メンタルヘルス用語辞典 · 統合失調感情障害

統合失調感情障害とは?
症状・原因・治療法をわかりやすく解説

統合失調感情障害は、統合失調症の症状(幻覚・妄想)と気分障害の症状(躁状態・うつ状態)が重なり合う複雑な精神疾患です。双極型と抑うつ型の違い、症状、原因、治療法から日常のケアまで、必要な情報をすべてまとめました。

ABOUT SCHIZOAFFECTIVE DISORDER

統合失調感情障害とは——2つの病気が重なる複雑な疾患

統合失調感情障害は、統合失調症の症状(幻覚・妄想)と気分障害の症状(躁状態・うつ状態)が同時に現れる精神疾患です。診断が非常に難しい病気ですが、適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。

定義

統合失調感情障害の定義——統合失調症でも気分障害でもない

統合失調感情障害(Schizoaffective Disorder)は、統合失調症の特徴である精神病性症状(幻覚、妄想、思考の混乱など)と、気分障害の特徴である気分エピソード(躁状態やうつ状態)が同時に、あるいは交互に現れる精神疾患です。1933年にジェイコブ・カサニンによって初めて記述されました。

DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害」のカテゴリーに分類されています。重要な診断基準は、気分エピソードがない期間にも幻覚や妄想が2週間以上持続することです。これにより、単なる「精神病性特徴を伴う気分障害」と区別されます。

🧠

2つの疾患の「交差点」

統合失調感情障害は、統合失調症と気分障害の中間に位置する疾患と考えられています。統合失調症の幻覚・妄想と、気分障害の躁・うつが「重なり合う」ことで、非常に複雑な症状像を呈します。そのため、治療も両方の疾患に対するアプローチを組み合わせる必要があります。

診断が難しい理由統合失調感情障害は、精神科医にとっても最も診断が困難な疾患のひとつです。初回エピソードの時点では確定診断が難しく、経過を見ながら診断が変更されることも珍しくありません。
有病率

統合失調感情障害のデータ

統合失調感情障害は比較的まれな疾患ですが、適切な理解と治療が必要です。

0.3%
生涯有病率は約0.3%。統合失調症(約1%)より少ない
1/3
統合失調症と診断された方の約1/3が、のちに統合失調感情障害に再診断される
20
発症のピークは20代〜30代前半。女性は男性より遅く発症する傾向
女性に多い傾向がありますが、これは抑うつ型が女性に多いためと考えられています。双極型は男女で差がないとされます。
診断と鑑別

他の疾患との鑑別——なぜ重要か

統合失調感情障害は、他の精神疾患と症状が重なるため、正確な鑑別診断が治療方針の決定に不可欠です。

鑑別すべき疾患
統合失調感情障害との違い
統合失調症
精神病性症状が主で、気分エピソードは一時的。統合失調感情障害では気分エピソードが疾患経過の大部分を占める。
双極性障害
精神病性症状は気分エピソード中にのみ出現。統合失調感情障害では気分症状がない時期にも幻覚・妄想が2週間以上持続する。
うつ病(精神病性特徴を伴う)
精神病性症状はうつエピソード中にのみ出現し、うつが改善すれば消失する。統合失調感情障害では気分症状なしに精神病性症状が持続する。
物質誘発性精神病性障害
薬物使用との直接的な関連がある。物質の使用中止後、症状が消失する。
💡
統合失調感情障害の鑑別で最も重要なポイントは「気分症状がない時期にも精神病性症状が持続するかどうか」です。この点が、精神病性特徴を伴う気分障害との決定的な違いです。
BIPOLAR vs DEPRESSIVE TYPE

双極型と抑うつ型——2つのサブタイプ

統合失調感情障害には「双極型」と「抑うつ型」の2つのサブタイプがあり、気分症状のパターンによって分類されます。どちらも精神病性症状を伴います。

躁・うつの波がある
双極型(Bipolar Type)
気分症状:躁状態+うつ状態
気分が異常に高揚する躁エピソード(または混合エピソード)を伴うタイプです。躁状態では過活動、睡眠欲求の減少、誇大的な言動、衝動的な行動が見られ、うつ状態では深い抑うつ、意欲の低下、希死念慮が現れます。これに加えて統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)が重なるため、症状は非常に複雑になります。双極性障害に似ていますが、気分症状がない時期にも精神病性症状が持続する点が異なります。
躁状態あり幻覚・妄想気分の波が大きい双極性障害との鑑別が重要
抑うつが中心
抑うつ型(Depressive Type)
気分症状:うつ状態のみ
うつエピソードのみを伴うタイプです。深い抑うつ気分、興味・喜びの喪失、食欲や睡眠の変化、集中力の低下などが見られます。これに加えて幻覚(特に幻聴)や妄想が現れるため、うつ病や統合失調症との鑑別が困難になることがあります。気分症状がない期間にも幻覚や妄想が2週間以上持続することが、うつ病との重要な鑑別ポイントです。自殺のリスクが高いため、特に注意が必要です。
躁状態なしうつが中心幻覚・妄想自殺リスク注意うつ病との鑑別が重要
双極型のほうが予後がやや良好とされていますが、どちらのタイプも適切な治療と長期的な管理が不可欠です。
SYMPTOMS

統合失調感情障害の症状

統合失調感情障害では、精神病性症状と気分症状が複雑に絡み合います。症状を3つのカテゴリーに分けて理解しましょう。

👂
幻聴(げんちょう)
実際には存在しない声が聞こえます。自分を批判する声、命令する声、自分の行動に対してコメントする声など、さまざまなパターンがあります。統合失調感情障害では気分エピソード中に特に強まることが多いですが、気分が安定している時期にも持続することが特徴です。声の内容は気分の状態に影響され、うつ状態では否定的な内容が、躁状態では誇大的な内容が多くなります。
💭
妄想(もうそう)
現実とは異なる確固たる信念にとらわれます。被害妄想(誰かに監視されている、危害を加えられようとしている)、関係妄想(テレビやラジオが自分に向けてメッセージを送っている)、誇大妄想(自分には特別な能力がある)など多様な形をとります。気分状態と一致する妄想(気分調和型)と一致しない妄想(気分非調和型)の両方が見られます。
🌫
思考の混乱・まとまりのなさ
考えがまとまらず、話の筋が通らなくなります。話題が次々と飛んだり(連合弛緩)、質問に対して見当違いの答えを返したりします。重症になると会話が成り立たなくなることもあります。この症状は社会生活や仕事に大きな支障をきたします。
🧊
陰性症状
感情の平坦化(表情が乏しくなる)、意欲の低下(何もする気が起きない)、社会的引きこもり、会話量の減少(寡言)、喜びを感じる能力の低下(アンヘドニア)などが見られます。陽性症状ほど目立ちませんが、社会復帰を妨げる大きな要因となります。うつ症状との区別が難しいことがあります。
🎭
行動の異常
日常的な行動パターンが崩れ、身だしなみに無関心になったり、予測不可能な行動をとったりします。興奮状態では落ち着きがなくなり、逆に無動状態では長時間同じ姿勢で動かなくなることもあります。これらの行動変化は、脳の実行機能の障害を反映しています。
精神病性症状は気分エピソード中に強まることが多いですが、「気分症状がない時期にも2週間以上持続する」ことが統合失調感情障害の診断上の重要なポイントです。
症状の経過

症状はどのように変化するか

統合失調感情障害の症状は時間とともに変化します。精神病性症状と気分症状が同時に現れる時期、気分症状だけの時期、精神病性症状だけの時期、比較的安定した時期が波のように繰り返されます。

経過のパターン
急性期精神病性症状と気分症状が同時に強く現れる時期。入院治療が必要になることもあります。
回復期薬物療法により症状が徐々に改善する時期。精神病性症状は比較的早く改善することが多いですが、気分症状や認知機能の回復には時間がかかります。
維持期症状が安定している時期。服薬を継続し、ストレス管理と生活リズムの安定を維持することが再発予防の鍵です。
再発服薬中断、ストレス、睡眠の乱れ、薬物使用などをきっかけに症状が再燃する時期。早期のサイン(前駆症状)に気づき、速やかに対応することが重要です。
統合失調感情障害の予後は、統合失調症よりは良好で、気分障害よりはやや不良とされています。しかし適切な治療と支援により、社会生活を送っている方はたくさんいます。
CAUSES & RISK FACTORS

統合失調感情障害の原因とリスク要因

統合失調感情障害の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、脳の変化、遺伝、環境ストレスなど複数の要因が関与しています。

🧠脳の神経伝達物質の異常

ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、グルタミン酸など、複数の神経伝達物質の異常が関与しています。精神病性症状にはドーパミン系の過活動が、気分症状にはセロトニン・ノルアドレナリン系の変動が関わっていると考えられています。脳画像研究では、前頭前皮質の体積減少、海馬の萎縮、側頭葉の構造的変化が報告されています。これらの所見は統合失調症と双極性障害の両方に見られる特徴を含んでおり、統合失調感情障害が両疾患の中間的な位置にあることを示唆しています。

  • ドーパミン系の過活動(精神病性症状)
  • セロトニン・ノルアドレナリンの変動(気分症状)
  • 前頭前皮質の体積減少
  • 海馬・側頭葉の構造的変化
発症は誰のせいでもありません。脳の変化、遺伝的素因、環境ストレスが複雑に絡み合った結果です。自分や家族を責める必要はありません。
TREATMENT

統合失調感情障害の治療法

統合失調感情障害の治療は、精神病性症状と気分症状の両方に対応する「統合的アプローチ」が必要です。薬物療法を中心に、心理社会的治療を組み合わせます。

薬物療法

薬物療法——精神病性症状と気分症状の両方に対応

統合失調感情障害の薬物療法は、精神病性症状に対する抗精神病薬と、気分症状に対する気分安定薬・抗うつ薬を組み合わせます。

抗精神病薬精神病性症状に

幻覚・妄想などの精神病性症状の軽減に使用されます。パリペリドン(インヴェガ)は、FDA(米国食品医薬品局)で統合失調感情障害に対して唯一承認された薬剤です。その他、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬が広く使用されます。長時間作用型注射薬(LAI)は服薬コンプライアンスの改善に有効で、再発予防に効果的です。

気分安定薬気分の安定化

双極型の場合に特に重要です。リチウム、バルプロ酸(デパケン)、ラモトリギンなどが使用され、躁状態とうつ状態の波を安定させます。リチウムは自殺予防効果が報告されている唯一の薬剤であり、長期的な気分の安定化に不可欠です。定期的な血中濃度モニタリングと腎機能・甲状腺機能の検査が必要です。

抗うつ薬うつ症状に(併用)

抑うつ型のうつ症状に対して使用されます。ただし、抗うつ薬の単独使用は躁転や精神病性症状の悪化を招く可能性があるため、必ず抗精神病薬や気分安定薬と併用します。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が第一選択として検討されますが、慎重な経過観察が求められます。

心理社会的治療

心理社会的治療——回復を包括的に支える

薬物療法だけでなく、心理社会的な支援を組み合わせることで、社会機能の回復と再発予防の効果が高まります。

心理社会的治療包括的支援

薬物療法と並行して行われる包括的な支援です。心理教育(病気についての正しい知識を学ぶ)、認知行動療法(CBT)、社会生活技能訓練(SST)、就労支援プログラムなどが含まれます。家族を含めた心理教育は再発予防に効果的であり、家族の負担軽減にもつながります。リカバリー(回復)を目標に、段階的に社会参加を広げていきます。

電気けいれん療法(ECT)難治例に

薬物療法で十分な効果が得られない場合、または緊急性が高い場合(重度の自殺リスク、昏迷状態、薬物への抵抗性)に検討されます。全身麻酔下で行われ、脳に短い電気刺激を与えることで神経伝達物質のバランスを改善します。効果の発現が早いという利点がありますが、短期的な記憶への影響に注意が必要です。

予後

統合失調感情障害の予後と回復の見通し

統合失調感情障害の予後は、一般的に統合失調症よりは良好ですが、気分障害よりはやや厳しいとされています。ただし個人差が非常に大きく、適切な治療と支援により、充実した社会生活を送っている方も多くいます。

回復に影響する要因
良好な予後と関連する要因
• 発症前の社会機能が良好
• 気分症状が主体
• 双極型(抑うつ型より予後良好)
• 治療への良好なアドヒアランス
• 社会的サポートが充実
注意が必要な要因
• 発症年齢が若い
• 陰性症状が強い
• 物質乱用の合併
• 服薬コンプライアンスが不良
• 社会的な孤立
回復のペースは人それぞれです。「良くなったり、悪くなったり」の波を経験しながら、少しずつ安定していくのが一般的な経過です。焦らず、長い目で見守ることが大切です。
DAILY LIFE

日常生活でできること

治療と並行して、日々の生活の中でできることがたくさんあります。小さな習慣の積み重ねが、安定した状態を維持する大きな力になります。

💊
服薬を継続する
「調子が良くなった」と感じても、自己判断で薬を中止しないでください。統合失調感情障害では、服薬の中断が再発の最大の原因です。副作用が気になる場合は必ず主治医に相談し、一緒に最適な薬を見つけましょう。長時間作用型注射薬(LAI)は、毎日の服薬が難しい場合の選択肢になります。
📝
気分と症状を記録する
毎日の気分(気分の高低)、睡眠時間、幻聴の有無・程度、服薬状況を記録しましょう。ムードチャートやアプリを活用すると続けやすいです。記録は自分の波のパターンを把握するだけでなく、主治医との診察でも貴重な情報源になります。
🌙
睡眠リズムを守る
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることが最も大切な生活習慣です。睡眠の乱れは躁転やうつの悪化、精神病性症状の再燃のすべてに関わります。就寝前のカフェインやスマートフォンの使用を控え、寝室を快適な環境に保ちましょう。
🚫
アルコール・薬物を避ける
アルコールや違法薬物は、精神病性症状を悪化させ、処方薬の効果を弱めます。特に大麻やアンフェタミン系覚醒剤は、幻覚や妄想を直接誘発する可能性があります。「少量なら大丈夫」と思わず、完全な回避を目指してください。
🤝
支援ネットワークを活用する
精神保健福祉センター、就労移行支援事業所、デイケア、自助グループ(ピアサポート)など、さまざまな支援資源があります。一人で抱え込まず、自分の状態に合った支援を積極的に活用しましょう。障害者手帳や自立支援医療制度の利用も検討してください。
📋
ストレスマネジメントを身につける
ストレスは再発の大きな引き金になります。自分にとって何がストレスになるかを把握し、マインドフルネス、リラクゼーション、適度な運動、趣味の活動などの対処法を複数持っておきましょう。「再発防止プラン」を主治医と一緒に作っておくことも重要です。
🏃
適度な運動を習慣にする
ウォーキング、ヨガ、水泳などの適度な有酸素運動は、気分の安定、睡眠の改善、ストレスの軽減に効果があります。週150分程度を目標に、無理のない範囲で続けましょう。体を動かすこと自体が、回復への重要なステップになります。
🎯
現実的な目標を設定する
回復は一直線ではなく、良い時期と悪い時期の波があります。大きな目標をいきなり目指すのではなく、小さな達成可能な目標を積み重ねていくことが大切です。「今日は散歩に行く」「週に1回は友人に連絡する」など、具体的で達成可能な目標から始めましょう。
すべてを完璧にやる必要はありません。まずは「服薬の継続」と「睡眠リズムの安定」——この2つを優先しましょう。
認知機能のケア

認知機能への影響と日常でできるリハビリ

統合失調感情障害では、記憶力・注意力・実行機能(計画を立てて実行する能力)・処理速度などの認知機能が低下することがあります。認知機能の障害は、就労や社会生活における困難の主要な原因のひとつであり、薬物療法だけでは十分に改善されないことが多いため、日常生活の中で意識的にトレーニングすることが重要です。

認知機能に影響を受けやすい領域
作業記憶(ワーキングメモリ)
情報を一時的に保持しながら作業する能力。買い物リストを覚えながら店内を歩く、会話の内容を記憶しながら返答するなどが難しくなることがあります。
注意・集中力
ひとつのことに集中し続けたり、複数の情報から必要なものだけに注意を向ける能力。テレビを見ながら会話する、騒がしい場所での作業が難しくなります。
実行機能(計画・判断)
目標に向けて計画を立て、手順を考えて実行する能力。料理の段取り、仕事のスケジュール管理、優先順位をつけることが困難になります。
処理速度・言語流暢性
情報を素早く処理する速度や、適切な言葉をすぐに思い出す能力。会話でとっさに言葉が出てこない、物事の判断が遅くなると感じることがあります。

認知機能のリハビリとして、精神科デイケアや就労移行支援事業所での「認知機能矯正療法(CRT: Cognitive Remediation Therapy)」が有効とされています。コンピューターを使ったプログラムや、グループワーク形式で認知機能を少しずつ鍛えます。日常生活でも以下のような習慣が助けになります。

  • メモ・スマートフォンのリマインダーを積極的に活用し、記憶の負担を外部化する
  • 複雑なタスクをひとつひとつの小さなステップに分解して書き出す
  • 毎日同じルーティンを繰り返すことで、認知的な負荷を下げる
  • 十分な睡眠をとる(睡眠不足は認知機能を著しく低下させる)
  • 有酸素運動(ウォーキング・水泳)は認知機能の維持・改善に効果があるとされる
  • 趣味や読書など、脳を適度に使う活動を続ける
認知機能の低下は「怠け」ではなく、疾患による脳の変化です。周囲の人が「なぜこんな簡単なことができないのか」と責めることは回復の妨げになります。工夫とサポートで補うことが大切です。
社会資源・制度

利用できる制度と支援——一人で抱え込まないために

統合失調感情障害と診断されたとき、または長期にわたって治療を続けるうえで、日本にはさまざまな公的支援制度があります。これらを活用することで、経済的な負担を軽くし、社会参加を続けることができます。

自立支援医療制度(精神通院医療)

精神疾患による通院医療費の自己負担が、原則1割に軽減される制度です。統合失調感情障害も対象となります。市区町村の窓口で申請でき、所得に応じて月額上限額が設定されます。継続的に通院・服薬が必要な方は、必ず申請しましょう。申請には診断書(主治医作成)が必要です。

精神障害者保健福祉手帳

精神疾患により、日常生活や社会生活に制限を受けている方が取得できる手帳です。1〜3級があり、取得することで、公共交通機関の割引、税の控除、就労における合理的配慮の要求、障害者雇用枠での就職などさまざまなメリットがあります。症状が安定しなくても取得できる場合があります。

障害年金

疾患により働くことが著しく困難な場合や、日常生活に大きな支障がある場合に受給できる年金です。統合失調感情障害は「精神の障害」として認定の対象になります。初診日に国民年金または厚生年金に加入していたことが主な要件です。社労士や精神保健福祉士に相談すると申請がスムーズになります。

就労移行支援・就労継続支援

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方向けのリハビリプログラムです。ビジネスマナー、認知機能訓練、職場実習などを通じて、就職に向けた準備ができます。就労継続支援A型・B型は、一般就労が難しい時期に働く場を提供するサービスです。どちらも障害者総合支援法に基づく制度で、市区町村で申請できます。

精神科デイケア・訪問看護

精神科デイケアは、病院に通いながらプログラムに参加し、生活リズムの安定、社会性の回復、認知機能のリハビリを図るサービスです。訪問看護は、看護師や精神保健福祉士が自宅を訪問し、服薬管理、体調確認、生活支援などを行います。外出が難しい時期にも、地域で支援を受けられます。

💡
まず相談窓口へどの制度が使えるかわからないときは、最寄りの精神保健福祉センターや市区町村の障害福祉窓口、医療機関の精神保健福祉士(PSW)に相談してください。あなたの状況に合った制度を一緒に探してくれます。
関連する用語
統合失調症双極性障害うつ病抗精神病薬気分安定薬認知行動療法
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人にできること

統合失調感情障害のサポートは長期にわたります。病気の特性を理解し、ご自身の健康も守りながら、無理のない範囲で支えていきましょう。

対応のポイント

してほしいこと・避けてほしいこと

✅ してほしいこと
病気について正しく学び、統合失調感情障害が「統合失調症+気分障害」の複合的な疾患であることを理解する
症状の変化(幻聴の悪化、気分の急激な変動、睡眠パターンの乱れ)に注意を払い、主治医に情報を共有する
薬の服用を穏やかに見守り、自己中断を防ぐサポートをする
本人の話を否定せず、まず傾聴する。幻覚の内容を「嘘だ」と否定しないが、同調もしない
回復のペースは人それぞれであることを受け入れ、焦らず見守る
「危機対応プラン」を本人が安定している時に一緒に作っておく
家族自身のケアを怠らず、家族会やカウンセリングを活用する
❌ 避けてほしいこと
「気のせいだ」「考えすぎだ」と症状を否定する
「いつ治るの」「早く働いて」と回復を急かす
幻覚や妄想の内容に巻き込まれ、一緒に振り回される
「薬に頼るな」「自分の力で治せ」と薬物治療を否定する
すべてのサポートを一人で抱え込む(家族の燃え尽きに注意)
本人の病気を周囲に隠し続け、孤立する
支える側のケア

支える側のセルフケア

統合失調感情障害の家族をサポートすることは、非常に大きな負担を伴います。症状が複雑で予測しにくいため、常に緊張状態に置かれがちです。支える側のケアは、持続可能なサポートのために不可欠です。

🛁
自分の休息を優先する時間を作る
罪悪感を持たずに、定期的に自分だけの時間を確保しましょう。友人との食事、趣味の活動、一人で過ごす時間——何でも構いません。リフレッシュは義務ではなく権利です。
👥
家族会やピアサポートに参加する
同じ経験をしている家族との交流は、孤立感を和らげ、具体的な対処のヒントを得る機会になります。全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)などの情報を活用しましょう。
📋
サポート体制を分散する
一人で全部を背負い込まないでください。他の家族、友人、専門職(ケースワーカー、訪問看護師)にサポートを分散することで、長期的に支え続けることが可能になります。
あなた自身の健康が最優先です支える側が燃え尽きてしまったら、サポートは続けられません。「完璧な家族」である必要はありません。できる範囲で、長く続けられることが何より大切です。
FAQ

よくある質問——統合失調感情障害について

患者さんやご家族から多く寄せられる疑問に、丁寧にお答えします。

再発防止

前兆サインと危機対応プランの作り方

統合失調感情障害の再発は、多くの場合突然ではなく、数日〜数週間前から何らかのサインが現れます。このサインを早期にキャッチし、素早く対応することが、入院を回避し社会生活を守る最も有効な手段です。

クライシスプランに含める項目
  • 自分の再発サインリスト——過去の再発前に何が変わったかを具体的に書き出す(例:「4日以上眠れない」「幻聴の声が2つ以上になる」)
  • 緊急連絡先——主治医・クリニックの電話番号、精神科救急、信頼できる家族・友人の連絡先
  • 悪化したときの対応手順——「まず主治医に電話する」「そのあと家族に連絡する」など具体的な手順を決めておく
  • 入院時の準備リスト——必要な書類、持ち物、ペットや子どもの預け先など
  • 回復に役立つもの——好きな音楽、安心できる場所、落ち着くためのルーティンなど
プランは「安定しているとき」に作る危機のさなかにプランを作るのは困難です。症状が落ち着いているときに、主治医・支援者・家族と一緒に作成しておくことで、いざというときに冷静に動けます。
回復に向けて

リカバリーとは——症状がなくなることだけが回復ではない

精神医療における「リカバリー(Recovery)」の概念は、「症状が完全になくなること」だけを指しません。症状があっても、自分らしい生活を送り、意味ある活動に参加し、希望を持って生きていくことを「リカバリー」と呼びます。

統合失調感情障害の方の中には、症状をコントロールしながら、仕事をし、恋愛・結婚をし、子育てをし、趣味を楽しんでいる方がたくさんいます。その道のりは平坦ではなく、良い時期と難しい時期の波があります。しかし「波がある」こと自体は、リカバリーを妨げるものではありません。

リカバリーに大切な5つの柱(CHIME モデル)
Connectedness(つながり)家族、友人、支援者、ピアサポートとのつながりを持つ
Hope(希望)より良い未来を信じ、回復への希望を持ち続ける
Identity(アイデンティティ)病気の人としてだけでなく、自分らしい自己像を持つ
Meaning(意味・目的)生活や活動に意味や目的を見出す
Empowerment(力の回復)自分の人生を自分でコントロールできるという感覚を育む
あなたは統合失調感情障害という「病気」だけではありません。あなたには、病気とは別の価値、強み、夢があります。治療はその「あなた自身」を支えるためのものです。

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このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。

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