メンタルヘルス用語辞典 · 承認欲求(SNS)

承認欲求(SNS)とは?
いいね依存の心理・原因・SNS疲れ・克服法を徹底解説

SNSの「いいね」やフォロワー数に一喜一憂し、承認されることに過度に依存してしまう——SNS時代の承認欲求の心理学的メカニズム、メンタルヘルスへの影響、SNS疲れの原因と対処、健全な自己肯定感を育てる方法を、最新の研究に基づいて解説します。

ABOUT

承認欲求とSNSとは

承認欲求は人間の基本的な心理欲求ですが、SNSという仕組みがその欲求を過度に刺激し依存的なパターンを生み出すことがあります。2025年のメタ分析研究では、SNS依存が不安・抑うつ・孤独感と正の相関を、自己肯定感と負の相関を示すことが確認されています。

定義

承認欲求の定義——他者承認と自己承認

承認欲求とは、他者から認められたい、受け入れられたい、価値のある存在だと思われたいという人間の基本的な心理欲求です。心理学者アブラハム・マズローの「欲求階層説」では、承認欲求(尊厳の欲求)は生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求に次ぐ第4段階の欲求として位置づけられています。

承認欲求は大きく2つに分類されます。

他者承認欲求
他人から認められたい
他人から認められたい、評価されたい、尊敬されたいという欲求。SNSでの「いいね」やフォロワー数への執着は、主にこの他者承認欲求に基づいています。
自己承認欲求
自分で自分を認めたい
自分自身を認めたい、自分に自信を持ちたい、自分の価値を自分で実感したい欲求。自己承認欲求が満たされている人は、他者からの評価に左右されにくい安定した自己評価を持っています。

健全な発達においては、他者承認欲求がある程度満たされることで自己承認欲求が育ち、やがて外部の評価に依存しない自己肯定感が形成されていきます。しかし、他者承認欲求が過度に強い場合や自己承認欲求の発達が十分でない場合、常に他者からの承認を求め続ける依存的なパターンが生じます。

SNS時代の特殊性

SNS時代の承認欲求の4つの特徴

承認欲求は人類の歴史と同じくらい古い欲求ですが、SNSの出現によってその様相は大きく変わりました。

🔢
承認の「数値化」
SNS以前の承認は「表情」「言葉」「態度」といった質的・主観的なものでした。SNSでは「いいね」の数・フォロワー数・RT数・再生回数によって承認が「見える化」され、定量比較が可能になり、「あの人より少ない=自分は認められていない」という認知が生じやすくなります。
承認の「即時性」
SNSに投稿すると数秒から数分で「いいね」やコメントが返ってきます。この即時的フィードバックは脳の報酬系を強力に活性化し、「もっと欲しい」という欲求を刺激します。
🎲
承認の「不確実性」
投稿ごとに反応の量が異なる不確実性は、心理学でいう「変動比率強化スケジュール」に該当。ギャンブル依存と同じメカニズムであり、「次は大当たりするかも」という期待が行動を強化し依存を生みます。
👁
承認の「公開性」
SNSでの承認は自分だけでなく他者にも可視化されます。「いいね」が少ない投稿は「人気がない」ことを公にさらすことになり、恥の感覚を増幅させます。
いいね依存

承認欲求と「いいね依存」

「いいね依存」とは、SNSでの「いいね」やポジティブな反応を得ることに過度に執着し、それがないと不安や焦り、自己否定感を覚える状態を指します。

いいね依存の典型的なパターン:

  • 投稿後すぐに「いいね」の数を確認する
  • 「いいね」が少ないと投稿を削除する
  • 「いいね」が多い投稿を分析して再現しようとする
  • 「いいね」のために本来の自分とは異なる投稿をする
  • 「いいね」の数で一日の気分が決まる
「意志が弱い」のではない「いいね依存」は本人が望んで陥った状態ではなく、SNSのシステムが人間の心理的弱点に働きかけた結果です。「意志が弱い」のではなく「精巧に設計された心理的な罠に引っかかっている」という視点が、自己批判を減らし回復への第一歩につながります。
ジェンダー差

承認欲求とジェンダー——男女の差異

承認欲求とSNS使用の関係において、ジェンダーによる差異が研究で示されています。

女性は一般的に、身体イメージ・外見・人間関係に関連した比較の影響を受けやすく、ビジュアル重視のSNS(Instagram、TikTok)での「いいね」に強く反応する傾向。「良い関係を維持しなければ」という関係性への承認欲求が強く、既読スルーや返信の遅さに対するストレスもより強く経験する傾向があります。

男性は一般的に、能力・成果・地位に関連した比較の影響を受けやすく、「すごい」「尊敬される」という評価への承認欲求が比較的強い傾向。また「弱さを見せてはいけない」という社会規範からSNS承認依存の問題を表に出しにくく、援助を求めにくい障壁もあります。

これらは平均的傾向であり個人差が大きく、またジェンダーバイナリーで捉えきれない多様性があります。いずれのジェンダーでもSNS承認依存の問題は深刻で、それぞれの文脈に合わせたサポートが重要です。

向き合い方

SNSと承認欲求——自分らしい関わり方を見つける

SNSと承認欲求の問題に向き合う際、最も大切なのは「正解は一つではない」という認識です。SNSを完全にやめることが正解の人もいれば、使い方を工夫しながら共存することが正解の人もいます。重要なのは「なんとなく使い続ける」ではなく「自分はSNSとどう付き合いたいか」を一度真剣に考え自分で選ぶことです。

「いいねが欲しい」気持ちが生じたとき、それを「恥ずかしい」「ダメだ」と否定する必要はありません。その気持ちに気づき「自分は今、承認を求めているんだな」と観察することが出発点。SNSで満たすのか、リアルな関係で満たすのか、今は一人でいることを選ぶのか——意識的に選択できる状態が承認欲求との健全な付き合い方の本質です。

💡
承認欲求は自然なもの承認欲求を持つこと自体は自然で健全なことです。人間は社会的な生き物であり、他者から認められたいという欲求は基本的な心理ニーズです。問題はその欲求がSNSの仕組みによって過度に刺激され、依存的パターンに発展している場合です。承認欲求を「なくす」のではなく「健全な形で満たす」ことが目標です。
SNS MECHANISM

SNSが承認欲求を加速させる仕組み

SNSプラットフォームは、ユーザーの滞在時間を最大化するために、人間の心理メカニズムを巧みに利用した設計(説得的デザイン)がなされています。承認欲求の刺激はその中核的な要素です。

説得的デザイン

SNSプラットフォームの設計思想

これは「説得的デザイン(Persuasive Design)」と呼ばれる技術であり、承認欲求の刺激はその中核的要素です。

無限スクロール
フィードに「終わり」がない設計は、「もっと見たい」「もう少しだけ」という衝動を止められなくします。本ならページが終わりますが、SNSのフィードは永遠に続きます。
🔔
プッシュ通知
「○○さんがあなたの投稿にいいねしました」という通知は、報酬(承認)の存在をリアルタイムで知らせ、アプリを開く行動を強化します。
既読機能
メッセージが読まれたことが分かる機能は、「読んだのに返事がない=自分は無視されている」という不安を生み、常時接続のプレッシャーを高めます。
ストーリーズの時間制限
24時間で消えるコンテンツは「今見ないと見逃す」というFoMO(取り残される恐怖)を刺激し、頻繁なチェック行動を促します。
プラットフォーム別

プラットフォーム別の承認メカニズム

主要SNSにはそれぞれ特徴的な承認指標と承認メカニズムがあります。

  • Instagram(承認指標:いいね、フォロワー、コメント、保存数)ビジュアル重視、身体イメージへの影響大、リール再生数
  • X(旧Twitter)(承認指標:いいね、RT、インプレッション、フォロワー)意見の承認、「バズ」への執着、議論による注目
  • TikTok(承認指標:再生回数、いいね、フォロワー)アルゴリズムによる急速な拡散可能性、「バズりたい」欲求
  • YouTube(承認指標:再生回数、高評価、チャンネル登録者数)収益化による金銭的報酬との結合
  • LINE(承認指標:既読、スタンプ、返信の速さ)既読スルーへの不安、即レスプレッシャー
  • Facebook(承認指標:いいね、コメント、シェア)人生のマイルストーン比較、実名制による社会的圧力
アルゴリズム

アルゴリズムが承認欲求を増幅する仕組み

SNSのアルゴリズムは、エンゲージメント(反応)の高いコンテンツを優先的に表示します。これは以下のサイクルを生み出します。

  • (1)華やかで刺激的なコンテンツが多くのエンゲージメントを獲得する
  • (2)アルゴリズムがそのコンテンツをより多くの人に表示する
  • (3)より多くの人が「自分も同じように承認されたい」と感じる
  • (4)より華やかで刺激的なコンテンツを作ろうとする競争が起きる
  • (5)「普通の投稿」では承認が得られにくくなり、エスカレーションが進む

この循環により、承認を得るためのハードルが次第に上がっていき、「もっとすごいことをしなければ」「もっと見栄えの良い投稿をしなければ」というプレッシャーが増大していきます。このエスカレーションは「承認のインフレ」とも言え、初めは10個の「いいね」で満足できたのに、慣れてくると物足りなくなる現象が生じます。

数値化の歪み

「いいね」の数値化が承認を歪める

SNS以前、承認は主に「言葉」「表情」「態度」という非数値的なかたちで与えられていました。「いいね」の登場により承認が数値として可視化・定量化・比較可能になりました。

数値化された承認は「自分の価値を数字で確認する」行為を生み出します。「今日は50いいねだった——昨日より少ない——自分の価値が下がった」という認知パターンは、承認を株価のように常にモニタリングし変動に一喜一憂する状態を作り出し、感情の安定性を著しく損ないます。

「人気」と「人間の価値」は別「いいね」の数値はそのコンテンツの「人気」を示しているだけであり、「投稿者の人間としての価値」とは完全に無関係です。面白いコンテンツが多くの反応を得るのは、人間の共感メカニズムとアルゴリズムの組み合わせの結果。この分離を認識し内面化することが「いいね依存」からの解放の核心です。
CAUSES

承認欲求が強くなる原因と背景

なぜ「いいね」に依存してしまうのか——自己肯定感の低さ、幼少期の経験、アイデンティティの問題、FoMO、孤独感、完璧主義など、複合的な要因が背景にあります。

6つの背景要因

承認欲求を強める6つの要因

承認欲求が過度に強くなる背景には複数の要因が絡み合っています。タブで切り替えて詳しく見てみましょう。

💔自己肯定感の低さ

自分自身の価値を自分で認められない場合、その穴を埋めるために外部からの承認を求めるようになります。2025年の研究では、自己肯定感が低い人ほどSNS依存に陥りやすいことが確認されており、SNSの承認は一時的なものでむしろ自己肯定感をさらに低下させる悪循環を生みます。

  • SNSが現実世界の不安を補償するメカニズムとして機能
  • 得られる承認は一時的で根本改善にはつながらない
  • 悪循環により依存と低自己肯定感が相互強化
DOPAMINE

ドーパミンと承認依存のメカニズム

「いいね」をもらった「嬉しい」の裏側には、脳の神経伝達物質ドーパミンの作用があります。脳の報酬系がSNSの「いいね」にどう反応するかを科学的に理解することは、自己批判から自己理解への転換点になります。

脳科学

承認依存を生み出す脳のメカニズム

ドーパミンは「快感ホルモン」と呼ばれることがありますが、より正確には「予期と動機づけの神経伝達物質」です。報酬を「予期」しているとき(投稿後に期待しているとき)にも放出されることが、SNSを何度もチェックする行動を駆動しています。

🧠
ドーパミン報酬系
「いいね」を貰った嬉しさの裏にはドーパミンの作用。報酬を得たときだけでなく報酬を「予期」しているとき(投稿後の期待時)にも放出され、何度もチェックする行動を駆動します。
🎰
ギャンブル依存との類似
「変動比率強化スケジュール」に基づくスロットマシンと同じメカニズム。予測できない報酬は予測可能な報酬よりドーパミン放出を強く促進し、行動を強力に強化。「耐性」も形成され10→20→50→100いいねと必要量が増えます。
🔄
快楽トレッドミル
承認の快感は一時的で数分〜数十分で消え、その後リバウンドで気分が落ち込みます。基準が上がり同じ量では満足できない「快楽トレッドミル(hedonic treadmill)」現象により、得られる快感より「もらえなかったら」の不安が大きくなります。
不確かな報酬の罠
B.F.スキナーが示した変動比率強化スケジュール——報酬がいつもらえるか分からないとき生き物は最も高頻度で行動を繰り返す。「自分の意志が弱いから」ではなく「人間の脳が不確かな報酬に強く反応するように進化してきたから」という認識の転換が自己批判を減らし有効な対処策へのシフトを促します。
🧬
脳の構造的変化
長期的なSNS過剰使用は前頭前皮質(意思決定・衝動抑制)の灰白質減少、扁桃体(感情反応)の過活動、前帯状皮質(葛藤処理)の機能低下を起こす可能性が報告。ただし脳の神経可塑性により行動パターン変更で回復もしうる。
依存症との類似点・相違点
共通点:報酬系の関与、耐性形成、離脱症状(不安・焦り・イライラ)、制御困難、自己嫌悪、日常生活への支障。相違点:SNSは社会的に推奨され「やめるべき習慣」と認識されにくく、仕事・学業で必要な場合もあり完全断絶は非現実的。「断酒モデル」ではなく「健全な関係の構築」が推奨。
💡
認識の転換「自分がなぜSNSをやめられないのか」——「自分の意志が弱いから」ではなく「人間の脳が『不確かな報酬』に強く反応するように進化してきたから」。この認識の転換が自己批判を減らし、より有効な対処策(環境設計、意図的な使用管理)へのシフトを促します。
EFFECTS

メンタルヘルスへの影響

SNSでの過度な承認追求は、心理面・身体面・行動面に多面的な悪影響を及ぼします。2025年のメタ分析でSNS依存は不安・うつ・低自己肯定感・身体イメージへの不満・孤独感のすべてと有意な正の相関を示すことが確認されています。

心理的影響

心理的な5つの影響

SNSでの過度な承認追求は、メンタルヘルスにさまざまな悪影響を及ぼします。

📉
自己肯定感の不安定化
自己価値が「いいね」の数に依存し、評価が常に不安定。「いいね」が多い日は気分が良く少ない日は落ち込む乱高下は精神的に非常に消耗します。
😟
不安と抑うつ
2025年メタ分析でSNS依存が不安・抑うつと有意関連を確認。いいねがつかない不安、劣等感、SNSから離れられない自己嫌悪が慢性的不安・抑うつを引き起こします。
😶
孤独感の増大
SNSでの交流が増えるほど逆説的に孤独感が増すことが研究で示されています。「たくさんの人とつながっているのに寂しい」という矛盾した感覚。
🪞
身体イメージの問題
Instagram・TikTokなどビジュアル重視プラットフォームで、加工された理想的外見への露出が身体への不満を増大、摂食障害リスクを高めます。
🎭
アイデンティティの混乱
SNS上の「理想化された自分」と現実の自分との乖離が自己同一性の混乱を引き起こす。「本当の自分はどちら」「SNSの自分が本当の自分になりつつある」感覚。
身体的影響

身体への5つの影響

SNSへの過度な依存は、身体にも悪影響を及ぼします。

  • 睡眠障害メカニズム:就寝前のSNSチェック、ブルーライト、通知による覚醒/症状:入眠困難、睡眠の質の低下、昼夜逆転
  • 眼精疲労メカニズム:長時間のスクリーン使用/症状:目の乾き、頭痛、視力低下
  • 首・肩のこりメカニズム:スマートフォンの長時間使用(スマホ首)/症状:慢性的な首・肩の痛み
  • 運動不足メカニズム:SNSに時間を費やし身体活動が減少/症状:体力低下、体重増加
  • ストレスホルモンの上昇メカニズム:慢性的な社会比較と不安/症状:コルチゾールの上昇、免疫機能の低下
行動面の影響

行動パターンの変質

SNS依存は行動面にも特徴的な変化を生みます。

  • SNSチェックの強迫的反復数分おきにSNSを確認、会話中もスマホを見る、仕事中に何度もSNSを開く。スマホを手にしていないとソワソワし、「通知が来ているかも」という不安が常時つきまといます。
  • 「映え」のための行動投稿のために本来と異なる行動を取る、「映える」場所に行く、食事を写真に撮らないと食べられない。体験の「消費化」とも言え、旅行・食事・特別な瞬間が「コンテンツ」として処理されます。
  • 比較による消費行動他者投稿に影響されブランド品や旅行などSNS承認のための消費が増加。本当に必要なものや楽しめるものへの投資が後回しになります。
  • 現実の体験の変質「この瞬間を楽しむ」のではなく「投稿する」ことが目的化し体験の質が損なわれる。「映えなければ価値がない」という認知が定着すると、SNSに映えない日常が「無価値に感じられる」歪みが生じます。
精神疾患リスク

SNSと精神疾患リスク——研究が示すこと

2025年のメタ分析では、SNS依存は不安障害・うつ病・低自己肯定感・身体イメージへの不満・孤独感のすべてと有意な正の相関を示すことが確認されています。

特に懸念されるのは10代への影響です。Instagramを運営するMetaが行った内部調査(2021年に内部告発により公開)では、同社のアプリが10代の女子の精神的健康に害を与えることを自社の研究で把握しながらサービスを継続していたことが明らかになりました。「Instagramを使うことで自分の身体についてより否定的に感じる」と答えた10代の女子が32%に達していたとされています。

💡
因果は双方向「SNS使用がメンタルを悪化させる」のか「メンタルが悪い人がSNSを多く使う」のか、双方向の可能性があります。研究者の多くは双方向的な影響(悪循環)が存在すると考えており、どちらが原因かを問うより悪循環からどう抜け出すかを考えることが実践的です。
SNS FATIGUE

SNS疲れ

SNS疲れとは、SNSの使用によって生じる精神的・感情的な消耗感を指します。承認欲求の追求、社会比較、FoMO、常時接続のプレッシャーが複合的に作用し「つらいのにやめられない」という状態に陥ることです。

SNS疲れとは

「つらいのにやめられない」という矛盾

SNS疲れの特徴は「つらいのにやめられない」という矛盾した状態です。通常つらいことは避けようとする本能が働きますが、SNS疲れの場合はFoMOや依存メカニズムがその本能を上回り、疲弊しながらも使い続けます。「SNSを見るたびに気分が悪くなるのに開いてしまう」体験は、意志の弱さではなく強力な心理的メカニズムが働いているサインです。

症状

SNS疲れの10の症状

SNS疲れの典型的な症状として以下があります。

  • SNSを見た後に気分が落ち込む、イライラする
  • 投稿するたびに「いいね」の数が気になって仕方がない
  • 他人の投稿を見て嫉妬や焦りを感じる
  • SNSをチェックしないと不安になる
  • 「映える」投稿を作ることにプレッシャーを感じる
  • コメントやDMへの返信が負担に感じる
  • SNS上の人間関係の維持に疲れている
  • 「いいね」が少ない投稿を削除したくなる
  • リアルの生活よりSNSの自分を重視してしまう
  • SNSをやめたいのにやめられない

これらの症状が複数当てはまる場合、SNS疲れが慢性化している可能性があります。「疲れているのにやめられない」というパターンは依存の典型的なサイン。「つらいのになぜ続けているのか」を一度立ち止まって考えることが回復の第一歩になります。

5つの原因

SNS疲れを生む5つの心理メカニズム

SNS疲れの背景には複数の心理メカニズムが関与しています。

  • 情報過多(Information Overload)フィードに流れてくる大量情報の処理による認知的疲労。SNSフィードを1時間スクロールすると数百年前の人間が一生で触れる情報量に匹敵するという推測も。
  • 感情労働(Emotional Labor)SNS上で「いい人」「充実している人」を演じ続けることによる感情的消耗。本当の感情と発信する感情のギャップが真の自己との乖離を生み、長期的に深い疲弊をもたらします。
  • 社会的比較疲労常に他者と自分を比較し続ける精神的消耗。SNSは「上方比較(自分より優れて見える他者との比較)」のトリガーとなりやすく、繰り返しで自己評価が継続的に低下します。
  • 即時応答のプレッシャーコメント・DMにすぐ返信しなければというプレッシャー。「義務感」として内面化されSNSが「楽しみ」から「仕事」のように感じられる原因に。
  • FOMO疲労常に「取り残されていないか」を確認し続ける不安と疲労。「チェックすれば安心」→「また不安になってチェック」の終わりのないサイクル。
⚠️
深刻化したら専門家へSNS疲れが深刻化すると不安障害やうつ病の発症リスクが高まります。「SNSを見ると毎回気分が悪くなる」「SNSのことが頭から離れない」「日常生活に支障が出ている」場合は、SNS使用を大幅に制限し必要に応じて専門家に相談してください。「SNS疲れ」を感じているのはあなただけではありません。多くの人が同じ疲弊を抱えています。
TYPES

承認欲求の種類と段階

マズローの欲求階層説における承認欲求から、賞賛獲得欲求・拒否回避欲求の研究、発達段階、ナルシシズムとの関連まで——承認欲求の多面性を理解することは、自分の欲求を見つめ直す助けになります。

4つの側面

承認欲求の4つの側面

承認欲求には「他者承認欲求」「自己承認欲求」「賞賛獲得欲求」「拒否回避欲求」の4つの側面があります。健全な心理的発達は自己承認欲求の成熟によって支えられます。

他者承認欲求
他人から認められたい
いいね数への執着、フォロワー数の追求。外部の反応に自己評価が依存、不安定。
自己承認欲求
自分で自分を認めたい
自分の表現として投稿を楽しむ。内的基準に基づく安定した自己評価。
賞賛獲得欲求
ポジティブな評価を得たい
「すごい」と言われたい、目立ちたい。一時的な高揚感、持続しない満足。
拒否回避欲求
ネガティブな評価を避けたい
炎上への恐怖、当たり障りない投稿。自己表現の抑制、本音を出せない。
💡
「嫌われたくない」のほうが苦しい研究では「賞賛獲得欲求」が強い人よりも「拒否回避欲求」が強い人のほうが精神的苦痛を感じやすいことが示されています。「認められたい」よりも「嫌われたくない」という動機のほうが、行動を制限し自己表現を抑圧し慢性的緊張状態を生み出すためです。
発達段階

承認欲求の発達段階

承認欲求は、人の成長に伴って質的に変化していくものです。

幼児期〜学童期
親・教師からの直接的承認
親や教師からの直接的な承認(「えらいね」「すごいね」)を求める段階。この段階での十分な承認が自己肯定感の土台になります。
基盤形成期
思春期〜青年期
仲間からの承認が中心
同年代の仲間からの承認が最も重要に。「仲間内での地位」「人気」「モテ」が中心テーマとなり、SNSでの承認もこの時期に最も大きな影響を持ちます。
SNS影響が最大
成人期
職場評価・社会的地位
職場での評価、社会的地位、経済力が承認の基準に。同時に成熟した自己承認欲求が発達し、他者の評価に左右されない自己肯定感が育つことが期待されます。
自己承認の発達
成熟期
自己実現に近い段階
他者承認欲求への依存が減り、自分の価値観に基づいた自己評価が主軸に。マズローの「自己実現欲求」に近い状態で、承認のためではなく自分が大切と思うことに取り組む中で結果として承認が得られる形に。
内的基準が主軸

ただしこの「発達段階」は理想的な経路であり、多くの人は成人・成熟期においても強い他者承認欲求を持ち続けます。それは「発達が遅れている」のではなく、人間が本質的に社会的な生き物であることの反映でもあります。重要なのは他者承認欲求の有無ではなく、それとの関係(振り回されているか、共存しているか)です。

ナルシシズム

ナルシシズムと承認欲求——過剰な承認要求の心理

承認欲求が非常に強い場合、ナルシシズム(自己愛)との関連が指摘されることがあります。自己愛的なパーソナリティ傾向を持つ人は常に特別な存在として扱われることを求め、他者からの賞賛への渇望が非常に強い特徴があります。

SNSはナルシシズム的傾向を持つ人が承認を獲得するための舞台として機能しやすく、一方でその渇望が満たされない場合(「いいね」が少ない、批判されるなど)に極端な落ち込みや怒りが生じることがあります。

その奥にある傷つきに気づく「承認欲求が強い=ナルシシスト」というわけではありません。多くの場合、承認欲求の背景には傷ついた自己肯定感(低い自己肯定感の裏返しとしての過剰な承認要求)が存在します。強い承認欲求への対処において、「ナルシシスト」というレッテルよりも「その奥にある傷つきに気づく」視点が回復につながります。
YOUTH

若者への影響

10代・20代のSNS承認依存は特に深刻です。アイデンティティ形成途上の不安定な時期、身体イメージへの影響、ネットいじめ、親・大人にできる支援——若者特有の文脈と対応について解説します。

若者特有の文脈

10代・20代のSNS承認問題

10代はアイデンティティ形成途上にあり、自己評価が不安定な時期です。この時期のSNS使用は承認欲求に特に大きな影響を及ぼします。

📱
10代の承認欲求とSNS
10代はアイデンティティ形成途上で自己評価が不安定。低自己肯定感や軽度抑うつの10代は頻繁に社会比較を行いやすく悪循環に陥ります。SNS上の「人気度」をリアル社会的地位と直結させ、学校のヒエラルキーにも影響。
🪞
身体イメージへの影響
加工アプリで「理想的」外見が簡単に作れ非現実的な美の基準が内面化。自分の加工前と他者の加工後を比較し落ち込むパターンが若い女性に多発。Facebookの内部文書(2021年「Facebook Files」)でMeta自社調査で10代女性の32%が「Instagramが身体への不満を悪化させる」と回答。摂食障害(制限的摂食、神経性過食症、過度な運動強迫)に発展のリスクも。
💢
ネットいじめとの関連
承認欲求が強い若者は注目を集めるため過激な投稿や他者攻撃で「自分の方が上」と示そうとする。「いいね」が少ない子がからかわれ排除されるケースも。被害者はSNS承認の剥奪により深刻な自己否定・不安・抑うつ・自己傷害・最悪自殺念慮に発展も。
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親・大人にできること
批判せず、まず聴く/「いいね」の仕組み(広告収益のビジネス構造)を一緒に学びメディアリテラシーを育てる/親自身のモデルを見直す(食事中スマホ・「いいね」を気にする言動は子へのモデル)/「あなたのこういうところが好き」というリアルな承認を日常的に提供。
⚠️
ネットいじめとSNS承認依存ネットいじめの被害者は、SNS上での承認の剥奪(「いいね」がゼロ、無視される、悪意あるコメント)を経験することで深刻な自己否定に陥るリスクが高まります。「自分に価値がない」という確信が強まり、不安・抑うつ・自己傷害・最悪の場合自殺念慮に発展することも報告されています。ネットいじめとSNS承認依存への対応は、子どものメンタルヘルス支援において最重要課題の一つです。
SELF-ESTEEM

自己肯定感と承認欲求の関係

自己肯定感と他者承認欲求はシーソーのような関係。「いいね」に頼らない安定した自己価値の構築には、5つの実践と4段階の回復プロセスがあります。

シーソー関係

自己肯定感と他者承認の関係

自己肯定感と他者承認欲求はシーソーのような関係にあります。自己肯定感が高いほど他者承認への依存度は低く、自己肯定感が低いほど他者承認への依存度が高くなります。

自己肯定感が高い人は「いいね」が少なくても「自分の投稿には価値がある」と感じることができます。一方、自己肯定感が低い人は「いいね」の数が自分の価値のバロメーターとなり、少ない反応は「自分には価値がない」というメッセージとして受け取られてしまいます。

💡
健全な自己肯定感とは「自己肯定感が高い」ことは「他者からの評価を全く気にしない」ことを意味しません。健全な自己肯定感とは、他者の評価に完全に無関心なのではなく「他者の評価があっても、それだけで自分の価値が決まるわけではない」という安定した内的基盤を持つこと。この基盤があれば「いいね」が少なくても傷つきにくく、多くもらっても天狗にならない、バランスのとれた状態でSNSと付き合えます。
5つの実践

自己肯定感を育てる5つの実践

SNSの「いいね」に依存しない、安定した自己肯定感を育てるための実践を紹介します。

PRACTICE 1
自分との約束を守る
「今日は30分運動する」「毎朝瞑想する」など小さな自分との約束を設定し守ることで「自分は信頼できる人間だ」という感覚が育つ。最初は小さくて確実に守れる約束から。
自己信頼の構築
PRACTICE 2
自分の価値観を言語化する
「自分にとって何が大切か」「どんな人間でありたいか」を具体的に言語化。誠実さ・思いやり・好奇心・創造性・勇気など、いいねで測れない内面的価値を見出す。手書き日記に「大切にしたいこと5つ」を書き出す。
内的基準の確立
PRACTICE 3
「十分である」感覚を育てる
「もっと○○でなければ」ではなく「今の自分で十分」「今持っているもので幸せ」。毎晩「今日よかったこと3つ」を書くポジティブ心理学の「3 Good Things」実践が効果的。
研究で支持される手法
PRACTICE 4
リアルな人間関係を大切にする
対面の深い会話、共に過ごす経験、身体的なぬくもり。「質の高い関係が5つ」は「量だけ多い関係が500個」より承認欲求の満足で圧倒的に優れます。
深い関係の優先
PRACTICE 5
達成感のある活動に取り組む
スポーツ・音楽・料理・ガーデニング・ボランティアなど、自分の手で何かを成し遂げる体験は外部承認に依存しない自己効力感を育てる。「SNSに投稿できるか」ではなく「自分が達成感を感じるか」で活動を選ぶ。
内的基準で選ぶ
4段階の回復

自己肯定感の回復——段階的なアプローチ

自己肯定感の低さは長年にわたって形成されたものであり、短期間で劇的に変化するものではありません。段階的で持続可能なアプローチが重要です。

STAGE 1
自己観察
「どんなときに自己肯定感が下がるか」「どんなSNS体験の後に落ち込むか」を記録・観察。パターンを把握することが変化の出発点。
パターン把握
STAGE 2
認知の修正
「いいねが少ない→自分には価値がない」という自動思考に気づき、「いいねの数と自分の価値は無関係」と認知的再評価を練習。最初は信じられなくても繰り返しで変化。
認知再評価
STAGE 3
行動実験
「いいねを確認しない日」「投稿を1週間休む」などの小さな実験を通じて「いいねなしでも大丈夫」という体験的証拠を積み重ねる。
体験的証拠
STAGE 4
価値観に基づく行動
「いいねが欲しいから」ではなく「自分が大切にしていることだから」行動する時間を増やす。この段階でSNS依存が自然と緩やかになる。
価値観行動
退行と前進を繰り返すプロセス自己肯定感の回復は「一直線の成長」ではなく退行と前進を繰り返すプロセスです。「また依存してしまった」と自分を責めるのではなく、「気づいた、ここからまた始めよう」というセルフコンパッションの姿勢が長期的な回復には不可欠です。
OVERCOME

承認欲求への過度な依存を克服する方法

SNSとの健全な関係を取り戻すための、使い方の見直し、4つの心理的アプローチ、専門家への相談タイミング、そして回復の物語について解説します。

使い方を見直す

SNSの使い方を見直す5つの方法

まずは行動的な工夫から始めましょう。

  • 使用時間を制限するスクリーンタイム機能・アプリ使用制限を活用し1日のSNS使用時間を制限。研究では1日30分以下の制限がメンタルヘルス改善に効果的と示されています。制限により「限られた時間で何を見るか」を意識し質が上がります。
  • 通知をオフにする「いいね」・コメントのプッシュ通知をオフにしSNSに引き戻される頻度を減らす。通知なくても自分が決めた時間に確認すれば十分。
  • 「いいね」の数を非表示にするInstagramには他者の「いいね」数を非表示にする機能。これで数値による比較の機会を減らせます。
  • 投稿の動機を確認する投稿前に「なぜこれを投稿するのか?」と自問。「いいねが欲しい」が主なら立ち止まる価値あり。「自分の記録として」「大切な人と共有」なら依存リスク低。
  • 定期的なデジタルデトックス週1日、または月数日SNSから完全に離れる時間を作る。慣れてくると「SNSがなくても大丈夫」という自信が育ちます。
心理的アプローチ

心理的な4つのアプローチ

心理療法のテクニックを日常に取り入れることで、承認欲求への向き合い方が変わります。

認知行動療法(CBT)

承認依存に関連する認知の歪みを修正。「いいねが少ない=価値がない」という自動思考に気づき「いいねと自己価値は無関係」とバランスのとれた思考に修正。「思考記録」技法では「状況→自動思考→感情→代替的思考」を日記形式で記録し認知パターンを可視化。

マインドフルネス

SNSチェック衝動に対し「観察」し自動行動に移さず一呼吸置く力を養う。「衝動波乗り(Urge Surfing)」では衝動を「波」として観察し自然消失を待つ。衝動は必ず波のように来て引いていくことを体験的に学ぶ。

セルフコンパッション

「いいね」が少なくて落ち込んだとき自分を責めず「つらいよね」「みんな同じように感じることがある」と自分に優しく語りかける。クリスティン・ネフの研究で承認欲求依存を弱め自己肯定感を安定させる効果が多くの研究で示されています。

受容とコミットメント療法(ACT)

承認欲求そのものをなくそうとせず「承認されたい気持ちがあっても自分の価値観に基づいた行動ができる」心理的柔軟性を育てる。「承認されたい気持ちを感じながらも支配されずに行動できる」状態が目標。

専門家への相談

専門家への相談が必要な場合

以下のような場合は、カウンセラーや心療内科の医師への相談をお勧めします。

  • SNSの使用をコントロールできず、日常生活に支障が出ている
  • 「いいね」の数に過度に左右され、気分の波が激しい
  • SNS上の自分と現実の自分のギャップに苦しんでいる
  • SNS依存をやめたいのに、一人ではやめられない
  • 抑うつ症状や不安症状が持続している
  • 身体イメージの問題から摂食行動に異常がある
  • 自傷行為や希死念慮がある
相談する価値があるこれらの症状は一人で抱え込まずに専門家に相談することで大きく改善できます。「こんなことで相談してもいいのか」と思う必要はありません。あなたの苦しみは本物であり、専門的なサポートを受ける価値があります。
回復の物語

承認欲求への過依存——回復の物語

多くの人がSNS承認依存からの回復を経験しています。完全に依存がなくなるわけではありませんが、「いいね」に振り回される度合いが減り自分の内的な価値基準に基づいた生活を取り戻すことは十分に可能です。

回復のプロセスでよく見られるのは「SNSを一時的に休む」という体験です。1週間SNSを断った結果、「思っていたほど不安でなかった」「むしろスッキリした」「リアルな体験に集中できた」という気づきが変化の転換点になることが多いです。

💡
目標は「やめる」ではなく「自分で決める」回復は「SNSをやめること」を意味しません。SNSを完全にやめる必要はなく、「SNSとどう付き合うかを自分で決められる状態」になることが目標です。「投稿したいから投稿する」「見たいから見る」という主体的な使い方と「投稿しないと不安」「見ないと取り残される」という強迫的な使い方は、見た目は同じ行動でも内側の感覚がまったく異なります。後者から前者へのシフトが回復の本質です。
DIGITAL WELLNESS

デジタルウェルネス

デジタルウェルネスとは、デジタル技術を自分の幸福のために主体的に活用し、テクノロジーに振り回されない生活を実現することを指す概念です。「SNSを使う」のか「SNSに使われる」のか——この主体性の差が核心です。

デジタルウェルネスとは

テクノロジーとの健全な共存

デジタルウェルネスとは、デジタル技術を自分の幸福のために主体的に活用し、テクノロジーに振り回されない生活を実現することを指す概念です。SNSを完全にやめるのではなく、自分の目的に合った使い方をし、心身の健康を損なわない範囲でテクノロジーと共存することを目指します。「SNSを使う」のか「SNSに使われる」のか——この主体性の差が、デジタルウェルネスの核心です。

5つの実践

デジタルウェルネスの5つの実践

日常に取り入れられる実践を紹介します。

  • 意図的な使用開く前に「今、何のために開くのか」を明確に。「特定の人の投稿を見るため」「友人にメッセージ」という目的があるか、「なんとなく」「不安だから」「暇だから」を区別。目的なくダラダラ見るのが最も依存を強化。
  • テックフリータイムの設定食事中、就寝前1時間、朝起きてから30分などスマホに触れない時間帯。就寝前のSNSは睡眠の質を大幅低下させるため寝室にスマホを持ち込まない。リビングで充電して「寝室はスクリーンフリー」を実践。
  • リアルな体験の優先「SNSに投稿するため」ではなく「自分が楽しむため」の体験。旅行先で写真より風景をじっくり眺める。レストランで撮影前にまず一口味わう。「SNSに投稿しなくてもこの体験は本物の価値があった」感覚を積む。
  • 人間関係のデジタル/リアルバランスSNS上の表面的なつながり100個より、リアルな深い関係5つの方が承認欲求は健全に満たされます。
  • SNS断食(ファスティング)1週間SNSを使わない「SNSファスティング」。最初は不安や落ち着かなさを感じても多くの人が数日後「意外と大丈夫」「むしろスッキリした」を体験。SNSなしの生活感覚を体験することで依存的関係を客観視。
「投稿しなくても価値がある」体験を積む「SNSに投稿しなくても、この体験は本物の価値があった」という感覚を積み重ねることで、承認欲求の外部依存が緩和されます。
RELATIONSHIPS

承認欲求と人間関係

SNSが対人関係に与える影響と、承認欲求を健全に満たすリアルな人間関係——表層的なつながりから深い関係への転換と実践的ステップを解説します。

SNSの影響

SNSが人間関係に与える4つの影響

SNSでの承認追求は、リアルな人間関係にもさまざまな影響を及ぼします。

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表層的なつながりの増加
「フォロー」「友達」の数は増えても深い信頼関係・親密さを持つ相手は減少傾向。ロビン・ダンバーの「ダンバー数」では人間が安定的に維持できる深い友好関係は約150人で、SNSがフォロワー数を増やしても深い関係の数は変わらない。
📸
「見せる」関係への偏り
SNS投稿のために友人と出かける、パートナーとの写真撮影が目的化など、関係の質より「見栄え」が優先される傾向。「SNSに映えるか」が前面に出ると体験そのものや関係の深まりが後回しに。
嫉妬と競争
友人投稿への嫉妬から「負けたくない」競争心で関係が歪む。SNSない環境では親しくできた関係が「可視化」で比較・嫉妬・競争の場となり壊れるケースも。
💑
カップル間の問題
パートナーの「いいね」対象への嫉妬、SNSに時間を費やしすぎることへの不満、関係ステータスへのこだわりなどカップル間トラブルが増加。カップルセラピー現場でもSNS関連問題が増加と報告。
健全な関係

承認欲求を健全に満たす人間関係

承認欲求はSNSではなく、リアルな人間関係の中で健全に満たすことができます。

🤲
無条件の受容がある関係
「達成したから」ではなく「あなたであるから」受け入れてくれる関係。カール・ロジャーズが提唱した「無条件の肯定的配慮(unconditional positive regard)」が示すように、人間が最も深く癒されるのは条件なしに受け入れられる体験において。
👂
共感的に聴いてくれる関係
自分の話を批判せず聴いてくれる人の存在は、「いいね」の数とは比較にならない深い承認を提供。「あなたの気持ちを分かろうとしている人がいる」感覚は匿名的な「いいね」では得られない質の異なる承認。
💗
弱さを見せられる関係
SNSでは「完璧な自分」を見せねばならないが、弱さや不完全さを安心して見せられる関係は「ありのままの自分が受け入れられている」感覚を育てる。ブレネー・ブラウンは「脆弱性(vulnerability)を見せることこそ深いつながりの条件」と論じます。
バランスの取り戻し

SNSとリアルな関係のバランスを取り戻す

SNSへの依存を減らし、リアルな関係を豊かにするための実践的なステップを紹介します。

  • 月に一度、「SNSなしで会う」約束をするスマホをテーブルに出さない食事、公園での散歩、一緒に料理を作るなど、SNSなしで友人・家族と時間を共有する体験はデジタルでは得られない深いつながりを生みます。
  • 「ありがとう」を直接伝える練習をするSNSのコメント欄や「いいね」ではなく、直接の言葉・手紙・電話で感謝や好意を伝える習慣。他者を承認することと承認されることは相互作用しており、与える側に回ることで承認欲求の充足感が安定。
  • 「画面の外」の自分に投資するSNSに投稿できないけれど充実している活動——料理の腕を磨く、楽器の練習、本を読む、ボランティア——への時間投資は「いいね」に依存しない自己効力感を育てます。
💡
SNSに映えなくても価値ある体験の積み重ねが、最終的に承認依存からの解放につながります。
RESEARCH

承認欲求とSNSに関する研究と知見

2010年代以降、SNSと承認欲求・メンタルヘルスに関する研究は急増し2025年時点で数千本以上の査読論文が蓄積されています。主要な研究知見、日本特有の研究、心理療法的アプローチのエビデンスを整理します。

研究の概観

SNS承認欲求研究の概観

主要なテーマには「SNS使用とうつ・不安の関連」「社会比較と自己肯定感」「SNS依存のメカニズムと治療」「若者への影響」「デジタルウェルネス介入の効果」などがあります。

研究結果は一様ではなく、SNS使用の「量」だけでなく「質(何をするか)」「動機(なぜ使うか)」がメンタルヘルスへの影響を大きく左右することが明らかになっています。受動的なスクロール(見るだけ)は能動的な投稿・交流より有害であり、社会比較を目的とした使用は自己表現を目的とした使用より有害であることが示されています。

主要研究

主要な4つの研究知見

SNSと承認欲求・メンタルヘルスに関する主要研究を紹介します。

Hunt et al.(2018)「No More FOMO」

ペンシルベニア大学の研究。SNS使用を1日30分以内に制限した実験群は3週間後に孤独感・不安・抑うつが有意に改善。制限しない対照群との差は統計的に有意で、SNS使用量の削減が直接的なメンタルヘルス改善につながることを示した最も引用数の多い研究の一つ。

Fardouly et al.(2018)「Social Media and Body Image」

SNS上でのルッキズム的コンテンツへの暴露が身体への不満を増大、特に若い女性に強いことを確認。「上方比較(自分より良く見える他者との比較)」の頻度がメンタルヘルスへの影響を媒介。

Andreassen et al.(2016)「Bergen Social Media Addiction Scale」

SNS依存を測定するための尺度(BSMAS)を開発。SNS依存が高いほど不安・抑うつ・強迫症状が高く、自己肯定感が低い傾向を確認。SNS依存は女性・若者・神経症傾向の高い人に多い。

Verduyn et al.(2015)「Passive Facebook Usage」

受動的Facebook使用(投稿せず見るだけ)はウェルビーイングを低下させるが、能動的使用(投稿・交流)は中立または若干プラス効果を持つことを実験的に確認。

日本の研究

日本における承認欲求・SNS研究の特徴

日本の研究では欧米と共通する知見に加え、日本文化特有の要因も報告されています。「空気を読む」「同調圧力」「集団における調和」を重視する日本文化では、SNS上でも「目立ちすぎない」「批判されない」ことへの強い配慮が見られます。

日本のSNSユーザーは欧米に比べて「裏アカ(非公開アカウント)」の使用率が高く、複数アカウントを使い分けることで異なる「自己」を管理する傾向があります。日本心理学会の研究では、複数SNSアカウント管理と承認欲求の強さが正の相関を示し、「見せたい自分」と「本当の自分」の乖離が大きいほど精神的な疲弊が大きいことが示唆されています。

また、日本では「いじめ」とSNSの承認欲求の関係についても研究が進んでいます。「いいね」の数や返信速度がスクールカーストに影響する実態や、既読スルーへの過度な不安など、日本の学校文化特有のSNS承認問題はメンタルヘルス支援においても重要な視点です。

心理療法エビデンス

心理療法的アプローチのエビデンス

承認欲求の過剰・SNS依存への心理療法的介入の効果について、以下のエビデンスが蓄積されています。

認知行動療法(CBT)

「いいね=自己価値」という認知の歪み修正、SNSチェック衝動への行動的介入(刺激統制)で有効性が示されています。特にSNS依存に伴う抑うつ・不安症状への改善効果が複数研究で確認。

受容とコミットメント療法(ACT)

承認欲求そのものをコントロールするのではなく「承認されたい気持ちを持ちながら自分の価値観に基づき行動する」能力を養う。SNS承認依存の背景にある「承認されなければ価値がない」という核信念の柔軟化に効果的。

マインドフルネスベース介入(MBSR/MBCT)

SNSチェック衝動に気づき自動的反応パターンを観察する能力を高める。承認欲求に駆られた行動への衝動を「観察する」実践は依存的SNS使用パターンの軽減に有効。

スキーマ療法

承認欲求の根底にある「不十分さのスキーマ」「見捨てられスキーマ」などの早期不適応スキーマに取り組む。幼少期の経験に根ざした深い承認欲求への長期的改善に有効。

FAQ

よくある質問

承認欲求とSNSに関するQ&A。読者から多く寄せられる10の疑問にお答えします。

Q&A

承認欲求とSNSに関する10の疑問

Q. 承認欲求を持つことは悪いことですか?

A. いいえ、承認欲求は人間の自然で健全な欲求です。他者から認められたいと思うことは、社会的な生き物である人間にとって当たり前のことです。問題は、承認欲求がSNSの仕組みによって過度に刺激され、外部の反応に自己価値が完全に依存している場合です。承認欲求を「なくす」のではなく「健全な形で満たす」ことが目標です。「承認欲求が強い自分がおかしい」と感じる必要はありません。大切なのは、どこで、どのように、その欲求を満たすかを意識的に選ぶことです。

Q. SNSをやめるべきですか?

A. 必ずしもやめる必要はありません。SNSには情報収集、コミュニティへの参加、自己表現、遠方の人とのつながりなどポジティブな側面もあります。大切なのはSNSに「使われる」のではなく自分がSNSを「使う」主体であること。使用時間の管理、通知の制限、フォロー対象の見直し、投稿動機の確認など意識的な使い方で健全な関係は築けます。

Q. 子どものSNS依存が心配です。どうすればいいですか?

A. 「SNSは禁止」と一方的に制限するのではなく、子どもと使い方について対話しましょう。なぜ使いたいのか・何を感じているのかを聞き、一緒にルール(使用時間、就寝前制限など)を決めると効果的。SNS承認に代わるリアル体験——スポーツ、趣味、対面交流——を増やすことで依存度を下げられます。親自身のSNSの使い方もモデルになります。子のSNS依存の背景にいじめ・孤立・不登校がある場合は根本問題への対応が優先。スクールカウンセラーや児童精神科医への相談も有効です。

Q. 承認欲求が強すぎて人間関係がうまくいきません。

A. 承認欲求が強すぎると「認められるために」行動するようになり、本来の自分を抑えたり相手に迎合しすぎたり、逆に自己主張が過度になったりして人間関係にひずみが生じます。まずはカウンセリングを通じて承認欲求の背景にある心理(自己肯定感の低さ、幼少期の経験など)を探ることをお勧めします。自己理解が深まることでコントロールが可能になります。

Q. 「いいね」に依存していると自覚しています。まず何から始めればいいですか?

A. まずSNS使用時間を把握してください。スクリーンタイム機能で確認できます。次に1日のSNS使用時間に上限(例:30分)を設定し守ることから。通知をオフにしSNSを開くタイミングを自分で決めます。同時にSNS以外の活動(運動、読書、対面の交流、趣味)の時間を意識的に増やしましょう。小さな変化の積み重ねが依存から抜け出す力に。依存を自覚していること自体が重要な第一歩です。

Q. フォロワー数が少なくて恥ずかしいです。

A. フォロワー数はあなたの人間としての価値とは全く関係ありません。フォロワー100万人いても孤独な人はいますし、10人でも深い人間関係に恵まれた人もいます。「フォロワー数=人間の価値」という等式はSNSのビジネスモデルが作り出した幻想です。「フォロワーが少ない=恥ずかしい」感覚が強い場合、現代社会の「承認の数値化」の罠に深くはまっているサインかも。あなたの価値はどんな数字にも還元できません。

Q. SNS依存は治療が必要な病気ですか?

A. 現時点では「SNS依存」は正式な精神疾患の診断名としてDSM-5-TRやICD-11には含まれていません。しかし行動嗜癖(behavioral addiction)の一形態として研究が進んでおり、ギャンブル依存やゲーム障害と類似のメカニズムが関与することが示されています。日常生活に支障が出ている場合は依存症専門外来や心療内科で相談を。認知行動療法やマインドフルネスなどの心理療法が効果的との報告があります。「病気かどうか」より「日常生活に困っているか」を基準に支援を検討してください。

Q. SNSで誹謗中傷を受けてメンタルが限界です。

A. SNSでの誹謗中傷・ハラスメントは深刻なメンタルヘルスへの影響を引き起こします。まず自分の安全を最優先に。問題のある投稿やアカウントをブロック・報告する、プラットフォームの通報機能を使う、必要なら法的機関(警察、弁護士)への相談も選択肢です。心理的ダメージが大きい場合はSNSから一時的に離れることを許可してください。「逃げる」のではなく「回復のための時間を取る」選択です。信頼できる人に話す、カウンセリング、危機的状態(自殺念慮)ならいのちの電話(0120-783-556)やよりそいホットライン(0120-279-338)に連絡を。あなたは一人ではありません。

Q. 投稿を削除したり裏アカを作ったりするのは病的ですか?

A. 投稿削除や複数アカウント使い分けは多くの人が行っており、それ自体が「病的」というわけではありません。ただし「いいねが少ないから削除」が頻繁・衝動的な場合、または「本音を出せる場所が裏アカしかない」状態が続く場合はSNSとの関係を見直すサインかも。「表の自分」と「裏の自分」のギャップが大きく苦しみの源になっている場合、カウンセリングを通じて乖離を探ることが助けに。「本当の自分を出せる場所がない」孤立感はSNSの問題ではなくより深い自己受容の課題である場合が多いです。

Q. 「いいね」が全くつかない投稿をしても平気な人は、どうして平気なのですか?

A. 共通点:自分の表現や活動の価値を他者の反応ではなく自分の内的基準で評価できている/SNS上の評価と自己価値が切り離せている/リアルな人間関係から十分な承認を得ている/SNSを純粋に「発信ツール」として使い反応の多寡に感情的意味を持たせていない——など。「あの人は特別だから」と思う必要はありません。これらは生まれつきの特性ではなく価値観の形成・自己肯定感の育成・体験の積み重ねで変化しうる状態です。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

「いいねが少ないと一日が台無しになる」「SNSを見るたびに自分がみじめになる」「こんな自分が嫌になる、でもやめられない」——承認されたいという気持ちは、あなたの弱さではなく、人間として当然の心の叫びです。あなたは一人じゃありません。どうかあなたの悩みをきかせてください。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
精神保健福祉センター各都道府県に設置平日・無料相談

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。通院医療費の自己負担を1割に軽減できる自立支援医療制度も活用できます。

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