できないこと』が支援の軸になりやすい。
ストレングスモデル
強み・希望・資源から出発
才能・スキル・知識・関心・意欲・環境的資源・社会的つながりを出発点に、その人の可能性を中心に支援を組み立てる。

ストレングスモデルの六つの原則は次の通りです。

原則 1
すべての人は才能・知識・能力を持っている
病理ではなく可能性に焦点を当てる前提です。
原則 2
回復の力は人間の強みに基づく
精神疾患を持つ人が回復し地域で生活する能力は、根本的に人間の強みに基づきます。
原則 3
当事者の希望・夢・意欲を尊重する
本人が描く未来像を支援の出発点に据えます。
原則 4
ケースマネジャーと当事者の関係は基本的かつ不可欠
対等なパートナーシップが支援全体の土台です。
原則 5
地域社会は資源のオアシスである
インフォーマルな資源を含めた地域全体を支援に活かします。
原則 6
主な活動の場所は地域社会である
オフィスではなく、当事者が暮らす場で関わります。

ストレングスモデルにおいて核心となるツールが『ストレングスアセスメント』と『個人計画』です。ストレングスアセスメントでは、『現在の状況・強み』『希望・夢・目標』『過去の経験・成功体験』を6つの生活領域にわたって丁寧に記録します。診断名や症状・問題点の羅列ではなく、その人の可能性と資源に着目することで、当事者の自尊心とモチベーションを高める効果があります。

日常生活
衣食住・身だしなみ・家事など、暮らしを構成する活動領域。
財務や保険
収入・支出・社会保障・障害年金など経済面の状況と希望。
就労や教育
仕事・学び・キャリア形成に関する経験・スキル・目標。
健康
身体・精神の健康状態、医療資源、自分なりの健康法など。
ソーシャルネットワーク
家族・友人・支援者・地域コミュニティとのつながり。
余暇活動
趣味・楽しみ・関心事など、人生に彩りを与える活動。
リカバリーとの親和性日本においてもストレングスモデルへの注目は高まっており、精神保健福祉士の実践や相談支援専門員の研修でも取り上げられるようになっています。特に『リカバリー(Recovery)』という概念との親和性が高く、『病気を治すこと』ではなく『自分らしい人生を取り戻すこと』を目標に置くリカバリー志向の支援と深く結びついています。
💡
対等なパートナーシップストレングスモデルが特に重要視するのは『当事者と支援者の対等なパートナーシップ』です。専門職が上から『支援してやる』のではなく、当事者が自らの人生の主役として決定・行動できるよう、側面から支えるという姿勢が求められます。ケースマネジャーは傾聴・承認・共感のスキルを磨くとともに、自らの無意識のバイアスや『問題視』する癖を絶えず振り返ることが必要です。
ACT

ACT(包括型地域生活支援)――最も集中的なケースマネジメント

ACT(Assertive Community Treatment:包括型地域生活支援プログラム)は、ケースマネジメントの最も集中的・包括的な形態の一つです。重篤な精神障害(統合失調症・双極性障害・重症うつ病など)を持つ人々が、入院に頼らず地域社会で生活を継続できるように、多職種チームによる24時間365日の訪問型支援を提供するモデルです。

👥
多職種チームアプローチ
精神科医・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・就労支援専門員・ピアサポーターなどが一つのチームを構成します。
🏠
アウトリーチ(訪問)中心
オフィスでの面談ではなく、当事者の自宅や生活の場に出向いて支援を提供します。
📞
高頻度の接触
必要に応じて週複数回、日常的なレベルでの濃密な関わりが可能です。
📊
小さい利用者対スタッフ比
スタッフ一人あたりの担当者数は10人以下と定められており、濃密な支援を実現します。
🚨
危機対応機能
精神状態の悪化・自傷他害のリスクに24時間対応できる体制を持ちます。

ACTの有効性は多くのランダム化比較試験(RCT)によって実証されており、次のような効果が確認されています。

入院日数の削減
住居の安定
就労率の向上
生活の質(QOL)の改善
当事者満足度の向上
従来サービスから脱落しやすい重篤・複雑なニーズを持つ人への高い有効性

日本では、国立精神・神経医療研究センターが『ACT-J』として日本への導入研究を進めており、2000年代以降いくつかの地域で実施されています。千葉・東京・福岡などの一部地域でACTモデルを採用したサービスが展開されており、その実践から日本独自の課題(多機関連携の困難さ・診療報酬体系との不整合・人材確保の問題など)も明らかになっています。2024〜2025年の制度改革においても、地域移行・地域定着支援の強化策としてACT的要素を取り入れた訪問型支援の拡充が議論されています。

ケースマネジメントとACTの違いケースマネジメントが『サービスの仲介・調整』を主機能とするのに対し、ACTは『直接的な支援サービスの提供』そのものをチームが担う点が異なります。ただし、ACTはケースマネジメントの集中型モデルと位置づけられており、アセスメント・プランニング・モニタリング・危機対応などのケースマネジメント機能を内包しています。
INDIVIDUAL SUPPORT PLAN

個別支援計画(ISP)の作り方

個別支援計画(Individual Support Plan: ISP)は、ケースマネジメントの中核文書であり、当事者の支援に関わるすべての関係者が共有する『支援の設計図』です。障害者総合支援法では『サービス等利用計画』として制度化されており、相談支援専門員が作成の責任者となります。

5つのステップ

インテークから見直しまでの流れ

STEP 1
インテーク(受理・初回面談)
相談に至った経緯・主訴・緊急度・基本的な情報(年齢・家族構成・生育歴・医療歴など)を把握します。同時に、当事者が『何を望んでいるか』『どんな生活を送りたいか』を丁寧に聴き取ることが重要。信頼関係の構築はこの段階から始まります。
関係構築の起点
STEP 2
包括的アセスメント
①精神症状・医療状況、②身体的健康、③日常生活スキル、④コミュニケーション能力、⑤社会的ネットワーク、⑥経済・住居、⑦就労・教育、⑧余暇・趣味・関心、⑨家族・人間関係、⑩本人の強み・資源、⑪本人の価値観・文化的背景を多面的に評価。GAF・HoNOS・ストレングスアセスメントシートなどの標準化ツールも活用します。
11領域を評価
STEP 3
目標設定とニーズ整理
SMART原則(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限付き)に基づいて目標を立てます。例えば『就職する』ではなく『6か月以内に週3日・4時間の就労を開始する』のように、具体的で達成度が確認できる形にする。当事者の優先順位を最大限尊重します。
SMART原則
STEP 4
支援計画の作成と合意
目標達成のために必要なサービス・支援内容・担当者・実施頻度・開始時期を計画書に記載。サービス担当者会議を開き、当事者・家族・関係機関が内容を共有し合意を得ます。わかりやすい言葉で説明し、署名による同意を得るプロセスを丁寧に行います。
署名による同意
STEP 5
実施・モニタリング・見直し
計画に基づいた支援を実施しながら、月1回以上のモニタリングを行います。目標の達成度・サービスの適切性・状態変化・新たなニーズの出現を確認し、必要に応じて修正。原則6か月ごとに更新しますが、状態変化時は随時見直します。
原則6か月ごと更新
💡
計画は『生きた文書』計画は原則として6か月ごとに更新しますが、状態が大きく変化した際には随時見直しを行います。一度作って終わりではなく、当事者の人生とともに動き続ける『生きた文書』であることが大切です。
COORDINATION

医療・福祉・住まい・就労の総合調整

ケースマネジメントの最大の特徴は、精神科医療という一つの専門領域に閉じることなく、生活全体を支援の対象とする包括性にあります。医療・福祉・住まい・就労・経済の5領域を有機的につなぎます。

5領域

生活を支える5つの調整領域

当事者が地域で安定した生活を送るためには、医療・福祉・住まい・就労・家族・社会参加のすべての領域にわたる支援が必要であり、ケースマネジャーはこれらを総合的に調整する役割を担います。タブを切り替えて各領域の詳細を確認してください。

医療との連携
精神科・心療内科の受診継続・服薬管理・病状モニタリングは支援の基盤です。主治医との情報共有を密にし、受診の中断や服薬の自己判断中止といった危険信号をいち早くキャッチします。精神科訪問看護との連携により、自宅での服薬管理・生活リズムの調整・精神状態の観察を日常的に行うことが可能。自立支援医療制度(精神通院医療)の利用促進も重要な調整業務です。
主治医との情報共有・危険信号の早期察知
精神科訪問看護による日常的な服薬・生活支援
自立支援医療制度(精神通院医療)の申請支援
受診中断・服薬中止リスクへの対応
CRISIS INTERVENTION

危機介入とケースマネジメント

精神状態の急激な悪化・自殺念慮・自傷行為・他者への暴力・生活破綻など、当事者の安全や生活が脅かされる状況に迅速かつ適切に対応するプロセスです。予防と即応の両輪で取り組みます。

クライシスプラン

危機の予防:クライシスプランの作成

ケースマネジメントでは、危機が生じる前に当事者と共に『クライシスプラン(危機対応計画)』を作成することが推奨されます。当事者自身が自分の危機パターンを理解し、対処の主体となるという視点が重要です。

自分の危機のサイン
早期警告サイン(不眠の増加・食欲変化・引きこもり・発言内容の変化・服薬中断など)を本人が自覚できるよう言語化します。
🧘
自分でできるコーピング
危機時に自分でできる対処戦略(呼吸法・人に話す・受診を早める等)を事前にリスト化しておきます。
📱
連絡してほしい人
家族・友人・支援者など、危機時に連絡してほしい人とその連絡先を明記します。
🏥
受診先・緊急連絡先
主治医・精神科救急・よりそいホットラインなど、緊急時の連絡先を一覧化しておきます。
📝
入院時の希望・事前指示
入院が必要な場合の希望(任意入院/医療保護入院の意向、希望する病院など)を記載します。
早期警告サイン

再発・悪化を察知する前兆

再発・悪化の前兆となる早期警告サインを当事者・家族と共有し、異変を早期に察知する体制を整えることが再入院予防に重要です。ケースマネジャーは定期的なモニタリングを通じてこれらのサインを注意深く観察します。

不眠の増加
食欲変化
引きこもり傾向の強まり
発言内容の変化
服薬中断
危機時の対応

実際に危機が生じた場合の7ステップ

危機への対応は孤立して行うべきではなく、スーパービジョンを活用しながらチームで取り組むことが基本です。

STEP 1
状況の安全確認
当事者・周囲の安全を最優先で確認します。
STEP 2
当事者への共感的関与
批判せず、苦しみに寄り添う姿勢で関わります。
STEP 3
緊急度のアセスメント
自傷・他害のリスクを評価します。
STEP 4
主治医・精神科救急との連携
必要な医療資源につなげます。
STEP 5
必要に応じた入院調整
任意入院・医療保護入院の検討を行います。
STEP 6
家族への連絡と支援
家族にも情報共有し、家族の心理的支援も行います。
STEP 7
危機後のフォローアップ
再発防止と関係修復のための継続的関わりを行います。
精神科救急

精神科救急との連携

日本では、精神科救急情報センターが各都道府県に設置されており、精神科救急電話相談・時間外の受診先紹介などの機能を担っています。ケースマネジャーは平時からこれらの情報を把握し、当事者・家族に共有しておくことが重要です。2024年の精神保健福祉法改正では、地域の精神保健相談窓口の充実が求められており、危機時の相談先が一層整備されつつあります。

🚨
希死念慮を打ち明けられたら『死にたい』と打ち明けられたときは、軽視せず真剣に受け止めてください。すぐに主治医に連絡するか、いのちの電話:0120-783-556(24時間・無料)などの相談窓口を活用してください。一人で抱え込まないことが最も重要です。
JAPAN SYSTEM

日本における制度とケースマネジメント

日本のメンタルヘルス領域でケースマネジメントを担う制度・機関は複数存在し、それぞれが異なる役割を持ちながら連携することが求められています。

6つの制度・機関

ケースマネジメントを支える日本の制度

📋
相談支援専門員
障害者総合支援法に基づく制度的なケースマネジャー。『計画相談支援』においてサービス等利用計画の作成・モニタリングを担い、『地域移行支援』(入院中の精神障害者が地域生活に移行するための支援)や『地域定着支援』(地域生活が不安定な精神障害者への緊急対応)も担当。福祉・保健・医療の実務経験(3〜5年)と、相談支援従事者初任者研修(5日間)の修了が必要です。
👩‍⚕
精神科訪問看護
精神科病院または精神科訪問看護ステーションから看護師・精神保健福祉士・作業療法士が当事者の自宅を訪問し、服薬管理・病状観察・生活支援・家族への教育的関与を行うサービス。診療報酬上の『精神科訪問看護・指導料』が設定されており、医師の指示のもとで実施。ケースマネジメント機能を色濃く持ち、特にACTにおいて重要な役割を担います。
🏛
精神保健福祉センター
各都道府県・政令市に設置。精神保健・精神障害者の福祉に関する専門的相談・指導・知識の普及・研究・研修などを担う機関。市町村の相談支援機能のバックアップ・複雑困難なケースへの対応・地域移行支援の推進などでケースマネジメントを支えます。
🏢
基幹相談支援センター
市区町村に設置される地域の相談支援の中核機関。①総合的・専門的な相談支援、②地域の相談支援体制の強化・人材育成、③地域移行・地域定着の推進、④権利擁護・虐待防止の四つの機能を担います。複雑なニーズを持つケースの対応や相談支援専門員へのスーパービジョン提供を通じ、地域全体のケースマネジメント機能の底上げを担当。
🌳
精神障害にも対応した地域包括ケアシステム
2017年以降、厚生労働省が推進。住まい・医療・福祉・就労・地域のつながりが有機的に機能するネットワークを構築し、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしを送れることを目指します。市町村・相談支援事業所・医療機関・精神保健福祉センターが協働する体制づくりが全国で進行中です。
💊
自立支援医療制度(精神通院医療)
精神疾患で通院治療を継続している人が、医療費の自己負担を通常の3割から原則1割(所得に応じてさらに軽減)に引き下げられる公的制度。ケースマネジャーは、当事者が医療を継続するための経済的サポートとしてこの制度の申請を積極的に支援します。
連携が要これらの制度・機関は、それぞれ単独で機能するのではなく、互いに補完し合うことで初めて『精神障害にも対応した地域包括ケアシステム』が成立します。当事者の暮らしの中で、誰がどの場面で関わるかを整理しておくことが、安定した支援につながります。
EFFECTS & CHALLENGES

ケースマネジメントの効果と課題

多数の研究・実践から多角的に効果が実証されている一方、日本では人材・連携・主体性・地域移行・アウトリーチの5つの課題が残されています。

7つの効果

ケースマネジメントが生む変化

ケースマネジメントの効果は、多数の研究・実践から多角的に実証されています。特にACTによる集中的ケースマネジメントは、従来の外来医療だけでは対応困難な重篤・複雑なケースにおいて顕著な効果を示すことが確認されています。

🛌
入院日数・入院回数の減少
地域での継続支援により、再入院や長期入院を防ぎます。
🏘
地域生活の継続期間の延長
住居・医療・福祉のつながりが生活の安定を支えます。
生活の質(QOL)の向上
自分らしい生活を取り戻すリカバリーを後押しします。
💼
就労率の改善
就労支援との連携により働く機会が広がります。
😊
当事者・家族の満足度向上
包括的な支援が安心感と信頼関係を生みます。
💴
医療費・社会的コストの削減
再入院や危機対応の減少が公的コストを下げます。
🛟
ホームレス・刑事司法接触の減少
住まいの安定と支援継続が孤立化を防ぎます。
5つの課題

日本における課題

一方で、日本のケースマネジメントには多くの課題も存在します。

課題 1
人材不足
相談支援専門員の数は増加していますが、質の高いケースマネジメントを担える人材の養成には体系的なスーパービジョン体制と継続的な研修機会が必要。多くの市町村で慢性的な人手不足が続き、一人のケースマネジャーが抱えるケース数が多すぎるという問題があります。
課題 2
機関連携の困難さ
日本では医療と福祉・介護の制度的分断が大きく、情報共有の壁・縦割り行政の弊害・診療報酬と介護報酬・障害福祉サービス報酬の分断が包括的支援の実現を阻んでいます。医療機関における退院支援・地域連携機能の強化が急務です。
課題 3
当事者主体の実現の難しさ
制度上は『本人中心』が強調されていても、実際には当事者の意向よりも支援者の判断が優先されがちな場面も少なくありません。重篤な精神状態にある場合や、インフォームドコンセントが難しい状況での『本人主体の支援』をどう実現するかは難しい倫理的問題を含みます。
課題 4
長期入院者の地域移行の遅れ
日本には依然として数万人規模の長期入院精神障害者が存在しており、その地域移行を進めるためのケースマネジメント体制の整備が急がれます。退院後の住居確保・生活支援・地域での孤立防止のための支援がまだ十分ではない地域が多く残っています。
課題 5
アウトリーチ(訪問型支援)の不足
支援につながっていない未治療・治療中断・ひきこもり状態にある精神障害者へのアプローチは、来談を待つだけの支援では困難です。積極的アウトリーチを可能にする制度的・財政的基盤の整備が課題となっています。
権利擁護

利用者の主体性と権利擁護(アドボカシー)

ケースマネジメントの実践において、当事者の主体性の尊重と権利擁護(アドボカシー)は最も根幹的な価値です。精神障害者は、社会的偏見・スティグマ・制度的な力の不均衡により、自己決定の機会を奪われやすい立場にあります。ケースマネジャーは、この不均衡を意識しながら、当事者が自らの声を持ち、自分の人生を自分で決める力(エンパワーメント)を育む支援を行います。

セルフアドボカシーの支援
当事者が自分自身の権利・ニーズ・希望を自ら発信し、必要な支援を求める力。医師や福祉サービス担当者との会議で自分の意見を述べられるよう準備を支援し、必要に応じて場に同席して代弁したり、意見が尊重されるよう促したりします。自己決定を妨げる過保護的・父権主義的な関わりを意識的に避けることが重要です。
ピアサポートとの連携
同じ精神疾患・精神障害を経験した仲間(ピア)がサポーターとして関わるピアサポートは、ケースマネジメントの重要な資源です。『同じ経験をした人がリカバリーしている』という事実は、当事者に希望と可能性をもたらします。ピアサポーターはACTチームに加わったり、当事者会・自助グループを通じて支援に関わったりします。日本でも2021年以降、精神障害ピアサポート専門員の資格化・制度化の議論が進行中です。
成年後見制度との関係
判断能力が低下した精神障害者の財産管理・契約行為を支援する法的な仕組み。市区町村の成年後見利用促進担当部署や、法定後見・任意後見・日常生活自立支援事業(旧地域福祉権利擁護事業)といった制度を紹介・連携します。後見人の過度な関与が当事者の自己決定を損なう事例もあり、権利擁護と保護の均衡を慎重に保つことが求められます。
スティグマへの対抗
精神疾患に対する社会的偏見・スティグマは、当事者が適切な支援を求めることを妨げ、社会参加の機会を制限する大きな障壁です。当事者が自らの病気や障害を否定的に内在化した『セルフスティグマ』からの解放を支援するとともに、地域・職場・教育機関などへの啓発活動(パブリック・アドボカシー)を通じて社会全体の理解促進に貢献します。
FUTURE

ケースマネジメントの今後と展望

精神科ケースマネジメントは今後も発展が求められる分野であり、デジタル技術・リカバリー志向・多様性・家族支援という4つのトレンドが今後の方向性を示しています。

4つのトレンド

未来のケースマネジメントを形作る潮流

TREND 1
💻 デジタル技術の活用
ICT・AIの活用は、ケースマネジメントの効率化と質の向上に貢献する可能性を持ちます。電子ケア記録システム・スマートフォンアプリによる症状モニタリング・オンライン面談の活用・AIによる危機予測などが実証研究の対象。ただしデジタル技術は対面での関係形成を補完するものであり代替するものではないという原則は変わりません。高齢者・情報リテラシーが低い当事者がデジタル化から取り残されないよう配慮が必要です。
TREND 2
🌟 リカバリー志向の強化
『症状の管理』から『自分らしい人生の実現』へという価値転換は、今後のケースマネジメントをより深くリカバリー志向のものにしていきます。希望・アイデンティティ・意味・地域参加を中心に据えた『リカバリーカレッジ』の普及、WRAP(元気回復行動プラン)などの当事者主体のセルフマネジメントツールの活用など、支援の重心が当事者のエンパワーメントへとシフトしています。
TREND 3
🌏 多様なニーズへの対応
精神疾患と認知症・発達障害・依存症・身体疾患の重複(コモービディティ)、外国籍の方や文化的背景の異なる当事者への対応、性的マイノリティ(LGBTQ+)のメンタルヘルス支援など、多様なニーズへのケースマネジメントの適応と専門性向上が求められています。ジェンダー・文化的安全性に配慮した実践が今後ますます重要になります。
TREND 4
👨‍👩‍👧 家族支援の充実
精神障害者を支える家族自身も、高い精神的負担・情報不足・社会的孤立という困難を抱えることが多いです。当事者本人だけでなく家族を一つのシステムとして捉え、家族への教育・情報提供・相談支援・家族会へのつなぎを行う包括的なアプローチが求められます。家族もまた支援を受けるべき存在であることを専門職全体が認識することが重要です。
価値観の共有こそが基盤ケースマネジメントは、精神障害を持つ人が『病院の中での生活』ではなく『自分の選んだ場所での自分らしい生活』を実現するための、不可欠な支援の枠組みです。制度・財源・人材のすべての面での充実とともに、その根底にある『一人ひとりの尊厳と可能性を信じる』という価値観の共有が、今後の展開を支える基盤となるでしょう。
FAQ

よくある質問

ケースマネジメントについて寄せられることの多い7つの質問にお答えします。

Q1

ケースマネジメントとケアマネジメントは同じものですか?

『ケースマネジメント』と『ケアマネジメント』は、文脈によって使い分けられることがありますが、基本的な概念はほぼ同義です。日本では介護保険制度のもとで『ケアマネジメント』という言葉が広く使われており、介護支援専門員(ケアマネジャー)がその実践者です。一方、精神保健・障害福祉の分野では『ケースマネジメント』が使われることが多く、相談支援専門員や精神保健福祉士がその役割を担います。いずれも、複合的なニーズを持つ人が必要なサービスを統合的に受けられるよう調整・支援するプロセスという意味では共通しています。

Q2

ケースマネジャーにはどうすればなれますか?

精神保健福祉領域でのケースマネジャーになるための明確な単一資格は日本にはありませんが、相談支援専門員として働くためには、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・医師・看護師など指定の国家資格または実務経験(福祉・保健・医療分野での3〜5年)を持つことが前提です。その上で、都道府県が実施する『相談支援従事者初任者研修(5日間)』を修了する必要があります。実践の場ではスーパービジョンへの参加・事例検討・現任研修を継続的に受けることが、専門性向上のために不可欠です。精神科訪問看護師や病棟の退院支援担当者としてケースマネジメント機能を担う場合は、各職種の資格が前提となります。

Q3

家族から『本人がケースマネジャーに会いたがらない』と相談されました。どうしたらよいですか?

支援を受けることへの抵抗感や拒否は、精神障害のある方において珍しいことではなく、スティグマ・過去の支援への不信・『助けを必要としない』という尊厳の感覚などが背景にあることが多いです。まず『来てもらう』ことを目標にするのではなく、家族を通じた間接的な関わり・手紙・電話・地域のイベントへの参加といった方法から関係を築くアウトリーチ的アプローチが有効です。また、家族自身への相談支援も重要であり、家族が適切な距離感を保ちながら関われるよう、家族教育・家族会への紹介を行います。急いで『引き込もう』とせず、本人のペースを尊重しながら継続的に関わり続けることがケースマネジメントの基本姿勢です。

Q4

個別支援計画(サービス等利用計画)は必ず作らなければなりませんか?

障害者総合支援法のもとで介護給付・訓練等給付を受けるためには、サービス等利用計画の作成が義務付けられています(2015年度から完全義務化)。相談支援専門員が作成する『計画相談』が理想ですが、相談支援事業所が不足している地域では、本人・家族が自ら作成する『セルフプラン(自己作成計画)』が認められる場合もあります。サービスを利用していない場合でも、支援機関が独自の書式でケア計画を作成して活用することは有益であり、特にACTや地域移行支援において個別支援計画の作成は実践の核心をなします。計画があることで、支援の方向性と役割分担が明確になり、当事者・支援者双方にとって安心感につながります。

Q5

ACTを受けるにはどうすればよいですか?

ACT(包括型地域生活支援プログラム)は、重篤な精神障害のある方で、従来のサービスだけでは地域生活の維持が困難な方を対象としています。日本ではACTを実施している機関は限られており、千葉・東京・大阪・福岡などの一部地域に集中しています。利用を希望する場合は、まず主治医・精神科相談員・精神保健福祉士・相談支援専門員などに相談し、地域にACTが存在するかどうかを確認することが第一歩です。精神保健福祉センターや基幹相談支援センターに問い合わせると、地域の資源に関する情報を得ることができます。ACTがない地域では、精神科訪問看護・集中的相談支援・地域活動支援センターの組み合わせによって類似した支援を構築することも検討されます。

Q6

ケースマネジャーを変更することはできますか?

はい、ケースマネジャー(相談支援専門員など)の変更は可能です。支援関係は信頼を基盤とするため、どうしても相性が合わない・価値観の違いが大きい・支援内容に納得できないという場合は、変更を申し出る権利が当事者にはあります。変更を希望する場合は、相談支援事業所の管理者・基幹相談支援センター・市区町村の担当窓口などに相談してください。『担当者を変えてほしい』と伝えることへの遠慮を感じる方も多いですが、より良い支援関係を構築することは回復への近道であり、遠慮なく要望を伝えることは当事者の正当な権利です。変更が難しい場合は、セカンドオピニオン的に別の機関の意見を聞くことも選択肢の一つです。

Q7

ケースマネジメントを受けることで、プライバシーは守られますか?

ケースマネジメントにおいても個人情報・プライバシーの保護は最重要原則の一つです。相談支援専門員・精神保健福祉士・看護師などの専門職は、職務上知り得た情報に関する守秘義務を法律で課せられています。複数の機関が連携する場合に情報を共有する際には、原則として本人の同意を得ることが必要です。個別支援計画の内容・医療情報・生活状況などが、本人の同意なく第三者(家族を含む)に伝えられることはありません。ただし、自傷他害の危険が切迫している場合など、例外的に緊急通報が必要なケースもあります。支援を受ける前に『どのような情報をどこと共有するか』について、担当者と確認・合意しておくことが望ましいです。

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このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。

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