フリーターとは?
定義・実態・正社員との格差・脱出方法・支援制度を徹底解説
アルバイトや派遣で生計を立てるフリーターは、2024年時点で日本に136万人。経済的不安定さや社会的スティグマがメンタルヘルスと深く結びついています。定義から脱出戦略・支援制度・心のケアまで、必要な情報をすべてここにまとめました。
フリーターとは
フリーターは、正規雇用に就かずアルバイトやパートで生計を立てる若者を指す和製英語。1987年に雑誌「フロム・エー」が使い始め、バブル崩壊後の1990年代から社会問題として認識されるようになりました。
フリーターの定義
フリーターとは、「フリーアルバイター(Free Arbeiter)」の略語で、正規雇用(正社員)に就かずにアルバイトやパートタイムで生計を立てている若者を指す和製英語です。1987年頃に雑誌「フロム・エー」が使い始めた言葉とされており、その後1990年代のバブル崩壊とともに社会問題として認識されるようになりました。
厚生労働省の定義では、フリーターは以下のように定められています。
- 年齢15歳以上34歳以下
- 性別・婚姻男性は卒業者、女性は卒業者かつ未婚の者
- 就業形態(1)雇用者のうちパート・アルバイトとして働いている者、(2)完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者、(3)非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で、家事も通学も就業内定もしていない「その他」の者
フリーターの3つのタイプ
「なぜフリーターになったか・なっているか」という理由別に分類すると、以下の3つのタイプに整理されます。それぞれのタイプで抱える課題やメンタルヘルスへの影響が異なります。
主な心理的課題:夢の挫折時の喪失感、年齢を重ねるにつれて増大する焦り・プレッシャー、就職市場での競争力の低下
主な心理的課題:アイデンティティの拡散(自分が何者かわからない状態)、将来への不安、自己肯定感の低下、社会的孤立感
主な心理的課題:悔しさ・挫折感、自責感(「自分が悪かった」)、うつ・不安の発症リスクが高い、社会から取り残される感覚
ニートとの違い
フリーターとよく混同される言葉に「ニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)」があります。
フリーターは「働いている」という点でニートとは区別されます。ただし、フリーターが仕事を辞めて求職活動もしない状態になると、ニートに移行するケースもあります。また、精神的な問題でアルバイトすら続けられなくなり、ニート化することもあります。
フリーターの現状と統計データ
フリーター人口は2003年の217万人をピークに減少しましたが、2023年以降は再び増加に転じています。高齢化と就職氷河期世代の長期滞留が深刻な課題です。
フリーター人口の推移
総務省「労働力調査(詳細集計)」と厚生労働省「若年者雇用実態調査」に基づくと、フリーター(15〜34歳)の人数は以下のように推移しています。
フリーターの高齢化問題
近年深刻化しているのがフリーターの高齢化です。15〜24歳のフリーターより25〜34歳のフリーターの方が多く、かつ「25〜34歳」の比率が増加し続けています。
- 2024年の15〜24歳フリーター:前年比2万人増
- 2024年の25〜34歳フリーター:前年比変わらず(ただし15〜24歳より人数が多い状態が続く)
20代前半でフリーターを始めた人が就職できないまま30代になり、「フリーター歴が長くなるほど正社員就職が難しくなる」という悪循環が生まれています。特に、2000年代初頭の就職氷河期にフリーターになり、長年フリーターを続けている就職氷河期世代(主に1970〜1984年生まれ)の問題は、政府も特別な支援策を設けるほど深刻です。
フリーターの職種・業種の特徴
フリーターが多く就労している職種・業種は次の通りです。
フリーターになる理由・背景
フリーターになる・続けることには、個人的な事情と社会的・構造的な要因が複雑に絡み合っています。「合理的な選択」としてのフリーターも一定数存在します。
個人的な理由
以下に主な個人的理由を示します。
- やりたいことが見つからない将来の目標がなく、就職活動で「どこでも良い」という状態になれず、とりあえずアルバイトで生活する。モラトリアム型の典型。
- 夢を追っている俳優・ミュージシャン・スポーツ選手などを目指しながら生活費を稼ぐためにアルバイト。
- 就職活動への苦手意識・失敗経験面接が苦手、グループディスカッションが苦手、就職活動での挫折経験から「また落ちるくらいなら最初からやらない」という回避行動。
- 正社員の働き方への不安・抵抗感残業・転勤・会社に縛られることへの抵抗感。親世代のサラリーマン生活を見て「ああなりたくない」という意識。
- 病気・障害・メンタルヘルスの問題うつ病、不安障害、発達障害(ADHD、ASD)などにより正社員として安定的に働くことが難しい。
- 家族の介護・育児親の介護や子育てのため、フルタイムの正規雇用より柔軟なアルバイトを選ぶ。
- 一度フリーターになったら抜け出せなくなった最初は一時的なつもりだったが、時間が経つにつれて就職市場での評価が下がり、脱出が難しくなる。
社会的・構造的な背景
個人の意思だけでなく、社会・経済的な構造がフリーターを生み出しています。
- 就職氷河期の影響1990年代後半から2000年代初頭にかけてのバブル崩壊後の不況により、新卒採用が極端に少なくなった。この時期に学校を卒業した世代は、不本意なままフリーターになったケースが多い。
- 新卒一括採用制度の弊害日本特有の新卒一括採用システムでは、卒業時に就職できなかった人が後から就職市場に参入しにくい構造がある。
- コロナ禍による非正規雇用の増加2020〜2021年のコロナ禍では飲食・観光などの非正規労働者が大量に失業。若年層の雇用環境が悪化した。
- 非正規雇用市場の拡大企業が人件費を抑えるために非正規雇用を増やし続けており、「正社員になりたくてもなれない」不本意型フリーターを生み出す構造が続いている。
- 学校教育と職業生活のミスマッチ学校教育では「働くこと」の実際を学ぶ機会が少なく、進路選択やキャリア形成の準備が不十分なまま社会に出ることも一因。
- 地方の雇用不足都市部への人口集中が続く中、地方では正規雇用の選択肢自体が少なく、フリーターになりやすい環境がある。
フリーターを選ぶことの「合理性」も存在する
フリーターという選択が必ずしも「失敗」や「逃げ」ではなく、合理的な理由による場合もあります。
- ✓残業・長時間労働のない働き方を実現できる
- ✓複数のアルバイトを掛け持ちして収入を確保しながら、副業・起業準備ができる
- ✓ライフスタイルの自由度(旅行、趣味、創作活動)を確保できる
- ✓正社員より心理的プレッシャーが低い環境で働き、メンタルヘルスを維持できる
- ✓介護・育児などケア労働と両立しやすい
フリーターのメンタルヘルスへの影響
経済的不安定性、社会的孤立、不明確な将来展望が複合的に絡み合い、フリーターの精神的健康を脅かします。発達障害との関連も近年注目されています。
フリーターとメンタルヘルスの関連性
フリーターという就労形態は、メンタルヘルスにさまざまな影響を与えることが研究によって指摘されています。雇用の不安定さとメンタルヘルスの関係については、国内外の研究で次の知見が得られています。
- 非正規雇用者は正規雇用者と比べて、うつ症状の有病率が有意に高い
- 雇用の不安定さは「将来への見通しの不確実性」をもたらし、慢性的なストレス反応(コルチゾール過剰分泌)を引き起こす
- アルバイト収入の不安定さ(シフト削減、季節変動)が、経済的不安と直結し不安障害・うつ病のリスクを高める
- 「フリーター」という社会的なレッテル・スティグマが自己評価を低下させ、長期的な自己肯定感の低下につながる
フリーターに多いメンタルヘルスの問題
フリーターが経験しやすい精神的・心理的な問題を以下に挙げます。
「フリーターは精神的に楽」は本当か
フリーターに関する「精神的に楽な面」として、以下が挙げられることがあります。
- ✓職場でのプレッシャーや責任が正社員より少ない
- ✓嫌なら辞めて次のアルバイトに移ることができる
- ✓残業や休日出勤が少ない
- ✓人間関係の「縛り」が少ない
これらは短期的に見れば事実の面もあります。しかし、長期的にはフリーターの方がメンタルヘルスに問題を抱えるリスクが高いというデータがあります。短期的な「楽さ」の一方で、経済的不安・将来への不透明感・社会的スティグマが蓄積することで、じわじわとメンタルヘルスが蝕まれていくケースが多く見られます。
フリーターと発達障害の関連
近年、発達障害(ADHD・ASD等)との関連が注目されています。診断を受けていない、あるいは特性に気づかれないまま成長した人が、就職活動や正規雇用の職場環境に適応できず、不本意にフリーターになるケースがあります。
- ADHD(注意欠如・多動性障害)締め切り管理・マルチタスク・長時間の集中が困難。就活の「エントリーシートを〇社書く」「面接対策をする」などの段取りが苦手で就職活動が進まないケースも。
- ASD(自閉スペクトラム症)集団面接・グループディスカッションでのコミュニケーション困難、「暗黙のルール」への適応の難しさから就職活動が続かないケースも。
- 適切な支援につながることで状況が変わる発達障害の診断を受け、障害者雇用枠の活用・合理的配慮の申請・ジョブコーチ支援などを利用することで、安定した就労につながることがある。
フリーターと正社員の収入・生涯賃金格差
フリーターと正社員の格差は、月収・賞与・昇給だけでなく、生涯賃金で1億円以上、年金で2,000万円規模の差に広がります。
年収・月収の差
フリーターと正社員の収入格差は歴然としています。国税庁「民間給与実態統計調査」や厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づくデータを示します。
生涯賃金の差——1億円以上の格差
短期的な月収の差だけでなく、生涯賃金(生涯を通じた収入の合計)の格差は非常に大きくなります。
- 大学卒正社員(男性)の生涯賃金約2億5,000万〜3億円
- フリーター継続(男性)の生涯賃金約1億〜1億5,000万円
- 差額(男性)約1億〜1億5,000万円以上
- 差額(女性)正社員とフリーターの生涯賃金差は約9,000万〜1億円とされる
この差は「正社員は経験を積むにつれて昇給・昇進が続く」のに対し、「フリーターは何年働いても基本的に同じ時給水準」という構造から生じます。また、正社員には退職金がある場合も多く、これを含めるとさらに格差は拡大します。
貯蓄格差
収入格差は貯蓄にも直結します。
フリーターは毎月の収入が少ない上に、収入が安定しない(シフト削減・季節変動)ため、緊急時のための貯蓄が不十分になりがちです。病気や事故で働けなくなった場合に、すぐに経済的危機に陥るリスクがあります。
フリーターが加入する年金・保険の種類
フリーターが加入する社会保険・年金は、勤務先・労働時間によって異なります。
- 厚生年金への加入条件週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2ヶ月超の雇用見込み・学生でない、という要件をすべて満たす場合、アルバイトでも厚生年金・健康保険に加入できる(2022年10月から従業員101人以上、2024年10月から51人以上の企業に拡大)。多くのフリーターはこの要件を満たさず、国民年金のみとなる。
- 国民年金のみの場合基礎年金(国民年金)のみに加入。将来受け取れる年金額が正社員に比べて大幅に少なくなる。
- 国民健康保険厚生年金・健康保険に加入できないフリーターは国民健康保険に自己負担で加入。正社員の場合は会社が保険料を半額負担するが、国保は全額自己負担。
年金受給額の差
フリーターと正社員で、65歳以降に受け取る年金額はどのくらい違うのでしょうか。
フリーターができる年金対策
フリーターでも、以下の方法で将来の年金を増やすことができます。
- 国民年金の付加年金に加入月額400円の追加保険料で、65歳以降の年金を月200円×納付月数分増やせる。10年以上受給すれば元が取れる。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用月5,000円から始められる私的年金。掛け金が全額所得控除になり節税効果もある。
- 厚生年金に加入できるアルバイト先を選ぶ社会保険完備のアルバイト先を選ぶことで、正社員と同様に厚生年金に加入できる。
- 正社員に転職して厚生年金加入期間を確保する30代で正社員になった場合でも、30年間の厚生年金加入でそれなりの年金額を確保できる。
フリーターの将来リスクと老後
長年フリーターを続けた場合、老後の生活・住宅・社会的信用・病気時のセーフティネットなど、複数のリスクが顕在化します。
老後の生活設計の難しさ
フリーターを長年続けた場合、老後の生活には深刻なリスクが伴います。
フリーターが病気・ケガをした場合のリスク
フリーターにとって、病気やケガによる就労不能は経済的な危機と直結します。
- 傷病手当金がない正社員が加入する健康保険には、病気やケガで4日以上働けなくなった場合に標準報酬日額の2/3を最大1年6ヶ月支給する「傷病手当金」制度がある。フリーターが加入する国民健康保険にはこの制度がない(一部の自治体には条件付きで独自制度がある)。
- 失業手当が少ないか受け取れない雇用保険(失業保険)は週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある場合に加入できるが、加入していなければ失業時に手当を受け取れない。
- 貯蓄が少ないため数ヶ月で生活困窮20代フリーターの平均貯蓄額は約80万円(20代正社員は約160万円でフリーターの約2倍)。収入がゼロになった場合5〜6ヶ月程度で底をつく計算になる。
フリーター継続のリスク総括
- ✓年齢が上がるにつれて正社員就職が難しくなる(負のスパイラル)
- ✓生涯賃金が正社員より1億円以上少なくなる可能性
- ✓老後の年金収入が月6〜8万円程度にとどまる
- ✓病気・ケガ・経済ショック時のセーフティネットが弱い
- ✓社会的信用の低さによる生活上の制約(住宅・ローン・クレジット)
- ✓社会的孤立・メンタルヘルスへの悪影響の蓄積
フリーターに対する社会的偏見
日本社会において、フリーターはさまざまな否定的なレッテルを貼られることがあります。これを社会的スティグマ(偏見・差別的なラベリング)と呼びます。
- ×「根性がない」「努力が足りない」「甘えている」
- ×「夢ばかり追って現実を見ていない」
- ×「結婚できない」「一人前じゃない」
- ×「いつまでもフラフラして」(親・親族からの批判)
- ×「年齢相応の社会経験がない」(就職活動での評価)
これらの偏見は、フリーター当事者が内面化すると、「やっぱり自分はダメな人間だ」という自己スティグマにつながります。自己スティグマは自己肯定感を著しく低下させ、就職活動への意欲や行動力を奪う悪循環を生み出します。
同世代との比較による自己嫌悪
SNSの普及により、同世代の友人・知人の「正社員として活躍している」「結婚した」「家を買った」などの投稿を日常的に目にすることが増えました。これが社会的比較を促進し、フリーターの自己評価をさらに下げる原因になっています。
- 「友達はみんな正社員なのに自分だけ」という孤立感
- 「同い年の人が昇進しているのに自分は時給が変わらない」という惨めさ
- 「親に申し訳ない」という罪悪感・恥
- 「友達と話が合わなくなってきた」という疎外感
このような感情は、対人関係からの回避行動(友人と会わなくなる、SNSを見たくなる)につながりやすく、さらなる社会的孤立を深める悪循環に陥ります。
自己肯定感を守るための考え方
フリーターという状況の中で、自己肯定感を保つためのアプローチを紹介します。
- 「フリーター=ダメな人間」という等式は偽りである就労形態は人間としての価値とは関係ありません。フリーターであることが「あなたがダメな人間である証拠」にはなりません。
- 自分をフリーターにした「構造的要因」を認識する就職氷河期、コロナ、新卒一括採用制度など、個人の努力だけではどうにもならない外部要因があります。「全部自分のせい」と自責するのは正確ではありません。
- 自分の「強み」「価値観」を再発見するフリーターとして働く中で身につけたスキル(接客力、コミュニケーション力、時間管理力など)や、自分が大切にしている価値観を書き出してみましょう。
- SNSの比較から距離を置く「SNSで見る友人の生活は、すべてではない」という事実を思い出す。必要であればSNSの閲覧時間を制限する。
- 「今日」の小さな達成を認める就職活動の準備を一歩進めた、アルバイトで頑張った、など小さな行動を記録し、自分を認める習慣を作る。
フリーターから正社員への就職方法
就職支援機関のデータでは、フリーターの就職成功率は約67%。年齢・スキル・行動量によって大きく変わりますが、「早く動く」ことが最大の成功要因です。
フリーターの就職成功率
「フリーターから正社員への転職は難しい」というイメージがありますが、就職支援機関のデータでは、フリーターの就職成功率は約67%とされています。つまり、しっかりと活動すれば3人に2人は正社員になれるということです。ただし、年齢・フリーター歴の長さ・業種によって成功率は大きく変わります。
フリーターから正社員になるための具体的ステップ
フリーターが面接で必ず聞かれること
フリーターが就職活動をする際、面接で必ずと言っていいほど聞かれる質問と、効果的な答え方を紹介します。
夢追い型なら「〇〇を目指していたが、改めて社会で貢献したいと考えた」、モラトリアム型なら「自分の方向性を模索していたが、〇〇という価値観が明確になった」、不本意型なら「〇〇という事情で就職が難しい時期があったが、改めて〇〇に挑戦したい」など、ネガティブな事実を前向きな文脈に置き直す。
接客・コミュニケーション・チームワーク・業務改善など、正社員として活かせる経験・スキルを具体的なエピソードで話す。
企業研究を踏まえた、具体的かつ現実的な将来像を語る。「御社で〇〇を担当しながら〇〇のスキルを身につけたい」のように、会社のビジョンと自分の成長を結びつける。
年齢別のフリーター脱出戦略
年齢ごとに就職市場で評価されるポイント・取りやすい戦略は異なります。自分の年齢帯の「強み」を最大化する動き方を選びましょう。
強み:若さ・伸びしろ・体力・新しい環境への適応力が高く評価される
有利な職種:営業職、販売職、IT(文系未経験可)、介護・福祉、飲食店正社員
戦略:「とりあえず応募」よりも「3年後に何をしたいか」を考えて行動することで、面接での説得力が増す。まずはナビサイト(マイナビ・リクナビ)と第二新卒・フリーター向けエージェントを並行して使う
注意点/取るべき行動:「どこでもいい」という姿勢でのブラック企業への入社。求人票をよく読み、給与・残業・離職率を確認する
強み:アルバイト経験を通じたコミュニケーション力・社会人としてのマナー・特定スキル(英語・IT・資格等)があれば強い武器になる
有利な職種:IT系(プログラミングを独学で学んでいる場合)、営業、専門職(資格が取れる職種)
戦略:「なぜ今正社員を目指すのか」のストーリーを明確にする。面接では年齢相応の自己認識と将来設計を示す必要がある
注意点/取るべき行動:就職活動を本格化させる最後のタイミング。就職支援エージェントを複数登録して積極的に動く
強み:アルバイト経験で培った業種別の専門知識(飲食・小売・介護など)、マネジメント経験(アルバイトリーダー・チーフなど)、長期間の就業実績
有利な職種:介護・福祉(慢性的な人手不足)、IT(プログラミングスキルがある場合)、飲食・サービス業の正社員(アルバイトから登用のルートがある)
戦略:「なぜ今、なぜこの会社か」を徹底的に研究して答える準備をする。年齢相応の社会人としての成熟度をアピールする
注意点/取るべき行動:就職氷河期世代向けの専用支援(ハローワーク内の相談窓口、職業訓練)を積極的に活用する
資格・スキル取得によるキャリアアップ
特定の資格・スキルを取得することで、就職の可能性を大きく広げることができます。
- IT系資格ITパスポート(入門・独学可)、基本情報技術者試験(IT未経験者の就職に有効)、プログラミング(Python・JavaScript等・独学・スクール利用)
- 介護・福祉系介護職員初任者研修(ヘルパー2級相当・約3ヶ月で取得可)、介護福祉士(受験資格取得に実務経験が必要)
- 事務系MOS(マイクロソフトオフィス スペシャリスト)、簿記3級・2級、医療事務
- 語学TOEIC700点以上は就職活動での評価が高まる
- 運転免許・フォークリフト物流・製造業への就職に有効。比較的短期間で取得可能
フリーター向け就労支援・公的制度
ハローワーク、サポステ、ジョブカフェ、就職氷河期世代専用窓口、民間エージェントなど、フリーターが無料・低費用で活用できる支援機関が複数存在します。
フリーターが活用できる支援機関
「就職活動を一人でやるのは不安」「何から始めればいいかわからない」というときは、以下の機関を利用してください。多くは無料です。
フリーターのメンタルヘルスを守るセルフケア
フリーターとして生活する中でメンタルヘルスを保つために、日常的に実践できるセルフケアを紹介します。
専門家に相談すべきタイミング
以下のような状態が2週間以上続く場合は、心療内科・精神科への受診を検討してください。
- ✓気分が落ち込み、以前楽しかったことが楽しめなくなった
- ✓将来のことを考えると強い不安・恐怖・動悸が生じる
- ✓「自分はもうダメだ」「消えてしまいたい」という考えが頭に浮かぶ
- ✓眠れない、または眠りすぎる日々が続いている
- ✓食欲がなくなった、または過食が続いている
- ✓就職活動をしようとすると体が動かなくなる・頭が真っ白になる
- ✓アルコールや過食・過眠で気を紛らわすことが増えた
いのちの電話:0120-783-556(24時間・無料)
よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
心療内科・精神科への受診と支援連携
「フリーターで精神科に行くなんて大げさ」と感じる方もいますが、精神科・心療内科はフリーターの就労問題に関連したうつ・不安・適応障害なども広く扱っています。フリーターの場合、「就職できない・しない状況」がメンタルヘルスの悪化を招き、メンタルヘルスの悪化が就職活動の困難につながるという悪循環に陥ることがあります。この悪循環を断ち切るには、就労支援とメンタルヘルス支援を同時並行で行うことが有効です。
- 診察で伝えること「フリーターとして生活していて、将来への不安・気分の落ち込みが続いている」と正直に伝えればOK。専門家は判断しません。
- 自立支援医療制度(精神通院医療)フリーターとして経済的に厳しい中でも、うつ病・適応障害・不安障害などで継続通院が必要な場合は、自立支援医療制度を申請することで医療費の自己負担が原則1割に軽減される。申請は市区町村の福祉窓口または精神保健福祉センターで行える。
- 精神保健福祉センターの無料相談各都道府県・政令指定都市に設置されており、精神科医・精神保健福祉士・心理士による無料の相談を実施。通院前に気軽に相談できる。
- 地域若者サポートステーション(サポステ)就職支援とメンタルヘルス支援を一体的に提供しており、精神的に不安定な状態からでも利用できる。
- 生活困窮者自立支援制度経済的困窮とメンタルヘルスの問題を抱えている場合、各市区町村の「自立相談支援機関」に相談することで、就労支援・生活支援・心理支援を組み合わせた支援を受けられる。
フリーターを続けることを選ぶ場合の生存戦略
様々な事情で当面フリーターを続ける場合でも、生活水準を上げる工夫とスキル蓄積の意識的活用によって、将来の選択肢を広げられます。
フリーターとして生活水準を上げるための方法
様々な事情で当面フリーターを続ける場合でも、以下のような取り組みによって経済的安定性を高めることができます。
- 時給の高いアルバイトを選ぶ同じ時間働くなら時給を上げる。夜間・深夜勤務(深夜割増25%増)、専門性の高い仕事(塾講師・専門技術)、需要の高い職種(IT・医療関連)を選ぶことで収入を増やせる。
- 副業・フリーランスを組み合わせるクラウドソーシング(ライティング・デザイン・プログラミング等)、動画投稿、ネット販売など。本業のアルバイトと組み合わせて収入を多角化する。
- 生活費を最適化する固定費(家賃・通信費・サブスク)を見直す。食費・光熱費の節約。ふるさと納税(住民税控除)など。
- 社会保険に加入できるアルバイトを選ぶ厚生年金・健康保険に加入できる条件(週20時間以上・月8.8万円以上・2ヶ月超の雇用見込み)を満たすアルバイトを選ぶことで、将来の年金額を増やせる。
- iDeCo・積立NISAを活用する月3,000〜5,000円程度の少額からでも始められる。時間を味方につけた資産形成が重要。
フリーターとして「スキルを積む」働き方
フリーターとして働く期間を「スキル取得・経験蓄積の時間」として意識的に活用する方法があります。
- 専門性のあるアルバイトを選ぶ介護・医療補助・IT補助・語学(英語、外国語対応)など、後に正社員就職で評価されるスキルが身につくアルバイト。
- 資格取得のための職業訓練を活用ハローワーク経由の公共職業訓練・求職者支援訓練で、ITパスポート・簿記・介護資格など複数の資格を取得できる。多くは無料。
- ポートフォリオを作るデザイン・ライティング・プログラミングなど、成果物を示せる職種の場合はポートフォリオを充実させることで就職時のアピールになる。
家族・周囲のフリーターへの関わり方
家族にフリーターがいる場合、良かれと思って行った言動が逆効果になることも。「比較・催促・脅し」を避け、「聞く・伝える・選択肢を示す」が回復への近道です。
フリーターの家族が陥りがちな誤った対応
家族にフリーターがいる場合、良かれと思って行った言動が逆効果になることがあります。
- ×「いつ就職するの?」「いい加減にしなさい」という繰り返しの催促(プレッシャーで行動力を下げ、就職活動への恐怖・回避行動を強化する)
- ×「〇〇ちゃんはもう正社員なのに」という比較(社会的比較は自己評価を大幅に下げる)
- ×「もう出て行け」「縁を切る」という脅し(精神的に追い詰め、最悪の場合うつ・引きこもり・自傷につながる)
- ×無条件の庇護(過保護)。「働かなくても生活できる」状態が続くと就職への動機づけが失われる
家族として効果的にできること
- ✓まず「聞く」こと。「今どんな気持ちか」「何が不安か」「どんな仕事がしたいか」を批判せずに聞く。答えを急かさず、本人が話せる安全な空間を作る
- ✓「あなたの価値はフリーターかどうかと関係ない」と伝える。就労形態が変わっても家族としての関係は変わらないことを伝える
- ✓具体的な情報提供(ただし押しつけない)。「こんな就職支援機関があるよ」という情報を一度伝える程度にとどめ、強制はしない
- ✓一定のルール・期待値を明確にする。「いつまでにどういう状況になっていなければ〇〇する」という明確なラインを、感情的にではなく理性的に話し合う
- ✓家族自身も専門家に相談する。子どものフリーター問題で疲弊している親御さん向けの相談窓口(地域若者サポートステーション、精神保健福祉センター)もある
パートナー(恋人・配偶者)がフリーターの場合
パートナーがフリーターである場合、経済的な問題や将来への不安が関係に影響することがあります。
- オープンなコミュニケーション「将来の生活設計についてどう考えているか」を、批判や責めではなく、対等な立場で話し合う。
- 具体的な行動計画を一緒に立てる「いつまでに〇〇を目指す」という計画を一緒に考えることで、孤独感が減り行動への動機づけが高まる。
- メンタルヘルスのサポートパートナーが精神的に辛そうな場合は、医療機関や相談機関への受診を一緒に検討する。
よくある質問
A. 明確な「タイムリミット」はありませんが、就職成功率・年収・年金などを考えると、20代のうちに動き出すことが最も理想的です。20代前半では就職成功率が約75%と高く、未経験職種への挑戦もしやすい。20代後半になると成功率は約65%に下がりますが、まだ十分に高い。30代前半でも約58%と過半数が成功しており、「もう手遅れ」とは言えません。ただし、「もう少し待ってから」と先延ばしにするほど就職が難しくなるのも事実です。どの年齢でも「今すぐ一歩踏み出す」ことが最善です。
A. 条件を満たせば、アルバイト・パートでも厚生年金・健康保険に加入できます。加入の条件は、①週20時間以上勤務、②月額賃金8.8万円以上(年収約106万円以上)、③2ヶ月を超える雇用見込みがある、④学生でない、の4つです(2022年10月から従業員101人以上の企業、2024年10月から51人以上の企業に適用拡大)。この条件を満たすアルバイトを選ぶことで、将来の年金額を大幅に増やすことができます。また、転職して正社員になる際、厚生年金の加入実績があれば有利になる場合もあります。
A. もちろんです。「フリーターだから」という理由は、精神科・心療内科を受診する妨げには一切なりません。将来への不安・気分の落ち込み・意欲の低下・眠れない・「死にたい」という気持ちなど、これらはすべて心療内科・精神科が対応できる問題です。「気にしすぎ」「怠けているだけ」と思わず、2週間以上症状が続く場合は受診を検討してください。経済的に心配な場合は、うつ病・適応障害・不安障害などで通院が必要になった際に医療費を1割にできる「自立支援医療制度(精神通院医療)」を利用できます。受診前に相談したい場合は、各都道府県の精神保健福祉センターに無料で相談できます。
A. なれます。難易度は上がりますが、30代でも半数近く(約45〜58%)が正社員就職に成功しています。特に、以下の条件が整っている場合は30代でも十分に勝機があります。①特定のスキル・資格がある(IT・介護・語学・専門技術等)、②フリーター期間に一定の実務経験・成果がある、③「なぜ今正社員を目指すのか」を明確に説明できる。30代以降のフリーターの場合、就職支援エージェントや就職氷河期世代向けの専門支援窓口(ハローワーク内)を積極的に活用することをお勧めします。
A. 就職活動への恐怖・回避は非常によくある問題です。特に過去に就職活動で傷ついた経験がある人に多く見られます。まず大切なことは、「いきなり完璧にやろうとしない」こと。最初のステップとして、①ハローワークや地域若者サポートステーション(サポステ)に「相談だけ」しに行く、②インターネットで求人を眺めるだけ、という小さな一歩から始めましょう。就職活動への恐怖が強くて行動できない場合は、心療内科・精神科への相談も選択肢です。「就活恐怖」に対しても、認知行動療法などの心理的アプローチが有効です。
A. 家族からの批判・責め・比較は、フリーターの方が経験する心理的苦痛の中でも特に大きいものの一つです。「自分はダメな人間だ」という思いを強化し、うつ・引きこもりのリスクを高めます。まず、家族の言葉をそのまま「自分の評価」として受け取る必要はありません。就労形態は人間の価値を決めません。家族との関係が精神的に耐えられない状況になっている場合は、①一人暮らし・友人宅などへの避難を検討する、②精神保健福祉センターや支援機関に相談する、③必要であれば心療内科・精神科を受診することを検討してください。「家族の外」にも味方はいます。
A. 生活保護は、「最低生活費に満たない収入しかなく、自らの財産や能力、あらゆる制度を活用しても生活できない」という条件を満たす場合に申請できます。フリーターであっても、収入が最低生活費を下回り、預貯金や資産もほとんどない場合は申請できます。ただし、就労能力がある年齢・状態の人が生活保護を受けるためには、「求職活動をしている」という実績が求められることが多いです。まずは市区町村の福祉事務所や生活困窮者自立支援窓口に相談してみましょう。「申請したら絶対に通らない」と思い込んで諦める必要はありません。
一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。
将来への不安、就職できない焦り、家族との関係——どんな悩みもあなたひとりで抱え込まないでください。ここに話を聞いてくれる場所があります。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。経済的に厳しい場合は自立支援医療制度(精神通院医療)により医療費の自己負担を原則1割に軽減できます(市区町村の福祉窓口または精神保健福祉センターで申請)。
