リワークプログラム(復職支援)とは?
4つの種類・流れ・効果をわかりやすく解説
うつ病・適応障害などのメンタル不調で休職し、もう一度働きたいと思っても、再発を繰り返さずに長く働くには段階的なリハビリが不可欠です。リワークプログラムの定義・4つの種類・対象者・プログラム内容・費用・流れ・産業医との連携・エビデンス・復職後の注意点まで、必要な情報をすべてまとめました。
リワークプログラムとは——定義と背景
リワーク(rework / return to work)とは、精神疾患を原因として休職している労働者が、職場復帰に向けてリハビリテーションを受けるプログラムの総称です。「治療」から「職場復帰」、そして「継続就労」への橋渡しとして機能します。
リワーク(rework)の定義
リワークプログラムとは、「return to work(職場復帰)」を略した「rework」を由来とし、気分障害(うつ病・双極性障害)や適応障害などの精神疾患を原因として休職している労働者が、職場へ円滑に復帰するためのリハビリテーションプログラムです。医療機関や公的機関、民間事業所などが提供しており、週に数回から毎日施設に通いながら、さまざまなプログラムを通じて心身を職場復帰できる状態に整えていきます。
単に症状が和らいだだけで職場復帰をすると、再発・再休職のリスクが非常に高まります。リワークプログラムは、「治療」から「職場復帰」、そして「継続就労」へのブリッジ(橋渡し)として機能する専門的支援です。日本うつ病リワーク協会が正式に定義するリワークプログラムとは、「気分障害等を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーションを実施する機関で行われているプログラム」とされています。
- 対象疾患うつ病・双極性障害(気分障害)を主に対象とするが、適応障害・不安障害・統合失調症なども含まれる場合がある
- 目的職場復帰の実現と、復職後の再発・再休職の予防
- 方法定期的な通所、作業訓練、心理療法、生活リズムの調整、集団プログラムなど
- 期間平均3〜7ヶ月(施設・状態により異なる)
日本でリワークが発展した背景
日本においてリワークプログラムが本格的に普及し始めたのは2000年代以降です。その背景には、職場のメンタルヘルス問題の深刻化があります。
- うつ病などの精神疾患による休職者が増加し、企業の人事・労務担当者が対応に苦慮するようになった
- 治療だけでは「職場復帰できる状態」への橋渡しが不十分であることが明らかになった
- 2004年に独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が地域障害者職業センターでリワーク支援を開始
- 2006年に厚生労働省が「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を策定
- 2009年に日本うつ病リワーク協会が設立され、医療リワークの普及・質向上が進んだ
- 2024年時点で、日本うつ病リワーク協会の登録施設は全国200施設以上に拡大
リワークプログラムが必要とされる理由
精神疾患による休職からの復職は、身体疾患からの復職とは異なる難しさがあります。
- 生活リズムの乱れ休職中に昼夜逆転・活動量低下が生じ、通勤・就業時間に合わせた生活リズムが失われている
- 集中力・持続力の低下うつ病では認知機能(集中力・記憶力・判断力)が低下し、長時間の業務遂行が困難になっている
- 対人ストレス耐性の低下孤立した休職期間を経て、集団の中でのストレスに対する耐性が下がっている
- 復職への不安・恐怖「また倒れるのではないか」「職場に迷惑をかけた」という不安や罪悪感が強い
- 再発リスクの高さうつ病の再発率は高く、リワークなしの復職では再休職率が非常に高い
リワークプログラムの4つの種類と特徴比較
リワークプログラムは、実施する機関によって大きく4種類に分類されます。それぞれに特徴・対象・費用・期間が異なるため、自分の状況や目的に合った種類を選択することが重要です。
精神科・心療内科で実施される。医師・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・臨床心理士など多職種チームが支援。最大の特徴は、医療機関での治療と並行して実施されるため、症状が不安定な段階からでも参加しやすいこと。主治医との連携が緊密で症状の変化に迅速に対応できる。プログラム内容はCBT・マインドフルネス・グループセラピー・作業訓練・疾病教育・ストレスマネジメント等。日本うつ病リワーク協会の認定制度があり、一定基準を満たした医療機関が認定施設として登録されている。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する地域障害者職業センターで提供。各都道府県に原則1ヶ所以上設置。職業カウンセラーが休職者本人・事業主・主治医の三者をコーディネートし、職場復帰を総合的に支援する。事業主との橋渡しに強く、職場復帰後の職場環境調整まで含めた包括的支援が強み。利用料は無料(公務員は利用不可)。申込みから支援開始まで2ヶ月程度の準備期間が必要で、医療的サポートは薄い。集中的な作業訓練は12〜16週程度。
障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業所が提供。もともとは障害のある方の一般就労を目指す機関だが、復職支援にも対応する事業所が増加。個別支援計画に基づいた長期的・個別的な支援が特徴で、ソーシャルスキルトレーニング(SST)や就職活動支援も充実。最長2年間利用可能。症状が比較的安定しており、長期的にスキルアップをしながら復職を目指したい人、または同一職場への復帰ではなく転職を視野に入れている人に適している。
EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)は、厚生労働省が定めるメンタルヘルス対策の一つとして位置づけられ、企業が外部のEAP事業者に委託する形で提供される。元の職場への復帰を前提とした、職場環境に密着した支援。会社の人事・産業医と連携しやすい。EAP事業者には①全国規模の保険会社・人材会社系、②健康保険組合を母体とした従来型、③精神科・心療内科系医療機関を母体とした医療系の3種類がある。
- 実施機関:精神科・心療内科(精神科デイケア)
- 実施機関:地域障害者職業センター(JEED)
- 実施機関:就労移行支援事業所
- 実施機関:EAP事業者・企業内産業保健スタッフ
- 期間:3〜6ヶ月
- 期間:2〜3ヶ月(準備期間含め5〜6ヶ月)
- 期間:最長2年
- 期間:数週間〜数ヶ月
- 費用:健康保険3割負担(自立支援医療で1割に軽減可)
- 費用:原則無料
- 費用:前年度世帯所得に応じた負担上限月額(多くは実質無料または低額)
- 費用:原則無料(企業が負担)
- 主な目的:症状の安定化と職場復帰の両立
- 主な目的:職業能力の回復と職場適応支援
- 主な目的:就労スキルの習得と生活リズムの確立
- 主な目的:元の職場への復帰に特化した支援
- 注意点:機関によりプログラム内容や質に差がある
- 対象:精神障害・発達障害・身体障害・高次脳機能障害で雇用されている人(手帳は不要)
- 適している人:長期的なスキルアップを伴う復職・転職希望者
- 強み:職場・会社との連携が最もスムーズ
リワークの対象者と利用条件
リワークプログラムを誰が・いつから・どのような条件で利用できるかを正しく理解することは、適切なタイミングで支援を受ける第一歩です。
リワークプログラムの対象者
リワークプログラムの対象者は、施設の種類によって多少異なりますが、一般的には以下の条件を満たす方が対象となります。
- 現在休職中であること(会社との雇用関係が継続していること)
- 精神疾患または精神的健康問題(うつ病・双極性障害・適応障害・不安障害・発達障害・統合失調症など)が休職の原因であること
- 主治医がリワーク参加を許可・推奨していること(医療リワークの場合)
- 職場復帰を本人が希望していること
- プログラムに継続して通所できる体力・意欲があること(ある程度症状が安定していること)
リワーク参加が難しいケース
- 症状が急性期・重篤な状態で安定していない場合
- 自殺念慮・自傷行為がある場合(まず医療的介入が必要)
- アルコール・薬物依存など他の問題が主たる場合(専門的な依存症治療が優先)
- 通所できるほどの体力・気力が回復していない場合
- 雇用関係が既に終了している場合(職リハリワークの一部を除く)
利用開始の判断——主治医との相談が不可欠
リワークプログラムを開始するタイミングは、主治医との十分な相談のもとで決定することが重要です。一般的に、以下の状態が整っていることが参加の目安とされます。
- ✓十分な睡眠がとれるようになり、日中の活動が安定してきた
- ✓決まった時間に施設に通うことができる体力・気力がある
- ✓集団の場にいることで著しい苦痛を感じない
- ✓抑うつ気分・不安が軽減してきた(完全に消える必要はない)
- ✓主治医がリワーク参加に同意・許可している
リワークプログラムの具体的な内容とスケジュール
リワークプログラムは、生活リズム確立から作業訓練・心理療法・対人スキルまで多岐にわたる要素で構成されます。1日の標準的なスケジュールと3つのフェーズを通じて、段階的に職場復帰可能な状態へ整えていきます。
プログラムの主な内容
リワークプログラムは、参加施設によって内容が異なりますが、一般的に以下のような要素で構成されています。
1日の標準的なスケジュール例(医療リワーク)
医療リワーク(精神科デイケア)の1日のプログラム例(6時間コースの場合)です。
最初は週1〜2日の参加から始め、体力・精神力の回復とともに段階的に通所日数を増やしていくのが一般的です。週5日フルに通所できるようになった段階で、復職の準備が整ってきたと判断されることが多いです。
リワークプログラムの3つのフェーズ
リワークプログラムは一般的に3つのフェーズで構成されます。
認知行動療法(CBT)のリワークへの活用
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)は、リワークプログラムの中核をなす心理療法の一つです。うつ病や適応障害の再発予防に高いエビデンスが示されており、多くのリワーク施設で採用されています。
- 認知の歪みを修正する「全か無か思考」「過度の一般化」「べき思考」など、うつ病に特有の思考パターンを特定し、より現実的・バランスのとれた考え方に修正する
- 行動の活性化うつ病では活動量が低下し、さらに気分が落ちる悪循環が生じる。意図的に行動を増やすことで気分を改善する技法
- 問題解決スキルの向上職場での問題に直面したとき、感情的にならず段階的に対処する方法を習得する
- ストレス反応の自己モニタリング自分のストレスのサイン(身体的・感情的・行動的)を早期に察知する練習
うつ病・適応障害・双極性障害からの復職
疾患によって復職時に注意すべきポイントは大きく異なります。うつ病・適応障害・双極性障害・発達障害が背景にある場合、それぞれ特有の配慮が必要です。
うつ病はリワークプログラムの主要な対象疾患。症状が軽減しただけで「治った」と判断し早期復職すると再発率が著しく高まる。「日常生活が送れる」ことと「職場で働ける」ことは異なる。
特定のストレス因(職場の人間関係・業務量・役割変化など)に対する不適応反応として生じる。うつ病とは異なる考慮が必要。
うつ状態と躁(または軽躁)状態を繰り返す疾患であり、復職にあたって特有の配慮が必要。
ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉症スペクトラム症)が背景にある場合、二次障害としてうつ病や適応障害を発症して休職することがある。
- 「治ったわけではない」段階での復職リスク:症状の軽減と業務遂行能力の回復は異なる
- 認知機能の回復を確認する:記憶力・集中力・判断力が職場で求められる水準まで回復しているか
- 再発サインの把握:自分固有の再発サイン(眠れなくなる・ミスが増える・集中できない等)を事前に把握
- 職場復帰後の段階的な業務量の増加:復職直後は軽減された業務から、3〜6ヶ月かけて通常業務量に戻す
- ストレス因の特定と対処:何が引き金となったかを明確にし、復職後に再さらされないための環境調整が不可欠
- 職場環境の変更が有効なことがある:部署変更・異動・担当業務の変更で症状が改善するケース
- ストレス対処スキルの習得:アサーション・境界線の設定・問題解決技法を習得
- 「症状が消えた=治った」ではない:根本的なストレス対処スキルが身についていないと再発する
- 気分の安定が最優先:復職前に気分の安定期(少なくとも3ヶ月以上)を確認
- 睡眠リズムの管理:睡眠リズムの乱れは再発の引き金となる
- 過剰な目標設定を避ける:躁転の予兆として大きな目標を立てる傾向
- 薬物療法の継続:気分安定薬の継続服薬が再発予防の基本
- 職場への疾病開示の判断:開示で配慮を受けやすくなる一方、偏見のリスクもある
- 発達障害の特性に合わせた個別のアプローチが必要
- ADHD・ASDに特化したプログラムを提供しているリワーク施設を選ぶことが望ましい
- 職場での合理的配慮(業務指示の文書化・静かな作業環境の確保など)を交渉する
- 就労移行支援事業所(福祉リワーク)の方が発達障害対応プログラムが充実している場合がある
休職から復職までの流れ——5つのステップ
厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援のプロセスを5つのステップで示しています。リワークプログラムは第2〜第3ステップの間に活用するのが理想的です。
職場復帰支援の5ステップ(厚生労働省の手引きに基づく)
リワークプログラムは第2〜第3ステップの間に
リワークプログラムへの参加は、主治医が職場復帰可能と判断する前の準備段階(第1〜第2ステップの間)に実施するのが理想的です。リワークを通じて職場復帰できる状態まで回復した上で、主治医に診断書を作成してもらうという流れが基本となります。
休職中の経済的保障——傷病手当金
休職中の生活費について不安を感じる方は多いです。健康保険加入者(会社員など)の場合、傷病手当金を受給できる可能性があります。
- 支給額直近12ヶ月の標準報酬月額の平均の3分の2(約67%)
- 支給期間支給開始日から通算1年6ヶ月(2022年1月改正後、通算での計算方式に変更)
- 支給条件①療養中であること、②労務不能であること、③連続した3日間の待期期間を経過していること、④給与が支払われていないこと
- 申請方法健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)に申請書を提出。主治医の証明が必要
- 注意点リワークプログラムへの参加中も傷病手当金を受給できる場合があるが、就労可能と判断されると打ち切られることがある。担当の健康保険組合に確認する
産業医・会社・主治医との連携
復職支援において、主治医と産業医は異なる役割を担っています。この違いを理解することが、スムーズな復職につながります。職場復帰支援プランの作成と産業医面談のポイントを押さえましょう。
主治医と産業医の役割の違い
復職支援において、主治医と産業医は異なる役割を担っています。
主治医が「復職可能」と判断しても、産業医が「まだ業務遂行能力が回復していない」と判断すれば、会社は復職を認めない場合があります。逆に、主治医と産業医が連携し、リワークプログラムの成果を共有することで、よりスムーズな復職判断が可能になります。
職場復帰支援プランの作成
職場復帰支援プランは、産業医・人事担当者・上司・本人が協力して作成する、復職後の就業上の配慮を具体的に定めた計画書です。
- 復帰日具体的な職場復帰日の設定
- 業務内容の配慮復帰直後は業務量・業務内容を軽減し、段階的に通常業務に戻す計画
- 勤務時間の調整時短勤務・フレックスタイム・リモートワークの活用などを明記
- 配置転換・部署変更の検討必要に応じて、ストレス因となった職場環境を変える
- フォローアップの方法上司・産業医・人事の定期的な面談の頻度・方法を決める
- 再休職の兆候と対応策再発のサインが出た際の早期対応の手順を事前に決めておく
産業医面談で確認されること
産業医による復職面談では、主に以下の7つの視点から確認が行われます。
- ✓睡眠の状態(規則正しい睡眠がとれているか)
- ✓生活リズム(通勤を想定した時間帯に活動できているか)
- ✓集中力・持続力(一定時間、集中して作業を継続できるか)
- ✓対人関係(日常的な対人接触に適応できているか)
- ✓業務遂行能力(リワークでの作業訓練の成果)
- ✓自己管理能力(ストレスサインを自分で把握し、適切に対処できるか)
- ✓復職への意欲と計画(復職後の見通しを現実的に描けているか)
リワークの効果とエビデンス——再発予防のデータ
リワークプログラムの効果については、複数の研究・調査で有意義なデータが蓄積されています。復職率・再発予防・就労継続率のすべてで、リワーク利用者は非利用者を大きく上回ります。
リワークプログラムの効果を示すデータ
なぜリワークが再発予防に効くのか
リワークプログラムが再発予防に効果的な理由は、単に「職場復帰の練習」に留まらず、再発のメカニズムそのものに働きかけるからです。
- 認知パターンの修正認知行動療法(CBT)を通じて、うつ病の維持・悪化に関わる思考パターン(過度な完璧主義・全か無か思考・過剰な責任感など)を修正する
- ストレス対処スキルの習得ストレスの早期サインを自覚し、適切に対処するスキルを習得することで、職場でのストレスが再発につながるリスクを低減する
- 段階的な負荷増大急に高いストレスにさらされるのではなく、段階的に業務量・対人ストレスを増やしていくことで、体と心が適応する時間を確保する
- 自己理解の深化自分の疾患の特性・再発のサイン・対処法を深く理解することで、早期介入できるようになる
- 生活リズムの確立規則正しい睡眠・食事・活動のリズムが気分障害の安定に不可欠であることを体験的に学ぶ
リワークの効果に関する科学的研究
リワークプログラムの有効性については、国内外の研究で検証が進んでいます。
- 日本うつ病リワーク協会が全国40施設・約2,000名のデータを分析した調査では、リワーク利用者の復職率・再発予防効果いずれも有意に優れていることが確認された
- 厚生労働省の研究事業においても、医療リワーク・職リハリワークの双方で、復職後の就労継続率の有意な向上が報告されている
- 認知行動療法を組み込んだリワークプログラムが、通常の外来治療のみと比較して復職率・再発予防の両面で優れていることを示すメタ分析が複数報告されている
- ただし、リワークプログラムの種類・内容・質は施設によって異なるため、「リワークさえ受ければ必ず効果がある」とは言い切れない点には留意が必要
費用・保険適用・自立支援医療制度
リワークプログラムの費用は、利用する施設の種類によって大きく異なります。自立支援医療制度を活用すれば、医療リワークの医療費を1割に軽減できます。
施設種類別の費用
リワークプログラムの費用は、利用する施設の種類によって大きく異なります。
自立支援医療制度(精神通院医療)を活用する
医療リワーク(精神科デイケア)を利用する場合、自立支援医療制度(精神通院医療)を申請することで、医療費の自己負担を3割から原則1割に軽減することができます。
- 対象精神疾患(うつ病・双極性障害・適応障害・統合失調症など)で継続的な通院治療が必要な方
- 申請窓口市区町村の障害福祉担当窓口(役所・役場)
- 申請に必要なもの医師の診断書(申請書類に含まれる)、健康保険証、マイナンバー確認書類、世帯の収入確認書類など
- 自己負担上限額(月額)世帯収入に応じて設定(生活保護世帯は0円、低所得I・IIで2,500円〜5,000円、中間所得層は5,000円〜10,000円、一定以上の所得がある場合は対象外となることも)
- 効果月20日のデイケア利用で通常4〜6万円かかる場合、自立支援医療の適用により1〜2万円程度に軽減される
- 注意点指定医療機関・指定薬局を利用することが条件。2年ごとに更新が必要
高額療養費制度との組み合わせ
自立支援医療制度と合わせて、高額療養費制度も活用できる場合があります。自立支援医療の上限額を超える医療費が発生した場合、高額療養費として払い戻しを受けられる可能性があります。詳細は健康保険組合または全国健康保険協会に確認してください。
リワーク施設の探し方と選び方
日本うつ病リワーク協会・地域障害者職業センター・就労移行支援事業所・主治医・精神保健福祉センター・会社の産業医など、複数のルートから施設情報にアクセスできます。
リワーク施設の探し方
リワークプログラムを提供している施設を探す主な方法は以下の通りです。
- 日本うつ病リワーク協会の施設検索同協会のウェブサイト(utsu-rework.org)で、医療リワーク(精神科デイケア)の全国施設を都道府県別に検索できる。認定施設は一定の基準を満たしており、質の目安になる
- 地域障害者職業センターへの相談全国に設置されている地域障害者職業センター(JEED)に直接問い合わせる。職リハリワークの申し込み窓口
- 就労移行支援事業所の検索WAMNETや各自治体の障害福祉担当窓口で、地域の就労移行支援事業所を検索できる
- 主治医への相談通院中の主治医が、適切なリワーク施設を紹介してくれる場合がある
- 精神保健福祉センターへの相談各都道府県の精神保健福祉センターでは、地域のリワーク情報や利用方法についての相談が可能
- 会社・産業医への相談会社がEAPを導入している場合、人事部門または産業医に問い合わせる
リワーク施設を選ぶ際のチェックポイント
リワーク施設を選ぶ際には、以下のポイントを確認することが重要です。
- プログラムの内容認知行動療法・疾病教育・作業訓練などのプログラムが体系的に組まれているか。見学・体験参加が可能か
- スタッフの専門性精神科医・精神保健福祉士・臨床心理士・作業療法士など、多職種のスタッフが関与しているか
- 自分の疾患への対応実績うつ病・適応障害・双極性障害・発達障害など、自分の状態に合わせた支援を行っているか
- 通所のしやすさ自宅・会社からのアクセス。遠すぎると通所継続が困難になる
- 会社・産業医との連携体制会社側との連絡・調整をサポートしてもらえるか
- 費用と自立支援医療の対応施設が自立支援医療の指定医療機関であるかを確認する
復職後の注意点とセルフケア
復職直後の「頑張りすぎ」リスク、再発サインの把握、リワークで学んだスキルの継続実践——復職後6ヶ月間は最重要期間です。「できる量の7割」で業務を進める意識が再発予防の鍵です。
復職直後にやりがちな「頑張りすぎ」のリスク
復職直後に多くの人が陥りがちなのが、「頑張りすぎ」です。長期休職後の職場復帰は、体力・精神力ともに大きな負担がかかります。
- 休職中に周囲に迷惑をかけたという罪悪感から、無理をして挽回しようとする
- 「まだ大丈夫」と思っているうちに疲労が蓄積し、ある日突然崩れる
- 「調子がいい」と感じる時期が一番危険——これを「躁転」と見誤る場合もある(双極性障害)
- 残業・休日出勤を引き受けすぎる
復職後の再発サインを知っておく
自分固有の再発サイン(アーリーウォーニングサイン)を事前に把握し、リストアップしておくことが重要です。
- 睡眠の変化眠れない日が続く、朝起きられない、悪夢を見る
- 集中力の低下以前はできていた作業でミスが増える、書類が読めない
- 食欲の変化食欲がなくなる、または過食してしまう
- 対人関係への回避同僚と話すのが億劫になる、飲み会や会議が怖い
- 身体症状頭痛・肩こり・胃腸の不調が続く
- 思考の変化「また失敗するかも」「自分はダメだ」という考えが頭をよぎる頻度が増える
これらのサインが出たら、自己判断で我慢するのではなく、すぐに主治医・産業医・上司のいずれかに相談することが再休職を防ぐ最善策です。
復職後のセルフケアの実践
リワークで学んだスキルを復職後も継続して実践することが、長期的な就労継続の鍵です。
- 規則正しい睡眠の維持毎日同じ時間に寝起きする。週末の「寝だめ」は概日リズムを乱すので避ける
- 活動記録の継続リワーク中に行っていた活動記録(気分・行動・睡眠のモニタリング)を復職後も続ける
- 定期的な主治医の受診継続調子が良くなっても、自己判断で通院・服薬をやめない
- 「ノー」と言えるアサーション無理な仕事を断るスキルを実践する。リワークで学んだアサーションを職場で活用する
- 趣味・リラクゼーションの確保仕事だけでなく、自分が楽しめる時間・回復できる時間を意図的に作る
- 支援者との関係の維持産業医との定期面談、上司・同僚との良好な関係、家族・友人とのつながりを大切にする
リワークを利用しないリスクと代替選択肢
リワークを経ずに復職するリスクは統計的に非常に高いことが明らかになっています。一方、アクセスが難しい場合の代替・補完選択肢も存在します。
リワークを利用しないで復職するリスク
「早く復職しなければ」という焦りから、リワークプログラムを経ずに復職するケースがありますが、そのリスクは統計的に非常に高いことが明らかになっています。
- リワーク非利用者の復職率は約55.5%(利用者は約90%)と、復職自体が困難なケースが多い
- リワークなしで復職した場合、再休職率が著しく高く、1年以内に再休職するケースが多い
- 再休職を繰り返すことで、回復が長期化し、最終的に退職・失業につながることもある
- 本人の自信喪失・自己効力感の低下という二次的影響も深刻
「早く復職すること」よりも「長く安定して働き続けること」を目標に置いた場合、リワークプログラムを経て復職する方が、長期的には大きな差が生まれます。
リワークの代替・補完選択肢
リワークプログラムへのアクセスが難しい場合や、補完的に活用できる選択肢もあります。
- 外来での個別CBT(認知行動療法)リワーク施設に通えない場合でも、外来での個別認知行動療法を受けることで、ある程度の再発予防効果を得ることができる
- 自助グループ・ピアサポート同じ経験を持つ仲間が集まるグループ。孤立感の解消・情報交換・相互サポートに効果的。うつ病患者の自助グループは各地に存在する
- オンラインプログラム一部の医療機関・民間事業者が、オンラインでのリワーク的プログラムを提供している。通所が困難な場合の選択肢
- 書籍・ワークブックによる自己学習認知行動療法の自助ワークブックを活用して、一人でスキルを習得する方法。外来での指導と組み合わせると効果的
- ハローワークの精神・発達障害者雇用トータルサポーター就労に関する相談や求人の紹介を受けられる
よくある質問
リワークプログラムについて、利用者からよく寄せられる質問にお答えします。手帳・会社への開示・期間・傷病手当金・再休職・転職・精神保健福祉センターとの違いなど、迷いやすいポイントを整理しました。
A. 医療リワーク(精神科デイケア)への参加には、精神障害者保健福祉手帳は必要ありません。うつ病・適応障害・双極性障害などで休職中であり、主治医がリワーク参加を認めていれば利用できます。職リハリワーク(地域障害者職業センター)も、手帳の有無は問わず、雇用されている方で精神的健康問題により休職している方が対象です。福祉リワーク(就労移行支援事業所)は、障害者総合支援法に基づく手続きが必要ですが、精神障害者保健福祉手帳がなくても、医師の診断書があれば利用できる場合があります。まず主治医か精神保健福祉センターに相談してみましょう。
A. 医療リワーク(精神科デイケア)は医療機関での治療の一環であり、医師の守秘義務のもとで利用できます。会社への報告義務はありません。ただし、職場復帰支援プランの作成や産業医との連携を考えると、会社に全く知らせないままでいることは難しい面もあります。また、傷病手当金の申請や復職の際には、主治医・会社・産業医の連携が必要になります。「どこまで情報を開示するか」については、主治医や精神保健福祉士と事前に相談し、開示する情報の範囲を慎重に検討することをお勧めします。
A. リワークプログラムの期間は、施設の種類・本人の状態・疾患の特性によって大きく異なります。医療リワーク(精神科デイケア)の場合、平均3〜6ヶ月程度です。職リハリワーク(地域障害者職業センター)は支援期間が約2〜3ヶ月ですが、申込みから正式に支援が開始されるまでに約2ヶ月かかるため、合計5〜6ヶ月程度を見込む必要があります。福祉リワーク(就労移行支援事業所)は最長2年間利用できます。日本うつ病リワーク協会によると平均3〜7ヶ月とされています。「早く終わらせたい」という焦りでプログラムを途中でやめると、再発のリスクが高まるため、担当スタッフと相談しながら適切なペースで進めることが大切です。
A. 医療リワーク(精神科デイケア)に参加している間も、原則として傷病手当金を受給できます。ただし、「就労可能な状態になった」と健康保険組合が判断した場合は打ち切られることがあります。リワークへの参加が「療養の継続」の一部として認められるかどうかは、健康保険組合の判断によって異なります。リワーク開始前に、担当の健康保険組合または会社の総務部門に確認しておくことをお勧めします。職リハリワーク(地域障害者職業センター)や就労移行支援(福祉リワーク)の利用中も同様です。
A. リワークプログラムを経て復職しても、再休職することは決して珍しくありません。まず、自分を責めないことが大切です。再休職したということは、その復職のタイミングや環境に何らかの問題があったと考えられます。再び休職した場合は、まず主治医に相談し、回復を優先してください。その後、再度リワークプログラムを検討するか、前回より長期のリワーク、または別の施設・種類のリワークに取り組むことも有効です。また、職場環境(部署・業務内容・職場の人間関係)の変更が必要な場合は、産業医や人事担当者と再度話し合うことが重要です。再休職は「失敗」ではなく、回復の過程の一部として捉え直しましょう。
A. 退職して転職を考えている場合でも、リワークプログラムの活用は有益です。現在の職場への復帰が前提でなくても、次の職場で長く安定して働くためには、再発予防スキルの習得・認知パターンの修正・ストレス対処スキルの向上が重要です。福祉リワーク(就労移行支援事業所)や職リハリワーク(地域障害者職業センター)は、必ずしも元の職場への復帰を前提としておらず、転職・新たな就職を目指す方にも対応しています。回復が不十分な状態で転職活動を始めると、転職先でも同様のことが繰り返されるリスクがあります。精神保健福祉センターや就労移行支援事業所に相談し、適切な支援を受けながら次のステップを検討することをお勧めします。
A. 精神保健福祉センターは、各都道府県・政令指定都市に設置されている行政機関で、精神的健康に関する総合的な相談・支援・情報提供を行っています。リワークプログラムそのものを実施しているわけではなく、どのリワーク施設が適切かの情報提供や、自立支援医療の申請相談、地域の福祉サービスへの橋渡しを担います。精神保健福祉センターは「相談窓口・情報提供・コーディネート」の役割を担い、リワークプログラムは「実際の訓練・療養プログラム」を提供します。両者を組み合わせて活用するのが理想的です。精神保健福祉センターへの相談は無料で、予約不要の場合も多く、匿名での相談も可能です。
一人で悩まないで。
まず話してみませんか。
休職や復職のことで不安を抱えていませんか。リワークについて、あるいは今の気持ちについて、ぜひ相談してみてください。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。精神保健福祉センター(各都道府県・政令指定都市に設置・無料)、自立支援医療制度(精神通院医療費を原則1割負担に軽減)、地域障害者職業センター(JEED・職リハリワーク窓口)もご活用ください。
