メンタルヘルス用語辞典 · 身体症状症

身体症状症とは?
診断基準・原因・治療・回復までを徹底解説

「検査で異常なし」と言われても続く苦痛——身体症状症(Somatic Symptom Disorder)は、身体症状と症状への過度な思考・感情・行動が6ヶ月以上続く治療可能な疾患です。DSM-5の診断基準・原因のメカニズム・認知行動療法を中心とした治療・予後・家族の関わり方・子どもの身体症状症・支援制度まで詳しく解説します。

ABOUT SOMATIC SYMPTOM DISORDER

身体症状症とは

身体症状症は、実際の身体症状に加えて、症状に対する過度な思考・感情・行動が生活を著しく妨げる状態です。「気のせい」ではなく、実在する苦痛と治療可能な疾患です。

定義

身体症状症の定義——「症状は本物」、「心の関与も本物」

身体症状症(英: Somatic Symptom Disorder / SSD)は、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)において新たに設けられた診断カテゴリーで、身体症状(痛み・疲労・呼吸困難・消化器症状など)があり、その症状に対して過度に苦痛を感じ、過度な思考・感情・行動が6ヶ月以上続く状態と定義されます。

最重要なポイントは、身体症状は「実際に存在する」という点です。以前は「医学的に説明できない症状」という概念が中心でしたが、DSM-5では「医学的疾患が合併していても身体症状症と診断できる」と改訂されました。つまり、実際にがんや心臓病があっても、それに対する反応が不釣り合いに強い場合は身体症状症が合併していると診断されます。

通常の症状への対応
適切な不安と対処
症状があれば受診し、「異常なし」と言われれば安心できる。日常生活への支障は限定的。症状が続けば再受診するが、医療機関を変え続けることはない。
身体症状症
過度な苦痛・思考・行動
「異常なし」と言われても安心できず、「見落とし」を心配して別の医院を受診する。症状への思考が頭を占領し、仕事・趣味・対人関係に著しい支障をきたす。症状への不安が逆に症状を悪化させる悪循環が生じる。
「気のせい」でも「仮病」でもありません身体症状症の症状は本人が実際に感じている本物の苦痛です。「気のせい」「怠け者」「弱い人間」ではありません。心と体が深くつながっているという事実の反映であり、適切な治療によって生活の質を大幅に改善できます。
診断基準

DSM-5の診断基準

身体症状症の診断はDSM-5の以下の3つの基準(A・B・C)すべてを満たす必要があります。

Aひとつ以上の身体症状
B症状に関する過度な思考・感情・行動
C持続期間
有病率

身体症状症の有病率

5〜7%
一般成人の身体症状症の有病率
2〜3
女性は男性の2〜3倍多い(女性に多い)
80%以上
うつ病・不安障害など精神疾患との合併率
受診の目安

こんな時は心療内科・精神科への相談を検討してください

受診を検討すべきチェックポイント
  • 🔍
    身体症状が6ヶ月以上続いているが、医療検査で原因が見つからない
  • 🔍
    複数の医療機関を受診したが「異常なし」と言われ、安心できない
  • 🔍
    症状に関する強い不安や恐怖が生活全体に広がっている
  • 🔍
    症状のために仕事・学業・社会生活に著しい支障が出ている
  • 🔍
    症状を確認するために医療機関を週に何度も受診する
  • 🔍
    インターネットで症状を調べて「重大な病気では」という不安が消えない
  • 🔍
    うつ病・不安障害・PTSDの症状も合わせて持っている
💡
「内科・外科で異常なし」と言われても苦しい場合は、心療内科・精神科への受診を検討してください。身体症状症は「異常なし」の内科的疾患ではなく、「心と体の相互作用」という視点からアプローチする必要がある疾患です。
SYMPTOMS & FEATURES

身体症状症の症状と特徴

身体症状症には「身体症状」と「心理的特徴」の両側面があります。身体症状は本物の苦痛であり、同時に症状に対する過度な反応が問題を維持しています。

💢
痛み(最も多い)
頭痛、胸痛、腹痛、背部痛、関節痛など、部位や性質が様々な痛みが最も多く見られます。医学的検査で明確な原因が見つからないことが多く、「気のせい」と言われることもありますが、本人が感じる痛みは本物です。
😮‍💨
疲労感・倦怠感
「どれだけ休んでも疲れが取れない」「朝起きてもすでに疲れている」という慢性的な疲労感。検査で貧血や甲状腺異常などが見つからないにもかかわらず、日常生活に著しい支障をきたします。
🫁
呼吸困難・胸の圧迫感
息苦しい感じ、胸が締め付けられる感覚が繰り返されます。心臓・肺の検査で異常がないにもかかわらず、本人は「心臓が悪いのでは」「肺に問題があるのでは」という強い不安を感じます。
🤢
消化器症状
吐き気、食欲不振、腹部膨満感、下痢・便秘の繰り返しなど。ストレスや不安が自律神経を介して消化管に影響することがよく知られています。過敏性腸症候群との合併も多いです。
💤
睡眠の問題
入眠困難、夜中に何度も目が覚める、眠っても疲れが取れないなどの睡眠障害。身体症状への不安や思考が就寝時に強まりやすく、眠れなくなるパターンが見られます。
🧠
神経学的症状
しびれ感、筋力低下、めまい、記憶力の低下、集中力の困難など。神経内科での検査では器質的な異常が見つからないことが多く、診断に時間がかかるケースもあります。
「身体症状がある=精神的な問題だけ」ではありません身体症状症と診断されても、身体症状は本物です。心理的アプローチと医学的ケアの両方が必要です。「気のせいだから精神科に行けばいい」という理解は誤りで、「心と体を統合的に診る」視点が重要です。
CAUSES & RISK FACTORS

身体症状症の原因とリスク要因

身体症状症は脳・神経・心理・トラウマ・遺伝など多くの要因が複合的に関与します。「弱い人間だから」ではありません。

🧠脳の感覚処理・痛み処理の変容

身体症状症では、脳や中枢神経系による感覚(特に痛み)の処理・調節に変化があることが神経科学的研究で示されています。「痛みの増幅(central sensitization)」と呼ばれる状態では、通常の刺激が過度に痛みとして処理されます。前帯状皮質・島皮質・扁桃体など感情と感覚の交差点となる脳領域の活動異常が関与し、身体感覚と感情・思考が密接にリンクしていることが示されています。

  • 中枢性感作(central sensitization)
  • 感覚処理の偏り(過感受性)
  • 前帯状皮質・島皮質の活動異常
  • 自律神経系の調節障害
  • 脳と腸の双方向コミュニケーション(脳腸相関)
身体症状症は「心身の相互作用」の疾患です身体症状症は「心の問題が体に出る」だけでなく、「体の症状が心に影響し、心の反応が体の症状を増幅する」という双方向の複雑なプロセスです。「どちらが先か」ではなく「どのように悪循環が形成されているか」を理解することが治療の出発点です。
TREATMENT & RECOVERY

身体症状症の治療法

身体症状症の治療は、心理療法(特に認知行動療法)が中心です。身体症状と心理的反応の両側面にアプローチし、生活の質の向上を目指します。

認知行動療法(CBT)最もエビデンスが高い

身体症状症の最もエビデンスレベルの高い心理療法です。身体症状に関する破局的思考(「この症状は重大な病気のサインだ」)を認識し、より現実的でバランスの取れた解釈に修正します。安全確認行動(繰り返しの診察・インターネット検索)や回避行動を段階的に減らし、通常の活動を取り戻す「行動活性化」も重要な要素です。身体症状への注意の向け方を変え、不安の悪循環を断ち切ることを目指します。

抗うつ薬(SSRI/SNRI)うつ・不安合併例に

うつ病・不安障害の合併が多いこと、また痛みの中枢処理への影響から、SSRI(特にエスシタロプラム、セルトラリン)やSNRI(デュロキセチン、ベンラファキシン)が使用されます。SNRIのデュロキセチンは慢性疼痛への効果が認められており、身体症状症の痛み症状にも有効な場合があります。効果が現れるまで2〜4週間かかるため、根気よく継続することが大切です。

マインドフルネス認知療法(MBCT)注意の向け方の変容に

「今この瞬間」に意識を向け、身体感覚を評価せずにただ観察するマインドフルネスのスキルは、身体症状症に特に有用です。身体症状への過度な注意と解釈から距離を置き、「症状があっても生活できる」という感覚を培います。身体スキャン(body scan)瞑想は、身体感覚との新しいつながり方を学ぶのに役立ちます。

受容・コミットメント療法(ACT)慢性症状への受容

症状の「根絶」ではなく、症状があっても自分にとって価値ある生活を送ることを目標とする心理療法です。症状に対する過度な戦いや回避をやめ、「症状と共存しながら生きる」というアプローチです。慢性的な身体症状に対して、長期的な生活の質の向上に有効性が示されています。

医師・患者関係の構築治療関係の維持

身体症状症の治療において、安定した医師・患者関係の構築は治療の根幹です。「症状は本物だ」と認めながら、心理的要因の関与を丁寧に説明し、共同して治療方針を立てることが重要です。主治医による定期的な受診(症状が悪化しなくても定期的に診察する)が、不必要な医療機関へのはしご受診(ドクターショッピング)を減らします。

「根絶」より「共存と機能回復」を目標に身体症状症の治療目標は「すべての症状をなくす」ことではなく、「症状があっても充実した生活を送れるようになる」ことです。症状の強さより「日常生活でできることの幅」を広げることに焦点を当てましょう。
DAILY LIFE

日常生活でできること

身体症状症の改善には、医療機関での治療と合わせた日常生活での取り組みが大切です。心と体のつながりを意識した生活習慣を少しずつ整えていきましょう。

📝
症状日誌をつける
毎日の症状(部位・強さ・継続時間)と、そのときの気分・出来事・ストレスレベルを記録しましょう。数週間続けると「月曜日の仕事前に頭痛が出やすい」「対人トラブルの翌日は腹痛になりやすい」などのパターンが見えてきます。このパターンに気づくことが「心と体のつながり」を理解する第一歩です。
🧘
身体感覚と「友達になる」練習をする
「症状をなくそう」「感じないようにしよう」と抗うほど、症状への注意が集中します。マインドフルネスの「身体スキャン」(体の各部位に順番に意識を向けるだけで、評価しない)を毎朝10分実践することで、症状との関わり方が変わります。「ただ感じている、それだけ」という観察の姿勢が症状の増幅を防ぎます。
🚶
活動量を少しずつ増やす
痛みや疲労感から活動を制限すると、徐々に生活が縮小し、かえって症状への意識が高まります。「痛みがなくなったら動く」ではなく「症状があっても少しずつ動く」という考え方(活動維持)が重要です。最初は10〜15分の散歩から始め、週1〜2分ずつ増やしていくペーシングが効果的です。
🗣
感情を言葉で表現する練習をする
身体症状症の方にはアレキシサイミア(失感情症:感情を言葉で表現することが苦手)傾向が多く見られます。日記に「今日どんな気持ちだったか」を毎日書くだけでも、感情の言語化能力が高まります。信頼できる人に「実は…と感じていた」と話せるようになることも大きな前進です。
😌
リラクゼーション技法を習慣化する
腹式呼吸・漸進的筋弛緩法・自律訓練法などのリラクゼーション技法は、自律神経系を整え身体症状を緩和します。特に腹式呼吸は、症状が強くなった時の「即効のお守り」として活用できます。毎日10〜20分、決まった時間に実践することで効果が高まります。
🍽
食事・睡眠・運動の基盤を整える
規則正しい食事・十分な睡眠・適度な運動は、身体症状症の改善に直接的な効果があります。特に有酸素運動は、中枢性感作(痛みの増幅)を緩和し、抗うつ・抗不安効果も持ちます。「体の調子がよくなったら運動する」ではなく、「少し動くことで調子がよくなる」順序で考えましょう。
🔍
インターネットでの症状検索を制限する
症状をインターネットで検索すると必ず「最悪のシナリオ」の情報が出てきます。これが不安を増大させ「キュベルホンドリア(サイバーコンドリア)」と呼ばれる状態につながります。症状について調べたい場合は、かかりつけ医に直接相談することを習慣化しましょう。
🏥
主治医との関係を大切にする
「次は別の病院に行こう」と思うより、同じ主治医との長期的・安定した関係を構築することが身体症状症の回復には重要です。「先生に信頼してもらえている」「症状を理解してもらえている」という感覚が、不必要な検査の繰り返しを防ぎ、治療への信頼を高めます。
「症状と戦う」より「症状と仲良くなる」身体症状症の回復の鍵は、症状に対する「戦い」をやめることにあります。「この症状をなんとかしなければ」という強い抵抗が、かえって症状への注意を集中させ悪化を招きます。「ある症状とともに生きる」という受容のアプローチが、長期的な機能回復につながります。
FOR FAMILY & FRIENDS

周囲の人にできること

身体症状症の人への理解とサポートは、回復に大きな影響を与えます。「仮病」と思わず、本人の苦しみを認めながら適切に関わることが大切です。

サポートのポイント

家族・パートナーへのガイド

✅ 助けになること
「辛そうだね」と身体症状を認め、苦痛を否定しない
「気のせい」「仮病」「怠けている」と言わない
治療(CBT・心療内科)への参加を積極的に支持する
「症状がなくなったら〇〇しよう」ではなく「少しずつ一緒にやっていこう」という姿勢
主治医との関係継続を応援する(病院はしごの回避)
自分自身の時間も確保し、燃え尽きないようにする
❌ 避けたいこと
「また具合が悪いの?」とうんざりした態度を見せる
「精神的な問題だから医者に行っても無駄」と言う
症状に合わせて何もかも代わりにしてあげる(疾病行動の強化)
「もっと気合を入れれば治る」と叱咤激励する
「前の病院で異常なしだったじゃない」と安心を強制する
本人の全ての訴えを医療機関への受診に結びつける
「症状を認める」と「症状の奴隷になる」は違います本人の苦痛を認めながらも、症状によってすべての活動を取りやめることを支援しすぎると、「疾病行動の強化」につながります。「辛いよね。でも少しだけ一緒に〇〇してみよう」という穏やかな活動促進が、最もバランスの取れたサポートです。
PROGNOSIS & OUTLOOK

予後と回復のプロセス

身体症状症の回復は直線的ではなく、波を繰り返しながら少しずつ前進します。「完治」より「機能回復」を目標に、長期的な視点で取り組むことが大切です。

予後の概要

身体症状症の予後——数字で見る回復の可能性

50〜75%
治療により何らかの症状改善が見られる患者の割合
21%
4年間追跡で寛解に至る患者の割合(早期介入例ではより高い)
12回以上
CBTの効果が最大化する推奨セッション数の目安
📈
早期介入で予後が改善
身体症状症は早期に心理療法を開始するほど予後が良好です。症状が出始めて1〜2年以内に認知行動療法(CBT)などの心理療法にアクセスした場合、長期的な機能回復の可能性が高まります。「まず内科で異常なし→次は心療内科」という経路を短縮することが重要です。
🔄
30〜50%が大幅改善
4年間追跡調査では約21%が寛解に至り、50〜75%の患者で何らかの症状改善が見られます。一方で10〜30%は症状が持続・悪化するケースも報告されており、早期治療・継続的サポートの重要性が強調されています。
🎯
「完治」より「機能回復」が目標
身体症状症の治療目標は「すべての症状をゼロにする」ことではなく、「症状があっても仕事・学業・対人関係を維持できる状態」を目指すことです。痛みや疲労感が残っていても、日常生活の幅が広がることが「回復」の指標となります。
👥
社会的サポートが予後を左右
家族・友人・職場の理解と支援が、回復の速さと深さに大きく影響します。特に「身体症状症の診断を家族が受け入れる」ことは、子どもの回復確率を約20倍高めるという研究結果があります。周囲の理解が治療の一部です。
🧩
再発・波の繰り返しは自然なこと
回復は直線的ではなく、症状が強くなる時期と安定する時期を繰り返しながら進むことが一般的です。ストレスの多いライフイベント(転職・引越し・人間関係の変化など)の際に症状が再燃することは珍しくありません。「また悪くなった」ではなく「波がある中でも前進している」という視点が重要です。
💡
回復のサインに気づく症状の強さだけに目を向けず、「今日は30分散歩できた」「久しぶりに友人と話せた」「症状があっても仕事を続けられた」など、機能面での小さな前進を認識することが回復の実感につながります。
📋
回復を加速する3つの習慣(1)治療への一貫した参加——CBTや薬物療法を中断せず継続することが最も重要な予後規定因子です。(2)社会的つながりの維持——孤立は症状の悪化と強く関連しています。一人でいる時間を減らし、信頼できる人との交流を意識的に維持しましょう。(3)自己モニタリング——症状日誌・気分記録により、悪化のパターンや改善のきっかけを把握することで、治療者との連携が深まり回復が加速します。
関連疾患との違い

身体症状症と混同しやすい疾患

身体症状症はいくつかの類似疾患と混同されることがあります。正確な診断のために、以下の関連疾患との違いを理解しておきましょう。

病気不安症(旧:心気症)

身体症状症との最大の違いは『実際の身体症状の有無』です。病気不安症では顕著な身体症状はなく、重篤な病気にかかっているという強い不安・確信が中心です。DSM-5では旧「心気症」の約75%が身体症状症、25%が病気不安症に再分類されました。身体症状症の方が症状・機能障害・精神疾患合併ともに重篤な傾向があります。

線維筋痛症

全身の広範囲にわたる慢性疼痛・疲労・睡眠障害を特徴とする疾患で、身体症状症との合併や鑑別が重要です。線維筋痛症は「中枢性感作(central sensitization)」という痛みの増幅メカニズムが共通しており、CBTや有酸素運動など治療アプローチも重なります。線維筋痛症の診断があっても身体症状症が合併する場合があります。

慢性疲労症候群(ME/CFS)

原因不明の強い疲労感が6ヶ月以上続き、安静にしても回復しない疾患です。身体症状症との鑑別が難しいケースがありますが、ME/CFSでは運動後に症状が悪化する「労作後倦怠感(PEM)」が特徴的です。最近の研究では免疫・神経系の関与が注目されており、純粋に「心理的な問題」とは区別して考えられています。

過敏性腸症候群(IBS)

腹痛・便通異常(下痢・便秘・混合型)を繰り返す機能性消化器疾患です。身体症状症との合併率が高く、「脳腸相関」(脳と腸の双方向コミュニケーション)という共通メカニズムが関与しています。IBSと身体症状症が合併する場合、両方に対するアプローチ(低FODMAP食事療法+CBT)が有効です。

変換症(機能性神経症状症)

麻痺・痙攣・視覚障害・発話困難など神経学的症状として現れますが、神経内科的検査で器質的異常が見つからない疾患です。以前は「転換性障害」と呼ばれており、身体症状症と同じ「身体症状症および関連症群」カテゴリーに属します。心理的ストレスとの関連が深く、心理療法と神経リハビリテーションの組み合わせが有効です。

鑑別診断は専門家にこれらの疾患は症状が重なることも多く、自己診断は困難です。「自分はどの診断に当てはまるか」ではなく「今の苦しさを専門家に伝える」ことを最優先にしてください。正確な診断は適切な治療への第一歩です。
CHILDREN & ADOLESCENTS

子ども・思春期の身体症状症

身体症状症は子どもや思春期の若者にも起こります。「仮病」ではなく本物の苦痛として受け止め、早期に適切なサポートにつなげることが大切です。

子どもの特徴

子ども・思春期に現れる身体症状症の特徴

📚
学校での腹痛・頭痛から始まることが多い
子どもの身体症状症は、登校前の腹痛・頭痛・吐き気として現れることが多く、「学校に行きたくないための仮病」と誤解されがちです。しかし実際には、本人は本物の苦痛を感じており、不登校の背景に身体症状症が隠れているケースは少なくありません。
🏫
思春期に多い・女子に多い
身体症状症の症状は思春期(12〜17歳)に出現しやすく、成人と同様に女子に多い傾向があります。学業プレッシャー・友人関係・家族内の緊張などが誘因となりやすく、学校環境や家庭環境の評価が治療上重要です。
👨‍👩‍👧
家族の受け入れが回復の鍵
研究によると、身体症状症の診断を親が受け入れた場合、子どもの回復率が診断を拒否した家族の約20倍高いことが示されています。「仮病ではない」と親が信じ、心理療法への参加を支持することが最も強力な回復促進因子の一つです。
🔗
学校と医療・心理の連携
子どもの身体症状症では、学校(担任・養護教諭・スクールカウンセラー)・医療機関(小児科・心療内科)・心理士が連携して支援する「チームアプローチ」が推奨されます。段階的な登校再開プログラム(最初は保健室登校→徐々に教室へ)が有効なケースも多いです。
🎯
早期の心理療法アクセスが重要
子どもの身体症状症は、早期に心理療法(特にCBT)にアクセスすることで、成人に比べて回復が速いケースが多いとされています。「様子をみよう」と時間が経つほど回避行動が固定化し、学校・社会から遠ざかるリスクが高まります。
💡
「登校しぶり」の背後にある身体症状症子どもが「お腹が痛い」「頭が痛い」「気持ちが悪い」と毎朝訴えるとき、「仮病」と決めつける前に、かかりつけの小児科・小児心療内科に相談することをおすすめします。身体症状症の早期発見・早期治療が、不登校の長期化を防ぐ重要なステップになります。スクールカウンセラーへの相談も気軽に活用してください。
支援制度・相談窓口

利用できる支援制度と相談窓口

身体症状症の治療・回復を支える公的制度や相談窓口を活用することで、経済的・心理的な負担を軽減できます。

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精神保健福祉センター

各都道府県・政令指定都市に設置されている公的な精神保健の相談・支援機関です。身体症状症を含むメンタルヘルスの悩みについて、専門の精神保健福祉士・公認心理師・精神科医に無料で相談できます。「どこに相談すればいいかわからない」という場合の最初の窓口として最適です。電話・面接相談の両方が利用可能です。

💊
自立支援医療制度(精神通院医療)

精神疾患(身体症状症を含む)の治療のために精神科・心療内科に継続的に通院する方を対象に、医療費の自己負担を1割まで軽減する公的制度です。通常は3割負担の医療費が1割になり、さらに所得に応じた上限が設けられます。主治医の診断書と市区町村への申請が必要ですが、長期的な治療を続けるうえで大きな経済的サポートになります。

🤝
当事者グループ・ピアサポート

身体症状症・慢性疼痛・繊維筋痛症などの当事者グループに参加することで、「同じ経験をした人」と繋がり、孤立感を軽減できます。「自分だけじゃない」という実感は回復の大きな力になります。オンライングループも増えており、身体症状が強い時期でも参加しやすい環境が整いつつあります。

💼
障害者手帳・就労支援

身体症状症が重度で就労に著しい困難がある場合、精神障害者保健福祉手帳(3級〜1級)の取得を検討できます。手帳があると、障害者雇用での就職支援・税制優遇・各種割引などが利用できます。また、ハローワークの専門援助部門や就労移行支援事業所が、復職・就職に向けた個別サポートを提供しています。

🏥
心療内科・精神科の選び方

身体症状症の治療には、心療内科または精神科の受診が基本です。「身体症状症の治療経験がある医師・心理士がいるか」「CBTや心理療法を提供できるか」を確認することが重要です。初診時に「複数の医療機関で異常なしと言われた」「症状が6ヶ月以上続いている」という点を伝えると、診断・治療方針の決定がスムーズになります。

制度を使いこなすことも治療の一部「制度を使うことは恥ずかしい」と思う必要はありません。自立支援医療制度・障害者手帳・就労支援などの公的制度は、長期的な回復を支えるための社会のセーフティネットです。主治医や精神保健福祉士(PSW)に相談しながら、活用できる制度を積極的に探しましょう。申請は市区町村の窓口で行えます。
FAQ

よくある質問(FAQ)

身体症状症について多く寄せられる疑問にお答えします。疑問が残る場合は、ぜひ主治医や専門家にご相談ください。

Q身体症状症は「治る」のですか?
Q「検査で異常なし」なのに症状があるのはなぜですか?
Q心療内科と精神科、どちらに行けばいいですか?
Q薬だけで治りますか?心理療法は必ず必要ですか?
Q家族に「仮病」と思われています。どうしたらいいですか?
Q身体症状症は子どもにも起こりますか?
Q仕事に行けない・休職中です。どうすればよいですか?
Qインターネットで調べると怖い情報ばかり出てきます。
Q身体症状症と診断されましたが、本当に心の問題なのかと疑問です。
Q身体症状症の治療はどのくらいの期間かかりますか?
Qパートナーや家族が身体症状症です。どう接したらいいですか?
疑問はそのままにしない身体症状症に関する疑問は、そのまま放置すると不安の材料になります。主治医・心理士への「次の診察までの質問リスト」を作る習慣が、治療への積極的な関与につながります。「こんなことを聞いていいのか」と遠慮せず、どんな小さな疑問でも専門家に直接相談してください。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

つらい気持ちを抱えていませんか。どうかあなたの大切な悩みをココトモに聞かせていただきたいです。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
いのちの電話0120-783-55624時間・無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
精神保健福祉センター各都道府県に設置無料・専門相談

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。継続的な通院には自立支援医療制度(精神通院医療)で医療費の自己負担を軽減できる場合があります。主治医や精神保健福祉センターにご相談ください。

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