メンタルヘルス用語辞典 · リストカット

リストカット(リスカ)とは?
原因・心理・やめ方・傷痕の治療まで徹底解説

リストカットは『かまってほしい』のではなく、耐えがたい心の痛みへの対処行動(NSSI)です。定義・心理的機能・原因・やめ方・専門治療・傷痕ケア・周囲の関わり方まで、本人と家族に必要な情報をすべてここにまとめました。

ABOUT

リストカット(リスカ)とは

リストカットは『死にたい』からではなく、耐えがたい感情的苦痛を一時的に和らげるための対処行動です。正しく理解することが回復への第一歩になります。

定義

リストカットの定義と最大の誤解

リストカット(リスカ)とは、自殺の意図を持たずに、カッターナイフ、カミソリ、ハサミなどの鋭利な道具を使って自分の手首を切る自傷行為です。医学的には『非自殺的自傷(Non-Suicidal Self-Injury:NSSI)』のうち、カッティング(切る行為)に分類されます。『リストカット』は和製英語であり、英語圏では "cutting" や "self-cutting" と呼ばれます。日本では自傷行為の代名詞として広く使われていますが、実際には手首以外の部位(前腕、太もも、腹部など)を切るケースも多く、自傷行為の全体像は『リストカット』という言葉が示すよりも広いものです。

リストカットの最大の誤解は『死にたいからやる』『かまってほしいからやる』というものです。実際には、リストカットの主な動機は『耐えがたい感情的苦痛を一時的に和らげること』であり、死ぬことが目的ではありません。切った瞬間の痛みと出血が、蓄積された感情的苦痛を一時的に軽減する効果があることが、行動が繰り返される主な理由です。

よくある誤解
「死にたい」「かまってほしい」
注目を集めるため、わがまま、甘えという見方。本人を深く傷つけ、相談・受診のハードルを上げる。
実際の機能
耐えがたい感情への対処行動
痛みと出血により感情的苦痛を一時的に軽減する。約90%は他者から隠して行われる。
⚠️
リストカットは安全な行為ではない手首には橈骨動脈・尺骨動脈という主要な血管が走行しており、深い切傷は大量出血や神経・腱の損傷を引き起こす危険があります。また、リストカットを繰り返す人は、そうでない人と比べて将来の自殺リスクが4〜7倍高いことが研究で示されており、『自殺ではないから大丈夫』と軽視することはできません。
カッティングの種類

部位別カッティングの種類とリスク

『リストカット』は手首を切る行為を指しますが、カッティング(自傷としての切る行為)はより広い範囲で行われます。部位によって周囲への気づかれにくさやリスクが異なります。

リストカット(カッティング)リスク:高
主な部位:手首(内側)
最も広く知られる自傷行為の形態。手首の内側を刃物で切る行為で、衣服やリストバンドで隠しやすい。痛みと出血による感情的苦痛の即時的な軽減効果が報告されている。手首には橈骨動脈や尺骨動脈が走行しているため、深い切傷は大量出血のリスクがあり、生命に関わる場合もある。
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アームカットリスク:中〜高
主な部位:前腕(手首以外)
手首ではなく、前腕の内側や外側を切る行為。手首よりも広い範囲に傷をつけることが多く、リストカットから移行するケースもある。長袖で隠しやすいが、腕全体に傷痕が残る可能性がある。
🦵
レッグカットリスク:中
主な部位:太もも・ふくらはぎ
太ももの内側やふくらはぎを切る行為。衣服で完全に隠せるため、最も周囲に気づかれにくい。体育やプールの着替えを避けるようになるのが典型的なサイン。思春期の若者に多い。
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その他のカッティングリスク:中〜高
主な部位:腹部・胸部・肩など
腹部、胸部、肩、足首など、衣服で隠せる様々な部位を切る行為。特定の部位に限定されず複数箇所に傷がある場合は、より重症であることが多い。
疫学

どのくらいの人が経験しているのか

リストカットを含む自傷行為は、多くの人が考えるよりもはるかに多くの人が経験しています。決して『特別な人』だけの問題ではありません。

17-18%
思春期・青年期の自傷行為の生涯経験率(メタ分析)。約5〜6人に1人が経験
10-15%
日本の中高生の自傷経験率
70-80%
自傷経験者のうちカッティングを経験している割合
12-15
開始年齢のピーク。多くは20代半ばまでに自然軽減
性差について女性の方が男性よりもカッティングを選択する割合が高いですが、男性の自傷行為全体の割合は女性とほぼ同等であるという近年の研究結果もあります。男性は殴る・ぶつけるなど、『自傷』として認識されにくい方法を選ぶ傾向があり、統計に表れにくい可能性があります。一部の人は成人後も続けており、専門的な支援なしに完全にやめることが困難なケースも少なくありません。早期の適切な介入は、長期化と重症化を防ぐ上で極めて重要です。
PSYCHOLOGY

リストカットの心理

『なぜ自分を切るのか』——リストカットは『おかしな行為』ではなく、本人にとっては一定の機能を持つ対処行動です。その心理的メカニズムを理解することが、適切な支援と治療の第一歩になります。

6つの心理的機能

リストカットが持つ6つの心理的機能

リストカットは複数の心理的機能を持っています。一つだけでなく、複数の機能が同時に働いていることも多くあります。

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感情の「安全弁」
リストカットの最も一般的な機能は、耐えがたい感情的苦痛を一時的に解放する「安全弁」としての役割です。心理学研究では、自傷行為者の約70〜90%が「つらい感情を和らげるため」と回答しています。強烈な怒り、悲しみ、不安、絶望感などが限界まで蓄積した時、「切る」という行為を通じて緊張が一気に解放される感覚があると報告されています。これは、身体的な痛みが感情的な痛みを一時的に「上書き」するメカニズムと、内因性オピオイド(エンドルフィン)の放出による鎮痛・安堵効果の両方が関与しています。
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目に見える痛み
「心の痛みは目に見えないが、身体の傷は目に見える」——この点がリストカットの重要な心理的側面です。漠然とした、名前のつけられない心の苦しみが、身体の傷として「可視化」されることで、「自分は確かにつらいのだ」と自分自身で確認できるようになります。心の痛みは周囲から理解されにくく、「大したことない」「甘えだ」と否定されることが多い中、身体の傷は否定できない「証拠」となります。
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解離状態からの覚醒
トラウマや激しいストレスにより、感情が完全に麻痺する「解離状態」(自分が自分でない感覚、世界が現実でない感覚)に陥った時、切ることで痛みを通じて「自分がここにいる」「自分は生きている」と確認する機能があります。感情の完全な麻痺は、感情の暴走と同じくらい苦しいものであり、「何も感じない」ことへの恐怖から、痛みという確実な感覚を求めてリストカットに至るケースは少なくありません。
自己罰としての機能
「自分は悪い人間だ」「自分は罰を受けるべきだ」という強い自己否定的な信念を持つ人にとって、リストカットは自分への「罰」として機能します。幼少期の虐待やネグレクト、いじめなどにより形成された「自分は価値のない存在だ」という信念が、自分を傷つける行為を正当化します。この自己罰的な動機は、トラウマ体験との関連が深く、専門的なトラウマ治療が必要な場合が多いです。
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コントロール感の回復
生活のあらゆる面でコントロール感を失っている時(家庭内の暴力、学校でのいじめ、職場での理不尽な扱いなど)、「自分の身体を切る」という行為は、自分で選択し実行できる唯一のコントロール可能な行為として機能することがあります。「何もかもがどうにもならない中で、これだけは自分で決められる」という感覚が、一時的な力の感覚を与えます。
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SOSとしての機能
言葉で「助けて」と言えない時、身体の傷が代わりにSOSを発信することがあります。「注目を集めたいだけだ」と軽視されがちですが、言葉にできないほどの苦しみを身体の傷として表現しているのであり、それは真剣に受け止めるべきサインです。リストカット経験者の多くは「本当は助けてほしかった」「でもどう伝えたらいいかわからなかった」と振り返っています。
これらの機能は、本人が『おかしい』からではなく、他に対処方法を学べなかったために『切る』という行動が機能してしまっているだけです。代わりの対処法を身につければ、リストカットに頼る必要はなくなります。
繰り返しのサイクル

リストカットのサイクル——なぜ繰り返されるのか

リストカットが『一度だけ』では終わらず繰り返される背景には、以下のようなサイクルが形成されています。

リストカットの悪循環モデル
STEP 1
トリガー
対人関係のトラブル、ストレス、トラウマ想起、孤独感、否定的な自己評価
STEP 2
感情の蓄積
怒り・悲しみ・不安・絶望・自己嫌悪が限界まで蓄積
STEP 3
自傷衝動の発生
「切れば楽になる」という学習が成立し、衝動が強まる
STEP 4
リストカットの実行
切った瞬間、痛みと出血に意識が集中。エンドルフィン放出
STEP 5
一時的な安堵
緊張が解放され、感情的苦痛が軽減される
STEP 6
罪悪感・自己嫌悪
「またやってしまった」が新たなストレスとなり再びトリガーへ

各ステップが次のステップを生み、サイクルが繰り返される

サイクルを断ち切る鍵このサイクルを断ち切る鍵は、③『自傷衝動の発生』と④『実行』の間に『別の対処法を挟む』ことです。衝動は波のように高まりますが、15〜30分でピークを過ぎて下がります。この間に代替行動(氷を握る、冷水で顔を洗う、激しい運動をするなど)を行うことで、サイクルを中断できます。
CAUSES

リストカットの原因

リストカットは単一の原因では起きません。心理的要因・環境要因・生物学的要因が複合的に絡み合うことで発症します。原因を知ることは、適切な対処と回復への道筋を見つけるための力になります。

3つの要因

心理・環境・生物学——3つのカテゴリ

以下の3カテゴリのタブを切り替えて、それぞれの要因の詳細をご確認ください。

💭心理的要因

リストカットの最も一貫した心理的危険因子は、ネガティブな感情を健全に処理するスキルが不足していることです。「泣いてはいけない」「怒ってはいけない」「弱みを見せてはいけない」と教えられて育った人は、感情の表現手段を奪われ、身体を傷つけることで感情を処理せざるを得なくなります。

感情調節の困難さ

ネガティブな感情を健全に処理するスキルが不足していることが、リストカットの最も一貫した心理的危険因子です。「泣いてはいけない」「怒ってはいけない」「弱みを見せてはいけない」と教えられて育った人は、感情の表現手段を奪われ、身体を傷つけることで感情を処理せざるを得なくなります。

幼少期のトラウマ体験

身体的虐待、性的虐待、精神的虐待、ネグレクト、DV(ドメスティック・バイオレンス)の目撃などの幼少期のトラウマ体験は、リストカットの最も強力な予測因子です。研究では、自傷行為を行う人の約50〜60%がトラウマ体験を有していると報告されています。トラウマは安全な愛着形成を妨げ、「自分は守られる価値がない」という信念を形成します。

いじめ

学校でのいじめは、思春期のリストカットの主要な引き金の一つです。身体的ないじめだけでなく、無視、仲間外れ、SNSでの誹謗中傷(サイバーいじめ)も含まれます。いじめにより形成される孤立感、無力感、自己否定感がリストカットの背景要因となります。

低い自尊心・完璧主義

自分の価値を極端に低く評価する傾向や、「完璧でなければならない」という強迫的な信念がリストカットのリスクを高めます。テストの点数、容姿、対人関係など、あらゆる面で自分に高い基準を課し、それに達しない自分を「罰する」手段としてリストカットが機能することがあります。

原因がわかっても、自分や本人を責めないで『こういう要因が重なれば、誰でも自傷行動に至りうる』と理解することが、回復への扉を開きます。リストカットは『性格の弱さ』や『甘え』ではなく、複合的な要因による対処行動です。
COPING

リストカットのやめ方・対処法

切りたい衝動が来た時に試してほしい、具体的な代替行動を3段階で紹介します。即時的な対処、感情への対処、長期的な予防——それぞれの段階に合わせて選びましょう。

3段階の対処

緊急時・感情・長期予防の3つのスキル

対処スキルは段階ごとに使い分けます。タブを切り替えてご覧ください。

🧊
氷を握りしめる
氷を強く握ることで、切る衝動を和らげる強い感覚刺激を安全に得ることができます。冷たさの強烈な刺激が、切りたいという衝動から注意をそらし、数分間持つことで衝動のピークが過ぎることが多いです。手に握るのがつらい場合は、首の後ろや頬に当てても効果があります。
💧
冷水に手や顔をつける
ボウルに冷水を張って手を浸す、または冷たい水で顔を洗うことで、ダイブ・リフレックス(潜水反射)が起動し、心拍数が低下して自律神経が落ち着きます。DBT(弁証法的行動療法)のTIPPスキルの一つであり、即効性が高い方法です。
🖍
赤いマーカーで腕に線を描く
切りたい衝動がある時に、赤いマーカーや赤ペンで腕に線を描くことで、視覚的に「切った」感覚を代替できます。実際に皮膚を傷つけることなく、衝動を安全に表現する方法として臨床場面でも使用されています。
🏃
激しい運動をする
腕立て伏せ、スクワット、ダッシュ、階段の昇降など、身体に強い負荷をかける運動を短時間行います。身体的なエネルギーの放出とエンドルフィンの分泌により、自傷衝動が軽減されます。怒りが引き金の場合に特に効果的です。
15分ルール
切りたいと感じたら「まず15分だけ待つ」と自分に約束します。その15分間は上記の代替行動を行い、15分後にもう一度気持ちを確認します。衝動の波は通常15〜30分でピークを過ぎて下がるため、この「待つ」技術が身につくと自傷の頻度が大幅に減少します。
⚠️
完璧を目指さなくていい『やめたいのにやめられない』と感じること自体が、回復に向けた大切な第一歩です。一度でやめられなくても自分を責めないでください。リストカットの頻度が減った、傷が浅くなった、衝動を1回でも我慢できた——それらはすべて立派な進歩です。完璧を目指すのではなく、少しずつ変わっていくことを目標にしましょう。
TREATMENT

リストカットの専門的な治療

リストカットに対しては、エビデンスに基づく心理療法と薬物療法による専門的な治療が有効です。一人で抱え込まず、信頼できる相談先につながることが回復の鍵となります。

心理療法

エビデンスのある4つの心理療法

リストカットに対して最も効果が確認されている治療アプローチは心理療法です。背景にある問題に応じて、以下のアプローチが選択されます。

弁証法的行動療法(DBT)第一選択の心理療法

リストカットを含む自傷行為に対して最も広範なエビデンスを持つ心理療法です。マインドフルネス、感情調節スキル、対人関係の効果性、苦痛耐性スキルの4モジュールで構成されます。特に「苦痛耐性スキル」には、自傷衝動に対する具体的な対処法(TIPP法:Temperature=温度変化、Intense exercise=激しい運動、Paced breathing=ペース呼吸、Paired muscle relaxation=筋弛緩法)が含まれています。通常、週1回の個人療法と週1回のスキルトレーニンググループで実施されます。

認知行動療法(CBT)認知の歪みを修正

自傷行為を引き起こす認知の歪み(「自分は罰を受けるべき」「この痛みに耐えられない」「切る以外に方法がない」など)を特定し、より適応的な思考パターンに修正していきます。自傷の引き金となる状況・思考・感情・行動の連鎖を「機能分析」として記録し、介入ポイントを見つけます。安全プランの作成、代替行動の練習、段階的エクスポージャーなども含まれます。

メンタライゼーションに基づく治療(MBT)対人関係の理解を深める

自分や他者の行動の背後にある精神状態(思考、感情、欲求、意図)を理解する能力(メンタライゼーション)の向上を目指します。自傷行為を行う人の多くは、自分の感情を正確に認識できない、他者の意図を読み違えるといったメンタライゼーションの困難を抱えています。この能力を高めることで、自傷に頼らない感情処理が可能になります。

トラウマに焦点化した治療トラウマ背景がある場合

リストカットの背景にトラウマ体験(虐待、いじめ、DV目撃など)がある場合は、トラウマに焦点化した治療が有効です。EMDRや持続エクスポージャー療法、認知処理療法などが選択肢となります。トラウマ記憶が適切に処理されることで、自傷の根本的な原因に対処できます。

薬物療法

併存症状・衝動制御のための薬物療法

リストカットに対して特異的に承認された薬剤は現在ありませんが、以下の薬剤が併存する症状の治療や衝動制御に用いられることがあります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)併存疾患治療

併存するうつ病や不安障害の治療に用いられます。セロトニン系の機能を改善することで、衝動性の軽減と気分の安定化が期待できます。

気分安定薬感情の波が激しい場合

気分の波が激しく、感情の爆発がリストカットのトリガーとなっている場合に使用されることがあります。バルプロ酸やラモトリギンなどが選択肢となります。

第2世代抗精神病薬低用量使用

衝動性の制御や感情の安定化を目的として、低用量で使用されることがあります。アリピプラゾールやクエチアピンなどが用いられるケースがあります。

ナルトレキソン日本では適応外

オピオイド受容体拮抗薬であり、自傷時のエンドルフィンによる「報酬効果」を遮断することで、自傷の強化メカニズムを断ち切る可能性があります。一部の症例で有効性が報告されていますが、日本では自傷行為への適応は承認されていません。

💊
薬物療法について薬物療法は必ず医師の診察を受けた上で行ってください。自傷行為の治療の中心は心理療法であり、薬物はあくまで補助的な役割です。併存する精神疾患の治療として薬物が処方される場合は、指示通りに服用し、副作用や気になる変化があれば医師に相談しましょう。
相談先

相談・治療を受けられる場所

リストカットについて相談できる場所は複数あります。一人で抱え込まず、まずは一つの窓口に連絡してみてください。

🏥
心療内科・精神科
リストカットの専門的な治療を受けられます。初診の予約が必要な場合が多いので、電話やWebで予約しましょう。
🏫
スクールカウンセラー
学校に配置されているカウンセラーに相談できます。無料で、学校内で面談が可能です。
🏛
精神保健福祉センター
各都道府県に設置されている公的な相談機関です。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)で最寄りのセンターにつながります。
📞
いのちの電話
0120-783-556(24時間・無料)。電話での相談が可能です。
📞
よりそいホットライン
0120-279-338(24時間・無料)。様々な悩みの相談に対応しています。
💬
ココトモ チャット相談
テキストベースで悩みを相談できます。電話が苦手な方にも利用しやすい窓口です。
SCARS

リストカットの傷痕ケア

傷痕は完全に消すことは難しいですが、様々な方法で目立たなくすることは可能です。自宅でできるケアから医療的な治療、心理的な向き合い方まで紹介します。

傷痕の治療法

自宅ケアから医療的治療までの選択肢

リストカットの傷痕は完全に消すことは難しいですが、様々な方法で目立たなくすることが可能です。傷の状態や経過年数に応じて選びましょう。

シリコンジェルシート自宅ケア

傷痕の上に貼り付けて使用する、市販されているシート状のシリコン製品です。傷痕の赤みや隆起を目立たなくする効果があり、比較的新しい傷痕ほど効果が高いです。継続的な使用(3〜6か月以上)が推奨されます。ドラッグストアやオンラインで購入可能で、最も手軽に始められるケア方法です。

ヘパリン類似物質含有クリーム(ヒルドイドなど)保険適用

皮膚科で処方される保湿剤で、傷痕の組織を柔らかくし、赤みを軽減する効果があります。傷が完全に閉じた後から使用を開始します。保険適用で入手しやすく、毎日の塗布を続けることで徐々に傷痕の外観が改善されます。

レーザー治療医療機関

形成外科や美容皮膚科で行われるレーザー治療は、傷痕の赤みや色素沈着を改善する効果があります。フラクショナルレーザーは瘢痕組織をリモデリングし、傷痕の凹凸を平坦にする効果が期待できます。複数回の照射が必要で、1回あたり数千円〜数万円の費用がかかります(保険適用の可否は医療機関により異なります)。

瘢痕修正術(形成外科的手術)形成外科

形成外科医による手術で、リストカットの傷痕を切除し、縫い直すことで目立たなくする方法です。直線状の傷痕を、自然な皮膚のしわに沿った線に変えることで、「リストカット跡」と分かりにくくします。W形成術、Z形成術などの技法があり、傷痕の状態や範囲に応じて最適な方法が選択されます。手術費用は範囲と方法によりますが、保険適用となるケースもあります。

タトゥーによるカバーアップ視覚的カバー

傷痕の上にタトゥーを入れることで視覚的にカバーする方法です。海外ではリストカットの傷痕をタトゥーでカバーする専門のアーティストも存在します。ただし、瘢痕組織上のタトゥーは通常の皮膚と比べてインクの定着が異なる場合があり、経験豊富なアーティストを選ぶことが重要です。日本ではタトゥーに対する社会的な制約(温泉、プールなど)があることも考慮する必要があります。

コンシーラー・カバーメイク日常使用

傷痕用の高カバー力コンシーラーやファンデーションで傷痕を一時的に隠す方法です。資生堂の「パーフェクトカバー」シリーズなど、あざや傷痕をカバーする専用化粧品があります。日常的な使用に適しており、特にイベントや仕事の場面で傷痕を隠したい時に便利です。ウォータープルーフタイプを選ぶと持続性が高まります。

形成外科への相談

形成外科での本格的な傷痕治療

傷痕の治療を本格的に検討する場合は、形成外科への受診をお勧めします。形成外科医は瘢痕(はんこん:傷痕の医学用語)の治療を専門としており、傷痕の状態に応じた最適な治療法を提案してくれます。

受診のポイント形成外科を受診する際は、『リストカットの傷痕の相談』と伝えてください。恥ずかしいと感じるかもしれませんが、形成外科医は日常的に様々な原因の傷痕を扱っており、判断なく対応してくれます。自傷行為が現在も継続している場合は、心理的な治療と並行して傷痕の治療を行うことが理想的です。
心理的な向き合い方

傷痕との心理的な向き合い方

傷痕のケアは身体的な治療だけでなく、心理的な側面も重要です。

🌱
傷痕をどう捉えるかは自由
傷痕を「恥ずかしいもの」と感じる人もいれば、「困難な時期を生き延びた証」として受け入れる人もいます。どちらの感じ方も正当であり、他者が決めることではありません。時間の経過とともに傷痕に対する感じ方が変化していくことも自然なことです。
👕
隠すか見せるかは本人の選択
傷痕を隠すことも、見せることも、どちらも完全に本人の自由です。場面や相手によって使い分けることも問題ありません。「隠していると嘘をついている気がする」と罪悪感を持つ必要はなく、「見せなくてはならない」という義務も存在しません。
💬
質問への対応
傷痕について質問された時の回答を事前に準備しておくと安心です。「以前つらい時期があった」「猫に引っかかれた」「昔の怪我の跡」など、状況と相手に応じた回答のレパートリーを持っておくと、不意の質問への不安が軽減されます。
💡
傷痕は『過去の苦しみを乗り越えた証』でもあります。急いで全てを消す必要はありません。心の回復と並行して、自分のペースで納得できる方法を選んでください。
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人ができること

大切な人のリストカットを発見した時、ショック、恐怖、怒り、悲しみ、罪悪感が一度に押し寄せるのは当然のことです。しかし、その瞬間の反応がその後の関係性を大きく左右します。正しい対応を知ることが、最大の支えになります。

対応のポイント

してよいこと・してはいけないこと

リストカットは『問題行動』ではなく『SOSのサイン』です。叱ったり禁止したりしても行動は止まらず、より巧妙に隠すようになるだけです。背景にある苦しみに目を向けることが大切です。

✓ してよいこと
我が子や大切な人のリストカットを発見した時は、まず3回深呼吸をする
「傷があるんだけど、何か話したいことはある?」と穏やかに、率直に声をかける
詳しく話すことを強要せず、「話したくなった時にいつでも聴くよ」と伝える
リストカットを「問題行動」ではなく「SOSのサイン」として受け止める
傷が浅い場合は、清潔な水で洗い流し、消毒して絆創膏やガーゼで保護する
深い傷や出血が止まらない場合は、清潔な布で圧迫止血しながら医療機関を受診する
「なぜそうせざるを得なかったのか」背景にある苦しみに目を向ける
心療内科・精神科・スクールカウンセラーなど専門家につなげる
本人が拒否する場合は、まず親(養育者)だけで専門家に相談する
家族向けカウンセリングやサポートグループを活用し、自分自身も支えてもらう
✗ してはいけないこと
「何やってるの!」「もう二度としないで!」と叱る・禁止する
「そんなことしたら悲しい」と善意であっても本人を追い詰める言葉を使う
見て見ぬふりをする(「気にしていない」というメッセージになる)
「かまってほしいだけ」「アピールに過ぎない」と軽視する
詳しく話すことを強要する
「私の育て方が悪かった」と自分を責め続ける
家族だけで全てを抱え込む
回復を急かす(一夜にしてやめられるものではない)
傷の手当てについて傷が浅い場合は、清潔な水で洗い流し、消毒して絆創膏やガーゼで保護します。深い傷や出血が止まらない場合は、清潔な布で圧迫止血をしながら医療機関を受診してください。手当ての際は、『大切なあなたの身体だから、きちんとケアしたい』という気持ちで、淡々と、しかし温かく対応しましょう。
家族の相談先

家族・養育者自身が頼れる場所

『私の育て方が悪かったのでは』『もっと早く気づくべきだった』と自分を責める親・養育者は非常に多いですが、リストカットは単一の原因で起こるものではありません。自分を責め続けることは、あなた自身のメンタルヘルスを損ない、結果的に本人への支援の質も低下させます。

🏥
精神保健福祉センター
こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556。最寄りのセンターにつながります。
📞
児童相談所
189(いちはやく)。子どもの自傷・虐待などの相談に対応。
📞
チャイルドライン
0120-99-7777(18歳以下対象)。子ども専用の相談窓口。
👨‍👩‍👧
家族会・サポートグループ
同じ立場の家族と経験を共有することで、孤独感が軽減され、対処の知恵が得られます。
💡
本人が拒否する場合本人が受診を拒否する場合は、まず親(養育者)だけで専門家に相談することも有効です。家族向けのカウンセリングやサポートグループの活用をぜひ検討してください。あなたが倒れたら、本人を支えることもできなくなります。
FAQ

よくある質問

リストカットに関する疑問にお答えします。誤解されやすいテーマだからこそ、正しい情報を共有することが回復への支援につながります。

Q. リストカットは「かまってほしい」からするのですか?

A. いいえ、これは最も広く信じられている誤解の一つです。リストカットを行う人の約90%は行為を他者から隠しています。リストカットの主な動機は「耐えがたい感情的苦痛の軽減」であり、他者の注目を集めることではありません。仮に「助けてほしい」という思いがあったとしても、それは言葉で表現できないほど追い詰められている証拠であり、軽視すべきではありません。「かまってほしいだけ」という態度は、本人を深く傷つけ、相談や受診のハードルをさらに高めます。

Q. リストカットと自殺は関係がありますか?

A. リストカット自体は「死にたい」から行う行為ではありませんが、自殺の重要な危険因子です。リストカットを繰り返す人は、そうでない人と比べて将来の自殺リスクが4〜7倍高いことが研究で示されています。リストカットを繰り返すことで痛みへの耐性が高まり(痛覚鈍化)、また精神的苦痛が慢性化することで、将来的に自殺企図に移行するリスクが高まります。リストカットを「自殺ではないから大丈夫」と軽視せず、専門家による評価と支援につなげることが重要です。

Q. 友達がリストカットしていることを知りました。どうすべきですか?

A. まず、友達が打ち明けてくれたことに感謝し、「話してくれてありがとう。あなたのことが心配だよ」と伝えましょう。そして、①秘密を守ることよりも安全を優先する(信頼できる大人——親、先生、スクールカウンセラーに相談することを友達に勧める)、②自分だけで抱え込まない(あなた自身も信頼できる大人に相談する)、③「やめて」「なんでそんなことするの」と言わない、④そばにいること自体が大きな支えであることを忘れない、の4点を意識してください。

Q. リストカットをやめられたのに再発しました。もうダメでしょうか?

A. 再発は「失敗」ではなく、回復の自然な一部です。多くの人が一進一退を繰り返しながら回復していきます。むしろ「一度やめられた」という事実は、あなたにその力があることの証明です。再発した時は、「何がトリガーになったか」「以前と何が違ったか」を振り返り、次に同じ状況が来た時の対策を立てましょう。自分を責めるのではなく、「つらい時に以前の対処法に戻ってしまっただけ」と理解し、改めて回復の歩みを続けてください。

Q. リストカットの傷痕は消えますか?

A. 完全に消すことは難しいですが、目立たなくすることは可能です。シリコンジェルシート、ヘパリン類似物質含有クリーム(ヒルドイド等)による自宅ケアで改善が見られるケースがあります。より積極的な治療としては、形成外科でのレーザー治療や瘢痕修正術があり、「リストカット跡」と分かりにくくすることが可能です。カバーメイク(資生堂パーフェクトカバーなど)による一時的なカバーも選択肢です。傷痕の治療は、本人が「傷痕を何とかしたい」と思った時が始め時であり、急ぐ必要はありません。

Q. リストカットは何歳くらいから始まることが多いですか?

A. 開始年齢のピークは12〜15歳(中学生の時期)です。思春期は感情の変動が激しく、アイデンティティの確立に苦悩し、対人関係のストレスが増大する時期であり、感情調節スキルがまだ十分に発達していない段階でこれらの課題に直面することが、リストカットの開始につながります。ただし、小学校高学年からの開始や、成人になってから初めてリストカットする人もおり、年齢だけでリスクを判断することはできません。

Q. リストカットの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 治療期間は個人差が大きく、一概に言うことはできません。認知行動療法(CBT)は通常16〜20セッション(4〜5か月)、弁証法的行動療法(DBT)は通常6か月〜1年の標準プログラムです。ただし、背景にあるトラウマや併存する精神疾患の治療も含めると、より長期にわたるケースもあります。重要なのは「完全に自傷をゼロにする」ことを目標にするのではなく、「自傷の頻度と重症度が減り、他の対処法を使えるようになる」ことを目指すことです。

Q. リストカットを隠すのに疲れました。周囲に伝えるべきですか?

A. 傷痕を誰にどのように伝えるかは、完全にあなた自身が決めることです。伝える義務は一切ありません。ただし、隠すことに多大なエネルギーを費やしていて、それが生活の質を低下させているなら、信頼できる人に打ち明けることで負担が軽くなる可能性があります。伝える場合は、相手と場所を選び、「以前つらい時期があって自傷していた。今は回復に取り組んでいる」のように、過去の経験として伝えることが一つの方法です。カウンセラーと一緒にリハーサルすることも有効です。

Q. リストカットは『自殺未遂』ですか?

A. 多くの場合、リストカットは『死ぬため』ではなく『生き延びるため』の行動であり、非自殺性自傷行為(NSSI:Non-Suicidal Self-Injury)として区別されます。耐えがたい感情を一時的に解消する、麻痺した感覚を取り戻す、自分を罰する、コントロール感を得るといった機能を持ち、本人には『死ぬ意図』がないことが多いのです。ただし、リストカットの習慣がある方は、将来の自殺リスクが高いことも知られており、『自殺未遂ではないから安心』ということではありません。自殺念慮と自傷行為が混在することもあり、『今日は死にたい気持ちがどのくらいあるか』を自分で確認し、強い自殺念慮がある時には必ず専門家に連絡してください。自傷行為の頻度が増えたり、傷が深くなったりする場合も、危険信号として受け止め、早めに受診することが推奨されます。

Q. リストカットをしている人に『かまってほしいだけ』と言われて傷つきました。どう考えればよいですか?

A. 『かまってほしいだけ』『アピールに過ぎない』という言葉は、自傷行為をする方にとって非常に傷つく誤解です。実際には、多くの場合リストカットは『誰にも見せない』ように隠れて行われており、注目を集めることが目的ではありません。たとえ他者の目に触れる形で自傷が起きたとしても、それは『助けを求める叫び』であり、軽視できるものではありません。自傷行為の背景には、言語化が難しい深い苦しみ、トラウマ、愛着の問題、自己イメージの崩壊などがあり、これは『注目』で解消されるような浅い問題ではありません。『かまってほしいだけ』という評価を受けて傷ついた方は、その痛みを信頼できるカウンセラーや自助グループの仲間に話し、『自分の苦しみは本物だ』ということを確認する機会を持ちましょう。誤解する他者の言葉を真実として受け取る必要はありません。

Q. リストカットをやめたいけれど、他の対処法が見つかりません。どうすればよいですか?

A. リストカットをやめるためには、それに代わる対処行動を見つけることが不可欠です。以下のような代替行動が推奨されます:①身体的な刺激——氷を握る、冷水で顔を洗う、輪ゴムを手首につけてはじく、強い匂い(レモン、ミント)を嗅ぐ、辛い食べ物を食べる、②運動——ジョギング、ストレッチ、階段の昇降、③創造的な表現——絵を描く、歌う、楽器を演奏する、日記を書く、④感覚的なケア——温かいお風呂、マッサージ、心地よい音楽、毛布にくるまる、⑤社会的なつながり——信頼できる人に電話する、オンラインチャットで話す、ペットと過ごす、⑥マインドフルネス——呼吸法、瞑想、グラウンディング(五感で今ここを感じる)、⑦書く・描く——切りたい気持ちを言葉や絵で表現する、といった方法です。重要なのは、複数の代替行動をリスト化し、衝動が来た時にすぐに試せるようにしておくことです。最初から完璧に切り替えられる必要はなく、徐々に代替行動のレパートリーを増やしていくことが回復への道です。どの方法が自分に合うかは、実際に試しながら見つけていきましょう。

Q. リストカットの傷痕を消したいです。どのような治療がありますか?

A. リストカットによる傷痕の治療には、傷の深さ・状態・経過年数によってさまざまな選択肢があります。浅い傷痕であれば、①シリコンジェルやシリコンシートによるケア、②保湿とUVケアの徹底、③ビタミンE・C配合のクリーム、などで目立たなくすることが期待できます。より深い・目立つ傷痕には、④レーザー治療(フラクショナルレーザー、ピコレーザーなど)、⑤ダーマペン・マイクロニードリング、⑥皮膚移植・切除縫合(外科的治療)、⑦タトゥー(カバーアップタトゥー)、⑧医療用ファンデーション(コンシーラー)、といった選択肢があります。形成外科、美容皮膚科、美容外科などに相談し、傷痕の状態に合った治療を選んでください。保険適用になるかどうかは治療方法と医療機関によって異なります。重要なのは、『傷痕を消す』ことを焦らず、自分の心の回復と並行して進めることです。傷痕は『過去の苦しみを乗り越えた証』でもあり、急いで全てを消す必要はありません。自分のペースで、納得できる方法を選んでください。

Q. リストカットをする人は自分を好きになれないのですか?

A. 多くの方が自傷行為の背景に、深い自己否定感・無価値感・自己嫌悪を抱えています。『こんな自分には価値がない』『自分を罰する必要がある』『自分は愛される資格がない』という思考は、自傷行為の強力な動機となります。この自己否定は、幼少期からの経験(愛情不足、虐待、批判的な養育、いじめ、トラウマなど)によって形作られることが多く、『本人の性格の問題』ではありません。回復の過程では、この自己否定感を少しずつ癒していくことが中心的なテーマとなります。セルフコンパッション(自分への思いやり)を育てる練習、インナーチャイルド(内なる子ども)への癒しのワーク、認知行動療法による自己批判的思考の修正、トラウマ焦点化心理療法などが有効です。『自分を好きになる』というのは簡単ではなく、一朝一夕には達成できませんが、『自分を完全に嫌わない』『自分に優しくする瞬間を作る』といった小さな一歩から始めることができます。信頼できるカウンセラーや仲間と一緒に、時間をかけて自己受容を育てていきましょう。

Q. リストカットは脳にどのような影響を与えますか?

A. リストカットを含む自傷行為は、脳内でエンドルフィン(脳内麻薬)やオピオイドなどの神経伝達物質を放出し、一時的な鎮痛・安堵効果をもたらします。これが『切ると落ち着く』という感覚の神経生物学的な基盤です。しかし、この鎮静効果は短時間で消失し、再び苦しみが戻ってくると、さらに自傷を求めるという依存的なサイクルが形成されます。また、繰り返しの自傷は、痛みに対する感受性を変化させ(痛みを感じにくくなる)、感情調節に関わる脳領域(前頭前皮質、扁桃体、島皮質など)の機能にも影響を与えることが研究で示されています。長期的には、自傷が『唯一の対処法』として脳に固定化されてしまい、他の健全な対処スキルを学ぶことが難しくなる可能性があります。早期の治療介入が重要な理由はここにあります。ただし、脳は可塑性(変化する能力)を持っており、適切な治療により健全な対処パターンを学び直すことができます。『もう手遅れ』ということはありません。

Q. リストカットから回復した人の体験談はありますか?

A. はい、多くの方がリストカットからの回復を経験しており、SNS、ブログ、書籍、講演会、ピアサポートグループなどで体験を共有しています。回復者の体験には共通するテーマがあり、①『一夜にしてやめられたわけではない』——多くの方が数ヶ月〜数年かけて徐々に自傷の頻度を減らしていった、②『信頼できる人との出会いが転機になった』——カウンセラー、医師、友人、同じ経験を持つ仲間など、受容的な人との関係が回復を支えた、③『代替行動を見つけた』——創作活動、運動、趣味、ペットとの暮らしなど、自傷に代わる対処法を発見した、④『再発を経験しながらも諦めなかった』——一度やめてもストレスで再発することがあるが、それを『失敗』ではなく『学び』と捉えて続けた、⑤『自分を責めない姿勢を学んだ』——セルフコンパッション(自分への思いやり)が回復の土台となった、といった点です。他者の体験談を読むことは、『自分だけではない』という安心感と、回復への希望を与えてくれます。ただし、他人と自分を比較しすぎず、自分のペースを大切にしてください。

Q. 家族の誰かがリストカットをしていることを知った時、どうすればよいですか?

A. まず深呼吸をして、動揺する気持ちを落ち着けてください。家族がリストカットをしていることを知った時の衝撃は非常に大きく、恐怖、怒り、悲しみ、無力感などが押し寄せます。しかし、パニックで対応すると、本人をさらに追い詰めてしまう可能性があります。推奨される対応は、①責めない・叱らない、②静かに話を聞く、③身体的な安全を確保する(傷の手当て、必要なら医療機関への同行、自傷の道具を本人と相談して管理する)、④専門家への受診を促す、⑤家族自身もサポートを受ける(家族会、カウンセリング、ピアサポートなどを活用する)、⑥長期的に寄り添う(リストカットは一夜にしてやめられるものではないため、時間をかけて本人の回復を支える覚悟を持つ)、といった姿勢です。『自分のせいで家族が苦しんでいる』と感じる必要はありません。あなた一人で抱え込まず、専門家と連携して一緒に乗り越えていきましょう。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

『切りたい衝動が止まらない』『誰にも話せない』『やめたいのにやめられない』『傷痕を見られるのが怖い』『家族に心配をかけたくない』——リストカット(リスカ)の中で生きる苦しさは、深い孤立と恥の感覚によって一層深刻になりがちです。多くの方が『こんなことを話したら引かれるのではないか』『甘えだと言われるのではないか』と感じ、一人で抱え込んでしまいます。しかし、自傷行為は『かまってほしい』のではなく、耐えがたい心の痛みへの対処行動です。一人で立ち向かう必要はありません。ココトモのチャット相談は匿名・無料で、評価や判断をすることなく、あなたの気持ちにそっと寄り添います。『話すだけで何が変わるのか』と思う方もいるかもしれませんが、信頼できる相手に話すことは、回復への最初の一歩として非常に大きな意味を持ちます。『何から話せばよいかわからない』段階でも、どうぞ安心してご利用ください。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。自傷行為の治療は、思春期外来のある精神科、トラウマ治療に精通した医療機関、弁証法的行動療法(DBT)や認知行動療法(CBT)を提供するクリニックなどが適しています。未成年の方は、スクールカウンセラー、養護教諭、児童相談所(189)、チャイルドライン(0120-99-7777)も利用できます。強い自殺念慮がある場合は、ためらわずいのちの電話(0120-783-556)やよりそいホットライン(0120-279-338)、救急外来に連絡してください。あなたの命と安全が何よりも大切です。『話しても何も変わらない』と思う時こそ、誰かに話すことから始めてみてください。一人では見えなかった選択肢が見えてくることがあります。

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