メンタルヘルス用語辞典 · 全般性不安障害

全般性不安障害(GAD)とは?
症状・原因・治療法をわかりやすく解説

全般性不安障害(GAD)は、日常のさまざまなことについてコントロールできない過度な心配が持続する不安障害です。「心配性」との違い、症状、原因、治療法から日常のセルフケアまで、必要な情報をすべてまとめました。

ABOUT GAD

全般性不安障害(GAD)とは

全般性不安障害(GAD)は、日常のさまざまな出来事や活動について過度で制御困難な心配が持続する不安障害です。以前は「不安神経症」と呼ばれていました。適切な治療で症状は大幅に改善できます。

定義

全般性不安障害の定義——「心配性」とは違う病気

全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder:GAD)は、仕事、健康、家族、お金、日常の些細なことまで、多岐にわたる事柄について過度で制御困難な心配(予期憂慮)が6カ月以上にわたりほぼ毎日続く不安障害です。DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では「不安症群」に分類されています。単なる「心配性」とは異なり、脳の不安回路の機能異常が背景にある医学的な疾患です。

日常的な心配
誰にでもある自然な不安
試験前や仕事の締め切り前に不安を感じるなど、特定の出来事に対する一時的な心配。原因がなくなれば治まり、生活に大きな支障はない。
全般性不安障害
コントロールできない持続的な心配
特定の原因がなくても、あらゆることについて過度な心配が止まらない。6カ月以上続き、身体症状を伴い、日常生活に重大な支障をきたす。
「心配性」と全般性不安障害の決定的な違い普通の心配は「このことが心配」と対象が明確で、情報を得たり対策を立てたりすることで和らぎます。GADの心配は「心配する対象が次々に移り変わる」「対策を立てても安心できない」「心配を止めようとしても止められない」のが特徴です。
有病率

全般性不安障害はよくある疾患

全般性不安障害は、不安障害の中でも非常に多い疾患です。

3〜5%
生涯有病率は一般人口の約3〜5%。日本でも約3%と推定
2:1
女性は男性の約2倍発症しやすい
30
発症のピークは20代後半〜30代。しかし全年代で発症しうる
プライマリケア(内科)を受診する患者の約8%がGADを持っているとされます。身体症状が前面に出るため、内科的な問題と間違われやすい疾患です。
他の不安障害との違い

GADと他の不安障害の違い

不安障害にはさまざまな種類がありますが、GADは「特定の対象や場面ではなく、広範な事柄への持続的な心配」が特徴です。

🌀
全般性不安障害
不安の対象:広範な日常の事柄
特徴:持続的で制御困難な心配
🌀
パニック障害
不安の対象:パニック発作の再発
特徴:突然の激しい恐怖
🌀
社交不安障害
不安の対象:社会的場面での評価
特徴:人前での恥への恐怖
🌀
限局性恐怖症
不安の対象:特定の対象や状況
特徴:特定の刺激への強い恐怖
受診の目安

こんな時は医療機関に相談を

以下のサインに心当たりがある場合、精神科・心療内科への受診を検討してください。

  • 日常のさまざまなことについて、コントロールできない過度の心配が6カ月以上続いている
  • 心配が頭から離れず、仕事や家事、人間関係に支障が出ている
  • 常に緊張・そわそわしていて、リラックスできない
  • 疲れやすく、集中できない、イライラしやすい
  • 筋肉の緊張、頭痛、胃腸の不調などの身体症状が続いている
  • 睡眠に問題がある(寝つけない、夜中に目が覚める、熟睡感がない)
  • 心配のために外出や社会活動を避けるようになった
  • !「もうこの不安に耐えられない」「消えてしまいたい」と感じることがある
💡
上記に3つ以上心当たりがあれば、精神科・心療内科への受診をお勧めします。GADは適切な治療で大幅に改善する疾患です。一人で耐え続ける必要はありません。
SYMPTOMS

全般性不安障害の症状

GADの症状は精神症状と身体症状の両面に現れます。身体症状が主訴となり、内科を何度も受診して初めてGADが見つかるケースも少なくありません。

🌀
コントロールできない過度な心配
仕事、健康、家族、お金、日常の些細なことまで、あらゆることについて制御できない心配が6カ月以上ほぼ毎日続きます。心配を止めようとしても止められず、頭の中が常に「もしも〜だったら」で埋め尽くされます。
😰
落ち着かない感覚・緊張感
常にそわそわしたり、緊張したり、神経が高ぶっている感覚があります。リラックスしようとしても、何かが起こるのではないかという漠然とした不安が消えません。
🔋
疲れやすさ
常に警戒状態にあるため、心身ともに消耗し、ちょっとした活動でもすぐに疲れてしまいます。朝から疲労感がある日も珍しくありません。
🧠
集中困難
心配が頭を占領しているため、仕事や勉強に集中できません。頭が真っ白になる感覚や、以前はできていた作業が手につかなくなることがあります。
😤
易怒性(いらいら)
些細なことで苛立ちやすくなります。普段なら気にならないことでもイライラが爆発し、後で自己嫌悪に陥ることもあります。
🌙
睡眠の障害
入眠困難(寝つきが悪い)、中途覚醒(夜中に目が覚める)、熟眠感がない状態が続きます。寝床に入ると心配事が次々と頭に浮かび、眠りにつけません。
心配の「連鎖」GADの特徴的なパターンは、ひとつの心配が解決しても次の心配に移り変わることです。「仕事のことが心配→体調が心配→お金のことが心配」と対象が変わりながら、心配そのものは途切れません。
心配のパターン

GADの人が心配する代表的な領域

GADの心配は特定の事柄に限定されず、生活のあらゆる領域に広がります。以下は代表的な心配の対象です。

健康に関する心配
85%
仕事・キャリアに関する心配
80%
経済的な心配
75%
家族・人間関係の心配
70%
日常の些細な心配
65%
世界情勢・社会問題の心配
45%
💡
※ GAD患者の心配頻度の相対的イメージです。健康・仕事・経済・対人・日常の些細な事・社会問題まで、心配の対象が次々と移り変わります。
CAUSES & RISK FACTORS

全般性不安障害の原因とリスク要因

GADの発症には脳の機能、遺伝的気質、環境ストレス、認知パターンが複合的に関わっています。単一の原因ではなく、複数の要因の相互作用で生じます。

🧠脳の神経生物学的要因

GADでは脳の不安回路に異常が見られます。扁桃体(恐怖や不安を処理する領域)が過活動状態にあり、通常は脅威でない刺激に対しても過剰な恐怖反応を示します。また、前頭前皮質(理性的な判断を行う領域)の扁桃体に対する制御機能が低下しています。神経伝達物質としてはセロトニン、GABA(ガンマアミノ酪酸)、ノルアドレナリンのバランスの乱れが関与しています。

  • 扁桃体の過活動と前頭前皮質の制御低下
  • セロトニン系の機能異常
  • GABA系の機能低下
  • ノルアドレナリン系の過活動
GADは「性格のせい」でも「気の持ちよう」でもありません。脳の不安システムの機能的な問題が関わっており、適切な治療が必要な疾患です。
DIAGNOSIS

全般性不安障害の診断

GADの診断にはDSM-5の基準が用いられます。身体疾患や他の精神疾患との鑑別が重要です。

診断基準

DSM-5における診断基準の要約

  • 基準A多数の出来事や活動について、過剰な不安と心配が、少なくとも6カ月間、ほぼ毎日存在する
  • 基準Bその心配をコントロールすることが困難であると感じている
  • 基準C以下の6症状のうち3つ以上が伴う:落ち着きのなさ、疲労しやすい、集中困難、易怒性、筋肉の緊張、睡眠障害
  • 基準D臨床的に意味のある苦痛、または社会的・職業的機能の障害を引き起こしている
💡
自己診断は避け、必ず専門家(精神科医・心療内科医)による評価を受けてください。GADは他の不安障害やうつ病と症状が重なることがあり、正確な鑑別が重要です。
鑑別診断

GADと間違われやすい状態・疾患

GADは症状が多様なため、他の疾患と区別して正確に診断することが重要です。以下は主な鑑別対象です。

🔍
甲状腺機能亢進症・低下症
甲状腺ホルモンの異常は不安・動悸・疲労感・発汗などGADと酷似した症状を引き起こします。初診時に血液検査で甲状腺機能を確認することが重要です。
🔍
パニック障害
パニック障害でも予期不安(発作が来るのではないかという心配)が持続しますが、GADと異なりパニック発作そのものへの恐怖が中心です。GADとパニック障害を同時に持つケースも多く、包括的な評価が必要です。
🔍
うつ病(大うつ病性障害)
うつ病でも心配・集中困難・睡眠障害が見られますが、GADでは気分の落ち込みよりも心配が主体です。両者は高率に併存するため、うつ症状がある場合は両方の評価が必要です。
🔍
強迫性障害(OCD)
OCDでも侵入思考(頭から離れない考え)が繰り返されますが、GADの心配が現実的なテーマ(仕事・健康)であるのに対し、OCDの強迫観念は自分でも不合理だと感じる内容であることが多い点が異なります。
「ただの心配性かと思っていたら甲状腺の問題だった」「GADと思っていたらOCDだった」というケースもあります。正確な診断のために、身体的な検査と精神科的評価の両方を受けることが大切です。
評価ツール

GADの重症度を測る評価尺度

GADの重症度評価には、標準化された質問票が使用されます。自己記入式のスクリーニングツールは、受診前の参考や治療効果の確認に役立ちます。

📋
GAD-7(全般性不安障害7項目尺度)最も広く使用
過去2週間の不安症状を7項目で評価するスクリーニングツールです。合計スコアが10点以上でGADの可能性が高く、15点以上は重症レベルの目安です。プライマリケア・精神科の両方で広く使用されています。
📋
PSWQ(ペン状態・特性心配質問紙)
心配の傾向・程度を測定する16項目の質問票です。GAD特有の「コントロール困難な心配」の程度を評価するのに有用です。治療前後の変化を追跡するためにも使われます。
💡
これらのツールはスクリーニング目的であり、診断の確定は専門医が行います。スコアが高くても低くても、気になる症状があれば専門家に相談してください。
TREATMENT & RECOVERY

全般性不安障害の治療と回復

GADは治療可能な疾患です。心理療法と薬物療法を適切に組み合わせることで、大幅な症状の改善が期待できます。

心理療法

心理療法——不安との付き合い方を学ぶ

GADの治療では、認知行動療法を中心とした心理療法がエビデンスに基づく第一選択です。

🧠
認知行動療法(CBT)第一選択
GADの治療で最もエビデンスが豊富な心理療法です。心配に関する非適応的な認知パターン(「心配は必要だ」「最悪の事態が起こる」)を特定し、より現実的で適応的な考え方に修正します。行動実験を通じて「心配しなくても大丈夫だった」という体験を積み重ね、段階的に心配のパターンを変えていきます。治療効果は長期間持続することが研究で示されています。
🧠
不確実性への耐性訓練不確実性への対処
GADの中核的な問題である「不確実性に耐えられない」傾向に焦点を当てた治療法です。結果がわからない状況に段階的に身を置く練習をし、「すべてを予測・コントロールしなくても大丈夫」という実感を育てます。不確実性は人生の自然な一部であることを受け入れるプロセスを支援します。
🧠
マインドフルネスに基づく認知療法(MBCT)再発予防にも有効
マインドフルネス瞑想と認知療法を組み合わせた治療法です。心配にとらわれている自分に「気づく」能力を養い、心配の内容に巻き込まれずに「今、ここ」に意識を戻す練習をします。GADの再発予防にも効果が示されています。8週間の構造化されたプログラムが一般的です。
薬物療法

薬物療法——脳の不安回路を調整する

薬物療法は心理療法と併用することで、より大きな効果が得られます。

💊
SSRI・SNRI(抗うつ薬)薬物療法の柱
GADの薬物療法の第一選択はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:エスシタロプラム、セルトラリンなど)またはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:デュロキセチン、ベンラファキシンなど)です。効果が現れるまで2〜4週間かかりますが、長期的な不安の軽減に有効です。各国のGAD診療ガイドラインで第一選択薬として推奨されています。
💊
その他の薬物療法補助的な薬物
ベンゾジアゼピン系抗不安薬(ロラゼパム、アルプラゾラムなど)は即効性がありますが、依存性のリスクから長期使用は推奨されません。ブスピロンはセロトニン部分作動薬で、依存性が低く長期使用に適しています。プレガバリンも一部のガイドラインでGADへの使用が認められています。薬物療法は心理療法と併用することで最大の効果を発揮します。
薬の効果が感じられるまでに2〜4週間かかることがあります。自己判断で服薬を中断せず、主治医と相談しながら治療を続けてください。
治療目標

GAD治療で目指すゴール——「不安ゼロ」ではなく「不安と共存」

GADの治療目標は「不安を完全になくすこと」ではありません。不安は人間にとって本来必要な感情であり、目標は「過度な心配にとらわれず、日常生活を自分らしく送れる状態」を目指すことです。

非現実的な目標
避けたい考え方
・「一切心配しない人間になる」
・「薬を飲んですぐに治る」
・「完璧に元気になってから復帰する」
・「症状がゼロになるまで治療を続ける」
現実的な目標
推奨される考え方
・「心配が来ても振り回されずにいられる」
・「不安があっても仕事・生活が続けられる」
・「悪い日があっても回復できる」
・「自分なりのペースで社会参加できる」
回復は「波」を繰り返しながら進む良い日と悪い日が交互に来るのは回復の失敗ではなく、正常なプロセスです。「昨日より今月の方が良い」という長い目線で自分の変化を見守りましょう。主治医や支援者と定期的に振り返ることが、回復の大きな助けになります。
オンライン療法

デジタル・オンラインを活用したGAD治療

近年、スマートフォンアプリやオンライン診療を通じたGAD治療・支援ツールが急速に普及しています。通院が難しい場合や治療補助として活用できます。

📱
オンライン診療
スマートフォンやパソコンからビデオ通話で精神科・心療内科を受診できます。通院の負担を軽減し、治療継続をサポートします。初診から利用できるクリニックも増えています。
📱
マインドフルネスアプリ
Headspace、Meditopia、Calmなどのアプリは、ガイド付きマインドフルネス瞑想をいつでもどこでも実践できます。臨床研究でも不安軽減効果が確認されています。
📱
インターネットCBT(iCBT)
オンライン上で提供される構造化されたCBTプログラムです。セルフペースで認知行動療法のスキルを学べます。セラピスト不足を補う有望な手段として研究が進んでいます。
💡
デジタルツールはあくまで治療の補助であり、専門医による診断・治療の代わりにはなりません。重症の場合は対面での治療を優先してください。
DAILY LIFE

日常生活でできること

治療と並行して、日々の生活習慣の改善や不安への対処スキルを身につけることで、GADの症状をさらに軽減できます。

📝
「心配の時間」を決める
1日に15〜30分の「心配タイム」を決め、それ以外の時間に心配が浮かんだら「心配タイムに考えよう」と延期します。心配をコントロールする最初のステップとして非常に有効な技法です。
🧘
マインドフルネス瞑想を毎日実践
1日10分でもマインドフルネス瞑想を続けることで、心配にとらわれる頻度と強さが徐々に減っていきます。アプリ(Headspace、Meditopiaなど)を活用すると始めやすいです。
🫁
腹式呼吸・4-7-8呼吸法を習得する
4秒吸って、7秒止めて、8秒かけて吐く「4-7-8呼吸法」は副交感神経を活性化し、即座に不安を和らげます。不安を感じた時のセルフケア技法として習得しておきましょう。
🏃
定期的な有酸素運動
週150分以上の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)はGADの症状を有意に改善することが複数の研究で示されています。運動はセロトニンやエンドルフィンの分泌を促します。
🌙
睡眠衛生を整える
一定の時間に起床・就寝する、寝る前のスマホを控える、カフェインは午後から避ける、寝室を暗くて涼しくするなど、睡眠環境を最適化しましょう。良い睡眠は不安の軽減に直結します。
カフェイン・アルコールを制限する
カフェインは不安症状を悪化させ、アルコールは一時的に不安を和らげますが、翌日にはリバウンドで不安が増幅します。特にカフェインは1日200mg以下(コーヒー2杯程度)に制限しましょう。
📱
情報摂取をコントロールする
ニュースやSNSの過剰な閲覧は不安を増幅させます。情報を見る時間と頻度を決め、寝る前のニュースチェックは避けましょう。「知っておくべきこと」と「知らなくても良いこと」を区別する意識が大切です。
心配を書き出す
頭の中の心配をノートに書き出すだけで、不安は軽減されます。書き出した後、「今すぐコントロールできること」と「できないこと」に分け、コントロールできることだけに行動を起こしましょう。
すべてを一度に実践する必要はありません。まずはひとつ選んで、1週間続けてみてください。小さな変化が不安の軽減につながります。

関連する用語

パニック障害社交不安障害うつ病不眠症過敏性腸症候群マインドフルネス認知行動療法
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人にできること

GADを持つ方のそばにいる家族や友人は、適切な理解と対応で大きな支えとなります。同時に、ご自身のケアも大切にしてください。

対応のポイント

してほしいこと・避けてほしいこと

してほしいこと
  • GADは「心配性」ではなく、脳の不安回路に関わる治療可能な疾患であると理解する
  • 心配の内容にいちいち反論するのではなく、「不安なんだね」と感情に寄り添う
  • 「大丈夫だよ」と安心させすぎない(過度な安心の保証は一時的な安堵→再び不安のサイクルを強化する)
  • 本人の回避行動に合わせすぎず、しかし無理強いもしない——バランスが大切
  • 治療の継続を支持し、通院の同行など具体的なサポートを提供する
  • 本人の小さな挑戦や進歩を認め、具体的にフィードバックする
  • 家族自身のストレスケアも怠らない
避けてほしいこと
  • 「そんなこと心配しても仕方ない」「気にしすぎ」「もっとポジティブに」と軽視する
  • 何度も同じ心配を聞かされてイライラを本人にぶつける
  • 本人が避けていることを突然強制する(「大丈夫だから行ってきなさい」)
  • 心配の内容に巻き込まれて、一緒に不安になる
  • 「自分が何とかしなければ」と一人でサポートを抱え込む
  • 治療を「弱さ」と捉え、受診を妨げる
安心の保証について

「安心の保証」の罠に注意

GADの方は繰り返し「大丈夫かな?」「問題ないよね?」と確認を求めてきます。これに対して毎回安心させると、一時的に不安は和らぎますが、長期的には「確認しないと安心できない」パターンを強化してしまいます。

避けたい対応
毎回「大丈夫だよ、心配いらないよ」と安心を保証する。本人の代わりに確認の電話をかけたり、回避行動を手助けする。
推奨される対応
「不安なんだね」と感情を受け止めつつ、「前にも同じ心配をしたけど、結果どうだった?」と本人が自分で考えるよう促す。
支える方へGADの方の心配に毎日付き合うのは大変なことです。あなたが疲れた時は距離を置いても構いません。支える側のケアも、治療の一部です。
COMORBIDITIES & SUPPORT

併存疾患・回復のプロセス・支援制度

GADは単独で存在することは少なく、他の精神疾患や身体疾患を同時に抱えるケースが非常に多い疾患です。併存疾患・回復ステージ・公的支援制度を理解することで、より包括的な治療が可能になります。

併存疾患

GADと高率に併存する疾患

GAD患者の90%以上が生涯のどこかの時点で少なくとも1つの精神疾患を併発すると報告されています。代表的な併存疾患を理解しておくことは、治療の全体像を把握するうえで重要です。

😔
うつ病(大うつ病性障害)
GAD患者の約60〜70%が生涯のいずれかの時点でうつ病を併発するとされます。慢性的な心配と消耗が気分の落ち込みを招き、うつ病へ移行しやすい土台を作ります。GADとうつ病が同時に存在する場合、どちらか単独の場合より生活への影響が大きく、治療もより慎重な配慮が必要です。
😱
パニック障害
GADとパニック障害の併存率は約25%です。GADの慢性的な不安状態が身体の過覚醒を高め、パニック発作が誘発されやすくなります。パニック発作への恐怖が加わると、外出回避など行動範囲がさらに狭まります。
🙈
社交不安障害(SAD)
GAD患者の約23%に社交不安障害が併存します。対人場面での評価への恐れとGADの広範な心配が重なり、職場や学校での社会参加が一層困難になることがあります。
🫄
過敏性腸症候群(IBS)
ストレスと腸は「脳腸相関」で密接に連動しています。GADの慢性ストレスは腸の運動を乱し、IBS(腹痛・下痢・便秘の繰り返し)を引き起こします。IBSとGADを両方抱える場合、消化器症状の改善にはGAD治療が不可欠です。
🌙
不眠症
GAD患者の多くが入眠困難や中途覚醒を経験します。睡眠不足はさらに不安感を高め、心配が増幅するという悪循環が生じます。GADと不眠症の治療は並行して行うことが推奨されます。
🍺
アルコール・物質使用障害
不安を一時的に和らげるためにアルコールや薬物に依存するケースがあります。しかしアルコールは翌日のリバウンド不安を強め、長期的にはGADを悪化させます。アルコール問題が背景にある場合は、GADと並行して依存症治療が必要です。
💡
併存疾患がある場合の受診複数の症状が重なって「何の病気かわからない」と感じるとき、それはGADと他の疾患が併存しているサインかもしれません。自己診断せず、精神科・心療内科で包括的な評価を受けることをお勧めします。
回復のプロセス

GADからの回復——4つのステージ

GADの回復は一直線ではなく、波があります。「良い日」と「つらい日」が繰り返される中で、少しずつ安定した状態へ近づいていきます。以下は回復のおおよその目安です。

STAGE 1
受診・診断(0〜1カ月)
精神科・心療内科を受診し、GADの診断を受ける段階。適切な診断を得ることで「自分の状態に名前がついた」という安堵感が生まれ、治療の見通しが立ちます。この段階では焦る必要はなく、まず専門家とつながることが最重要です。
0〜1カ月
STAGE 2
治療導入期(1〜3カ月)
薬物療法や心理療法が始まる時期。薬の効果が出るまで2〜4週間かかります。副作用への不安や「薬を飲み続けていいのか」という疑問が湧きやすい時期ですが、主治医と率直にコミュニケーションを取ることが大切です。生活習慣の改善(睡眠・運動)も並行して始めましょう。
1〜3カ月
STAGE 3
安定化期(3〜6カ月)
治療の効果を実感し始める段階。心配が「起きても対処できる」という感覚が少しずつ芽生えます。CBTを受けている場合は、心配のパターンを自分で分析・修正する練習が進みます。「症状が軽い日」が増えてきたら、それを記録し自信につなげましょう。
3〜6カ月
STAGE 4
社会復帰・維持期(6カ月〜)
職場復帰や社会活動の再開を目指す段階。完全に「ゼロ不安」になることを目標にするのではなく、「不安があっても生活できる」状態を目指します。再発予防のスキルを定着させ、定期的な通院や相談を継続することが長期的な安定につながります。
6カ月〜
回復の「波」について症状が良くなったと思ったら再び悪化した、と感じるのはよくあることです。一時的な悪化は「失敗」ではなく、回復プロセスの一部です。小さな改善を記録し、主治医と共有しながら焦らず進みましょう。
支援制度

GAD治療に使える公的サポート・支援制度

精神疾患の治療は継続が重要ですが、医療費や就労の不安から治療をやめてしまうケースもあります。日本にはGAD治療を経済的・社会的に支援する制度が整っています。

  • 自立支援医療制度(精神通院医療)精神科・心療内科への通院にかかる医療費の自己負担が、原則1割に軽減される制度です。GADと診断されていれば申請可能です。お住まいの市区町村窓口または精神保健福祉センターで手続きができます。継続的な通院治療を経済的に下支えする重要な制度です。
  • 精神障害者保健福祉手帳GADによる生活機能障害が一定程度ある場合、精神障害者保健福祉手帳を取得できることがあります。取得すると税制優遇、交通機関の割引、就労支援サービスの利用などが可能になります。
  • 精神保健福祉センター各都道府県・政令市に設置された精神保健の専門機関です。受診前の相談、治療中の困りごと、家族からの相談など、幅広い支援を無料で受けられます。「どこに相談したらいいかわからない」という場合の入り口として最適です。
  • 障害年金GADが重症で就労が困難な場合、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を受給できる可能性があります。初診日から1年6カ月以降に申請できます。申請には主治医の診断書が必要です。
制度の利用は「症状が重い人だけ」のものではありません。治療を継続するためのサポートとして、積極的に活用してください。精神保健福祉センターではこれらの制度の詳細を相談・案内してもらえます。
FAQ

よくある質問

全般性不安障害についてよく寄せられる疑問にお答えします。診断・治療・生活・制度に関するQ&Aをまとめました。

Q. 全般性不安障害は完治しますか?
Q. 薬をずっと飲み続けなければいけないの?
Q. 子どもでもGADになりますか?
Q. 仕事は続けられますか?
Q. 妊娠中・授乳中でも治療できますか?
Q. 高齢者のGADの特徴は?
Q. GADとうつ病は同時に治療できますか?
Q. 精神科と心療内科、どちらを受診すればいいですか?
💡
ここで解決しなかった疑問はGADに関して疑問や不安が残る場合は、精神科・心療内科の主治医、または精神保健福祉センターの相談窓口にお問い合わせください。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが回復への近道です。

止まらない心配で
疲れているあなたへ

「考えても仕方ない」と分かっていても、心配が止まらない——そのつらさは、あなたの努力不足ではありません。一人で抱え込まず、ココトモに話してみませんか。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
精神保健福祉センター各都道府県・政令市に設置。電話・面接相談・無料

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると、通院医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。詳しくはお住まいの市区町村窓口または精神保健福祉センターへお問い合わせください。

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