児童虐待とは?
4類型・サイン・通告(189)・影響・支援制度・親自身のケアまでわかりやすく解説
児童虐待は『特別な家庭の問題』ではなく、社会全体で向き合うべき課題です。法律上の定義、4つの類型、見逃されやすいサイン、通告の具体的な方法、子どもへの長期的な影響、利用できる支援制度、そして親自身のケアまで——必要な情報をすべてここにわかりやすくまとめました。
児童虐待(子ども虐待)とは
児童虐待とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人、その他現に児童を監護する者)が、18歳未満の子どもに対して行う『身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待』の4類型の行為をいいます。令和5年度の相談対応件数は過去最多の225,509件。もはや『特別な家庭の問題』ではありません。
法律上の定義と、しつけとの線引き
児童虐待は『児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)』第2条で定義されており、保護者が子どもに対して行う①身体的虐待、②性的虐待、③ネグレクト、④心理的虐待の4つの行為を指します。ここで重要なのは、『親の意図』ではなく『子どもの視点・結果』で判断される点です。保護者が『しつけのつもり』であっても、結果として子どもが怪我をしたり恐怖や屈辱を感じたりすれば、それは虐待に該当します。2020年4月の児童福祉法・児童虐待防止法改正により、親権者による体罰は明確に禁止されました。『言うことを聞かないから叩く』ことは、もはや法律上許されません。
令和5年度の相談対応件数は過去最多の22.5万件
こども家庭庁が2025年3月に公表した最新統計では、令和5年度(2023年度)中に全国の児童相談所が対応した児童虐待相談は225,509件で、前年度から10,666件(5.0%)増加し、統計開始以来33年連続で過去最多を更新しました。平成2年度の1,101件と比較すると、およそ200倍の件数です。相談件数の増加は必ずしも虐待そのものが増えたことだけを意味せず、社会の関心が高まり通告につながりやすくなった側面もあります。
児童虐待対策の歴史——『子どもは親のもの』から『子どもの権利』へ
日本で児童虐待防止法が制定されたのは2000年です。それまで児童虐待は『家庭内のしつけの問題』とされ、法的な介入は困難でした。2000年の法制定以降、制度は段階的に強化されてきました。
- 2000年:児童虐待防止法施行。4類型を初めて法律で定義
- 2004年:通告義務の対象を『虐待を受けたと思われる児童』に拡大。面前DVを心理的虐待に追加
- 2007年:児童相談所の立入調査・臨検捜索権限を強化
- 2016年:児童福祉法理念改正。『子どもの最善の利益』『意見表明権』を明記
- 2019年:親権者の体罰禁止の方向性を明記
- 2020年4月:改正児童福祉法・児童虐待防止法施行。親権者の体罰が法的に禁止
- 2023年4月:こども家庭庁発足。児童虐待対応の司令塔が厚労省から移管
- 2024年4月:改正児童福祉法で『こども家庭センター』設置の努力義務化
児童虐待の4類型
児童虐待防止法では、虐待を身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待の4類型に分類しています。それぞれの類型は独立しているわけではなく、実際には複数が同時に起きていることも少なくありません。
4類型の割合と特徴
令和5年度の相談対応件数22.5万件を類型別にみると、心理的虐待が約6割、身体的虐待が約2割、ネグレクトが約16%、性的虐待が約1.3%となっています。心理的虐待が突出して多いのは、面前DVが心理的虐待としてカウントされるためです。性的虐待は表面化しにくく、実数はこの数倍と推計されます。
各類型の定義と具体例
タブを切り替えて、各類型の詳細と具体例を確認してください。どれか1つでも当てはまれば児童虐待として対応されます。
殴る・蹴る・投げ落とす・激しく揺さぶる・やけどを負わせる・溺れさせる・首を絞める・異物を飲ませる・戸外に締め出す・縄などで拘束する、など『生命・身体に危険を及ぼす行為』を指します。しつけの名のもとに行われていても、子どもの身体に傷や恐怖が残る行為はすべて身体的虐待に該当します。『乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)』は命に関わる重大な虐待であり、泣き止まない赤ちゃんを激しく揺さぶることで発生します。
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、ポルノグラフィの被写体にする、性器や胸を触らせる・触るなど、子どもを性的対象として扱うすべての行為が含まれます。発見が極めて難しく、表面化する件数は全体の1〜2%と少ないものの、実際の発生数はその数倍にのぼると推測されています。家庭内で発生するケースも多く、加害者が身近な大人であるため子どもが『話してはいけないこと』と認識し、長期間隠されがちです。
食事・衣類・住環境・医療・教育など、子どもが生きていくうえで必要な世話を保護者が怠る行為です。『しないこと』による虐待のため外から見えにくいのが特徴ですが、子どもの発育・健康・命に直結します。ひどい汚れのまま放置する、病気やけがでも病院に連れて行かない、学校に通わせない、乳幼児を家に置いたままパチンコや夜遊びに出かける、車中に放置するといった行為が含まれます。『気づかぬうちに重症化し、命を落とす』事例が最も多いのがネグレクトです。
言葉による脅し・無視・きょうだい間での差別的扱い・子どもの目の前で家族に暴力を振るう行為(面前DV)などを指します。近年、面前DVが心理的虐待として通告されるようになった影響で、この類型は最も件数が多くなっています。身体に傷が残らないため軽く見られがちですが、子どもの脳の発達・愛着形成・自己評価に深刻な影響を及ぼし、うつ病・不安障害・PTSDのリスクを長期にわたって高めます。
- 拳・平手・道具で殴る
- 熱湯・アイロンでやけどをさせる
- 乳児を激しく揺さぶる
- ベランダや戸外に締め出す
- 首を絞める・口をふさぐ
- 縛る・閉じ込める
- 食事を与えない(身体的苦痛を伴う)
- 子どもへの性交・性交類似行為
- 性器や胸を触る・触らせる
- 子どもにポルノを見せる
- 子どもを裸にして撮影する
- 入浴や就寝時に不必要な接触をする
- きょうだい間の性的行為を黙認する
- 食事を十分に与えない
- 季節に合った衣服を与えない
- 入浴させず極度に不衛生な状態
- 病気・けがの治療を受けさせない
- 乳幼児を長時間ひとりで放置する
- 車中に置き去りにする
- 学校に通わせない
- 同居人からの虐待を止めない
- 『お前なんか生まれてこなければよかった』と繰り返し言う
- 子どもを無視する(サイレントトリートメント)
- きょうだい間で著しい差別をする
- 子どもの目の前で配偶者に暴力を振るう(面前DV)
- ペットを虐待して見せる
- 子どもの自尊心を傷つける侮辱を繰り返す
- 子どもを脅して支配する
児童虐待のサイン
虐待は家庭という閉じた空間で起きるため、周囲の『気づき』が子どもの命を守る最大の鍵になります。身体のサイン・心のサイン・保護者のサイン——3つの視点から確認しましょう。
子どもの身体・心・保護者の様子
下のタブを切り替えて、身体に現れるサイン・心に現れるサイン・保護者側のサインを確認してください。1つだけで判断せず、『複数のサインが重なる』『時間が経っても続く』場合は、通告や相談を検討してください。
子どもの身体・心・保護者の様子
下のタブを切り替えて、身体に現れるサイン・心に現れるサイン・保護者側のサインを確認してください。1つだけで判断せず、『複数のサインが重なる』『時間が経っても続く』場合は、通告や相談を検討してください。
子どもの身体・心・保護者の様子
下のタブを切り替えて、身体に現れるサイン・心に現れるサイン・保護者側のサインを確認してください。1つだけで判断せず、『複数のサインが重なる』『時間が経っても続く』場合は、通告や相談を検討してください。
『おかしいな』と感じたときに最初にすること
サインに気づいたとき、まず必要なのは『確証を得ること』ではなく、『安全な大人のネットワークに情報を渡すこと』です。あなたが抱え込む必要はありません。
児童虐待の背景とリスク要因
虐待が起きる家庭には、決して『悪い親』という単純な図式では説明できない、複数の要因の重なりがあります。子ども側・保護者側・家庭環境・社会制度の4領域から理解することが、予防と支援の出発点です。
4つの領域から見るリスク要因
どれか1つのリスクがあるから虐待が起きるのではなく、複数のリスクが重なることで発生リスクが高まります。逆にいえば、1つずつリスクを取り除く支援(経済支援・育児支援・精神医療など)が積み重なることで、虐待は予防できます。
子ども自身の要因が虐待を誘発することは決してありませんが、育児負担を増やしやすい特性が存在すると、保護者のストレスが大きくなりやすいため、周囲のサポートがより必要になります。
保護者自身が過去に虐待を受けた経験がある、精神的に不安定である、アルコール・薬物依存がある、若年妊娠である、望まない妊娠であったなどの要因が複合的に関与します。虐待は『どこにでも起こりうる』ものであり、保護者を責めることよりも支援につなげることが重要です。
経済的困窮、社会的孤立、夫婦関係の不和、DV、転居の繰り返しなどは虐待発生率を大きく高めます。特に『サポートしてくれる人がいない』『相談する相手がいない』という孤立は、最も強いリスク要因のひとつです。
育児支援サービスへのアクセス不足、保育園の入園待機、地域コミュニティの希薄化、長時間労働、相談窓口の認知不足など、社会全体の構造的な問題も背景にあります。個々の家庭だけの責任ではなく、社会全体で支えるべき課題です。
- 乳児(特に3歳未満)
- 未熟児・多胎児
- 発達の遅れや障害
- 慢性疾患・医療的ケア児
- 育てにくさを感じさせる気質
- 夜泣き・かんしゃくが激しい
- 被虐待経験(世代間連鎖)
- 精神疾患・うつ状態
- アルコール・薬物依存
- 望まない妊娠・若年妊娠
- 産後うつ
- 知的障害・発達特性
- 過去の育児失敗経験
- 経済的困窮・失業
- 社会的孤立(頼れる人がいない)
- 夫婦間の不和・DV
- ひとり親家庭
- 頻繁な転居
- 内縁関係・ステップファミリー
- 近隣とのトラブル
- 保育園・一時預かりの不足
- 長時間労働・休暇の取りにくさ
- 地域コミュニティの希薄化
- 育児支援サービスの認知不足
- 相談窓口につながりにくい
- 経済格差の拡大
世代間連鎖——断ち切ることはできる
虐待を受けて育った人が、自分の子どもにも虐待してしまう『世代間連鎖』は研究で確認されています。ただし、連鎖するのはおよそ3分の1で、残りの3分の2は連鎖を断ち切っています。連鎖を断ち切る要因として、次のようなものが報告されています。
- 子ども時代に『信頼できる大人』が1人でも存在した経験
- パートナーが安定した安全基地になってくれている
- 自分の被虐待体験を専門家と言語化し、統合できている
- 産後の支援・保健師の訪問・地域の支援につながっている
- 精神疾患・依存症などの併存問題が適切に治療されている
児童虐待が子どもに与える影響
児童虐待は『今の苦しみ』にとどまらず、脳の発達・愛着形成・精神疾患リスク・学業・身体疾患と、生涯にわたる広範な影響を及ぼします。同時に、適切な支援があれば回復も可能です。
脳・心・身体・人生への影響
福井大学の友田明美教授らの脳科学研究により、虐待体験は子どもの脳の構造と機能そのものに変化をもたらすことが明らかになっています。『心の傷』という比喩的な表現ではなく、物理的な脳の変化として影響が現れます。
継続的な虐待は子どもの脳の構造と機能に長期的な影響を与えることが、友田明美教授らの研究で明らかになっています。身体的虐待を受けた子どもでは前頭前野の体積が約19%減少し、性的虐待では視覚野の体積減少、心理的虐待では聴覚野の肥厚、面前DVを見続けた場合は視覚野の体積が約6%減少します。これらの変化は、脳が『痛みから身を守る』ために適応した結果と考えられています。
虐待を受けた子どもは、本来安心基地となるべき保護者が恐怖の対象となるため、安定した愛着を形成できません。その結果、反応性愛着障害や脱抑制型対人交流障害といった愛着障害が生じることがあります。大人になっても人との距離感がつかめない、対人関係が不安定になる、自分を大切にできないといった影響が続きます。
成人後のうつ病、不安障害、PTSD、境界性パーソナリティ障害、解離性障害、物質使用障害などの発症リスクが大きく高まります。ACE(幼少期の逆境体験)研究では、ACEスコアが4以上の人は、0の人と比べてうつ病リスクが約4.6倍、自殺企図リスクが約12.2倍になると報告されています。
慢性的なストレス下では記憶・注意・情動制御が障害されるため、学業成績が振るわない、授業に集中できない、対人トラブルを繰り返すといった形で現れます。成人後も就業の維持が困難になったり、生活保護を受給する確率が高まるなど、社会生活全般に影響が及びます。
虐待を受けて育った人の約3分の1が、自分の子どもに対して虐待をしてしまう可能性があるとされます。ただし、『3分の2は連鎖しない』点も重要です。適切な支援・治療・信頼できる人との出会いによって連鎖は断ち切れます。『自分も親のようになってしまうのでは』と不安な方は、ぜひ早めに専門家に相談してください。
虐待によるストレスは免疫系・内分泌系にも影響し、成人後の心疾患・糖尿病・がん・慢性疼痛などの身体疾患リスクも高まります。幼少期の逆境体験は『生涯にわたる健康課題』として認識されつつあります。
回復は可能——『信頼できる大人が一人』が鍵
虐待の影響は深刻ですが、決して『取り返しがつかない』わけではありません。研究では、回復のプロセスを支える最大の要因として次の3つが挙げられています。
通告・189の使い方
『児童相談所虐待対応ダイヤル 189(いちはやく)』は、24時間365日無料で使える全国共通ダイヤルです。通告は誰にでもできる行為であり、確証がなくても、匿名でも可能です。
通告から安全確認までの流れ
『虐待を受けたと思われる児童』を発見した人には、児童虐待防止法第6条により通告義務があります。対象は専門職だけでなく、一般の人・近隣住民・親族すべてです。以下が標準的な流れです。
いつ・どこで・何を見たか・誰がいたか・どんな様子だったかを記録しておきます。確信が持てなくて構いません。『気のせいかもしれない』と思う段階でも、記録が残っていると後で役立ちます。
観察・記録24時間365日、通話料無料。スマートフォンからもかけられます。自動的に近くの児童相談所につながります。匿名での通告も可能で、通告した人の情報は保護者には知らされません。
通告は義務・匿名OK『今まさに殴られている』『子どもの命が危険』と感じる状況では、迷わず警察(110)や救急(119)に通報してください。身体的虐待の疑いがあるときは、警察が安全確認を優先します。
緊急時通告を受けた児童相談所は48時間以内に子どもの安全確認を行うことが原則です(48時間ルール)。必要に応じて家庭訪問・学校訪問・面接を行い、一時保護の要否を判断します。
48時間以内に安全確認通告にまつわる4つの誤解
通告をためらわせる原因の多くは、制度への誤解です。ここで代表的な4つを整理します。
→ 構いません。児童虐待防止法第6条は『虐待を受けたと思われる児童を発見した者』に通告義務を課しています。『疑い』の段階で通告することが法律で認められており、確証は不要です。結果的に虐待でなかったとしても、通告者が責任を問われることはありません。
→ 通告者の情報は守秘義務により保護者には伝わりません。児童相談所・市町村窓口ともに、通告者が特定されないよう細心の注意を払って対応します。匿名通告も可能です。
→ 児童虐待は『しつけ』でも『家庭の問題』でもありません。2020年の児童虐待防止法改正により、親権者が子どもに体罰を加えることは法律で禁止されています。子どもの人権を守るのは社会全体の責任です。
→ 子どもに怒鳴ってしまった自分を責めて相談できずにいる保護者こそ、支援の対象です。『189』は通告窓口であると同時に、『育児に悩んでいる保護者』自身も相談できる窓口です。責めるためではなく、共に考えるための電話です。
支援・相談先
児童虐待に関わる支援・相談窓口は、子ども本人のためのもの、保護者のためのもの、周囲で気づいた人のためのものが、それぞれ整備されています。「通告したら終わり」ではなく、継続的な支援につながる仕組みがあります。必要な窓口につながることが、第一歩です。
知っておきたい主な相談窓口
『189』だけでなく、地域や目的に応じた多様な窓口があります。状況に合わせて使い分けてください。
▸ 24時間・無料・189
▸ 0120-189-783
▸ 法務省・無料
▸ 地域の総合窓口
▸ 身近な相談先
▸ 包括的支援
通告後、家庭と子どもに起きること
通告を受けた児童相談所は、原則48時間以内に子どもの安全確認を行い、必要な支援の方向性を決定します。結果としてとられる対応はケースによって異なり、大きく以下のように分かれます。
子どもは家庭に留まり、児童相談所・市町村・保健師・学校などが連携して継続的に見守る。育児支援サービス・ヘルパー派遣・経済支援などを組み合わせる。
緊急性が高い場合、児童相談所長の判断で子どもを一時保護所や児童養護施設に最長2カ月保護する。親権者の同意がなくても可能。その間に家庭環境の調整や今後の方針を検討する。
家庭復帰が難しい場合、児童養護施設・乳児院・里親家庭・ファミリーホームなどで養育される。国は『家庭養育優先原則』に基づき、里親・ファミリーホームへの委託を推進している。
重大な虐待で親権者の同意が得られない場合、家庭裁判所が親権停止(最長2年)や親権喪失の審判を行うことがある。極めて重篤なケースに限られる。
親自身のケア——叩きたくないのに叩いてしまうあなたへ
『叩きたくて叩いている親』はほとんどいません。『この子を叩いてしまう自分が嫌で仕方ない』『どうしたらいいかわからない』——そう感じているあなたへ。助けを求めるあなたは、すでに子どもを守る力を持っています。
叩かない・怒鳴らないための4つの行動
『叩きたくない』『怒鳴りたくない』と思っていても、疲れ・孤立・睡眠不足・経済不安が重なれば、気持ちとは裏腹の行動が出てしまうことがあります。まずは自分を責めず、具体的な行動で状況を変えていきましょう。
よくある質問
A. 『しつけ』とは、子どもが社会のルールや安全を学べるように導く継続的なかかわりで、子どもの人格と尊厳を尊重したうえで行われるものです。一方、『虐待』は子どもの心身を傷つけ、恐怖や無力感を植えつける行為です。2020年の児童虐待防止法改正で、親権者の体罰は明確に禁止されました。『叩く』『怒鳴る』『脅す』は、たとえ教育目的であってもしつけではなく虐待に該当します。『痛みや恐怖で覚えさせる』という方法自体が、子どもの発達に悪影響を及ぼすことが科学的に示されています。
A. 通告=子どもを取り上げられる、ではありません。児童相談所が行うのは『子どもの安全を確認し、必要な支援を考える』ことであり、多くの場合は家庭に留まったまま支援が行われます。一時保護や施設入所となるのは、命の危険が高い場合や在宅支援が難しい場合に限られます。通告はむしろ、家族を支援につなげる入口です。
A. まず『話してくれてありがとう』『あなたは悪くない』と伝えてください。詳しい事実を問い詰めたり、『ほんとに?』と疑う言葉は避けます。話の内容をメモに残し、できるだけ早く児童相談所(189)か警察に相談してください。子どもに『誰にも言わないで』と言われても、安全を守るためには相談が必要です。その場合も『あなたを助けたい人につなぐだけだよ』と丁寧に説明します。
A. 『189』は加害の通告窓口ではなく、悩んでいる保護者自身の相談窓口でもあります。『叩いてしまいそう』『育児が辛い』という段階で相談することは、虐待を予防する大切な行動です。地域の子育て世代包括支援センター、保健師、心療内科、ココトモのようなチャット相談も気軽に利用できます。『助けを求めること』は、子どもを守る最善の方法です。
A. はい。2004年の児童虐待防止法改正で『子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう行為』が心理的虐待に明記されました。たとえ子どもに直接手をあげていなくても、DVを目撃させることは脳の発達に重大な影響を及ぼします。実際、近年の児童虐待相談対応件数のうち約6割を心理的虐待が占めており、その大きな部分を面前DV由来の通告が占めています。
A. そのように感じる方はたくさんいます。研究では、虐待を受けた人のうち子どもを虐待する側になるのは約3分の1と報告されていますが、言い換えれば約3分の2の方は連鎖を断ち切っています。不安を抱きながらも『連鎖したくない』と考えていること自体が、大きな予防力です。トラウマインフォームドケアに理解のあるカウンセラーや、親自身のケアに取り組むプログラム(ペアレント・トレーニングやEMDRなど)を活用すると、安心して子育てに向き合いやすくなります。
A. はい、適切な支援があれば多くの子どもは回復していきます。『トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)』や遊戯療法、愛着形成を支える里親・養育者との継続的な関係、安全な生活環境の提供などにより、精神症状も発達上の影響も改善します。回復には時間がかかりますが、『信頼できる大人が少なくとも1人いること』が最大の回復要因だと研究で示されています。
A. はい、ぜひ通告してください。きょうだい間で特定の子だけが標的になる『スケープゴート化』は、児童虐待の典型的なパターンのひとつです。標的の子どもは極度の孤立感と自己否定感を抱え、長期的にうつ病・PTSDのリスクが高まります。通告により全きょうだいに対する支援も開始されます。あなたの『気づき』が、子どもの命綱になります。
A. 個人的に会いに行くことは控えたほうが安全です。保護者との間にトラブルが生じた場合、子どもが板挟みになったり、かえって保護者の暴力がエスカレートする恐れがあります。会いたい気持ちはとても自然ですが、まずは児童相談所や学校を通じて『近所で気にかけてくれている大人がいる』ことを子どもに伝えてもらうのがよいでしょう。継続的に見守る意思があることを児童相談所に伝えておけば、支援チームの一員として位置づけてもらえる場合もあります。
A. 正面から論破しようとすると、かえって態度が硬化する場合があります。まずは『あなたがそう信じてきたことは責めないよ。でも、2020年から法律で体罰は禁止になったこと、脳科学の研究で叩かれた子どもの脳に変化が起きることがわかってきたこと、知ってほしい』と、『善悪』ではなく『情報』として伝えるのが効果的です。加えて、『叩かずに育てる方法』を学べるペアレント・トレーニングやコモンセンスペアレンティングなどのプログラムを一緒に提案してみてください。学ぶ場があると知るだけで、多くの保護者は安心します。
一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。
『もしかして虐待かも』『自分が叩いてしまいそう』『過去の傷に苦しんでいる』——どんな立場の方でも、どうかあなたの大切な悩みをココトモに聞かせていただきたいです。
このページの情報は、医師・専門家による診断や支援に代わるものではありません。緊急時は『189』『110』または児童相談所にご連絡ください。
