メンタルヘルス用語辞典 · グループホーム(共同生活援助)

グループホーム(共同生活援助)とは?
4類型・利用条件・費用・入居手続き・地域移行への効果を徹底解説

精神疾患を抱えながら地域で自分らしく生きていきたい——そう願う方の住まいを支える、障害者総合支援法に基づくグループホーム(共同生活援助)。定義・4類型・対象者・支援内容・入居手続き・費用・メリットと課題・地域移行への効果・関連制度・よくある質問まで、必要な情報を網羅的にまとめました。

ABOUT GROUP HOME

グループホーム(共同生活援助)とは

障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、精神・知的・身体障害などを持つ方が、専門スタッフによる支援を受けながら共同で生活できる住まい。「入院医療中心から地域生活中心へ」という国の理念のもと、地域移行・地域定着を支える最重要インフラとして全国で普及しています。

定義

グループホームの定義

グループホーム(共同生活援助)とは、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第5条第17項に定める障害福祉サービスのひとつです。精神障害・知的障害・身体障害などを抱える方が、地域の住居に数人で共同生活を送りながら、世話人(支援スタッフ)から入浴・排泄・食事などの日常生活上の援助や、相談支援・緊急時の対応などを受けられます。

グループホームは「施設」ではなく「住まい」として位置づけられており、利用者は地域社会の一員として生活します。通常は一軒家やアパートなどを活用した小規模な共同住居で、数人から十数人が暮らす形態が多く見られます。日中は就労継続支援・就労移行支援・生活介護・自立訓練などの日中活動サービスを利用し、帰宅後はグループホームで生活支援を受けるという生活スタイルが基本です。

2024年(令和6年)の報酬改定利用者の自立支援や地域交流活動の推進がより強く評価されるようになり、グループホームから一般住居への「退居後支援」も新たに制度化されました。グループホームは単なる「住む場所」ではなく、地域で自立した生活を実現するための「移行期の支援拠点」としての役割も担っています。
歴史と法的根拠

制度の歩み——1993年から2024年改定まで

日本のグループホーム制度は精神障害者・知的障害者向けに1993年ごろに始まり、法改正と類型拡充を重ねながら、現在の形へと発展してきました。

1993年
制度の開始
精神障害者・知的障害者向けグループホーム制度がスタート。地域での共同生活支援の枠組みが整い始める。
制度創設
2006年
障害者自立支援法 施行
障害種別を超えた一元的な障害福祉サービスとして整備。グループホームも統合的な制度の中に位置づけられる。
一元化
2012年
障害者総合支援法 施行
「共同生活介護(ケアホーム)」が「共同生活援助(グループホーム)」に統合され、現在の形になる。
統合
2014年
サテライト型住居 新設
本体住居に近接したアパート等の個室で半独立的な生活を送れる居住形態が新設される。
類型拡充
2018年
日中サービス支援型 創設
日中もグループホーム内で過ごすことができる類型が新たに加わり、重度・高齢の障害者に対応。
類型拡充
2024年
報酬改定・退居後支援の制度化
自立支援・地域交流活動の推進が強く評価される改定。「退居後支援」が新たに制度化。2025年からは地域連携推進会議の設置が義務化。
最新改定
規模と現状

利用者数と事業所の現状

厚生労働省の統計によれば、グループホームの利用者数は年々増加しており、令和3年(2021年)10月時点で約15万人に達しました。事業所数も急増しており、全国各地に共同生活援助事業所が設置されています。

約15万人
利用者数
令和3年10月時点/毎年増加
過半数
精神障害
主たる障害種別の割合
4類型
サービス類型
2018年に4類型体制が完成

障害種別でみると、精神障害が主たる障害種別となっている事業所は全体の過半数以上を占めており、精神障害者にとってグループホームがいかに重要な社会資源であるかがわかります。

⚠️
需要に追いつかない供給需要の増加に供給が追いついていない地域も多く、入居待機者の問題が深刻化しています。特に重度の障害を持つ方や、医療的ケアが必要な方の受け入れ先が不足しているという課題も指摘されています。
FOUR TYPES

グループホームの4つの種類・類型

障害者グループホームには、提供するサービスの内容や対象者の状態に応じて、現在4つの類型が設けられています。日中支援の有無・介護の提供方法・対象となる障害支援区分などが異なるため、自分の状態やニーズに合った類型を選ぶことが安心した生活への第一歩です。

4類型の比較

介護包括型/外部サービス利用型/日中サービス支援型/サテライト型

🏠介護サービス包括型

事業者が入浴・排泄・食事などの介護と相談・日常生活援助の両方を一体的に提供する最も標準的な類型。世話人と生活支援員がグループホームに常駐し、夜間から翌朝にかけての生活全般をサポートします。

標準的な類型/介護+生活援助を一体提供

  • 対象:介護が必要な障害者(障害支援区分1〜6)
  • 支援者:世話人・生活支援員がグループホームに配置
  • 特徴:介護と生活援助を一体的に受けられる。知的障害のある方の利用が多い
  • 日中:外部の日中活動サービスを利用するのが基本
  • 精神障害のある方も利用可能。手厚い日常生活支援が必要な方に適する
💡
精神障害のある方に多い類型外部サービス利用型は精神障害のある方や障害支援区分のない方が多く利用する類型です。手厚い日常生活支援が必要な方は介護サービス包括型、重度・高齢の方は日中サービス支援型、一人暮らしを目指す方はサテライト型が候補になります。
ELIGIBILITY

利用対象者と入居条件

精神障害者も当然利用対象に含まれており、統合失調症・双極性障害・うつ病・発達障害・高次脳機能障害・依存症などの疾患を抱える方が多く利用しています。

対象となる障害

利用できる障害の種類

  • 精神障害者統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、うつ病、不安障害、PTSD、発達障害(ASD・ADHD)、高次脳機能障害、依存症など。
  • 知的障害者療育手帳を持つ方が対象。
  • 身体障害者身体障害者手帳を持つ方が対象。
  • 難病患者障害者総合支援法の対象となる難病を持つ方も利用できる。

精神障害者の場合、精神障害者保健福祉手帳を持っていることが利用の目安となりますが、手帳を持っていなくても医師の診断書があれば利用できる場合があります。まずは市区町村の担当窓口や相談支援事業所に相談することをお勧めします。

入居条件

入居に必要な主な条件

グループホームに入居するためには、一般的に以下の条件を満たす必要があります。事業所によって受け入れ基準は異なるため、個別の確認が必要です。

  • 障害の認定市区町村から障害福祉サービスの支給決定を受けること(障害支援区分の認定が必要な場合あり)。
  • 年齢18歳以上。65歳以上の場合は介護保険サービスとの調整が必要なケースあり。
  • 医療管理病状が安定しており、共同生活が可能であること。急性期の入院治療中は原則利用不可。
  • 共同生活への適応他の入居者と共同生活を送れること(ルールを守れる、他者への著しい迷惑行為がないなど)。
  • 本人の意思本人がグループホームへの入居を望んでいること。
障害支援区分については、介護サービス包括型・日中サービス支援型は区分1以上が必要ですが、外部サービス利用型やサテライト型は区分がない方でも利用できるケースがあります。区分認定を受けていない方も、まずは相談してみることが重要です。
検討タイミング

精神障害者が入居を検討すべきタイミング

  • 精神科病院に長期入院しており、退院を目指して地域移行を図りたいとき
  • 家族(親・配偶者など)の高齢化・死亡・体調不良などにより、家族による介護・支援が困難になったとき
  • 一人暮らしをしているが、服薬管理・食事・生活リズムの維持が難しくなってきたとき
  • デイケアや就労継続支援に通えるようになり、次のステップとして地域生活の基盤が必要なとき
  • グループホームを経て、将来的に一人暮らし・自立した生活を目指したいとき
SUPPORT

グループホームで受けられる支援内容

世話人(支援スタッフ)が中心となって、利用者の日常生活を幅広く支援します。日常生活援助・精神的サポート・夜間緊急対応・自立トレーニングまで、生活と回復の両輪を支える支援が用意されています。

日常生活援助

日常生活上の援助

支援内容は利用者の状態や自立度によって異なりますが、主に以下のような援助が行われます。

🍱
食事の提供・調理支援
食事の準備や提供、栄養バランスへの配慮。
🛁
入浴・清潔保持の支援
入浴の促し、身体の清潔を保つための支援。
💴
金銭管理の支援
家賃や生活費の管理、節約の仕方のアドバイス。
💊
服薬管理
処方薬の飲み忘れ防止、服薬の確認・声かけ。
🌅
生活リズムの調整
規則正しい生活リズムの維持、睡眠・起床のサポート。
🧺
掃除・洗濯などの家事支援
室内の清潔維持、洗濯物の管理。
🏥
通院・外出の支援
定期的な通院への同行、外出時の支援。
🎨
余暇活動の支援
趣味活動・レクリエーションへの参加支援。
精神的サポート

相談・精神的サポート

精神障害のある方は症状の変動や対人関係の困難を抱えることが多く、日頃から話を聞いてくれる専門スタッフの存在が精神的安定に大きく寄与します。

👂
悩み・不安の傾聴
日常的な悩みや不安を聞いてもらえる環境。
🤝
対人関係の調整
他の入居者とのトラブル対応・コミュニケーション支援。
症状悪化時の対応
精神症状が不安定になった場合の初期対応、受診調整。
👨‍👩‍👧
家族との関係調整
家族との連絡・調整のサポート。
💼
就労・社会参加への相談
就労や地域活動への参加に関するアドバイス。
夜間・緊急対応

夜間・緊急時対応

精神障害のある方は夜間に症状が悪化したり、不安が強まったりすることがあります。迅速に対応できる体制があることは入居者にとって大きな安心感につながります。

  • 夜間の緊急コール対応(宿直スタッフへの相談など)
  • 体調急変時の救急要請・通院サポート
  • 自傷・他害リスクがある場合の危機対応
  • 精神科医・かかりつけ医との連携
自立トレーニング

自立に向けたトレーニング的支援

グループホームは利用者が将来的により自立した生活を送れるよう、段階的なスキルアップを支援する場でもあります。これはあくまで本人の意向や希望を尊重したうえで行われます。

  • 自炊・料理の練習(食材の購入から調理まで)
  • 金銭管理・家計のやりくり
  • 公共交通機関の利用練習
  • 役所・医療機関などへの手続きの練習
  • 近隣住民・地域とのコミュニケーション
💡
サテライト型住居では、こうした自立スキルの習得がより重点的に支援されます。将来の一人暮らしを目指す方にとって、グループホームはそのための「橋渡し」となる場です。
PROCESS

入居手続きの流れ

精神障害者がグループホームに入居するまでの一般的な流れを説明します。相談から実際の入居までには、通常1〜2ヶ月程度かかります。早めに動き始めることが大切です。

6つのステップ

相談から入居まで——6つのステップ

STEP 1
相談
市区町村の障害福祉担当窓口/相談支援事業所(指定一般・指定特定)/精神保健福祉センター/入院中の場合は病院の精神保健福祉士(PSW)・ソーシャルワーカー/基幹相談支援センターのいずれかに相談する。
最初の窓口
STEP 2
障害支援区分の認定申請
市区町村の窓口で「共同生活援助(グループホーム)」の利用を申請。調査員による認定調査(面接)と医師の意見書をもとに、審査委員会が障害支援区分(1〜6)を認定。外部サービス利用型・サテライト型は区分認定がなくても申請可能な場合あり。
認定調査
STEP 3
サービス等利用計画の作成
支給決定の前に、相談支援専門員が「サービス等利用計画案」を作成。相談支援事業所が見つからない場合は、本人・家族が「セルフプラン」として計画を立てることも可能。
計画策定
STEP 4
支給決定・受給者証の交付
市区町村が審査を行い、支給が決定されると「障害福祉サービス受給者証」が交付される。利用できるサービスの種類・支給量・有効期限などが記載される。
行政手続
STEP 5
見学・体験・契約
複数の施設を見学し、生活環境・スタッフの対応・ルール・他の入居者の状況などを確認。利用規約・生活ルール・費用(家賃・食費・光熱費など)の詳細・支援内容・担当スタッフを確認のうえ契約書類に署名・押印する。可能であれば体験宿泊も実施。
施設選定
STEP 6
入居・生活開始
入居後は担当の世話人・相談支援専門員と定期的にモニタリングを行いながら生活を安定させる。入居後しばらくは環境変化から不安定になることもあるが、定期的な個別支援会議を通じて状態や目標を見直していく。
通常 相談から入居まで1〜2ヶ月
入居後しばらくは環境変化から不安定になることもありますが、定期的な個別支援会議で利用者の状態や目標を見直していきます。一人で抱え込まず、相談支援専門員と一緒に進めましょう。
COST

費用・利用料金の仕組み

グループホームの費用は「障害福祉サービス利用料(自己負担分)」と「特定費用(実費負担)」の2種類。月々の総額は平均して6万円〜10万円程度が一般的な相場ですが、地域や施設によって大きく異なります。

費用の内訳

グループホームの費用の内訳

障害福祉サービス利用料
非課税世帯は0円、課税世帯は最大37,200円/月
グループホームのサービスに係る費用の自己負担分(原則1割負担)
家賃(居室利用料)
2〜5万円程度/月(地域差あり)
個室・共有スペースの使用料
食費
2〜4万円程度/月
食事の材料費・調理費など
光熱費・水道代
5,000〜15,000円程度/月
電気・ガス・水道等の実費
日用品費
1,000〜3,000円程度/月
トイレットペーパー・洗剤等の消耗品
負担上限月額

自己負担の上限額(負担上限月額)

障害福祉サービスの利用料(1割負担)には、世帯収入に応じた月額の上限額が設定されています。収入が低い場合は無料〜非常に少額で利用できます。

生活保護
0円
生活保護受給世帯
低所得
0円
市区町村民税非課税世帯
一般1
9,300円/月
市区町村民税課税世帯(所得割16万円未満)
一般2
37,200円/月
上記以外(所得割16万円以上)
精神障害のある方の多くは収入が少なく、市区町村民税が非課税の世帯であるケースが多いため、サービス利用料の自己負担が0円になることが少なくありません。生活保護を受給している方も0円で利用できます。
家賃補助と生活保護

家賃補助制度(特定障害者特別給付)と生活保護との併用

グループホームの家賃については、低所得の方を対象とした「特定障害者特別給付(補足給付)」という補助制度があります。この制度を利用すると、月額最大10,000円の家賃補助を受けることができます。対象となるのは、市区町村民税が非課税の世帯に属する利用者です。申請は市区町村の障害福祉担当窓口で行います。既に入居している場合でも遡及して受けられる場合があるため、まだ申請していない方は確認することをお勧めします。

グループホームは生活保護との併用が可能です。生活保護受給者がグループホームを利用する場合、家賃・食費・生活費は生活保護費(住宅扶助・生活扶助)でまかなうことができ、サービス利用料の自己負担は0円です。精神障害があり収入がない方でも、生活保護を活用することでグループホームに入居できる可能性があります。

MERIT & CHALLENGE

グループホームのメリットと課題

安定した住まい・専門的サポート・社会的つながり・地域生活の実現・段階的自立——5つのメリットがある一方で、入居待機問題・支援の質のばらつき・地域の理解不足・精神障害特有の支援の難しさなど、現場の課題も存在します。

5つのメリット

グループホームの5つのメリット

🏠
安心できる「住まい」の確保
家賃・生活費の見通しが立てやすく、住まいを失うリスクが低い。退院後や家族との同居が困難になった場合の安定した生活基盤。他の入居者・スタッフと顔を合わせる環境が孤立感を和らげる。
👥
専門スタッフによる継続的サポート
世話人・生活支援員が長期的に関わることで、症状の波の中での状態変化を把握。服薬管理・通院支援・症状悪化の早期発見・精神科医との連携・日々の悩みへの相談対応など、継続的なケアが受けられる。
🤝
社会的つながりの維持・形成
他の入居者との自然な交流機会が、社会的つながりを維持・形成。食事を一緒にとる、共有スペースで会話するといった日常的なやりとりが、コミュニケーション能力の回復・向上にも役立つ。
🌱
地域社会での生活の実現
施設ではなく地域の中の「住まい」。近所のスーパー・公共交通機関を利用し、地域の人々と同じ環境で生活する。「地域の一員として生きる」権利の実現。施設・病院と比べて自由度が高く、自己決定が尊重される。
🪜
段階的な自立への道
病院・施設から一気に完全自立へ移行するのではなく、段階的に自立度を高めていける場。共同生活でスキルと自信を身につけ、サテライト型住居や一人暮らしへ移行可能。2024年改定では退居後支援も制度化された。
💡
「ひとりじゃない」という感覚他の入居者や支援スタッフと日常的に顔を合わせる環境は、孤立しがちな精神障害者にとって、孤立感の解消につながります。これは精神的安定にとって非常に重要な要素です。
4つの課題

グループホームの課題と現状

急速に普及してきたグループホームには、現場で解決すべき課題も存在します。利用を検討する際には、メリットだけでなくこれらの現状も知っておくことが、自分に合った施設選びにつながります。

深刻な入居待機問題

需要の増加に供給が追いつかず、特に都市部や、医療的ケア・重度の障害を持つ方の受け入れができる施設は慢性的に不足。背景には、運営事業者の人材確保の難しさ(処遇の低さによる人材不足・高い離職率)や、建物確保の困難さ(近隣住民の反対・家賃高騰)がある。報酬改定や加算制度で支援強化が進むが、根本解決には至っていない。

支援の質のばらつき

事業者によって質が大きく異なる。適切な知識・スキルを持たない事業者の参入、一部での虐待事例も報告されている。世話人・生活支援員の専門性・研修の質の差、精神障害への理解・対応力の不足、夜間・緊急時対応体制の脆弱な施設、虐待・権利侵害のリスクが課題。2024年度以降、行政による実地指導の強化や事業者の質を確保する基準見直しが進む。

地域における住民の理解・受け入れ

設置に際して近隣住民から反対運動が起きるケースが各地で報告。「地域に精神障害者のグループホームができると治安が悪化する」という誤った認識に基づく反対も。理解不足は新設を困難にし、入居者の地域での孤立の原因にもなる。2024年改定では「地域連携推進会議」の設置が2025年から義務化され、地域と積極的に関わる仕組みが強化された。

精神障害特有の支援の難しさ

精神障害は症状の変動が大きく、調子の波が繰り返される。服薬継続の難しさ、対人関係のトラブル、衝動的な行動、病識の欠如など、特有の困難が支援者の負担を高める。精神科医療との連携が不可欠だが、医療と福祉の連携体制が不十分なホームも多く、症状悪化時に適切な対応ができないケースも見られる。

⚠️
医療と福祉の連携が鍵精神科医療との連携が不可欠ですが、医療と福祉の連携体制が十分に整っていないグループホームも多く、精神症状の悪化時に適切な対応ができないケースも見られます。施設選定では精神科医療機関との連携体制を必ず確認しましょう。
RECOVERY

地域移行・地域定着とメンタルヘルス回復への効果

「入院医療中心から地域生活中心へ」という国の方針のもと、グループホームは長期入院患者の地域移行を実現する最重要インフラ。生活の安定が精神的回復・自己効力感・再発予防に大きく寄与します。

地域移行の方針

「入院医療中心から地域生活中心へ」という国の方針

厚生労働省は、精神障害者の入院医療を中心とした体制から地域生活を中心とした体制へと転換する「地域移行」を推進しています。日本では、長期間にわたって精神科病院に入院している患者(長期入院患者)の数が国際的に見て突出して多い状況が続いており、これは当事者の人権問題としても指摘されてきました。

グループホームは、この地域移行を実現するための最も重要な住まいの選択肢のひとつです。病院を退院した精神障害者が、一人暮らしに踏み切る前に、適切な支援を受けながら地域生活を経験する場として機能しています。

地域移行・地域定着支援

地域移行支援・地域定着支援との連携

グループホームへの入居を支援する制度として、「地域移行支援」「地域定着支援」があります。これらは個別給付(地域相談支援)として障害者総合支援法に位置づけられています。

地域移行支援
退院・退所のための準備支援
精神科病院や施設に入所している方が退院・退所して地域で生活するための支援。住居の確保、生活の準備、体験外出・体験宿泊などを行う。グループホームへの入居を具体的に準備する段階で利用する。
地域定着支援
地域生活を維持するための見守り
すでに地域で生活している精神障害者が、症状悪化などによって再入院・施設入所しないよう常時連絡体制を確保し、緊急時に支援する。グループホームに入居後も必要に応じて利用可能。
精神科病院に長期入院している方が退院を希望する場合は、病院のソーシャルワーカー(精神保健福祉士)に相談し、地域移行支援の利用と合わせてグループホームへの入居を検討することが有効です。
退院支援プロセス

退院支援におけるグループホームの役割

長期入院患者が地域へ移行するプロセスにおいて、グループホームは段階的な移行先として重要な役割を果たします。

PHASE 1
院内リハビリ
病院内でのデイケア・作業療法への参加。
PHASE 2
退院に向けた支援・計画策定
病院スタッフ・相談支援専門員による退院計画の策定。
PHASE 3
見学・体験宿泊
グループホームへの見学および体験宿泊。
PHASE 4
入居(地域生活の開始)
グループホームへの入居により地域生活がスタート。
PHASE 5
日中活動への参加
デイケア・就労継続支援・就労移行支援などへの参加。
PHASE 6
サテライト型・一人暮らしへの移行
安定後、希望に応じてサテライト型住居や一人暮らしへ移行。
💡
クッションとしての役割グループホームは退院直後の急激な環境変化を緩和し、段階的な地域移行を可能にする「クッション」の役割を担います。
回復への効果

メンタルヘルス回復への効果

精神障害からの回復(リカバリー)において、生活の安定は不可欠な要素です。グループホームは、5つの側面から精神的回復を支えます。

🌿
生活の安定がもたらす精神的回復
安定した住まいを提供することで、不安定な住まい・不規則な生活リズム・孤立・経済的不安といった症状悪化要因を軽減。規則正しい食事・睡眠・起床のリズムが精神症状の安定につながり、服薬管理サポートで自己中断による再発リスクも低下。
🤝
社会的つながりと孤立防止の効果
孤立は精神疾患の悪化や自殺リスクの重大な危険因子。一人暮らしで助けを求められないまま症状悪化が進むのを防ぐ。日常的な「おはよう」「今日の食事はおいしかったね」といったやりとりが精神的支えになり、スタッフの観察で症状悪化の早期発見が可能に。
🌱
自己効力感と自尊心の回復
長期入院・施設生活を経た方が抱える「自分は何もできない」「社会に戻れない」という否定的な自己イメージを変える。近所のコンビニで買い物をする、料理を手伝うといった日常的成功体験で自己効力感と自尊心が回復。地域生活経験はリカバリーに大きく寄与する。
🛡
再入院・再発の予防
服薬継続支援・通院支援・症状悪化の早期発見・緊急時対応など予防的支援の継続で、再発・再入院のサイクルを断ち切る力がある。一方で共同生活のストレスが症状悪化につながるケースもあり、個人の状態に合った選定と継続的モニタリングが重要。
💼
精神科デイケアや就労支援との相乗効果
安定した住まいがあることで「毎日決まった場所に通う」生活パターンが確立しやすくなる。就労継続支援A型・B型/就労移行支援を組み合わせることで社会参加・自信・収入の回復が進み、リカバリーが促進される。
個人差への配慮グループホームでの生活が必ずしも全員に合うわけではなく、共同生活のストレスが症状悪化につながるケースもあります。個人の状態・ニーズに合ったグループホームを選ぶこと、入居後も継続的なモニタリングと柔軟な対応を行うことが重要です。
HOW TO FIND

グループホームの探し方・選び方と関連制度

自分に合ったホームを探すには複数の窓口・情報源を活用し、見学や体験宿泊で実際の雰囲気を確認することが大切です。あわせて、自立支援医療や障害年金など、生活と医療を支える関連制度も組み合わせて利用しましょう。

探し方

グループホームを探す主な方法

  • 市区町村の障害福祉担当窓口(地域のグループホーム一覧を提供)
  • 相談支援事業所・相談支援専門員(個人のニーズに合った施設を紹介・調整)
  • 精神保健福祉センター(都道府県・政令市の専門相談窓口)
  • 病院の精神保健福祉士(PSW)(入院中の方の退院支援として紹介)
  • WAM NET(福祉・保健・医療情報サービス)(厚生労働省運営のオンラインデータベース)
  • 都道府県・市区町村の障害福祉サービス事業所一覧(自治体ウェブサイト)
  • ピアサポーター・当事者団体(実際に利用した当事者の口コミ・情報)
選び方

グループホームを選ぶ際のチェックポイント

グループホームは入居したら終わりではなく、そこで日々の生活を送る「住まい」です。見学時に以下の点を確認することが重要です。

  • 立地・アクセス通院しているクリニック・デイケアへのアクセス。スーパーや薬局など生活利便施設の近さ。
  • 居室の環境個室か相部屋か。プライバシーが確保されているか。清潔さ・設備の状態。
  • スタッフの対応精神障害への理解があるか。話しやすい雰囲気か。人員の安定性(離職率)。
  • 他の入居者の状況どのような障害・状態の方が入居しているか。雰囲気は合いそうか。
  • 医療との連携かかりつけ医・精神科クリニックとの連携体制はあるか。
  • ルール・自由度外出・外泊の自由度。起床・就寝・食事の時間。禁止事項の内容。
  • 費用の透明性月額費用の内訳が明確か。追加費用の発生はないか。
  • 体験入居見学だけでなく体験宿泊ができるか。
💡
見学時に感じた「この場所で生活できそうか」という直感も大切にしてください。複数の施設を見学し、比較検討することをお勧めします。焦らず、自分に合った施設を選ぶことが、長期的な生活の安定につながります。
関連制度

利用できる関連制度・サービス

グループホームでの生活を支えるために、以下の制度・サービスを組み合わせて活用することが重要です。

自立支援医療制度(精神通院医療)

精神疾患の治療のため継続的に通院が必要な方の医療費自己負担を軽減。通常3割の自己負担を原則1割に軽減し、世帯収入に応じた月額上限額が設定される。対象は統合失調症・うつ病・双極性障害・不安障害・PTSDなど。申請は市区町村の障害福祉担当窓口で、医師の診断書(意見書)・健康保険証・マイナンバーカードなどが必要。有効期間は1年ごとに更新。

精神障害者保健福祉手帳

精神疾患があり、一定以上の障害がある方が取得できる手帳(1〜3級)。グループホームの利用申請に関連するほか、各種税制優遇・公共交通機関の割引・就労支援サービス利用など多くのメリットがある。申請は市区町村窓口。

障害年金

精神疾患のために日常生活や就労に支障がある方が受給できる公的年金。国民年金(障害基礎年金:1・2級)または厚生年金(障害厚生年金:1〜3級)。グループホームの費用の一部を障害年金でまかなえる。申請は年金事務所または市区町村窓口。

就労継続支援・就労移行支援

グループホームで生活しながら、日中は就労継続支援(A型・B型)・就労移行支援を利用可能。一般就労への移行や福祉的就労を通じた社会参加・収入が可能。安定した生活基盤がサービス継続を支える。

精神科デイケア・ナイトケア

精神科病院・診療所が提供する日中の生活訓練・社会復帰支援プログラム。集団活動・グループワーク・SST(ソーシャルスキルトレーニング)など。グループホーム入居中のデイケア通所は精神症状の安定と社会参加促進に効果的。

訪問看護・ACT

精神科訪問看護は看護師・精神保健福祉士などが自宅(グループホーム)を訪問し服薬支援・病状観察・生活支援を提供。ACT(Assertive Community Treatment:包括型地域生活支援プログラム)は重篤な精神疾患を持つ方が地域で生活できるよう多職種チームが集中的に支援するプログラム。

地域移行支援・地域定着支援

地域移行支援:精神科病院・施設に入所中の方が退院・退所して地域生活へ移行するための支援。住居確保・生活準備・体験外出・体験宿泊などを行う。地域定着支援:すでに地域で生活する精神障害者が再入院・施設入所しないよう常時連絡体制を確保し、緊急時に支援。グループホーム入居後も必要に応じて利用可能。

制度を組み合わせて使う自立支援医療で医療費を1割に、障害年金で生活費を支え、訪問看護やACTで医療的ケアを補強——複数の制度を組み合わせることで、グループホームでの安定した地域生活が現実になります。
FAQ

よくある質問

グループホーム利用を検討する精神障害のある方やご家族から寄せられる質問に、制度の根拠を踏まえて回答します。

FAQ

よくある質問

Q. 精神障害者手帳がなくてもグループホームに入れますか?

A. 精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても入居できる場合があります。障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの利用には、手帳ではなく「障害支援区分の認定」または「医師の診断書」が必要です。統合失調症・うつ病・双極性障害・発達障害などの精神疾患があり、医師が診断書を発行できれば、手帳なしでも申請手続きを進められます。まずは市区町村の障害福祉担当窓口または相談支援事業所にご相談ください。なお、手帳を持つことで受けられる各種優遇措置もあるため、条件を満たす方は手帳取得も検討することをお勧めします。

Q. グループホームの入居中も精神科への通院は続けられますか?

A. はい、入居中も精神科クリニックや病院への通院を継続できます。むしろグループホームのスタッフが通院の同行支援や服薬管理のサポートを行うため、通院がより継続しやすくなる場合が多いです。施設選定時はかかりつけのクリニックや病院へのアクセスが良い施設を優先するとよいでしょう。自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すれば通院医療費の自己負担を原則1割に軽減できます。

Q. 入居したら、外出や外泊は自由にできますか?

A. 外出・外泊のルールはホームによって異なります。多くは基本的な生活ルール(食事の時間、消灯時間など)はあるものの、日中の外出は自由にできるケースが多いです。外泊についても事前申告で認められる施設が多くあります。ただし夜間の緊急連絡体制の確保など、安全に関わるルールは守ることが求められます。見学時にスタッフに具体的に確認しておくことが大切です。グループホームは「地域の中の住まい」ですので、利用者の自由と自己決定を尊重した運営が求められています。

Q. グループホームに入居できる年齢に上限はありますか?

A. 障害者グループホームは18歳以上の方が対象です。上限年齢は法律上明確に設定されていませんが、65歳以上になると介護保険サービスとの関係が複雑になります。原則として65歳以上は介護保険が優先適用されますが、精神障害のある方で介護保険サービスでは対応が難しい場合は、障害福祉サービスを継続利用できることもあります。日中サービス支援型は高齢の障害者を対象のひとつとしており、年齢が高い方にも対応できる仕組みです。高齢の精神障害者の方は市区町村の担当窓口にご相談ください。

Q. 生活が合わなかった場合、退居はできますか?

A. 利用契約に基づくサービスですので、本人の意思で退居できます。契約書に定められた退居手続き(通常は1〜2ヶ月前の申し出が必要)に従えば、退居は基本的に自由です。ただし退居後の住まいをあらかじめ確保しておくことが重要で、次の住まいが見つからないままの退居は避けるべきです。合わないと感じたら早めにスタッフや相談支援専門員に相談し、別ホームへの転居やサテライト型・一人暮らしへの移行など、次の選択肢を一緒に検討しましょう。

Q. 精神症状が急激に悪化した場合、どう対応しますか?

A. 対応はホームによって異なりますが、基本的には世話人・生活支援員が状態を観察し、かかりつけの精神科医・クリニックに連絡。必要に応じて通院・受診の同行支援を行います。重篤な場合は救急要請や精神科救急センターへの連絡を行うこともあります。事前に「緊急時の対応計画(クライシスプラン)」を本人・担当医・スタッフで共有しておくことが推奨されます。見学時に「精神症状が悪化した場合にどう対応するか」を具体的に確認することも大切です。精神科医療機関との連携体制が整ったホームを選ぶことが安全です。

Q. 将来的に一人暮らしに移行することはできますか?

A. はい、グループホームから一人暮らしへの移行は制度的に支援されています。まずサテライト型住居(本体ホーム近くのアパートの個室に単身居住)に移行し、一人暮らしの練習を積んでから完全な独立住居へ移行するステップが一般的です。2024年改定では退居後も一定期間サポートを受けられる「退居後支援」が制度化され、移行後も孤立しない支援体制が整いつつあります。一人暮らしの際は、訪問看護・ヘルパー・相談支援専門員などのサービスを組み合わせることで安定した地域生活を維持できます。グループホームは「ゴール」ではなく「通過点」として活用することもできます。

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このページの情報は、医師による診断や治療、行政による支給決定に代わるものではありません。具体的な利用については、市区町村の障害福祉担当窓口・相談支援事業所・精神保健福祉センターなど、お住まいの地域の専門機関にご相談ください。

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