就労支援・就労継続支援とは?
精神障害者の働く選択肢・支援制度・IPS・復職支援を徹底解説
「働きたいけれど精神的な病気があって不安」「就労継続支援A型とB型、どちらを選べばよいの?」——精神障害者の就労を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。就労移行支援・継続支援A/B型・就労定着支援・2025年10月新設の就労選択支援・IPSモデル・リワーク・障害者雇用促進法・合理的配慮・自立支援医療制度まで、必要な情報をすべてここにまとめました。
精神障害者の就労支援とは
精神障害を抱えながら働くことを支える制度・サービスは、日本で大きく拡充されてきました。2024年の調査では民間企業で雇用される精神障害者は約15万人に達し、前年比15.7%増と最大の伸び率を示しています。
精神障害者の就労をめぐる現状
厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果」(令和6年版)によると、2024年6月1日時点で民間企業に雇用されている障害者数は677,461.5人(前年比5.5%増)と過去最高を更新しました。このうち精神障害者は150,717.0人で、前年比15.7%増と全障害種別の中で最大の伸び率を示しています。実雇用率は2.41%で、法定雇用率2.5%には届いていないものの、21年連続で過去最高を更新し続けています。
精神障害者の雇用が飛躍的に拡大している背景には、2018年に精神障害者が法定雇用率の算定対象に加えられたことが大きく影響しています。
障害種別ごとの雇用者数と伸び率は次のとおりです。
就労系障害福祉サービスの利用状況
障害福祉サービスとして提供される就労支援(就労移行支援・就労継続支援A型・B型)の利用者数は年々増加しています。2023年度には就労系障害福祉サービスから一般企業へ移行した人が26,586人に達し、2003年度と比較して約20倍にまで増加しました。
特別支援学校の卒業生に着目すると、2024年3月卒業の20,641人のうち、約29.6%(6,115人)が一般企業へ就職し、約34.5%(7,122人)が就労系障害福祉サービスを利用しています。障害の種別によって就職先や支援の受け方は異なりますが、精神障害や発達障害のある若者にとって、就労移行支援の果たす役割はきわめて重要です。
精神障害者が就労で直面する7つの課題
精神障害のある方が就労において直面する課題は多岐にわたります。主なものを整理します。
障害者雇用促進法と最新の改正内容
障害者雇用促進法は1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」を前身とし、1987年に現在の名称に改称されました。法定雇用率制度を核に、職業リハビリテーション・差別禁止・合理的配慮の仕組みを定めています。
障害者雇用促進法とは
障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)は、障害者が職業を通じて社会参加できるよう、事業主に対して障害者の雇用義務を課し、職業リハビリテーション・差別禁止・合理的配慮などの仕組みを定めた法律です。1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」を前身とし、1987年に現在の名称に改称されました。
この法律の核心は「法定雇用率制度」です。一定規模以上の事業主に対して、常時雇用する従業員の一定割合以上の障害者を雇用することを義務付けています。
法定雇用率の変遷と2024年以降の変更
法定雇用率は段階的に引き上げられてきました。2024年の改正では、民間企業の法定雇用率が2.3%から2.5%に引き上げられ、対象事業主の範囲も「常時雇用43.5人以上」から「常時雇用40.0人以上」に拡大されました。さらに2026年7月には2.7%への引き上げが予定されています。
差別禁止と合理的配慮の義務化
2013年の法改正(2016年施行)により、事業主には次の義務が課されています。
- 障害者への差別的取扱いの禁止障害を理由とした募集・採用・昇進・教育訓練などにおける不当な差別的扱いの禁止。
- 合理的配慮の提供義務障害者が職場で均等な機会を得られるよう、事業主は過重な負担にならない範囲で必要な措置を講じる義務がある。
また、障害者差別解消法の改正(2024年4月施行)により、民間事業者による合理的配慮の提供が「努力義務」から「義務」に格上げされました。精神障害を持つ労働者に対しても、通院への配慮・業務量の調整・休憩室の使用許可など、具体的な配慮が求められます。
精神障害者が法定雇用率の対象に加わった経緯
精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)は、2006年から障害者雇用促進法の雇用義務制度上の雇用義務の対象外として「雇用者数算定のみ可能」という位置づけでしたが、2018年4月から雇用義務の対象に正式に加えられました。これにより企業が精神障害者を雇用した場合、法定雇用率の達成に直接カウントされるようになり、採用意欲が大幅に高まりました。この制度変更が2018年以降の精神障害者雇用数の急増につながっています。
就労支援サービスの全体像
精神障害を持つ方が働くことを支援する制度は、障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」と、障害者雇用促進法に基づく「職業リハビリテーション」の2系統に大きく分かれます。
就労に関する支援サービス7種
主要なサービスを根拠法・対象・目的の観点から整理します。複数のサービスを組み合わせて利用することも可能であり、段階的に一般就労を目指すための「支援のはしご」として機能しています。
障害福祉サービス受給者証の取得
障害福祉サービス(就労移行支援・就労継続支援など)を利用するには、市区町村に申請し「障害福祉サービス受給者証」の交付を受ける必要があります。
- ✓① 市区町村の福祉窓口(障害福祉課など)に相談・申請する
- ✓② サービス等利用計画案の作成(相談支援専門員または本人が作成)
- ✓③ 市区町村による支給決定(サービス種別・利用日数・支給量の決定)
- ✓④ 受給者証の交付
- ✓⑤ 利用する事業所と契約し、サービスを開始する
利用料は原則1割負担ですが、世帯収入に応じた上限月額が設定されており、多くの方が負担ゼロまたは低額で利用できます。精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療(精神通院医療)の受給者である場合、さらに経済的な支援を受けることができます。
5つの主要サービスの詳細
就労移行支援は、一般企業への就職を希望する障害者(65歳未満)を対象に、就職に必要な知識・スキルの習得から就職活動、就職後の定着まで幅広い支援を提供するサービスです。標準利用期間は原則2年間で、特に認められた場合は最大1年の延長が可能です。精神障害・発達障害・身体障害・知的障害を持つ方が幅広く利用できますが、とりわけうつ病・統合失調症・双極性障害・不安障害・発達障害などを持つ方の利用が近年急増しています。
受けられる支援内容:
就労移行支援事業所は全国に約3,300か所(2024年時点)あり、LITALICOワークス・ウェルビー・atGPなど民間事業所が多数参入しています。事業所によって強みとする障害種別・業種・支援方針が異なるため、見学や体験利用を重ねて自分に合った事業所を選ぶことが重要です。
平均的な就職率(2年以内に一般就労に移行した割合)は全国平均で約50〜60%とされていますが、優良事業所では80%以上を達成しているところもあります。一方、就職率0%〜10%未満の低実績事業所も少なくないため、以下のポイントを確認して選ぶことを推奨します。
- ✓就職率・定着率(就職後6ヶ月時点での在職率)の公開実績
- ✓自分が目指す業種・職種に対応する訓練プログラムがあるか
- ✓スタッフの専門性(精神保健福祉士・社会福祉士・就労支援員など)
- ✓見学・体験利用ができるか、丁寧な対応が受けられるか
- ✓通所しやすい立地・利用時間かどうか
就労継続支援A型は、一般企業での雇用が難しいが、雇用契約を結んで継続的に就労できる能力を持つ障害者を対象としたサービスです。事業所との間で雇用契約を締結するため、最低賃金以上の賃金(工賃)が支払われます。利用者は労働者としての権利(社会保険・有給休暇など)を有します。
A型事業所では、データ入力・軽作業・清掃・飲食・農業・接客補助など多様な仕事が提供されており、事業所が運営する実際のビジネスの一環として働くスタイルが一般的です。利用期間に上限はなく、長期にわたって利用できます。
最低賃金は保証されているとはいえ、フルタイム就労に比べると収入は低く、障害年金や生活保護などの社会保障制度と組み合わせながら生活している方も多いです。
A型を選ぶ際の注意点:
- !事業所の経営状況を確認する(経営不振による閉鎖や賃金未払いが過去に問題になったケースがある)
- !どのような仕事内容・業種かを事前に見学・体験で確認する
- !一般就労への移行実績があるか、支援体制が整っているかを確かめる
- !スタッフが障害特性を理解し、適切なサポートを行っているかを観察する
就労継続支援B型は、一般就労やA型事業所での就労が困難な障害者を対象に、雇用契約を結ばず自分のペースで働く場(生産活動の機会)を提供するサービスです。工賃(作業の対価)は支払われますが、雇用契約がないため最低賃金法の適用外となります。利用期間に制限はなく、長期的・安定的に利用できます。
B型事業所では、農作業・手工芸・パン・菓子製造・清掃・封入作業・データ入力など多種多様な生産活動が行われています。「働く場」であると同時に、精神的な安定や社会参加の場としての機能も大きく、単純に工賃の額だけで評価できないサービスです。
B型の役割と精神的健康への効果:
就労定着支援は、就労移行支援・就労継続支援・自立訓練などの障害福祉サービスを経て一般就労した方を対象に、就職後の職場定着を支援するサービスです。2018年4月に新設されました。対象は就職後6ヶ月以上が経過した一般就労者で、利用期間は最長3年間です。
就職後に発生するさまざまな課題(職場の人間関係・体調管理・業務上のトラブルなど)に対して、就労定着支援員が月1回以上の面談や職場訪問を通じて継続的にサポートします。
就労定着支援で受けられる内容:
2022年の障害者総合支援法改正により創設され、2025年10月1日から施行される就労選択支援は、これまでの就労支援制度における大きな課題——「本人の意向や適性に合わない就労先・サービスへの移行」——を解消するために新設されました。
従来は支援者や医療機関の判断で就労継続支援B型に「振り分けられる」ケースも多く、本人が十分な情報を持たないまま就労先を選択せざるを得ない状況がありました。就労選択支援では、専門的なアセスメント(評価・分析)を通じて、本人が主体的に就労先を選べるようになることを目指します。
利用の流れ(原則1ヶ月、最大2ヶ月):
- ✓① 本人が就労選択支援事業所に相談・申請する
- ✓② 事業所内で短期間の生産活動等を通じた就労アセスメントを実施する
- ✓③ 本人の適性・能力・意向・希望を整理し、アセスメント結果をまとめる
- ✓④ 本人・家族・支援機関・ハローワーク担当者などが参加する「多機関連携会議」を開催する
- ✓⑤ 会議の結果をもとに、適切な就労先・支援サービスを本人が選択する
精神障害のある方にとって、就労選択支援は「自分に合った働き方を、根拠を持って選べる」という点で大きな意義があります。これまでは「取り合えずB型から」という流れになりがちでしたが、アセスメントを通じて一般就労やA型が可能であることが明らかになれば、より高い収入・社会参加の機会につながります。逆に、現時点ではゆっくりとB型で活動することが適切と確認されれば、本人が納得した上でB型を選択できるようになります。当事者の「自己決定」を尊重する視点が、この制度の核心です。
IPS(個別就労支援)モデル
IPS(Individual Placement and Support)は1990年代にアメリカで開発された精神障害者のための就労支援モデル。「まず就職し、その後に支援する(Place then Train)」というアプローチで、世界的にエビデンスの蓄積が進んでいます。
IPSモデルの概要と起源
IPS(Individual Placement and Support)とは、1990年代にアメリカで開発された精神障害者のための就労支援モデルです。日本語では「個別就労支援」または「援助付き雇用」とも呼ばれます。従来の段階的職業リハビリテーション(訓練してから就職)とは根本的に異なり、「まず就職し、その後に支援する(Place then Train)」というアプローチを採用しています。
IPSは当初、統合失調症などの重篤な精神疾患を持つ方を対象に開発されましたが、現在はうつ病・双極性障害・不安障害・発達障害など幅広い精神障害のある方に適用されています。
IPSの8つの中核原則
IPSには次の8つの中核原則があります。これらを忠実に実施することが効果の鍵とされています。
IPSの科学的エビデンス
IPSは、精神障害者の就労支援モデルの中で最も科学的根拠(エビデンス)が蓄積されたモデルのひとつです。
日本でも3つの無作為化比較試験(RCT)が実施されており、そのうち2つでIPSに準じた個別型援助付き雇用の有効性が示されています。国立精神・神経医療研究センター(NCNP)では日本版フィデリティ評価尺度(JiSEF)を開発し、IPS原則に忠実な実践の普及に取り組んでいます。
日本におけるIPSの現状と課題
IPSは日本の現行制度(就労移行支援・就労継続支援・就労定着支援)の枠組みとは必ずしも一致しておらず、制度化・普及が遅れています。IPSの実践を行う機関はまだ少数であり、精神科病院・保健所・就労移行支援事業所の一部が取り組んでいる状況です。
IPSを受けたい場合は、日本IPS援助付き雇用学会(JIPSA)や国立精神・神経医療研究センターのウェブサイトで実施機関を確認するか、精神科医・精神保健福祉士に相談するとよいでしょう。
リワーク(復職支援)
リワーク(Return to Work)は、うつ病・適応障害・双極性障害などで休職中の労働者が安全に職場復帰するためのリハビリテーションプログラム。再休職予防に高い効果が示されています。
リワークの基本
リワーク(リワークプログラム)とは、「Return to Work(職場に戻る)」の略で、主にうつ病・適応障害・双極性障害などの精神疾患を原因として休職中の労働者が、安全に職場復帰できるよう行うリハビリテーションプログラムの総称です。
厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」において、職場復帰を5ステップで示しており、リワークはその第2〜3ステップに相当する「職場復帰に向けた準備段階」を中心に支援します。
医療・職リハ・職場の3種類
日本でのリワーク支援は大きく3種類に分けられます。
リワークプログラムの主な内容
リワークの再休職防止効果
職場における合理的配慮とメンタルヘルス対策
2024年4月の障害者差別解消法改正により、民間事業者による合理的配慮の提供が法的義務となりました。精神障害のある人にとって、職場での合理的配慮は長期的な就労継続の要です。
合理的配慮とは何か
合理的配慮とは、障害のある人が職場で均等な機会と待遇を享受できるよう、事業主が「過重な負担にならない範囲」で行う必要な調整・変更のことです。2024年4月の障害者差別解消法改正により、民間事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務に格上げされました。
合理的配慮は一方的に与えられるものではなく、障害のある本人と事業主が「建設的対話」を行いながら、双方が納得できる形で決定されるものです。「配慮を申し出ること」は権利であり、それを理由に採用拒否や解雇を行うことは違法となります。
精神障害者への合理的配慮の具体例
精神障害・メンタルヘルス不調のある方に対して職場で講じられる合理的配慮の具体例を紹介します。
職場のメンタルヘルス対策(事業主の義務)
労働安全衛生法に基づき、事業主には従業員のメンタルヘルス対策として次の取り組みが義務付けられています。
- ストレスチェック制度(常時50人以上の事業場に義務)年1回の実施が義務。高ストレス者には医師面接の機会を提供する。
- 産業医・保健師の選任一定規模以上の事業場に産業医の選任が義務付けられている。
- 過重労働への対策月80時間を超える時間外労働がある従業員に対して医師面接を行う。
- EAP(従業員支援プログラム)の導入外部の専門機関と連携し、相談窓口・カウンセリングサービスを提供する。
精神障害のある従業員に対しては、これらの一般的なメンタルヘルス対策に加えて、障害の特性に応じた個別の配慮を組み合わせることが重要です。事業主と従業員が早期から率直にコミュニケーションをとり、問題が深刻化する前に対策を講じることが、職場定着の最大の鍵です。
障害の開示(ディスクロージャー)の判断
精神障害があることを職場に開示するかどうかは、本人が自由に選択できる権利です。開示にはメリット・デメリットの両面があります。
自立支援医療制度と相談窓口
精神科・心療内科への通院医療費を軽減する自立支援医療制度、そして全国の精神保健福祉センター・ハローワーク・地域障害者職業センターなど、就労に関わる主要な相談窓口を整理します。
自立支援医療制度(精神通院医療)とは
自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患の治療のために継続的に通院が必要な方の医療費を公費で負担し、自己負担を軽減する制度です。障害者総合支援法に基づき実施されており、申請・認定を受けることで通院医療費の自己負担が原則1割になります(通常は3割)。
就労支援サービスを利用しながら精神科・心療内科に通院している方にとって、この制度は医療費の経済的負担を大きく軽減してくれます。就労移行支援・就労継続支援の利用者の中には自立支援医療を併用している方が多く、制度の積極的な活用が推奨されます。
対象となる疾患と申請方法
自立支援医療(精神通院医療)の対象となる疾患には次のものが含まれます。
- ✓統合失調症
- ✓うつ病・躁うつ病(双極性障害)
- ✓不安障害(パニック障害・社交不安障害・強迫性障害など)
- ✓PTSD(心的外傷後ストレス障害)
- ✓発達障害(ASD・ADHD)
- ✓てんかん(精神症状がある場合)
- ✓アルコール・薬物依存症
- ✓その他の精神疾患で継続的な通院が必要な場合
申請は市区町村の担当窓口(障害福祉課など)に行います。主治医に「自立支援医療(精神通院医療)意見書」を書いてもらい、申請書・診断書等を提出します。有効期間は1年で、毎年更新が必要です。
自己負担上限月額と所得区分
世帯収入に応じた自己負担上限月額が設定されており、低収入の方や重篤な疾患を持つ方は自己負担がゼロになる場合もあります。
就労に関連する主な相談窓口
精神保健福祉センターは都道府県・政令指定都市が設置する精神保健福祉の中核的機関です。全国に69か所設置されており(2024年時点)、精神障害者やその家族、支援者を対象に幅広い相談・支援を行っています。就労に関する相談はもちろん、精神疾患の診断・治療先の紹介、医療・福祉サービスの情報提供、家族への支援、自立支援医療の申請支援など、精神健康に関わるあらゆる課題に対応しています。相談は原則無料で、来所・電話・一部ではオンライン相談にも対応しています。
危機的状況の際の緊急相談窓口
就労困難・休職・失業などが重なり、精神的に危機的な状況になることがあります。そのような際は、以下の緊急相談窓口をためらわずご利用ください。
- ☎いのちの電話:0120-783-556(無料)
- ☎よりそいホットライン:0120-279-338(無料・24時間)
- ☎こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
- 💬よりそいホットライン(テキスト相談):専用サイトからアクセス可能
よくある質問
就労支援サービスの選び方、手帳の要不要、リワーク開始のタイミング、B型工賃と生活、再利用の可否、雇用枠の選択、IPSのアクセスなど、よくある7つの質問にお答えします。
就労支援に関する7つの質問
A. 障害福祉サービス(就労移行支援・就労継続支援など)は、必ずしも精神障害者保健福祉手帳の所持を要件としていません。医師の診断書や意見書があれば、手帳なしでも障害福祉サービスの支給決定を受けることができます。手帳がなくても市区町村の障害福祉課やハローワークに相談することができますので、まず窓口に問い合わせてみましょう。一方、障害者雇用促進法に基づく「障害者雇用枠」での就職には、原則として精神障害者保健福祉手帳の所持が必要です。手帳の取得を検討されている方は、主治医または精神保健福祉センターにご相談ください。手帳は2年ごとの更新が必要ですが、症状が回復した場合は返納することもできます。
A. 大まかな目安として、「数年以内に一般就労(パートタイムを含む)を目指したい」という意欲と体調の見通しがある方は就労移行支援が適しています。就労移行支援では具体的な職業スキルの習得と就職活動の支援が受けられ、多くの方が2年以内に就職しています。一方、現時点では体調の波が大きく、毎日あるいは週3〜5日通所することが難しい、または「まず安定して生活する場が必要」という方は就労継続支援B型がより適しています。2025年10月以降はB型新規利用に際して就労選択支援のアセスメントを受けることが原則化されるため、専門スタッフと一緒に自分の状況を整理する機会が設けられます。事業所への見学・体験利用は無料でできますので、まず複数の事業所に足を運んでみることをお勧めします。
A. リワーク(復職支援プログラム)の開始時期は、主治医の判断が最も重要です。一般的には、休息が十分に取れて急性期症状が落ち着き、「日中に規則的な活動を再開できそう」という段階になってから検討するのが適切です。目安としては、毎日6〜8時間程度の睡眠がとれるようになり、日中も十分に覚醒できている状態が継続していることが一つの基準とされています。就職活動ではなく「職場復帰の準備」が目的ですので、焦りは禁物です。地域障害者職業センターのリワーク支援は無料で利用できますが、紹介はハローワークや主治医からになります。まずは主治医に「リワークを考えている」と伝え、相談の第一歩を踏み出してみてください。
A. 就労継続支援B型の平均工賃は全国平均で月額2万3,000円程度であり、これだけで生活することは困難です。以下の制度・給付と組み合わせることで生活を支えることができます。まず、精神障害や精神疾患による障害がある方は障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を受給できる場合があります。障害基礎年金2級であれば月額約6万6,000円が支給されます(2025年度)。また、収入が最低生活費を下回る場合は生活保護の申請も検討できます。B型の工賃は収入として計算されますが、生活保護と併用することは可能です。さらに、自立支援医療制度を活用して医療費の自己負担を抑えること、また障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業(日常生活自立支援事業・生活訓練)などを組み合わせることで、生活の安定を図ることができます。詳細は市区町村の障害福祉課または相談支援事業所にご相談ください。
A. はい、再び障害福祉サービスに戻ることは可能です。一般就労した後に体調が悪化して休職・退職に至った場合でも、改めて市区町村に相談し支給決定を受けることで就労継続支援サービスを再利用できます。就労移行支援は通算2年間(特例で3年)という利用期間の制限がありますが、就労継続支援A型・B型には利用期間の上限がありません。また、就労定着支援も最長3年間利用できますので、就職後も体調の変化をスタッフと共有しながら早めにサインを察知することが重要です。「一度就職したら支援を受けられない」という誤解は禁物です。日本の障害福祉制度は、個人の状況に応じて柔軟に支援を再開できる仕組みになっています。体調の波があることは珍しくなく、支援者・医療機関・職場と連携しながら長期的な視点で就労継続を目指しましょう。
A. どちらを選ぶかは、本人の状況・優先事項によって異なります。障害者雇用枠(オープン就労)を選ぶメリットは、障害への配慮が制度的に保障されること、短時間勤務から始められる求人が多いこと、職場の理解が得やすいこと、就労定着支援などの福祉的支援と連携しやすいことです。一方、一般雇用枠(クローズ就労)は、一般的に賃金水準が高く、職種の選択肢が広く、昇進・キャリアアップの機会も平等に得られます。ただし、配慮を求めることが難しかったり、開示なしに働き続けるストレスを抱える場合もあります。就職活動前に、自分の症状の安定度・職場に求めるサポートの程度・経済的な目標・長期的なキャリアビジョンを整理することが重要です。就労支援員や精神保健福祉士に相談しながら、自分にとっての最善の選択を検討してください。
A. IPS(個別就労支援)を明示的に実施している機関はまだ全国的に少なく、地域によっては近くに実施機関がないことがあります。その場合は、以下の代替・類似支援を検討してみてください。まず、精神保健福祉センターや地域障害者職業センターのスタッフに「IPS的なアプローチの就労支援を受けたい」と伝え、地域内で利用可能な資源を紹介してもらうことが第一歩です。また、就労移行支援事業所の中にはIPS原則に近い個別支援を実践しているところもあります。事業所見学の際に「個別対応の充実度」「就職後の支援期間」「医療機関との連携体制」などを確認するとよいでしょう。日本IPS援助付き雇用学会(JIPSA)や国立精神・神経医療研究センターのウェブサイトにも実施機関の情報が掲載されていることがあります。オンライン相談や遠隔支援に対応している機関もありますので、地理的な障壁があっても諦めずに探してみてください。
就労・休職のことで
一人で抱え込まないでください
精神障害を抱えながら「働くこと」を考えることは、決して一人でやり遂げなければならないことではありません。体調のこと、経済的なこと、職場のこと——どんな小さな悩みでも、まずココトモに話してみませんか。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。
