メンタルヘルス用語辞典 · 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
症状・原因・CPAP治療をわかりやすく解説

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に繰り返し呼吸が止まる疾患です。いびき・日中の眠気から心血管リスクまで、CPAP治療を含む包括的な情報をまとめました。

ABOUT SLEEP APNEA

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる疾患です。大きないびき、日中の強い眠気が特徴で、放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中のリスクを大幅に高めます。CPAP療法を中心とした適切な治療で改善できます。

定義

SASの定義——睡眠中に呼吸が止まる疾患

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に上気道が狭くなったり塞がったりすることで、繰り返し呼吸が止まる(無呼吸)または浅くなる(低呼吸)疾患です。無呼吸は「10秒以上の気流停止」と定義され、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数をAHI(無呼吸低呼吸指数)として数値化します。AHI5以上で症状を伴う場合にSASと診断されます。

SASの約90%を占める閉塞性SAS(OSAS)では、睡眠中に上気道の筋肉が弛緩し、舌根や軟口蓋が気道を塞ぐことで無呼吸が生じます。呼吸が止まると血中酸素濃度が低下し、脳が覚醒反応を起こして呼吸を再開させますが、このサイクルが一晩に数十〜数百回繰り返されるため、深い睡眠が得られません。

「いびきは健康のバロメーター」ではありません大きないびきは「よく寝ている証拠」ではなく、上気道が狭くなっている危険信号です。特にいびきが突然止まって再開するパターンは、SASの可能性が高いです。
疫学

SASは非常に多い疾患

3〜7%
成人男性における中等症以上のSASの有病率
2〜5%
成人女性における有病率(閉経後に増加)
80%以上
SAS患者のうち未診断のまま放置されている推定割合
SASは非常にありふれた疾患ですが、多くの方が未診断のままです。パートナーに「いびきが大きい」「呼吸が止まっていた」と指摘された方は、一度検査を受けてみてください。
受診の目安

こんな症状があれば受診を検討してください

⚠️SASを疑うべきチェックポイント
  • 🚨
    大きないびきを指摘された
  • 🚨
    寝ている間に呼吸が止まると言われた
  • 🔍
    日中に耐え難い眠気がある
  • 🔍
    起床時に頭痛がある、口が乾いている
  • 🔍
    夜中に何度もトイレに起きる
  • 🔍
    朝起きた時に疲れがとれていない
  • 🔍
    高血圧の薬を飲んでも血圧が下がらない
  • 🔍
    集中力の低下やイライラが続いている
💡
上記に3つ以上心当たりがあれば、呼吸器内科や睡眠専門外来の受診を検討してください。簡易検査は自宅で行えるため、まずは気軽に相談してみましょう。
心理社会的影響

SASが生活・心理・社会に与える影響

睡眠時無呼吸症候群は身体的な健康だけでなく、心理・社会・職業的な側面にも深刻な影響を与えます。

  • 職業的影響:日中の眠気による集中力・作業能率の低下、遅刻・欠勤の増加、重機・車両操作中の事故リスク。SASによる居眠り運転は一般の2〜7倍の事故リスクをもたらし、職業的・法的な問題につながることがあります。
  • 精神的健康:慢性的な疲労・眠気はうつ病や不安障害のリスクを高めます。SAS患者の約30〜40%に抑うつ症状が見られ、SASの治療により改善することが多いです。
  • 家族・パートナーへの影響:大きないびきや無呼吸への不安から、パートナーも睡眠不足になることがあります。別室での睡眠が関係性に影響することも。
  • 経済的影響:医療費・治療費に加え、仕事のパフォーマンス低下による収入への影響。日本全体での経済損失は年間数千億円規模と推計されています。
TYPES

睡眠時無呼吸症候群の種類

SASには閉塞性(OSAS)、中枢性(CSAS)、混合型の3つのタイプがあります。原因と治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

睡眠中に上気道(喉の奥の空気の通り道)が物理的に狭くなったり塞がったりすることで呼吸が止まる。睡眠時無呼吸症候群の約90%がこのタイプ。いびきを伴うことが多い。肥満が最大のリスク因子だが、日本人では非肥満者(顎が小さい、扁桃肥大など)でも発症する。

最も多い(約90%)いびき上気道の閉塞肥満・顎の形態
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)

脳から呼吸筋への指令が一時的に途絶えることで呼吸が止まる。上気道の閉塞は伴わない。心不全(チェーン・ストークス呼吸)、脳卒中後、高地での睡眠、オピオイド使用などに関連して生じることが多い。いびきは目立たないことが多い。

脳からの呼吸指令の異常心不全との関連いびきが少ない
混合型睡眠時無呼吸症候群

中枢性と閉塞性の両方の要素を持つ。無呼吸エピソードが中枢性で始まり、閉塞性に移行するパターンが典型的。CPAP治療開始後に中枢性無呼吸が顕在化する「治療出現性中枢性睡眠時無呼吸」もこのカテゴリーに含まれる。

中枢性+閉塞性CPAP後に顕在化複合型
SYMPTOMS

睡眠時無呼吸症候群の症状

SASの症状は夜間(睡眠中)の症状と日中の症状に大別されます。本人は夜間の症状に気づきにくく、パートナーの指摘が発見のきっかけになることが多い疾患です。

😤
大きないびき
閉塞性SASの最も一般的な症状。狭くなった気道を空気が通る際に、軟口蓋や周囲の組織が振動して生じる。隣の部屋にまで聞こえるほどの大きないびきは要注意。いびきが突然止まり(無呼吸)、苦しそうに再開するパターンが特徴的。
😰
無呼吸・窒息感での覚醒
睡眠中に呼吸が10秒以上停止する。重症例では1時間に30回以上の無呼吸が起こる。苦しくなって覚醒するが、多くの場合は本人の自覚がない。パートナーが「息が止まっていた」と指摘することで発見されることが多い。
💦
夜間の発汗・頻尿
無呼吸による低酸素状態とそれに対する覚醒反応が、自律神経系を刺激し発汗を増加させる。また、無呼吸による胸腔内圧の変動が心房性ナトリウム利尿ペプチドの分泌を促し、夜間頻尿の原因となる。
🌙
中途覚醒・不眠
無呼吸エピソードにより脳が繰り返し微覚醒(arousal)を起こすため、深い睡眠が得られない。夜中に何度も目が覚める中途覚醒を訴えることがある。不眠症として治療されているSAS患者も少なくない。
😫
起床時の頭痛・口渇
無呼吸による低酸素状態と二酸化炭素蓄積が脳血管を拡張させ、起床時の頭痛を引き起こす。また、口呼吸によりロ腔内が乾燥し、起床時の強い口渇や喉の痛みを訴えることが多い。
🛏
睡眠中の体動・寝返りの増加
無呼吸を解消しようと無意識に体位を変えるため、睡眠中の体動が増加する。シーツが乱れている、枕の位置がずれている、ベッドパートナーが蹴られるなどの訴えがある。
💡
パートナーの観察が重要ですSASの夜間症状は本人が気づきにくいものが多いです。一緒に寝ている方が「大きないびき」「呼吸の停止」に気づいたら、受診を勧めてください。
CAUSES

睡眠時無呼吸症候群の原因とリスク要因

SASの原因は上気道の解剖学的狭窄、肥満、神経筋制御の異常など多岐にわたります。日本人は顔面骨格の特徴から非肥満でも発症しやすい点に注意が必要です。

🏥上気道の解剖学的要因

閉塞性SASの直接的な原因は、睡眠中の上気道の狭窄・閉塞です。上気道が狭くなる解剖学的要因として、肥満による咽頭周囲の脂肪沈着、小顎症(下顎が小さい)、扁桃肥大、アデノイド肥大、巨舌、鼻中隔彎曲などがあります。日本人はアジア人特有の顔面骨格(下顎が小さく、顔面の前後径が短い)のため、非肥満者でもSASを発症しやすいという特徴があります。BMIが正常でも、首が太い(頸囲が大きい)方はリスクが高い。

  • 肥満による咽頭周囲の脂肪沈着
  • 小顎症・下顎後退
  • 扁桃・アデノイドの肥大
  • 日本人特有の顔面骨格
  • 太い首(頸囲の増大)
合併症

SASが引き起こす・悪化させる疾患

未治療のSASは多くの重篤な合併症リスクを高めます。SASの治療はこれらのリスクを大幅に軽減します。

高血圧

SAS患者の約50%が高血圧を合併。夜間の繰り返す低酸素血症と交感神経活性化が血圧を上昇させる。治療抵抗性高血圧の最大原因の一つ。

心血管疾患

心房細動リスク2〜4倍、心筋梗塞・脳卒中リスクを大幅増加。夜間低酸素血症による血管内皮障害と動脈硬化促進が原因。

2型糖尿病

インスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを悪化させる。SASの治療により血糖値が改善することが多い。

うつ病・認知機能低下

慢性的な睡眠の質低下と低酸素血症が脳機能に影響。うつ病合併率30〜40%。長期的には認知症リスクも増加。

💡
CPAP療法による血圧の平均低下:収縮期血圧で約2〜4mmHg。高血圧薬を3種類以上使用しても効果不十分な場合、SASの合併を疑いましょう。
TREATMENT

睡眠時無呼吸症候群の治療法

SASの治療はCPAP療法を中心に、口腔内装置、体重管理、外科的治療などが患者の状態に応じて選択されます。

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)標準治療

中等症〜重症のOSAS(AHI20以上)に対する標準的治療です。就寝時に鼻マスクまたは鼻口マスクを装着し、持続的に陽圧の空気を送り込むことで、狭くなった上気道を「空気の添え木」で広げます。いびきの消失、無呼吸の改善、日中の眠気の軽減、血圧の低下、心血管イベントのリスク低下など多面的な効果が期待されます。治療効果を得るためには毎晩4時間以上の使用が推奨され、継続使用が最大の課題です。マスクのフィッティング、加湿器の使用、圧力の適正化が快適性向上の鍵です。

口腔内装置(マウスピース)軽症〜中等症

軽症〜中等症のOSASや、CPAP不耐容の患者に適応されます。下顎を前方に突出させる装置(下顎前方誘導装置:MAD)を就寝時に装着し、舌根の沈下を防いで上気道を広げます。歯科医師が個々の歯並びに合わせてカスタムメイドで作製します。CPAP ほどの効果はありませんが、装着感が良く、持ち運びが容易なため継続率が高い利点があります。

体重管理・生活習慣の改善生活習慣

肥満を伴うOSAS患者では、体重の5〜10%減少でAHIが大幅に改善するとの報告があります。食事療法と運動療法の組み合わせ、必要に応じて肥満外科手術(バリアトリック手術)も検討されます。アルコールの制限(特に就寝前3〜4時間)、禁煙、睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)の使用制限も重要です。側臥位(横向き)での睡眠は仰臥位依存型のOSASに有効です。

外科的治療外科的

扁桃肥大やアデノイド肥大が原因のSAS(特に小児)では、扁桃・アデノイド摘出術が根治的な治療となります。成人では、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)、舌根切除術、上下顎前方移動術(MMA)などが選択肢です。MMAは最も効果が高い外科治療ですが、侵襲が大きいため、他の治療で効果不十分な場合に検討されます。舌下神経刺激装置(Inspire)も新しい治療選択肢として注目されています。

SASの治療で最も大切なのは「継続」です。特にCPAPは毎晩の使用が効果を発揮します。最初は違和感があっても、慣れてくると「CPAPなしでは眠れない」と感じる方が多いです。
最新治療

SAS治療の最前線——新技術と選択肢の拡大

舌下神経刺激療法(Inspire/Hypoglossal Nerve Stimulation):CPAP不耐容の閉塞性SAS患者に対する新しい治療法です。小型のデバイスを胸部に植え込み、呼吸センサーが睡眠中の呼吸パターンを検知して舌下神経を刺激し、舌を前方に押し出すことで気道を確保します。日本でも2023年以降、保険適用が拡大されてきています。

AutoCPAP(オートタイトレーション):従来の固定圧CPAPとは異なり、呼吸の状態をリアルタイムで感知して圧力を自動調節します。睡眠姿勢・体位・アルコール摂取などで変化する無呼吸の程度に応じて最適圧力を提供でき、快適性が向上しています。

遠隔モニタリング:CPAPデバイスがクラウドにデータを送信し、医師が遠隔でCPAPの使用状況・治療効果・マスクリークを確認・調整できるシステムが普及しています。通院回数を減らしながら質の高い管理が可能になっています。

支援制度

SASで使える支援制度・社会資源

  • 健康保険によるCPAP治療:中等症以上(AHI20以上)のSASはCPAP治療に健康保険が適用されます。月1回以上の通院が条件で、CPAPレンタル費用の3割が自己負担
  • 自立支援医療制度(精神通院):SASに伴ううつ病・不安障害などで精神科通院している場合に利用可能。通院医療費の自己負担を1割に軽減
  • 障害者手帳・障害年金:重度のSASで日常生活に著しい支障がある場合、精神障害者保健福祉手帳や障害年金の対象になることがある。精神保健福祉士に相談を
  • 職場での合理的配慮:SASによる眠気・疲労で就労に困難がある場合、産業医や人事と連携して就業時間の調整・テレワーク等の配慮を求めることができる
  • 交通事故リスクと運転:SASと診断されている場合、道路交通法上の配慮が必要。主治医と相談の上、運転の可否を判断することが重要
DAILY LIFE

日常生活でできること

治療と並行して、日々の生活習慣の改善がSASの症状をさらに改善させます。

⚖️
適正体重を維持する
肥満を伴うSASでは、体重の5〜10%の減量で症状が大幅に改善します。急激なダイエットではなく、持続可能な食事改善と適度な運動で段階的に減量を目指しましょう。BMI25未満の方でもSASの可能性はあります。
🍷
就寝前のアルコールを避ける
アルコールは上気道筋を弛緩させ、SASを著しく悪化させます。就寝前3〜4時間はアルコールを控えてください。飲酒した夜は特にいびきと無呼吸が増悪します。
😴
横向き(側臥位)で寝る
仰向けで寝ると舌根が重力で沈下し気道が狭くなります。横向きで寝ることで気道が確保されやすくなります。背中にテニスボールを縫い付けたTシャツを着る「テニスボール法」は仰臥位防止の古典的な方法です。
🔌
CPAPを毎晩使用する
CPAP処方を受けている方は、毎晩4時間以上の使用を目標にしてください。マスクの違和感は使い始めに多いですが、フィッティングの調整で改善できます。困ったら主治医やCPAP業者に相談しましょう。旅行用の小型CPAPもあります。
🚬
禁煙する
喫煙は上気道の炎症と浮腫を引き起こし、SASを悪化させます。また、心血管疾患のリスクもSASと相乗的に高めます。禁煙支援を受けることをお勧めします。
🛏
寝室環境を整える
頭を少し高くする(15〜20度の角度)ことで舌根の沈下を軽減できます。適切な湿度(40〜60%)を維持することで、口呼吸による口渇や喉の痛みを軽減できます。
💊
睡眠薬の使用に注意する
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は上気道筋を弛緩させ、SASを悪化させる可能性があります。不眠がある場合は、主治医にSASがあることを必ず伝え、適切な薬を選んでもらいましょう。
🏥
定期的な通院を続ける
SASは慢性疾患であり、継続的な管理が必要です。CPAP使用状況の確認、治療効果の評価、併存疾患(高血圧、糖尿病など)の管理のために定期的に受診しましょう。
まずは「横向きで寝る」「就寝前のアルコールを控える」から始めてみてください。小さな変化でも睡眠の質の改善を実感できるはずです。
関連する用語
睡眠障害過眠症不眠症高血圧肥満症心房細動
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人にできること

SASは一緒に寝ている方が最初に気づくことが多い疾患です。パートナーの観察と適切な声かけが、診断と治療への重要な第一歩になります。

対応のポイント

してほしいこと・避けてほしいこと

✅ してほしいこと
いびきや無呼吸に気づいたら、心配していることを穏やかに伝え受診を勧める
CPAPの使用を温かく応援する(毎晩の装着は本人にとって負担である)
パートナーの睡眠環境も大切にする(必要なら一時的に別室も選択肢に)
減量の取り組みを一緒にサポートする(食事改善、運動を共に行う)
「いびきがうるさい」と責めるのではなく「心配している」と伝える
SASが心血管疾患のリスクであることを理解し、治療の重要性を共有する
❌ 避けてほしいこと
いびきを笑いのネタにする(恥ずかしさから治療を拒否する原因になる)
CPAPの使用を「面倒だからやめれば」と促す
「太っているからだ」と体型を責める(非肥満でもSASは起こる)
無呼吸を「放っておけば治る」と軽視する
一方的に別室を要求する(本人が孤立感を感じる)
あなたの気づきが命を救いますSASは放置すると心筋梗塞や脳卒中のリスクを大幅に高めます。パートナーのいびきや無呼吸に気づいたら、それは命を守るための重要な発見です。「心配しているから一緒に病院に行こう」と声をかけてみてください。
検査について

SASの診断検査——受診前に知っておきたいこと

SASの診断には睡眠検査が必要です。主に2種類の検査があります。

①簡易睡眠モニター検査(自宅で可能)
自宅に持ち帰った小型の機器を装着して睡眠中の酸素濃度・気流・いびきを測定します。入院不要で気軽に受けられます。AHI15以上の中等症〜重症が疑われる場合の一次スクリーニングとして広く使われています。軽症や複雑な症例では精密検査が必要です。
②終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG・入院が必要)
入院して睡眠中の脳波・眼電図・筋電図・心電図・呼吸・酸素濃度・体位などを同時記録する精密検査です。最も正確な診断が可能で、無呼吸の種類(閉塞性・中枢性)の鑑別にも使われます。軽症疑い例や過眠症との鑑別が必要な場合に施行されます。
💡
まず呼吸器内科・耳鼻科・睡眠専門外来を受診し、簡易検査から始めましょう。検査は特別なことをする必要はなく、普段通りに眠るだけです。
FAQ

よくある質問

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、よく寄せられる疑問にお答えします。

よくある質問

SASに関するQ&A

Q. SASの検査はどこで受けられますか?費用はどのくらいですか?

SASの検査は呼吸器内科・耳鼻科・睡眠専門外来で受けられます。自宅でできる簡易睡眠モニター検査の費用は健康保険適用で自己負担3割・約2,000〜4,000円程度です。入院が必要な終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)は約15,000〜30,000円(3割負担)程度です。かかりつけ医から紹介状を書いてもらうことで受診しやすくなります。日本睡眠学会認定の睡眠専門医が在籍する医療機関では総合的な診断・治療が受けられます。

Q. CPAPは毎晩使わなければなりませんか?旅行のときも必要ですか?

CPAP治療の効果を最大限に得るためには毎晩4時間以上の使用が推奨されています。旅行の際も使用を継続することが望ましいです。最近の旅行用CPAPは非常に小型・軽量で持ち運びが便利です。また、多くのCPAPは交流電源100〜240Vに対応しており、海外でも使用可能です。飛行機内での使用については航空会社に事前確認が必要です。短期間の使用中断でも症状が戻ってしまうことがあるため、なるべく継続することが大切です。

Q. 痩せればCPAPを卒業できますか?SASは治りますか?

肥満を伴うSASでは体重の5〜10%の減量でAHIが改善し、CPAP不要になるケースもあります。ただし、日本人の場合、顎の形態や骨格が関係することが多く、痩せてもSASが完全に解消されない場合があります。外科的治療(特に顎を前に出す上下顎前方移動術)で根治できるケースもあります。SASの治療は「管理する疾患」というアプローチが現実的であり、CPAP継続か体重管理かを主治医と相談しながら決めていきましょう。

Q. SASと高血圧の関係を教えてください。

SAS患者の約50%が高血圧を合併しています。夜間の繰り返す低酸素血症と覚醒反応が交感神経を持続的に活性化させ、血圧を上昇させます。特に「夜間高血圧」「早朝高血圧」「降圧薬3種類以上でも効果不十分な治療抵抗性高血圧」の方にはSASの合併を疑うことが重要です。CPAP治療により収縮期血圧が平均2〜4mmHg低下するとされています。高血圧でSASの合併が疑われる場合は、循環器内科・呼吸器内科の両方に相談してみてください。

Q. 子どものいびきや睡眠時無呼吸はどうすればよいですか?

小児のSASは扁桃肥大・アデノイド肥大が主な原因で、成人とは異なります。症状として、夜間のいびき・口呼吸・頻繁な寝返り・就寝中の体動増加、日中の多動・注意力低下(ADHDと誤診されることも)、成長障害などが見られます。小児SASは扁桃・アデノイド摘出術で根治できることが多く、手術後に成長・行動が改善するケースが報告されています。子どもの睡眠に気になる点があれば、耳鼻科または小児科に相談してください。

Q. いびきはあるが無呼吸はない。SASではないですか?

いびきがあっても無呼吸を伴わない場合は「単純性いびき症」と呼ばれ、SASとは区別されます。ただし、単純性いびきも上気道が狭くなっているサインであり、今後SASに進行するリスクがあります。また、「低呼吸(呼吸の浅さ)」はいびきと感じられることがあり、実際にはSASであるケースもあります。「無呼吸はないが眠気・疲労がひどい」という場合、上気道抵抗症候群の可能性もあります。一度睡眠検査を受けて正確な評価を受けることをお勧めします。

Q. 女性もSASになりますか?女性特有の症状はありますか?

はい、女性もSASになります。有病率は男性の約半分ですが、閉経後は女性ホルモンの低下により男性と同程度のリスクになります。女性のSASは男性と比べて症状が非典型的なことがあり、大きないびきよりも「疲れが取れない」「朝起きると頭痛がある」「不眠・中途覚醒」「気分の落ち込み」などの訴えが前景に立つことがあります。そのため、うつ病・不眠症として治療されていたSAS患者が女性に多いとされています。更年期障害と思って受診した際にSASが発見されるケースもあります。

Q. SASは運転免許に影響しますか?

日本の道路交通法では、SASで眠気が著しい場合「一定の症状を呈する病気」に該当し、免許取得・更新に影響する可能性があります。実際には治療によって眠気が適切にコントロールされていれば、免許の維持は認められることが多いです。CPAP治療を適切に継続し、主治医から「運転が可能な状態」と評価を受けることが重要です。職業運転手(バス・トラック・タクシー)の場合は、雇用主への申告義務や適性検査において注意が必要です。治療開始前の段階では、長距離運転は控えることを強くお勧めします。

Q. SASの相談窓口を教えてください。

SASに関する相談先:①かかりつけ医(紹介状を書いてもらう)②呼吸器内科・耳鼻科・睡眠専門外来(直接受診も可)③日本睡眠学会認定医のいる医療機関④精神保健福祉センター(うつ・不安などの精神的問題の相談)⑤産業医(職場での配慮について)。SASを放置した結果として気分の落ち込みや不眠・不安が強い場合は、ここのチャット相談(/chat-soudan)でも気軽に話を聞いてもらえます。よりそいホットライン(0120-279-338)やいのちの電話(0120-783-556)も利用できます。

Q. SASはうつ病と関係がありますか?

SASとうつ病は非常に密接な関係があります。SAS患者の約30〜40%がうつ症状を示し、慢性的な睡眠の質の低下・低酸素血症・疲労感がうつ病の発症・悪化に寄与します。逆に、うつ病として治療されているにもかかわらず改善しない場合、背景にSASが隠れていることがあります。CPAP治療によりSASが改善すると、うつ症状も同時に改善するケースが多く報告されています。「うつかもしれない」と感じていて、いびきや日中の眠気もある場合は、精神科・心療内科とともに睡眠専門外来への相談も検討してください。

Q. 妊娠中のSASはどのように対処すればよいですか?

妊娠中はホルモン変化・体重増加・上気道浮腫・子宮増大による横隔膜の圧迫などにより、SASの新規発症・悪化のリスクが高まります。妊娠中のSASは妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・早産のリスク増加と関連するため、適切な管理が重要です。妊娠中にいびき・無呼吸・強い日中の眠気が出現した場合は産婦人科に相談し、必要に応じて睡眠専門外来への紹介を依頼してください。CPAP治療は妊娠中も安全に使用でき、胎児への影響はないとされています。出産後は症状が改善することが多いですが、検査で確認しましょう。

Q. 手術でSASを治せますか?どんな人が対象ですか?

SASに対する外科的治療にはいくつかの選択肢があります。①扁桃・アデノイド摘出術:小児の扁桃・アデノイド肥大が原因のSASに対して根治的。②上下顎前方移動術(MMA):下顎が後退している成人のSASに対して最も効果が高い外科的治療(成功率85〜100%)。顔面の形態変化を伴う大手術のため、CPAP不耐容で他の治療が無効な場合に検討。③口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP):軟口蓋の軟組織を切除・縫合する手術。効果は中等度。④舌下神経刺激装置(Inspire):CPAP不耐容の中等度〜重度OSASに対する植込み型デバイス。日本でも保険適用が拡大中。どの手術が適しているかは専門医による詳細な評価が必要です。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

「大きないびきがうるさいと言われる」「朝起きても疲れがとれない」「日中に急に眠くなって困る」——睡眠時無呼吸症候群のつらさは、本人だけでなく一緒に暮らすご家族にも影響します。「治療が必要なのかな」「何科に行けばいいの」という疑問も、まず話してみてください。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
精神保健福祉センター各都道府県に設置平日・無料相談

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、呼吸器内科・睡眠専門外来への受診をご検討ください。通院医療費の自己負担を1割に軽減できる自立支援医療制度も活用できます。

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