異食症(Pica)とは?
症状・原因・治療法をわかりやすく解説
異食症は土・氷・紙・金属・毛髪などの非食物を1ヶ月以上反復して食べる摂食障害です。鉄欠乏との関連、ASD・知的障害との合併が多いです。医療的合併症の危険性と、治療のアプローチについて症状・原因・診断・治療・日常ケアまで詳しく解説します。
異食症(Pica)とは
異食症は、栄養価のない非食物(土・氷・紙・金属・チョーク・毛髪など)を少なくとも1ヶ月以上にわたって反復的に食べる摂食障害です。珍しい疾患ではなく、妊婦・貧血の方・自閉スペクトラム症・知的障害の方に多く見られます。
異食症の定義——非食物への反復的な摂取
異食症(Pica)は、栄養価のない非食物を少なくとも1ヶ月以上にわたって反復的に食べる摂食障害です。「Pica」という名称はカサカサ・カラス(Pica pica)のラテン語名から来ており、何でも食べるカラスになぞらえたものです。
診断の基準は、発達年齢(2歳以上)を考慮して行動が不適切であること、文化的・社会的に認められた慣行ではないこと(一部の文化圏での土食いは習慣的行為として区別)、医療的な管理が十分に提供されている場合には診断されないこと、などです。
異食症でよく摂取される非食物
異食症で摂取される非食物は多岐にわたり、摂取物質によって医療的リスクが異なります。代表的な8つのカテゴリを以下に示します。
異食症の有病率
受診を検討すべきサイン
以下のいずれかに当てはまる場合は、医療機関への受診を検討してください。特に救急マーク(🚨)は症状の有無にかかわらず即時の救急外来受診が必要です。
- 🚨金属・ガラス・鋭利な物を飲み込んだ(→すぐに救急外来へ)
- 🚨鉛含有物(古い塗料・バッテリーなど)を食べた可能性がある
- 🔍土・砂を繰り返し食べており、腹痛・嘔吐・便秘が続いている
- 🔍毛髪を大量に食べており、胃の膨満感・食欲低下がある
- 🔍1ヶ月以上、非食物を繰り返し食べる行動が続いている
- 🔍非食物摂取を隠しており、体重減少・疲労感・貧血症状がある
異食症の歴史と文化的背景
異食症(Pica)の記録は古代から存在しています。古代ギリシャの医師ヒポクラテスは紀元前400年頃に妊婦が土を食べる現象について記述しており、異食症に関する最古の医学的記録のひとつとされています。Picaという名称はラテン語でカササギ(Pica pica)を意味し、何でも口にするカササギの習性にちなんで名づけられました。
中世ヨーロッパでは異食行動は「悪魔憑き」や「精神の異常」として扱われることが多く、近代医学が発展するまで適切な理解が得られませんでした。19世紀になると栄養欠乏との関連が注目されはじめ、特に鉄欠乏性貧血と氷食症(Pagophagia)の関係が医学的に研究されるようになりました。
文化的な背景として、アフリカ・南アメリカ・東南アジアの一部の地域では、妊婦が土を食べる「Geophagy(土食い)」が伝統的な慣行として行われてきました。これはミネラル補給や胎児の保護を目的とした文化的行為であり、DSM-5の異食症の診断基準ではこのような文化的慣行は異食症には含まれないと明確に区別されています。ただし、文化的慣行であっても健康リスクが伴う場合は医学的モニタリングが推奨されます。
20世紀後半からは行動分析学の発展により、知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)の方における異食行動の機能分析と行動的介入の研究が進み、エビデンスに基づく治療法の確立が進んできました。現在ではDSM-5において「食行動障害および摂食障害群」に分類され、体系的な診断基準が整備されています。
異食症の分類——DSM-5・ICD-11における位置づけ
異食症はDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では「食行動障害および摂食障害群(Feeding and Eating Disorders)」に分類されています。同じカテゴリには神経性やせ症(拒食症)、神経性過食症(過食症)、過食性障害、回避・制限性食物摂取症(ARFID)、反芻症などが含まれます。
ICD-11(国際疾病分類第11版)でも同様に「食行動症群または摂食症群(Feeding or Eating Disorders)」に分類されており、異食症のコードは6B84です。ICD-11では乳児期・小児期の異食症と成人期の異食症を同一カテゴリとして扱います。
異食症は単独で発症することもありますが、他の精神疾患(自閉スペクトラム症、知的障害、強迫症、統合失調症など)や身体疾患(鉄欠乏性貧血、亜鉛欠乏など)と合併して発症することが多いです。合併疾患がある場合は、異食症の症状が「臨床的に注目に値するほど重篤」である場合にのみ追加診断されます。
- DSM-5分類食行動障害および摂食障害群(Feeding and Eating Disorders)——神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害、ARFID、反芻症と同じカテゴリ
- ICD-11分類食行動症群または摂食症群(Feeding or Eating Disorders)——コード6B84。乳児期〜成人期の全年齢を対象
- 合併診断他の精神疾患(ASD・知的障害・OCD・統合失調症など)と合併する場合、臨床的に重篤な異食行動がある場合にのみ追加診断
異食症の主な症状
異食症の中核症状は以下の5つに整理できます。
異食症の主な医療的合併症
異食症で生じうる代表的な医療的合併症を、重症度とともに整理します。
異食症が心理面に与える影響
異食症は身体的な合併症だけでなく、深刻な心理的影響をもたらします。多くの患者が異食行動に対して強い羞恥心を抱えており、「こんなものを食べている自分はおかしい」「誰にも言えない」という自己否定感に苦しんでいます。この羞恥心が受診を遅らせる最大の要因のひとつとなっています。
異食行動を秘密にし続けることは、慢性的なストレスと孤立感を生み出します。食事の場面を避けたり、特定の場所(異食行動を行う場所)への執着が生じたり、家族や友人との関係が疎遠になることがあります。特に子どもや青年期の患者では、学校での食事時間やキャンプなどの集団活動に困難を感じることが多いです。
また、異食行動のコントロール困難による「自己効力感の低下」も大きな問題です。「やめたいのにやめられない」という体験は無力感や自己嫌悪を強化し、抑うつ症状や不安症状を悪化させることがあります。このため、異食症の治療では身体的な側面だけでなく、心理的な側面——羞恥心の軽減、自己肯定感の回復、社会参加への支援——が重要な治療目標となります。
年齢・集団別の異食症の特徴
異食症の現れ方は年齢・集団によって異なります。それぞれの特徴と対応の重点を整理します。
- 乳幼児(2〜5歳)(リスク:注意)口腔探索の延長として非食物を口にすることがある。正常発達の一過程との鑑別が重要。持続性(1ヶ月以上)と危険な物質の摂取がある場合に異食症と診断。環境整備(危険物の除去)が中心的対策
- 学童期(6〜12歳)(リスク:中)知的障害・ASDとの合併が多い。感覚探索(口腔感覚の刺激追求)が主な機能となることが多い。学校での監視と行動的介入が重要。栄養欠乏の評価も必須
- 思春期・青年期(リスク:中)羞恥心から秘密化しやすく、発見が遅れがち。ストレス・不安が引き金になることが多い。摂食障害(拒食症・過食症)との鑑別が必要。心理的アプローチ(CBT)が有効
- 妊婦(リスク:注意)鉄欠乏・ホルモン変化との関連で氷食症・土食症が出現。妊婦健診での定期的な血液検査が重要。鉄補充で改善するケースが多い。妊娠終了後に自然消失することもある
- 知的障害・ASD(全年齢)(リスク:高)最も有病率が高い集団。感覚探索・自動強化・コミュニケーションの困難が関与。行動分析に基づく個別化された介入が中心。長期的な支援とモニタリングが必要
- 高齢者・認知症(リスク:高)認知機能低下による食物と非食物の判別困難。施設入居者での発生率が高い。環境整備と見守りが重要。合併する身体疾患への配慮が必要
異食症の原因とリスク要因
異食症の原因は栄養欠乏・神経発達特性・環境ストレス・心理的要因が複合的に関与します。単一の原因で生じることは少ないです。
異食症の最も確立したリスク要因のひとつが栄養欠乏です。鉄欠乏性貧血との関連が特に強く、特に氷食症(Pagophagia)は鉄補充により改善することが多いです。亜鉛欠乏・カルシウム欠乏との関連も報告されています。妊娠中は鉄・カルシウムへの需要が高まるため、妊娠中の異食症が見られることがあります。ただし、すべての異食症が栄養欠乏によるものではありません。
異食症は自閉スペクトラム症(ASD)、知的障害、強迫症(OCD)などの神経発達特性・精神疾患と高い割合で合併します。ASDでは感覚探索(口に入れて感覚を確認する)が非食物摂取につながることがあります。知的障害では食物と非食物の判別の困難が関与します。強迫症では非食物摂取が強迫行為の一形態となることがあります。統合失調症・解離性障害との関連も報告されています。
慢性的なストレス、心理的なニーズの未充足(特に乳幼児では養育者との関係の問題)、ネグレクト・虐待体験が異食症のリスクを高めます。貧困・食物の不安定な入手(食料が不足している環境)も関連します。また、口腔的な満足感を求める心理的欲求が非食物摂取につながることもあります。文化的な慣習(一部の文化圏での土食い)は異食症とは区別されます。
異食症は特定の集団でより多く見られます。幼児期(2〜3歳)では口腔探索の延長として非食物摂取が起きやすいが、成長とともに通常は消失します(診断には発達年齢2歳以上が必要)。妊婦では鉄欠乏やホルモン変化との関連で見られます。知的障害・ASDの方では成人以降も継続することが多いです。施設入居者(精神科病棟・障害者施設)での発生率が高いことも報告されています。
- 鉄欠乏性貧血(特に氷食症との強い関連)
- 亜鉛欠乏
- カルシウム欠乏
- 妊娠中のミネラル需要の増大
- ビタミン欠乏(一部の報告)
- 自閉スペクトラム症(ASD)との高い合併率
- 知的障害(食物・非食物の区別の困難)
- 強迫症(OCD)——強迫行為としての異食
- ADHD(衝動コントロールの困難)
- 統合失調症・解離性障害
- 感覚探索(口腔感覚の刺激追求)
- 慢性的なストレス・不安
- ネグレクト・虐待体験
- 心理的ニーズの未充足(特に乳幼児)
- 貧困・食物の不安定な入手
- 口腔感覚への欲求
- 文化的・地域的背景(一部は慣習的行動)
- 幼児期(2〜3歳:口腔探索の延長の場合も)
- 妊婦(鉄欠乏・ホルモン変化)
- 知的障害・ASDの方(全年齢)
- 施設入居者(精神科・障害者施設)
- 慢性身体疾患患者(栄養吸収障害など)
異食症の診断ポイント(DSM-5基準)
DSM-5の異食症診断基準は以下の4つです。すべてを満たす場合に異食症と診断されます。
- 基準A栄養価のない非食物を少なくとも1ヶ月間、持続的に食べる
- 基準B当該食行動が発達水準に照らして不適切(発達年齢2歳以上)
- 基準C文化的・社会的に認められた慣行ではない
- 基準D他の精神疾患の経過中に起こる場合(知的障害・ASD・統合失調症)、臨床的に注目に値するほど重篤である
診断評価では、①摂取している非食物の種類と頻度、②医療的合併症の有無(血液検査・画像検査)、③栄養状態の評価、④合併精神疾患・神経発達特性の評価が行われます。
異食症と鑑別すべき状態・疾患
異食症の診断においては、以下の状態・疾患との鑑別が重要です。正確な鑑別を行うことで、適切な治療方針を決定できます。
- 正常な口腔探索(乳幼児)2歳未満の乳幼児が何でも口に入れるのは正常発達の過程。成長とともに自然に消失する。異食症の診断には発達年齢2歳以上が必要
- 文化的慣行としての土食い一部の文化圏で妊婦が土を食べる慣習。社会的に認められた行動は異食症には含まれない。ただし健康リスクがある場合は医学的モニタリングが推奨
- 回避・制限性食物摂取症(ARFID)食物の感覚特性(食感・味・匂い)への嫌悪による摂食制限。非食物の摂取ではなく、食物の種類の極端な制限が特徴。異食症と合併することもある
- 強迫症(OCD)汚染への恐怖から手洗いなどの強迫行為を行う。異食行動が強迫行為の一形態として現れることがあり、その場合は両方の診断が下されることがある
- 統合失調症・妄想性障害妄想や幻覚に基づいて非食物を摂取するケース。異食行動の動機が精神病症状に由来する場合は、原発疾患の治療が最優先
- 自傷行為自傷目的で危険な非食物を飲み込む行為。意図的に自分を傷つけようとしている場合は自傷行為として評価・対応する
異食症の包括的評価の流れ
異食症が疑われる場合の包括的評価は、身体的評価と精神的評価の両面から段階的に行われます。まず医療的な緊急性(飲み込んだ非食物による合併症)を評価し、次に栄養状態の検査、そして精神科的評価へと進みます。
異食症の4つの治療アプローチ
異食症の治療は単一の方法ではなく、原因や合併疾患に応じて以下の4つのアプローチを組み合わせて行います。
環境整備と安全管理のアプローチ
異食症の治療において、環境整備(Environmental Management)は医療合併症リスクを直接低減する重要なアプローチです。特に知的障害・ASD・認知症の方など、行動変容が困難な場合には環境整備が治療の中心的な役割を担います。
環境整備の基本は、危険な非食物へのアクセスを物理的に制限することです。金属・ガラス・鉛含有物などの特に危険な物質は手の届かない場所に保管し、鍵付き収納を使用します。施設や学校では、異食リスクのある場所の定期的な安全点検を行い、小さな物や危険な素材が放置されていないかを確認します。
同時に、安全な感覚代替物を環境内に配置することも重要です。感覚探索が異食行動の機能である場合、咀嚼できる安全な食品(ガム、硬いスナック、氷など)やシリコン製の咀嚼グッズ(Chewelry)を手の届く場所に置きます。これにより「口で何かを感じたい」という欲求を安全に満たすことができます。
環境整備は制限的な側面(危険物の除去)と支持的な側面(代替物の提供)のバランスが重要です。過度に制限的な環境は患者のQOL(生活の質)を低下させ、かえって異食行動を悪化させることがあります。個々の患者の行動の機能に応じた環境調整が求められます。
異食症の予後と経過
異食症の予後は原因・合併疾患・年齢によって大きく異なります。栄養欠乏(特に鉄欠乏)が原因の場合は、鉄補充などの栄養介入によって比較的速やかに改善するケースが多く、予後は良好です。妊娠に伴う異食症も、出産後に自然に消失することが多いです。
幼児期の異食症は、適切な環境整備と発達の進行により多くの場合は自然に消失または改善します。ただし、知的障害・ASDを合併している場合は成人以降も異食行動が持続することがあり、長期的な支援とモニタリングが必要です。
知的障害やASDのある方の異食症は、行動療法と環境整備の組み合わせにより改善が見られますが、完全な消失には至らないこともあります。この場合は「異食行動による医療的リスクを最小化する」「安全な代替行動を確立する」ことが現実的な治療目標となります。長期的な行動モニタリングと支援体制の継続が重要です。
強迫症やストレス関連の異食症は、原疾患の治療(SSRI、CBTなど)と並行して異食症状も改善する傾向があります。再発リスクはありますが、ストレス管理スキルの習得と早期の再介入により長期的な予後は改善可能です。
日常生活でできること
専門的な治療と並行して、日常の安全確保と代替行動の習得が重要です。
日常で実践できる、8つのセルフケア
専門治療と並行して、ご自身またはご家族が日常で取り組める対策をまとめました。
関連する用語
異食症と関連の深い概念・疾患を整理します。
- ARFID(回避・制限性食物摂取症)食物の感覚特性への嫌悪による摂食制限。異食症と合併することがある。
- 過食性障害摂食障害群に属する疾患。異食症と同じDSM-5カテゴリ。
- 自閉スペクトラム症(ASD)異食症との合併率が特に高い神経発達症。感覚探索が関与する。
- 知的障害食物・非食物の判別困難が異食につながる。最も有病率の高い集団のひとつ。
- 強迫症(OCD)異食行動が強迫行為の一形態となることがある。SSRIが有効な場合も。
- 鉄欠乏性貧血特に氷食症(Pagophagia)と強い関連。鉄補充で改善することが多い。
- 摂食障害DSM-5では「食行動障害および摂食障害群」として一括分類されている。
周囲の人・家族にできること
異食症を抱える方の家族・支援者が正しい知識を持ち、安全確保と専門的支援につなげることが最も重要です。
してほしいこと・避けてほしいこと
家族・支援者の関わり方は、本人の回復に大きく影響します。良い対応と避けるべき対応を整理しました。
よくある質問
異食症に関してよく寄せられる疑問にお答えします。
異食症についてのよくある質問
A. 異食症は一般に思われているほど珍しい疾患ではありません。知的障害やASD(自閉スペクトラム症)のある方では10〜30%以上に見られるとの報告があり、妊婦でも鉄欠乏に関連して氷食症などが出現することがあります。羞恥心から報告されにくいため、実際の有病率はもっと高い可能性があります。大切なのは、異食症は医学的に認知された疾患であり、専門家は十分に理解しているということです。
A. 異食症は単なる「癖」や「意志の問題」ではなく、栄養欠乏・神経発達特性・心理的要因などの複合的な原因を持つ医学的疾患です。「やめたいのにやめられない」という体験をしている方が多く、意志力だけでコントロールすることは非常に困難です。まず原因(栄養欠乏、感覚的欲求、ストレスなど)を特定し、それに応じた適切な治療を受けることが改善への近道です。自分を責めず、専門家に相談してください。
A. 2歳未満の乳幼児が土や砂を口に入れるのは、正常な発達過程における口腔探索の一部であり、通常は成長とともに自然に消失します。ただし、発達年齢2歳以上で1ヶ月以上にわたって繰り返し非食物を食べている場合は異食症の可能性があります。特に土を大量に食べる場合は寄生虫感染や鉛中毒のリスクがあるため、小児科を受診し、栄養状態の評価と医学的検査を受けることをお勧めします。
A. 氷を強迫的に食べ続ける状態は「氷食症(Pagophagia)」と呼ばれ、異食症の一種です。1日に製氷皿1つ分以上の氷を食べる、氷がないと落ち着かないといった状態が1ヶ月以上続く場合は該当する可能性があります。氷食症は鉄欠乏性貧血との関連が特に強く、鉄剤の補充で症状が劇的に改善するケースが多いです。まず内科で血液検査(貧血の検査)を受けることを強くお勧めします。
A. 妊娠中の異食行動は鉄・カルシウム欠乏やホルモン変化と関連して比較的よく見られます。摂取する物質によって胎児への影響が異なります。氷の場合は直接的な胎児への害は少ないですが、鉄欠乏性貧血が背景にある場合は貧血の治療が重要です。土や粘土を食べる場合は、鉛・重金属・寄生虫のリスクがあり胎児にも影響しうるため、すぐに産婦人科に相談してください。妊婦健診で血液検査を定期的に受け、栄養状態を管理することが大切です。
A. 最初の窓口としては内科・かかりつけ医(子どもの場合は小児科)が適切です。まず血液検査で栄養状態(鉄・亜鉛・カルシウムなど)を評価し、医療的合併症の有無を確認してもらいましょう。栄養欠乏が見つかれば補充療法を開始します。精神科的な評価が必要な場合は、精神科・心療内科・発達外来を紹介してもらえます。知的障害やASDを合併している場合は、発達障害専門外来が最も適した受診先です。
A. 治療期間は原因や合併疾患によって大きく異なります。鉄欠乏性貧血が原因の氷食症であれば、鉄剤の補充開始から数週間〜数ヶ月で改善するケースが多いです。行動療法が中心となる場合は、数ヶ月〜1年以上の継続的な取り組みが必要なこともあります。知的障害やASDを合併している場合は、長期的な支援とモニタリングが必要になります。焦らず段階的な改善を目標にすることが大切です。
A. 現時点で異食症に直接有効とされる薬物は確立されていません。しかし、合併疾患への薬物療法が異食症状の改善に寄与することがあります。強迫症を合併する場合はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が、ASD・ADHDの衝動性にはリスペリドンなどの薬が有効な場合があります。また、鉄欠乏が原因の場合は鉄剤の補充が最も効果的な「薬物療法」です。薬物療法単独ではなく、行動療法・環境整備と組み合わせた包括的アプローチが推奨されます。
A. 異食症は羞恥心から秘密にされやすい疾患です。まず大切なのは、叱責や非難を避け、「心配しているから話を聞かせてほしい」という姿勢で接することです。異食症は医学的な疾患であり、意志の弱さではないと伝えましょう。無理に打ち明けさせようとするのではなく、安心して話せる雰囲気を作ることが重要です。医療的合併症のリスクがある場合は、安全確保(危険物の除去)を優先しつつ、専門機関への受診を穏やかに勧めてください。
A. 異食症はDSM-5では摂食障害と同じカテゴリ(食行動障害および摂食障害群)に分類されていますが、症状の性質は大きく異なります。拒食症や過食症は体重・体型への過度な懸念が中核にあるのに対し、異食症は非食物への渇望・衝動が中核です。ただし、まれに異食症と他の摂食障害が合併することがあります。また、ARFID(回避・制限性食物摂取症)との合併も報告されています。
A. 異食症は再発する可能性があります。特にストレスが引き金になっている場合や、合併精神疾患の症状が悪化した場合に再発リスクが高まります。鉄欠乏が原因で改善した場合でも、再び鉄欠乏になれば再発する可能性があります。再発予防には、定期的な栄養状態のモニタリング、ストレス管理スキルの維持、引き金となる状況への対処法の継続的な実践が重要です。再発の兆候を早期に察知し、速やかに専門家に相談することが大切です。
A. 異食症を周囲に知られることへの恐怖・羞恥心はとても自然な感情です。多くの方が同じ気持ちを抱えており、一人で長期間悩み続けるケースが少なくありません。しかし、誰にも言えないまま放置していると、医療的合併症(栄養欠乏・消化管のトラブルなど)が静かに進行するリスクがあります。まずは、身近な人ではなく医療機関(内科・かかりつけ医)に相談することから始めるのがお勧めです。「貧血の検査をしたい」という入口から相談すれば、異食症を直接打ち明けなくても血液検査を受けられます。また、ランダムな電話相談(よりそいホットライン 0120-279-338、いのちの電話 0120-783-556)や精神保健福祉センターへの匿名相談も活用できます。あなたが誰かに打ち明けることは、弱さではなく勇気のある一歩です。
A. 精神科・心療内科への通院にかかる医療費は、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用することで自己負担を3割から1割に軽減できます。お住まいの市区町村の障害福祉課で申請が可能です。主治医に診断書を依頼し、必要書類を揃えて申請します。また、精神障害者保健福祉手帳の取得により、税制優遇や各種サービスを受けられる場合もあります。費用面で不安がある場合は、精神保健福祉センターに相談するとよいでしょう。
一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。
つらい気持ちを抱えていませんか。どうかあなたの大切な悩みをココトモに聞かせていただきたいです。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。通院医療費の自己負担を1割に軽減できる自立支援医療制度も活用できます。
