インフォデミックとは?
WHO定義・拡散メカニズム・メンタルヘルス対策をわかりやすく解説
真偽の不確かな情報や誤情報がSNSを通じて爆発的に拡散されるインフォデミック。WHO定義から拡散メカニズム、サイバーコンドリア・ドゥームスクローリングまで、メンタルヘルスとの関係と具体的な対処法を網羅的にまとめました。
インフォデミックとは
インフォデミックとは「インフォメーション」と「エピデミック/パンデミック」を組み合わせた造語で、真偽の確認されていない情報・誤情報・意図的なデマや偽情報がインターネットやSNSを介して感染症と同じように急速かつ広範囲に拡散する現象を指します。
WHOによる定義とインフォデミック・マネジメント
インフォデミック(infodemic)は、「インフォメーション(Information:情報)」と「エピデミック(Epidemic:感染症の流行)」または「パンデミック(Pandemic:世界的大流行)」を組み合わせた造語です。真偽の確認されていない情報、誤った情報、意図的に作られたデマや偽情報が、インターネットやソーシャルメディアを介して感染症と同じように急速かつ広範囲に拡散する現象を指します。
世界保健機関(WHO)はインフォデミックを「正確な情報と不正確な情報の両方が過剰に存在し、人々が信頼できる情報源を見つけたり、必要なときに適切なガイダンスに従ったりすることを困難にする状態」と定義しています。WHOはこれを感染症のパンデミックと並んで緊急に対処すべき公衆衛生上の脅威と位置づけ、その管理に向けた専門的な取り組み(インフォデミック・マネジメント)を推進しています。
2003年SARSから2020年COVID-19まで
この言葉が世界的に注目を集めたのは2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大が大きなきっかけです。しかし実際には、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行時にすでにインフォデミックの概念が提唱されており、当時のメディア研究者デヴィッド・ロスコフ氏が論文でこの言葉を初めて使用したとされています。
インターネットが社会インフラとなった現代において、情報の流通速度は爆発的に上昇し、インフォデミックの影響はより一層深刻化しています。インフォデミックはコロナ禍に限った現象ではなく、2024〜2025年においても、インフルエンザ、がん治療、精神疾患に関する誤情報などが拡散し続けており、これらが人々の受診行動や治療継続に影響を与えています。
ミスインフォメーション/ディスインフォメーション/マルインフォメーション
インフォデミックを構成する情報には大きく3種類があり、これらが複合的に作用することで被害が拡大します。
日本でのインフォデミックと2020年の社会的混乱
日本においても、インフォデミックは深刻な問題として認識されています。総務省の報告によれば、SNS上でのデマや誤情報の拡散は年々増加傾向にあり、特に健康・医療に関する誤情報は人々の行動に直接的な影響を与えることから、緊急の対策が求められています。
2020年のコロナ禍では、「アルコールを飲めばウイルスが死滅する」「トイレットペーパーが不足する」といった根拠のない情報が急速に拡散し、実際の社会的混乱を引き起こしました。これはインフォデミックが単なる情報問題にとどまらず、実社会への具体的な害をもたらすことを示しています。
COVID-19パンデミックとインフォデミックの実態
2020年に始まったCOVID-19パンデミックは、同時に史上最大規模のインフォデミックを引き起こしました。WHOテドロス事務局長は「私たちは単に疫病と戦っているだけでなく、インフォデミックとも戦っている」と宣言しました。
世界と日本で拡散した代表的な誤情報
WHOが2020年に行った調査によれば、コロナウイルス関連の誤情報は世界中のソーシャルメディアプラットフォームで数億件以上にのぼり、ファクトチェック機関がその誤りを指摘する速度を大幅に上回るペースで拡散し続けました。
メンタルヘルスへの影響を示す研究
コロナ禍のインフォデミックがメンタルヘルスに与えた影響は甚大でした。代表的な研究データを見てみましょう。
医学誌「Scientific Reports」掲載の研究(2022年)によれば、COVID-19に関する誤情報をSNSでシェアしたユーザーは、そうでないユーザーと比較して約2倍の不安の増加を経験したことが明らかになっています。韓国での調査では、COVID-19に関するデジタル上の誤情報への暴露が、不安・抑うつ・心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状と有意に相関していることが示されています。
フェイクニュース・誤情報・デマの拡散メカニズム
なぜ誤情報はこれほど速く、広く拡散するのでしょうか。背景には人間の認知バイアスとデジタルプラットフォームのアルゴリズムが複雑に絡み合っています。
誤情報の受容を促す6つの認知バイアス
人間の認知特性が誤情報の拡散を促進します。これらは進化的に獲得された脳の癖で、現代の情報環境では裏目に出ます。
- 確証バイアス自分がすでに信じていることを裏付ける情報だけを選択的に受け入れ、それに反する情報を無視しようとする傾向。既存の信念に合った誤情報を疑わずに受け入れて拡散させます。
- 感情的推論恐怖や怒りといった強い感情を引き起こす情報は、理性的な判断を迂回して記憶に刻まれやすく、共有されやすい傾向があります。
- 利用可能性ヒューリスティックすぐに思い浮かべられる事例や情報を、実際よりも一般的・重要なものと判断してしまう認知の癖。
- 真実性の錯覚同じ情報に繰り返し接触することで、その信頼性の認知が高まる現象。頻繁に目にする誤情報は、繰り返されることで「真実らしく」感じられるようになります。
- ネガティビティバイアスポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意が向きやすく、記憶に残りやすい本能的特性。生存のための危険察知から進化したが現代では裏目に出ます。
- 社会的証明多くの人がシェアした情報や大量の「いいね」を集めた投稿は、内容に関わらず信頼性が高いと判断されやすくなります。
アルゴリズムが誤情報を加速する4つの構造的要因
SNSプラットフォームのアルゴリズムも誤情報の拡散を加速させます。感情的な反応を引き起こすコンテンツ(怒り・恐怖・驚き)は高いエンゲージメントを得やすく、優先的に表示されます。誤情報の多くはこの感情的反応を意図的に引き起こすように設計されており、結果として真実の情報よりも速く、広く拡散する傾向があります。
健康不安と恐怖心の増幅——メンタルヘルスへの影響
インフォデミックへの暴露は恐怖・パニック・抑うつ・ストレス・不安を引き起こし、これらは一時的な不快感にとどまらず長期的な精神的健康への悪影響となる場合があります。
インフォデミックがもたらす6つのメンタルヘルス影響
インフォデミックがメンタルヘルスに与える影響は多岐にわたります。それぞれの影響は単独ではなく、相互に絡み合って症状を悪化させていきます。
ヘルスアンクシエティ(健康不安症)との関係
ヘルスアンクシエティは、自分が深刻な病気にかかっているのではないかという過度な心配が持続する状態です。以前は「心気症(hypochondria)」とも呼ばれ、DSM-5では「病気不安症」または「身体症状症」として分類されています。
サイバーコンドリア(cyberchondria)とは
サイバーコンドリア(cyberchondria)は、インターネット検索によって健康不安が増大する現象を指す言葉で、インフォデミックの時代を象徴する概念です。健康に関する誤情報への継続的な暴露は健康不安の発症リスクを高め、本来なら問題のない身体症状を深刻な疾患のサインとして解釈する「症状の過大解釈(symptom misinterpretation)」という認知の歪みを生じさせます。
コロナ禍では、症状に関する誤情報の拡散が世界中でサイバーコンドリアを急増させました。「発熱は確実にコロナ」「味覚・嗅覚異常が少しでもあれば重症化する」といった過度に不安を煽る情報が飛び交い、軽微な症状でも強い恐怖心を覚える人が急増しました。Long COVIDに関する誤情報も問題となり、実際には後遺症のない人が「後遺症かもしれない」という不安に苦しむ事例も報告されています。
サイバーコンドリアの強迫的サイクル(5ステップ)
サイバーコンドリアは強迫的な情報検索のサイクルを形成します。「安心求める行動(reassurance-seeking behavior)」——医療機関を何度も受診したり家族・友人に何度も確認を求めたりする行動は、一時的安心は与えるものの根本的な不安を解消することはなく、長期的には不安を維持・悪化させることが研究で示されています。
ニュース過剰摂取(doomscrolling)と抑うつの深化
ドゥームスクローリングとは、悪いニュースや不安を煽るコンテンツを延々とスクロールしながら読み続ける行動。「doom(破滅)」と「scrolling」を組み合わせた造語で、コロナ禍に急速に広まりました。
ドゥームスクローリングが止まらない5つの理由
スマートフォンやタブレットで感染者数・死亡者数・経済崩壊の見通しなどのネガティブニュースを止まらずに見続けてしまう状態は、現代の情報消費の病理を表しています。
- ネガティビティバイアスネガティブ情報の方が記憶に残りやすい人類の進化的本能。SNSはこれを利用しエンゲージメントを高めるよう設計されています。
- 依存症類似メカニズム「もっと情報を集めれば不安が和らぐ」という心理から情報を求め続けるが、新しい情報を得るたびにさらなる不安が生まれ止められなくなる強迫的サイクル。
- コルチゾール慢性上昇否定的ニュースの長時間消費でストレスホルモンであるコルチゾールが慢性的に上昇し、身体的にも精神的にも疲弊します。
- 就寝前消費の悪影響就寝前のドゥームスクローリングは睡眠の質を著しく低下させ、翌日の気分・認知機能にも悪影響をもたらします。
- ニュース中毒(news addiction)テレビ・ラジオのニュースを一日中流し続けたり、定期的にニュースサイトをチェックしないと落ち着かなくなる類似の依存状態。
専門家が推奨する4つの対処策
ドゥームスクローリングへの対処として、専門家が推奨する具体的なアプローチがあります。「全部やる」必要はなく、できそうなものから取り入れてください。
情報の信頼性判断の難しさ——なぜ人は誤情報を信じるのか
現代の情報環境において、何が真実で何が誤情報かを判断することは、専門家でさえ容易ではありません。誤情報が本物の情報と見分けがつきにくい形で提示されていることが大きな理由です。
誤情報が信じられてしまう6つの罠
誤情報が「本物らしく」見える仕組みを知ることは、騙されないための第一歩です。以下の6つの罠を意識しておきましょう。
脆弱な人々への深刻な影響——高齢者・精神疾患当事者
インフォデミックの影響は社会全体に及びますが、高齢者・精神疾患を抱える人々・低所得者・デジタルリテラシーの低い人々など、特に一部の集団がより深刻な被害を受けやすいことが明らかになっています。
脆弱性をもつ7つの集団とその理由
それぞれの集団がインフォデミックに対して脆弱になる理由を理解することは、適切な支援のために必要です。
- 高齢者(デジタル格差)日本の統計では70歳以上のインターネット利用率は60歳代の73.4%と比較して大幅に低く、デジタル社会への参加に格差が存在。情報リテラシーを身につける前に誤情報に接触するリスクがあります。
- 高齢者(LINEチェーン)LINE等のメッセージングアプリを通じた「チェーンメール型」誤情報拡散に関与しやすい。「お湯を飲めばウイルスを洗い流せる」「特定野菜が免疫を高める」等の誤情報がコミュニティ内で広まりました。
- 認知機能低下者加齢で批判的思考の維持が難しくなり、感情的に訴える誤情報に影響を受けやすい。長年培ってきた信念に反する情報の更新への心理的抵抗も強まる傾向。
- うつ病当事者ネガティブ情報に注意が向きやすく、気分をさらに悪化させる悪循環(反芻:rumination)に陥りやすい傾向。
- 不安障害当事者健康・安全に関する誤情報が引き起こす恐怖・不安から抜け出しにくく、ドゥームスクローリングのサイクルにはまりやすい。
- 強迫性障害(OCD)当事者情報確認の衝動が強まり、正確な情報を何度も確認し続けるという形で症状が悪化することがあります。
- 統合失調症等の精神病性疾患陰謀論的誤情報は被害妄想を悪化させることがある。「薬は有害」「精神科治療は洗脳」等の誤った信念強化で必要な治療を拒否してしまう危険性。
医療情報の誤信と適切な治療拒否のリスク
医療・健康情報に関する誤情報は特に深刻な影響をもたらします。誤った医療情報を信じることで、適切な治療を受けられなくなったり、有害な行動を取ってしまったりするリスクがあります。
メンタルヘルス領域の4つの治療拒否リスク
メンタルヘルスの文脈では、医療誤情報のリスクはさらに複雑な問題をはらんでいます。代表的な4つのパターンを見ていきましょう。
日本で参照すべき信頼性の高い情報源
医療情報を参照する際には、発信元が医療機関、公的機関、査読付き学術誌など信頼性の高いソースであることを確認することが大切です。
- ✓厚生労働省
- ✓国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
- ✓各都道府県の精神保健福祉センター
- ✓WHO(世界保健機関)
- ✓FactCheck Initiative Japan(FIJ)
- ✓InFact
- ✓International Fact-Checking Network(IFCN)加盟団体
メディアリテラシー教育の重要性と実践法
インフォデミックに対抗するための最も根本的な手段の一つが、メディアリテラシーの向上です。様々なメディアを通じて伝えられる情報を主体的に読み解き、評価し、活用する能力は、現代のすべての人に必要な基礎的能力です。
情報の信頼性を評価する実践フレームワーク「SIFT法」
SIFTは「Stop(立ち止まる)」「Investigate the source(情報源を調べる)」「Find better coverage(より詳しい報道を探す)」「Trace claims(主張をたどる)」の頭文字をとった、誰でも使える4ステップのフレームワークです。
フィンランド先進事例と日本・企業の取り組み
学校・地域・企業が連携して、あらゆる年代に向けたメディアリテラシー教育を充実させることが求められています。
- フィンランドの先進事例1970年代から学校でメディアリテラシー教育を実施。子どもたちのフェイクニュース識別能力が高いことが示されています。
- 日本の現状文部科学省指導要領改訂で情報活用能力(情報リテラシー)育成が重視されつつあるが、実際の授業への組み込みは十分でない状況。
- 企業研修の広がりインフォデミック対策をリスク管理の一環として位置づけ、従業員が健康誤情報に惑わされず適切な行動を取れる教育の取り組みが増加。
- 感情的メタ認知強い恐怖・怒りを感じた時こそ「この情報は本当に正確か」と自問する。「怒りや恐怖を感じさせる情報を急いでシェアしたくなった時は、一度立ち止まる」がインフォデミック対策の基本原則。
WHO・政府の情報管理と対策の現状
インフォデミックに対応する取り組みは、国際機関・政府・民間企業の各レベルで進められています。WHOが最も積極的にインフォデミック対策を推進している国際機関の一つです。
WHOインフォデミック・マネジメント戦略の4本柱
WHOは2020年のCOVID-19パンデミック以降、「インフォデミック・マネジメント」を公衆衛生対策の重要な柱として位置づけ、4つの柱からなる戦略を展開しています。
- 誤情報の特定と監視ソーシャルメディア上の誤情報を継続的にモニタリングし拡散を追跡する仕組み。
- 証拠に基づいた情報の迅速な発信科学的エビデンスに基づく公衆衛生情報を素早く発信し、誤情報より先に正確な情報を届けます。
- 誤情報への対処・反論拡散している誤情報に対し具体的な反論・訂正を行います。
- メディアリテラシーの促進市民の情報判断能力を高める教育・啓発を推進します。
日本政府・SNSプラットフォーム・AI活用の現状
日本政府もインフォデミック対策に取り組んでおり、プラットフォーム企業もコンテンツ管理を強化しています。AI技術活用も進む一方で、生成AIによる新たな脅威も生まれています。
政府・国際機関による対策の根本的限界
政府・国際機関のインフォデミック対策には限界があり、市民一人ひとりのリテラシー向上が不可欠です。
- ✓誤情報の拡散は地理的・言語的な境界を越えるため国際連携が必要だが、各国の法制度・価値観の違いから統一的対策は困難
- ✓「何が誤情報か」の判断が政治的に偏る危険性。政府による情報統制との線引きが難しい問題
- ✓誤情報の拡散速度は対策よりも常に速く「後手」になりがちという根本的な課題
- ✓テクノロジーだけでなく社会的・教育的なアプローチとの組み合わせが不可欠
インフォデミックからメンタルを守るセルフケア
インフォデミックはすぐには解決しない社会的問題ですが、個人としてできることもたくさんあります。実践的な6つのセルフケア方法と、専門家相談のタイミングを紹介します。
今日から始められる、6つのセルフケア
どれか一つに絞らず、できそうなものから少しずつ取り入れてください。「全部完璧にやる」必要はなく、続けられる方法を見つけることが最優先です。
専門家への相談を検討すべきサイン
インフォデミックによる不安・ストレスが日常生活に支障をきたすレベルになっている場合、専門家への相談を躊躇わないことが大切です。
- ✓不安や恐怖が強く、仕事・学校・家事などの日常的な機能が低下している
- ✓睡眠障害が2週間以上続いている
- ✓情報収集が止められず強迫的になっている
- ✓気分の落ち込みが2週間以上続き、以前楽しんでいたことに興味が持てなくなっている
- ✓ドゥームスクローリングが強迫的な行動パターンになり日常生活に支障をきたしている
- ✓誤情報による恐怖から処方薬の服用に強い不安を感じている
よくある質問
インフォデミックに関してよくいただく8つの質問にお答えします。
インフォデミックに関する8つのQ&A
A. パンデミックは感染症が世界規模で流行する状況、インフォデミックは感染症に関する情報(正確な情報と不正確な情報の両方)が爆発的に拡散する状況を指します。インフォデミックはパンデミック発生時に同時に引き起こされる情報の緊急事態ですが、自然災害・テロ・政治的危機など様々な社会的事件でも発生します。デジタル社会での情報の爆発的拡散が最大の特徴で、SNSやスマートフォンの普及により規模と速度が前例のないレベルに達しています。
A. COVID-19パンデミック期の研究では、インフォデミック暴露が不安・抑うつ・PTSD症状と有意に相関することが示され、誤情報をSNSでシェアしたユーザーはそうでないユーザーと比べて約2倍の不安増加を経験したという報告もあります。インフォデミックにさらされた人々の36%が恐怖・パニック・抑うつ・ストレス・不安を経験したとする研究もあります。もともとメンタルヘルスの問題を抱えている人、高齢者、デジタルリテラシーの低い人など脆弱なグループでは影響がより大きくなります。
A. まずその情報がどこから来ているかを確認しましょう。政府機関、大学・研究機関、査読付き医学誌などの一次情報源は信頼性が高い傾向があります。次に複数の独立した信頼できる情報源で同じことが報告されているかを確認します。情報が強い感情的反応を引き起こすものなら批判的視点で再評価することも大切です。FactCheck Initiative Japan(FIJ)等のファクトチェック機関のウェブサイトで検索することも有効です。「自分はこれを信じたいと思っているから信じている可能性はないか」という自己批判的視点が誤情報から身を守る重要なスキルです。
A. スマホのアプリや通知システムは注意を引き続けるよう設計されているため意志の力だけでは難しい場合があります。スマートフォンのスクリーンタイム機能やアプリ制限機能で物理的に使用時間を制限することが効果的です。次にニュースをチェックする具体的な時間帯を決め、それ以外の時間は意識的に情報から離れる練習を。就寝前はスマホを寝室に持ち込まないなど環境を変えることも有効です。情報収集の衝動を感じたら「今すぐこの情報を得る必要があるか?5分後でも遅くないか?」と自問する習慣を。日常生活に支障をきたしているなら認知行動療法(CBT)など専門的支援の検討を。
A. 信念を真っ向から否定することは避けましょう。バックファイア効果で誤情報への信念をかえって強固にさせる可能性があります。「その情報を見て心配になったんですね」と感情を受け止めつつ「一緒に確認してみませんか?」と協力的姿勢で信頼できる情報源を一緒に見ましょう。批判的なトーンを避け「〇〇のサイトにはこう書いてありましたよ」と客観的に提示するのが効果的。LINEグループでの誤情報拡散には公の場での恥をかかせないよう配慮しつつ静かに訂正情報を共有。定期的に信頼できる情報源を一緒に見る時間を作るなど継続的な情報教育が長期的に最も効果的です。
A. ネット上には精神科薬に関する多くの誤情報や過度に否定的な情報が存在することを理解しましょう。「薬は依存性がある」「廃人になる」などの主張の多くは科学的根拠を欠いた誇張・誤情報です。感じている不安は必ず処方医に直接伝えること。「ネットでこんな情報を見たのですが本当ですか?」と率直に質問するのは恥ずかしいことではなく適切な医療を受けるための重要な行動です。納得できない場合はセカンドオピニオンを求めるのも患者の権利。自己判断での中断は症状の急激な悪化を引き起こすリスクがあるため絶対に避けましょう。信頼できる情報源として処方医、薬剤師、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)のウェブサイト等を参照してください。
A. 日常生活に明らかな支障が出ている場合は専門家への相談をお勧めします。具体的には不安・恐怖が強く日常的機能が低下、睡眠障害が2週間以上続く、情報収集が止められず強迫的になっている、気分の落ち込みが2週間以上続き以前楽しんでいたことに興味が持てない、などの場合です。「情報不安」「メディア消費によるメンタルへの影響」は現代社会で認識された問題で、認知行動療法(CBT)などの心理療法が有効とされています。かかりつけ医への相談や精神保健福祉センターの相談窓口の利用から始めてみてください。専門家相談は弱さではなく勇気と賢明さの表れです。
A. 年齢に応じた方法でアプローチを。小学生には「見たり読んだりした情報が本当かどうか、信頼できる大人や公式ウェブサイトで確認しよう」という習慣づけから。「情報は料理の食材と同じ。新鮮か古いか、本物か偽物かを確認してから使う必要がある」など比喩で説明すると理解しやすい。中学生以上には情報源の種類(一次情報・二次情報)、ファクトチェックの方法、エコーチェンバー・フィルターバブルの概念などを教えられます。家庭では気になるニュースをとりあげて「これは信頼できる情報源?なぜそう思う?」と対話しながら検証する習慣が効果的。大人自身がメディアリテラシーを実践する姿を見せることも子どもへの最良の教育です。
情報の渦に飲み込まれそうな
あなたへ
不安を煽るニュースに目が離せない、何を信じていいかわからない——その疲れは、あなたが真面目に向き合ってきたサインかもしれません。一人で抱え込まず、ココトモに話してみませんか。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。
