就労継続支援A型とは?
対象・給料・B型との違いを徹底解説
障害があっても、雇用契約を結んで最低賃金以上の給料をもらいながら働ける——障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型の定義・対象・支援内容・給料・利用手続き・B型や就労移行支援との違い・事業所の選び方・一般就労への移行・自立支援医療との組み合わせまで、一歩を踏み出すために必要な情報をすべてまとめました。
就労継続支援A型とは——定義と法的根拠
就労継続支援A型は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、一般企業での就労が難しい障がいのある方が、事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給料をもらいながら働ける仕組みです。
就労継続支援A型の定義
就労継続支援A型とは、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第5条第14項に基づいて提供される障害福祉サービスのひとつです。一般企業への就労が困難な障がいのある方に対して、雇用契約に基づいて就労機会を提供するとともに、生産活動やその他の活動の機会を通じて、知識・能力の向上に必要な支援を行います。
「A型作業所」「就労継続支援A型事業所」とも呼ばれます。厚生労働省の定める障害福祉サービスのひとつとして、全国の市区町村が認可した事業所が運営しています。精神障害・発達障害・身体障害・知的障害など、さまざまな障害のある方が利用しており、うつ病や統合失調症、ASD(自閉スペクトラム症)の方も多く活用しています。
就労継続支援A型の2つの目的
就労継続支援A型には、以下の2つの大きな目的があります。
ただし、就労継続支援A型はあくまで「継続的に働く場」であり、就労移行支援のように一般就労への移行を直接の目的とするサービスではありません。体調や状況に応じて、長期間利用し続けることも可能です。
利用期間の制限
就労継続支援A型には、就労移行支援(原則2年以内)のような明確な利用期間の上限はありません。ただし、一定期間ごとに支給決定の更新が必要です。更新時には、市区町村の障害福祉担当窓口でサービスの継続が適切かどうかを確認します。利用者の状況や希望に応じて、長期にわたって利用することも多く、安心して働き続けられる場として機能しています。
B型・就労移行支援との決定的な違い
障害のある方を対象とした就労系の障害福祉サービスには、主に「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の3種類があります。それぞれ目的・対象・雇用関係・報酬が大きく異なります。
3つの就労系障害福祉サービスの全体像
それぞれのサービスの違いを表にまとめました。
| 項目 | 就労移行支援 | A型 | B型 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 一般就労への移行準備・訓練 | 雇用契約に基づく継続的就労 | 雇用契約なしの就労訓練・機会提供 |
| 雇用契約 | なし(訓練中) | あり(労働者として雇用) | なし(工賃制) |
| 最低賃金 | 適用なし | 適用あり(最低賃金以上必須) | 適用なし |
| 報酬の名称 | なし(訓練給付金あり) | 賃金(給料) | 工賃 |
| 平均月額 | なし | 約83,551円(令和5年度) | 約16,369円(令和5年度) |
| 利用期間の上限 | 原則2年(延長あり) | なし(更新制) | なし(更新制) |
| 年齢要件 | 原則65歳未満 | 原則18歳以上65歳未満 | 原則18歳以上(年齢上限なし) |
| 向いている人 | 一般就労を目指して集中的に訓練したい人 | 給料をもらいながら安定して働きたい人 | 雇用契約にこだわらず自分のペースで働きたい人 |
| 一般就労への移行率 | 約50% | 約25% | 約13% |
A型とB型の違いをもう少し詳しく
同じ「就労継続支援」でも、A型とB型は根本的に異なります。
A型の最大の優位点は「給料の保障」です。都道府県の最低賃金(2025年度は多くの都道府県で900〜1,000円台)以上の時給が保証されており、B型の工賃と比べると経済的な安定度が格段に高くなります。一方で、雇用契約がある分、勤務時間や就業規則が課される点では、B型に比べてルールが厳しいという側面もあります。
就労移行支援との違いと組み合わせ
就労移行支援は「一般就労への移行」を目的とした訓練型のサービスで、利用期間は原則2年以内です。就労継続支援A型は、就労移行支援を経て一般就労に至らなかった場合の選択肢のひとつとして位置づけられることが多いですが、直接A型を利用することも可能です。
- 就労移行支援で訓練を積み、一般就労を目指したが就職に至らなかった→就労継続支援A型へ移行
- 特別支援学校を卒業後、すぐに就労継続支援A型を利用する
- 以前一般企業で働いていたが病気等で退職し、体調を整えながらA型で働く
- A型で働きながら、段階的に一般就労を目指す
対象者と利用条件——誰が使えるのか
就労継続支援A型の対象者・利用要件・利用できないケースを整理しました。手帳がなくても利用できる場合があるため、まずは相談から始めましょう。
就労継続支援A型の対象者
就労継続支援A型を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
さらに、以下のいずれかの就労経験等に関する要件を満たす必要があります。
- ✓就労移行支援事業を利用したが、一般企業等の雇用に結びつかなかった者
- ✓特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、一般企業等の雇用に結びつかなかった者
- ✓就労経験のある者で、現に雇用関係のない状態にある者(病気等で退職した方など)
- ✓上記に該当しない場合でも、市区町村が就労継続支援A型の利用が適切と判断した場合
利用が認められないことがあるケース
以下に該当する場合、就労継続支援A型の利用が認められないことがあります。
- 18歳未満の方(特別支援学校在学中は原則対象外)
- 現在すでに一般企業等に雇用されている方(離職後は対象となりうる)
- 就労継続支援B型が適切と判断された場合(体調や働き方の状況による)
- 入院中など、施設に長期入所している状況
ただし、これらはあくまで原則であり、個別の状況によって判断が異なります。「自分は使えるのか?」と迷ったら、まず窓口に相談することが重要です。
利用者の障害種別の内訳(厚労省調査)
就労継続支援A型の利用者の障害種別は、以下のような構成となっています。
このように、精神障害のある方が最も多く利用しています。うつ病や双極性障害で体調の波がある方、統合失調症で一般就労が難しい方、発達障害の特性から職場でのコミュニケーションに困難を感じている方など、さまざまな精神的な事情を抱える方が活用しています。
支援内容と具体的な作業の種類
就労継続支援A型では、単に働く場所を提供するだけでなく、障がいのある方が安心して働けるよう、多様なサポートが提供されます。仕事内容も多岐にわたります。
就労継続支援A型で受けられる支援
就労継続支援A型の具体的な仕事内容
就労継続支援A型事業所で提供される仕事は、事業所によって大きく異なります。主な仕事の種類は以下のとおりです。
近年は、IT・クリエイティブ分野に特化したA型事業所が増加しており、プログラミング、Webデザイン、動画制作、データ分析などの専門スキルを活かして働ける環境も広がっています。自分の得意なことや興味のある分野に合わせて事業所を選べるようになっています。
1日の勤務の流れ(モデルケース)
就労継続支援A型での1日の流れは、事業所や個人の勤務形態によって異なりますが、一般的な例を示します。
1日の勤務時間は4〜6時間程度が一般的で、週20時間程度の勤務が多いです。体調や障害特性に配慮して、短時間から始めて徐々に時間を増やしていく事業所も多くあります。
給料と費用——お金の実態を徹底解説
A型の給料の仕組み、手取り計算、年金・生活保護との関係、利用料・自己負担、実費について整理しました。
就労継続支援A型の給料の仕組み
就労継続支援A型では、利用者は事業所と雇用契約を結ぶため、労働基準法・最低賃金法が適用されます。これは、事業所が都道府県の最低賃金以上の時給を必ず支払わなければならないことを意味します。2025年度の最低賃金は、全国加重平均で1,055円(都道府県によって異なり、東京は1,163円など)となっています。
手取り額の計算——給料から引かれるもの
就労継続支援A型で受け取る賃金は、以下のものが差し引かれた金額が実際の「手取り」となります。
- 雇用保険料雇用契約があるため、雇用保険に加入することがある(週20時間以上勤務の場合)。保険料は給与から天引きされる。
- 所得税給与収入が一定以上の場合、所得税が源泉徴収される場合がある。
- 利用料(自己負担額)就労継続支援A型の利用には、原則として利用料の自己負担がある(所得によって異なる)。
- 交通費事業所によっては交通費が支給されない場合がある。
多くの方は生活保護世帯や住民税非課税世帯に該当するため、利用料の自己負担が0円になるケースも多くあります。実際の手取り額は個人の状況によって異なりますが、月額5〜8万円程度の手取りが一般的です。
給料と障害年金・生活保護の関係
就労継続支援A型で給料を得ることと、障害年金や生活保護の受給は、それぞれ独立しています。
- 障害年金との関係障害年金はA型で働きながら受給できます。ただし、就労状況によっては障害年金の等級変更(減額・停止)の審査対象となる可能性があります。不安な場合は年金事務所や社会保険労務士に相談しましょう。
- 生活保護との関係生活保護を受けながらA型で働くことは可能ですが、収入が増えると生活保護費が減額される仕組みになっています。具体的な計算方法はケースワーカーに確認してください。
- 障害者控除確定申告時に障害者控除を受けることで、税負担を軽減できる場合があります。
利用料・自己負担の仕組み
就労継続支援A型の利用には、サービスの利用料がかかります。ただし、全額を利用者が負担するわけではなく、国と都道府県と市区町村が費用の大部分を負担します。利用者の自己負担額は、世帯の所得に応じて決定され、上限額が設けられています。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 月額自己負担上限額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯(住民税非課税) | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※入所施設・グループホーム利用者を除く | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外(所得割16万円以上) | 37,200円 |
多くのA型利用者は、住民税非課税世帯に該当するため、実質的に自己負担0円で利用できるケースが多いです。これは就労継続支援A型を利用するうえでの大きなメリットのひとつです。
食費・交通費など実費の扱い
上記の自己負担額とは別に、以下の実費が発生することがあります。
- 食費昼食を事業所で提供している場合は実費(1食200〜500円程度が多い)。持参弁当可の事業所も多い。
- 交通費事業所への通所にかかる交通費。事業所によっては一定額を支給する場合もある。
- 日用品・消耗品一部の事業所では作業に必要な道具の費用が発生する場合がある。
また、交通費については自治体によって「通所交通費助成制度」が設けられている場合があります。地元の市区町村に確認しましょう。
利用手続きの流れ——申し込みから就労開始まで
就労継続支援A型を利用するためには、障害福祉サービスの受給者証の取得が必要です。情報収集から就労開始まで、7つのステップで進みます。
就労継続支援A型を利用するまでの全体の流れ
申請に必要な書類
市区町村への申請時に必要な書類の例です(自治体によって異なる場合があります)。
- ✓障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれか)またはこれに代わる書類(医師の診断書など)
- ✓印鑑(認め印可の場合が多い)
- ✓本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- ✓マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、または通知カード)
- ✓健康保険証
- ✓障害支援区分の認定が必要な場合は、調査票や医師の意見書
なお、就労継続支援A型は「障害支援区分の認定が不要」なため、比較的スムーズに申請できることが多いです(居宅介護などのサービスと異なる点です)。
相談支援専門員の活用
就労継続支援A型の利用にあたっては、相談支援専門員(相談支援事業所に所属する専門家)の支援を活用することが非常に有効です。相談支援専門員は、利用者の状況を踏まえて適切なサービスを一緒に検討し、「サービス等利用計画」を作成してくれます。市区町村の障害福祉担当窓口に相談すれば、相談支援専門員を紹介してもらえます。
障害種別ごとの利用のポイント
- 体調に合わせた働き方:精神疾患は体調の波があることが多いため、A型事業所では短時間勤務や、体調不良時の欠勤・早退への柔軟な対応を行っている事業所が多い
- 精神科・心療内科との連携:主治医と連携しながら支援を提供する事業所もある。通院しながら無理なく働ける環境が整っている
- 自立支援医療と併用:就労継続支援A型を利用しながら、自立支援医療制度(精神通院医療)を活用して医療費を1割に抑えることができる
- 統合失調症の方の事例:データ入力からWebライティングへとスキルアップし、自信を回復した方、対人恐怖が改善されたという報告がある
「給料をもらいながら、自分のペースで働ける」A型は、社会復帰への大切なステップ。症状が不安定な時期には主治医や支援員と相談しながら進めることが重要です。
- ASDの方に向いている業務:ルーティン作業(データ入力、ファイリング、梱包)や、集中力を活かせるIT・クリエイティブ業務。構造化された環境と明確な指示がある事業所が向いている
- ADHDの方の工夫:多動・不注意の特性に理解のある職場環境が重要。適度な刺激のある業務や、タスク管理をサポートしてくれる事業所を選ぶと良い
- コミュニケーションへの配慮:対人関係の難しさがある方でも、スタッフが仲介役となってサポートしてくれる事業所が多い
- 注意点:単調な作業が続く事業所では、発達障害の特性上「飽き」が課題となることもある。作業内容の多様性や変化についても見学時に確認しよう
- バリアフリー環境の確認:車いす使用の方は、事業所のアクセシビリティ(スロープ、エレベーター、トイレの幅など)を必ず見学時に確認する
- リモートワーク型事業所:一部のIT特化型A型事業所では、在宅(リモート)での就労が可能なケースもあり、身体的な移動が困難な方にも選択肢が広がっている
- 内部障害の方:透析を受けながら働いている方など、通院と勤務を両立できる柔軟な体制の事業所を選ぶことが重要
- 障害者総合支援法の対象となる難病(指定難病)がある方も、就労継続支援A型を利用できる
- 難病は症状の波があることが多いため、体調に応じた柔軟な対応が可能な事業所を選ぶことが大切
- 難病のある方が障害福祉サービスを利用する際には、障害者手帳がなくても診断書等で申請できる場合がある
事業所の選び方と見学のチェックポイント
就労継続支援A型事業所は全国に4,000か所以上あり、仕事内容・雰囲気・支援の質は事業所によって大きく異なります。自分に合った事業所を選ぶことが、長く安定して働き続けるための鍵です。
良い事業所を選ぶための7つの視点
見学・体験利用でチェックすること
事業所の見学・体験利用は、雰囲気を実際に感じるための最も重要なステップです。以下の点を確認しましょう。
- ✓作業スペースの環境:清潔か、十分なスペースがあるか、休憩室やトイレの状況
- ✓スタッフの利用者への接し方:親切か、威圧的ではないか、個人の状況を尊重しているか
- ✓作業の難易度と量:自分の体力・認知機能・スキルに合った作業か、無理のない範囲で始められるか
- ✓利用者との雰囲気:利用者同士が過度に孤立していないか、自分が溶け込めそうな雰囲気か
- ✓緊急時の対応:体調が急変した場合や精神的に辛くなった場合の対応方針を確認する
- ✓交通費・食費の補助の有無:実質的な手取り額に影響するため必ず確認する
体験利用は多くの事業所で無料で行われており、複数の事業所を体験してから決めることもできます。焦らず、自分が安心して働けると感じられる場所を選んでください。
事業所を探す方法
- 市区町村の障害福祉担当窓口地域のA型事業所一覧や情報を入手できる。相談支援専門員の紹介も可能。
- LITALICO仕事ナビ(snabi.jp)全国の就労継続支援A型事業所を地域・仕事内容で検索できる無料サービス。
- ハローワーク(公共職業安定所)障害者専門の窓口で、A型事業所の情報を提供している。
- インターネット検索「就労継続支援A型 ○○市」などで検索する。
- 精神保健福祉センター精神障害のある方向けの就労相談も行っている。
一般就労への移行・メリットとデメリット
A型は「継続的に働く場」ですが、体調が安定し、スキルや自信がついてきたら、一般企業への就職を目指すことも可能です。A型の良い点・注意点も整理します。
就労継続支援A型から一般就労へ
厚生労働省のデータによれば、A型から一般就労への移行率は約25%です(就労移行支援の約50%と比べると低いですが、B型の約13%と比べると高い)。一般就労への移行には、以下のようなルートがあります。
- 障害者雇用枠での就職障害者手帳を持っている方は、企業の障害者雇用枠(法定雇用率に基づく採用)を利用して就職する。一般就労よりも配慮を受けながら働ける。
- オープン就労障害があることを企業に伝えながら、一般枠または障害者枠で就職する。
- クローズ就労障害の告知をせずに一般枠で就職する。配慮は受けにくいが、収入が高い傾向がある。
就労定着支援との組み合わせ
就労継続支援A型から一般就労に移行した後、職場への定着をサポートするサービスが「就労定着支援」です。一般就労後6ヶ月以内に申請すれば、最大3年間、専門の支援員が職場や生活上の問題を相談に乗ってくれます。A型を経て一般就労した方が、スムーズに職場に溶け込むための強力なサポートとなります。
A型を「終の働く場」として利用することも選択肢
すべての利用者が一般就労を目指す必要はありません。体調・障害の程度・本人の希望によっては、就労継続支援A型を長期にわたって利用し続けることも完全に適切な選択肢です。安定した就労環境・人間関係・生きがいを提供する場として、A型を「自分の働く場」として大切にしている方も多くいます。
就労継続支援A型のメリット
就労継続支援A型のデメリット・注意点
最新動向・支援制度・誤解と不安への向き合い方
2024年度の報酬改定、制度の課題、IT・テクノロジーを活用した新型事業所、自立支援医療制度との組み合わせ、A型に関するよくある誤解と不安まで、知っておきたい論点をまとめました。
2024年度の報酬改定とA型への影響
2024年(令和6年)4月に障害福祉サービスの報酬改定が行われ、就労継続支援A型にも大きな変更が加えられました。主なポイントは以下のとおりです。
- スコア方式(多様な評価基準)の導入2019年の改定で導入されたスコア方式がさらに見直され、利用者の賃金・処遇改善、就労実績(一般就労への移行数)、利用者の技能・能力向上に向けた取り組みなど、複数の指標によって事業所への報酬が決定される仕組みが継続・強化されている。
- 最低賃金額以上の賃金支払いの徹底就労継続支援A型事業所が最低賃金以上の賃金を確実に支払えているかどうかの確認が強化された。財務状況が厳しく最低賃金を支払えない事業所への指導・監督が厳格化。
- 処遇改善加算支援員(職員)の処遇改善(給与引き上げ)に取り組む事業所への加算制度が設けられ、質の高い支援員の確保が促進されている。
- 就労移行支援との連携強化就労継続支援A型から一般就労への移行をより積極的に支援するための連携体制の整備が求められている。
これらの改定は、就労継続支援A型の質の向上と、利用者の賃金・処遇の改善を目的としています。利用者として知っておくべき点は、事業所の財務状況が健全であるか、適切な賃金が支払われているか、支援員が十分に確保されているかどうかです。見学時にこれらの点を確認しておきましょう。
就労継続支援A型の課題と改善の動向
- 一部事業所における「偽装A型」問題過去に、実質的にB型に近い軽微な作業しか提供せず、補助金目当てに運営する「質の低いA型事業所」が問題となった。2017年以降、国による改善指導・監督が強化されている。
- 賃金格差の問題最低賃金は保障されているが、事業所によって賃金に差があり、生産活動が乏しい事業所では賃金が低くなりがち。国は「生産活動収支の黒字化」を義務づけ、経営が成立する事業所のみがA型を運営できるよう基準を強化している。
- 一般就労への移行率の向上就労継続支援A型からの一般就労移行率は約25%にとどまっており、より高い移行率を実現するための支援内容の充実が課題となっている。
- 支援員の専門性の向上精神保健・発達障害・身体障害に関する専門知識を持つ支援員の育成・確保が、事業所の質に直結する課題として認識されている。
これらの課題への対応として、厚生労働省・都道府県・市区町村が連携し、事業所への指導監督・情報公開・利用者向け情報提供の充実が進められています。利用を検討する際は、事業所の公表されている情報(都道府県や市区町村のウェブサイトに掲載されることが多い)を確認することも有効です。
IT・テクノロジーを活用したA型事業所の増加
近年、就労継続支援A型の分野で大きな変化が起きています。従来の軽作業・農業・カフェ業務中心の事業所に加え、IT・テクノロジーを活用した新型の事業所が増加しています。
- プログラミング・Web開発専門型Webサイト制作、アプリ開発、システム開発などのIT業務に特化したA型事業所。利用者はエンジニアとしてのスキルを身につけながら給料を得られる。
- リモートワーク対応型自宅からオンラインで勤務できるA型事業所。身体障害や精神障害により通勤が困難な方でも利用しやすい環境を提供。
- デザイン・クリエイティブ型グラフィックデザイン、動画編集、Webコンテンツ制作に特化した事業所。
- 農福連携型農業とA型福祉を組み合わせた「農福連携」モデル。農作物の栽培・加工・販売を通じて、利用者が自然の中で働きながら給料を得る。
こうした多様化により、利用者は自分の興味・得意・障害特性に合った就労環境を選びやすくなっています。自分がどのような仕事に向いているかを、支援員や相談支援専門員と一緒に考えながら事業所を探すことが、長く安定して働き続けるための近道です。
就労継続支援A型を取り巻く社会的背景
日本では2026年現在、障害のある人が社会で自立して生活するための支援体制の整備が進んでいます。2013年に施行された「障害者差別解消法」は、行政機関や民間事業者に障害者への「合理的配慮」の提供を義務づけており(2021年改正により民間事業者も義務化)、障害のある方が働きやすい環境づくりへの社会的な関心が高まっています。
また、企業に課せられる「法定雇用率」(障害者を一定割合以上雇用する義務)も段階的に引き上げられており、2026年度には民間企業で2.7%となっています。こうした社会的背景の中で、就労継続支援A型は「一般就労が困難な方でも給料をもらって働ける場」として、ますます重要な役割を担っています。就労継続支援A型で働く経験・スキル・自信が、将来的な一般就労への橋渡しとなることも多く、障害者の就労支援の全体像の中で欠かせない存在となっています。
自立支援医療制度(精神通院医療)との組み合わせ
自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神科・心療内科に継続して通院する精神障害のある方の医療費の自己負担を、原則として1割に軽減する制度です(通常の医療保険では3割)。就労継続支援A型を利用しながら、精神科に通院している方が活用できます。
- 対象疾患うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、適応障害、発達障害に伴う精神的問題、パーソナリティ障害など、継続的な通院が必要な精神疾患全般
- 対象の医療精神科・心療内科の外来診療、投薬、デイケア、訪問看護など
- 申請窓口お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(または精神保健福祉センター)
- 必要書類医師の診断書・意見書、健康保険証、マイナンバー関係書類など
- 有効期間1年間(毎年更新が必要)
精神保健福祉センターの活用
精神保健福祉センターは、都道府県・政令指定都市に設置されている公的機関で、精神的な健康に関するさまざまな相談を無料で受け付けています。就労継続支援A型の利用を検討している方、働くことに不安がある方、精神的な問題を抱えながら就労に向けて歩み出したい方は、精神保健福祉センターに相談することも有効な手段です。
- 精神科医・精神保健福祉士・臨床心理士・社会福祉士などが相談に応じる
- 就労問題、生活上の問題、家族関係の問題など、幅広い相談に対応
- 匿名での相談も可能
- 福祉サービスの紹介や、適切な専門機関への連携も行う
就労継続支援A型にまつわる誤解とよくある不安
「A型はハードルが高い」という誤解
「就労継続支援A型は雇用契約があるから、自分には難しいのでは」と感じる方は少なくありません。しかし、A型は一般企業と異なり、障がいのある方への配慮を前提として設計されたサービスです。勤務時間が1日4〜6時間程度と短く、体調に合わせて柔軟に調整できる事業所がほとんどです。採用選考はあるものの、面接の雰囲気は一般企業よりも穏やかなことが多く、「今の体調でどのくらい働けるか」「どのような配慮が必要か」を正直に伝えることで、自分に合った事業所を見つけやすくなります。
また、「障害が重い人は入れない」という誤解もあります。A型の対象は、精神障害・身体障害・知的障害・発達障害など幅広く、障害の程度が比較的重い方でも、事業所の仕事内容や支援の内容によっては無理なく利用できる場合があります。まず相談支援専門員や市区町村の窓口に相談し、自分に合った事業所を一緒に探してみることが大切です。
「A型で働くと一般就労できなくなる」という誤解
「A型に入ったら一般就労への道が閉じてしまう」という心配をする方がいますが、これは誤解です。就労継続支援A型はいつでも退所して一般就労を目指すことができます。むしろ、A型での就労経験が「職歴」となり、履歴書に記載できることが一般就労の面接で評価されることもあります。A型で働きながら就職活動を行い、一般就労に移行した方も多くいます。一般就労に移行した後は、「就労定着支援」というサービスを最大3年間利用して、職場定着をサポートしてもらえます。
一方で、A型での就労が「一般就労より劣った選択」というわけでは決してありません。安定した雇用環境・障害への配慮・継続的な支援を受けながら長く働き続けることは、多くの方にとって非常に価値のある選択です。「A型に通っているから恥ずかしい」と感じる必要はまったくなく、自分のペースで社会に参加していることを誇りに思ってください。
「A型の給料では生活できない」という不安
就労継続支援A型の平均月収は約83,551円(令和5年度)で、これだけで生計を立てることが難しいのは事実です。しかし、以下のような制度と組み合わせることで、経済的な安定を図ることが可能です。
- 障害年金精神障害・身体障害・知的障害などで障害年金(1級または2級)を受給している場合、A型の給与と合算できる。障害基礎年金2級は月額約66,250円(2025年度)
- 生活保護収入が生活保護基準を下回る場合は、生活保護との併用が可能。就労収入が増えると生活保護費が調整される仕組み
- 家族の支援・グループホーム家族と同居して生活費を分担したり、障害者グループホームに入居して生活コストを抑えることも選択肢
- 住居確保給付金・住宅手当自治体によっては家賃補助の制度がある場合がある
- 自立支援医療制度精神科・心療内科の医療費を1割に抑えることで、生活費の負担を軽減できる
「給料が少ない」ことへの不安は正当な不安です。しかし就労継続支援A型は、利用料の多くが国・都道府県・市区町村に負担されており、経済的なサポートの枠組みの中で設計されたサービスです。一人で抱え込まず、相談支援専門員や市区町村の窓口、精神保健福祉センターに相談しながら、あなたに合った経済的な生活設計を考えていきましょう。
「人間関係が心配」という不安
利用者同士・スタッフとの人間関係への不安は、多くの方が感じることです。就労継続支援A型の利用者は、障がいのある方が中心のため、一般企業のような競争的な雰囲気は少なく、お互いの事情を理解し合いやすい環境があります。スタッフは福祉の専門知識を持ち、コミュニケーションが難しい場面でも仲介役になってくれます。
それでも、人間関係のトラブルや合わないと感じる状況が起きることはあります。そうした場合は、一人で抱え込まずに支援員やサービス管理責任者に相談することが大切です。合わないと感じる事業所を無理に続けることはなく、他の事業所への移転も可能です。見学・体験利用の段階で、実際の利用者やスタッフの雰囲気をしっかり確認しておくことが、入所後のミスマッチを防ぐための最も有効な手段です。
就労継続支援A型のよくある質問
A. 原則として、18歳以上65歳未満の方が対象です。ただし、2018年4月の法改正により、65歳になる前から継続してA型を利用していた方については、65歳以降も引き続き利用できる場合があります。また、18歳未満であっても、特別な事情がある場合(特別支援学校高等部卒業後の離島在住者など)は例外的に利用できることがあります。詳細は市区町村の窓口にご相談ください。
A. 障害者手帳がなくても利用できる場合があります。障害者総合支援法では、精神保健指定医や精神科医の診断書があれば、手帳がなくても障害福祉サービスの対象者として認定される場合があります。また、難病の方は難病の診断書で対象となる場合があります。まず市区町村の障害福祉担当窓口または精神保健福祉センターに「手帳がないけれど利用できるか」と相談してみてください。
A. 就労継続支援A型で働くこと自体が障害年金の停止・減額の直接的な理由にはなりません。ただし、障害年金は「障害の程度」によって等級が決定されており、就労状況が改善されて「就労能力がある」と判断されると、次回の更新(障害状態確認届)時に等級が下がる可能性はゼロではありません。心配な場合は、年金事務所や社会保険労務士に個別に相談することをお勧めします。
A. 原則として、就労継続支援A型とB型を同時に利用することはできません。ただし、一方を利用しながらもう一方へ移行することは可能です。たとえばB型を利用しながら体調が安定してきたらA型に移行する、またはA型が体調的に難しくなってB型に切り替えるといったことができます。どちらのサービスが自分に合っているかは、相談支援専門員や市区町村の窓口と一緒に検討しましょう。
A. 就労継続支援A型には利用年数の上限はありません。ただし、一定期間ごと(多くの自治体では1年ごと)に市区町村によるサービス支給決定の更新が必要です。更新時には、引き続きサービスを利用することが適切かどうかが確認されますが、継続して必要と認められれば何年でも利用し続けることができます。また、65歳になると新規での申請はできなくなりますが、65歳前から利用している方は継続利用が可能です。
A. 就労継続支援A型では雇用契約を結んでいますが、欠勤した日の給料については、事業所の就業規則や雇用契約の内容によって異なります。多くの場合、欠勤した日は給料が支払われない(欠勤控除)ですが、有給休暇の制度がある事業所では、有給を利用して給料を受け取ることもできます。雇用保険の適用を受けている場合、傷病手当て(休職中の補填)の仕組みが使える場合もあります。事業所との契約時に、体調不良時の扱いについて確認しておくことが重要です。
A. 法律上は禁止されていませんが、事業所の就業規則や雇用契約の内容によっては、兼業・副業が制限されている場合があります。また、生活保護を受給している場合は収入が増えると生活保護費が減額される仕組みになっているため、ケースワーカーへの報告と相談が必要です。障害年金との関係でも収入額によって影響が出る場合があります。事前に事業所・市区町村窓口・主治医などに確認してから検討しましょう。
A. A型は雇用契約を前提とするため、事業所の採用選考に通過する必要があります。A型に入れなかった場合の選択肢として、①他のA型事業所に再応募する、②就労継続支援B型を利用しながら体力・スキルをつけてA型を目指す、③就労移行支援で訓練を積んでから再チャレンジする、④精神保健福祉センターや相談支援専門員に相談して別の支援策を探す、などがあります。「A型に入れなかった」ことを自分の失敗と受け取らないでください。支援者と一緒に、あなたに合った次の一歩を見つけましょう。
一人で悩まないで。
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このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。
