メンタルヘルス用語辞典 · 血管性認知症

血管性認知症とは?
症状・原因・予防・治療をわかりやすく解説

血管性認知症は、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害によって起こる認知症で、認知症全体の約15〜20%を占めます。「予防できる認知症」として最も重要な疾患の一つです。高血圧・糖尿病・心房細動などのリスク管理から、タイプ別の症状・経過、治療・ケアまで詳しく解説します。

ABOUT VASCULAR DEMENTIA

血管性認知症とは

血管性認知症は脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)によって生じる認知症で、日本では認知症全体の約15〜20%を占めます。最大の特徴は「予防できる認知症」であることです。

定義

血管性認知症の定義

血管性認知症(Vascular Dementia: VaD)は、脳に酸素と栄養を届ける血管が傷つくことで、脳の神経細胞が死滅・機能低下し、認知症が生じる疾患群です。原因となる血管病変の種類・部位・大きさによって、症状や経過が大きく異なります。

アルツハイマー型認知症が特定のタンパク質の蓄積という「生物学的プロセス」によって生じるのに対し、血管性認知症は「脳血管疾患(脳卒中など)」という「外的イベント」の積み重ねによって生じます。この違いが「予防可能性」という最大の特徴につながっています。

血管性認知症の最大の特徴
「予防できる」認知症
高血圧・糖尿病・心房細動・脂質異常症などの生活習慣病や血管リスク因子を適切に管理することで、発症リスクを大幅に低下させることができます。アルツハイマー型認知症に比べて予防可能性が高い認知症です。
混合型認知症
アルツハイマー型との合併
アルツハイマー型認知症と血管性認知症は合併することが多く(混合型認知症)、高齢の認知症患者ではむしろ混合型の方が多いとも言われています。両者の鑑別が難しい場合も多くあります。
「脳卒中後認知症」という言葉も脳梗塞・脳出血などの脳卒中発作後に認知症が生じる場合を「脳卒中後認知症(Post-Stroke Dementia: PSD)」と呼ぶこともあります。脳卒中患者の約25〜30%が脳卒中後3ヶ月以内に認知症を発症するとされています。
有病率

血管性認知症の現状

15〜20%
認知症全体に占める血管性認知症の割合。日本では特に多い(高血圧有病率が高いため)
男性に多い
血管性認知症は女性に多いアルツハイマー型と異なり、男性に多い傾向がある
50%以上
混合型認知症(アルツハイマー型+血管性)の割合。高齢者では純粋な血管性認知症は少数
発症メカニズム

なぜ起こるのか——脳血管障害から認知症へ

血管性認知症は、脳血管障害によって脳の神経細胞が傷ついたり、神経細胞間の情報伝達が途絶えることで生じます。大きく3つのメカニズムがあります。

🔴
大きな梗塞・出血
脳の重要な部位への直接的なダメージ。各発作ごとに症状が階段状に悪化します。
🟡
白質病変
脳深部の細い血管が長期間傷つき続けることで、神経線維(白質)が広範囲に障害されます。
🔵
脳循環不全
慢性的な脳血流低下による、神経細胞への慢性的な酸素・栄養不足が認知機能障害をもたらします。
アルツハイマー型との違い

アルツハイマー型認知症との違い

血管性認知症とアルツハイマー型認知症の主な違いを以下に示します。実際には混合型が多く、完全な区別が難しい場合もあります。

比較項目
血管性認知症 vs アルツハイマー型
代表的な7つの臨床的特徴の比較。実際は混合型も多く、完全な区別が難しいケースもあります。
血管性認知症
発症の仕方:突然・階段状悪化
最初に目立つ症状:実行機能障害・歩行障害
感情症状:感情失禁・抑うつ多い
歩行障害:早期から現れる
病歴:脳卒中の既往あり
MRI所見:梗塞巣・白質病変
予防可能性:高い(生活習慣病管理)
アルツハイマー型
発症の仕方:緩やかな進行
最初に目立つ症状:記憶障害
感情症状:アパシー多い
歩行障害:後期まで比較的保たれる
病歴:特になし
MRI所見:海馬萎縮
予防可能性:一定の予防策あり
SYMPTOMS

血管性認知症の症状と経過

血管性認知症の症状は、脳血管障害の部位・大きさによって大きく異なります。実行機能障害・歩行障害・感情症状がアルツハイマー型に比べて早期から目立つのが特徴です。

主な症状

血管性認知症に見られる主な症状

血管性認知症の症状は「まだら認知症」とも呼ばれます。脳の特定の部位だけが傷ついているため、ある機能は大きく障害されるが別の機能は比較的保たれるという「まだら」の状態が特徴です。

🎯
実行機能障害(前頭葉機能の低下)
計画を立てて実行する、複数の情報を整理するという「実行機能」が早期から障害されます。「段取りが立てられない」「優先順位が分からなくなった」「仕事の手順が分からなくなった」という形で現れます。この点がアルツハイマー型(記憶障害が先行)と異なる重要な特徴です。
🚶
歩行障害
歩幅が小さくなるすり足歩行、バランスを崩しやすくなる、歩き出しに時間がかかるなどの歩行障害が現れます。脳の深部(基底核・白質)の障害により生じます。転倒リスクが高く、骨折の原因になります。
🚿
排尿障害
頻尿・切迫性尿失禁(急に我慢できなくなる)が早期から現れます。排尿に関わる脳の回路が障害されることで生じます。生活の質に大きく影響し、社会活動の制限につながります。
😔
感情障害(うつ・感情失禁)
抑うつ、無気力(アパシー)が多く見られます。また「感情失禁」(些細なことで急に泣いたり笑ったりが止まらなくなる)も特徴的な症状です。これは大脳白質の障害によって感情のコントロール機能が低下することで生じます。
🧠
記憶障害(比較的軽度)
記憶障害も現れますが、アルツハイマー型に比べて比較的軽度であることが多く、特に「想起障害」(思い出しにくい)が目立ちます。ヒントを与えると思い出せることが多いのが特徴です。
🗣
構音障害・嚥下障害
脳梗塞の部位によっては、言葉が不明瞭になる構音障害や飲み込みにくくなる嚥下障害が現れます。大きな脳梗塞後に見られることが多く、誤嚥性肺炎のリスクになります。
経過の特徴

血管性認知症の経過——「階段状悪化」

血管性認知症の最大の特徴は「階段状悪化(stepwise decline)」です。アルツハイマー型認知症が緩やかに直線的に悪化するのに対し、血管性認知症は脳卒中発作のたびに急激に悪化し、その後は横ばい(あるいは一部改善)というパターンを繰り返します。

アルツハイマー型
緩やかな直線的進行
緩やかに一定のペースで認知機能が低下していくパターン。明確な発作的悪化はなく、進行は連続的です。
血管性認知症
階段状悪化(stepwise decline)
脳卒中発作 → 急激な悪化 → しばらく横ばい(一部改善することも) → 次の発作で再び急激な悪化、というパターンの繰り返し。発作のタイミングと部位により症状の進み方が大きく変わります。
※ 概念的なイメージ。実際は個人差があります
⚠️
再発予防が治療の中心血管性認知症の進行を防ぐ最善の方法は「次の脳血管障害を起こさないこと」です。抗血栓薬・降圧薬・血糖降下薬などの服薬管理と生活習慣の改善が最も重要な治療です。
早期サイン

見逃したくない初期サイン——受診のきっかけに

血管性認知症は、小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)や白質病変の蓄積から、気づかぬうちに始まっていることがあります。家族が「あれ?」と思った時が受診のタイミングです。以下のようなサインに複数当てはまる場合は、神経内科・脳神経内科・もの忘れ外来への受診をご検討ください。

🧮
段取りが急に下手になった
料理の同時進行ができない、家計簿の計算ができなくなる、旅行の計画が立てられないなど、実行機能の低下が最初に目立つことが多いです。「前は器用にこなしていたのに」という変化が重要なサインです。
🚶
歩き方が変わった
歩幅が狭くなる、すり足になる、方向転換でふらつく、急ぎ足になると転びそうになる——こうした変化は白質病変の存在を強く示唆します。記憶障害より先に現れる特徴的な所見です。
💧
トイレが近くなった・間に合わない
頻尿や切迫性尿失禁は、前立腺肥大や加齢だけでなく、脳の排尿中枢への血流低下のサインであることがあります。歩行障害と同時に出現した場合は特に注意が必要です。
😭
些細なことで涙が出る・笑いが止まらない
「テレビドラマを見て止まらないほど泣く」「少しおかしいだけで笑いが収まらない」といった感情失禁は、本人も戸惑う症状です。性格が変わったのではなく、脳の病気のサインとして受け止めてください。
💤
やる気が出ない・一日中ぼんやりしている
アパシー(意欲の低下)は、うつ病と間違われやすい症状です。趣味への興味が急に失われた、テレビをつけっぱなしで反応が薄いなどの場合は、血管性認知症の可能性も視野に入れて医療機関へ。
🩺
一過性の症状を経験した
「数分間、言葉が出なかった」「片手に力が入らなかったがすぐ治った」といった一過性脳虚血発作(TIA)は、本格的な脳梗塞の前触れである可能性があります。症状が消えてもすぐに受診してください。
⚠️
急な症状変化は救急受診をろれつが回らない、片側の手足が動かない、激しい頭痛、意識がもうろうとする——こうした症状は急性期の脳卒中が疑われます。「少し様子を見る」ではなく、ただちに救急車を呼んでください。発症から治療開始までの時間が、その後の回復と認知機能の予後を大きく左右します。
CAUSES & RISK FACTORS

原因とリスク要因

血管性認知症の原因は脳血管障害であり、その背景には高血圧・糖尿病・心房細動などの生活習慣病があります。多くのリスク要因は修正可能です。

リスク要因

血管性認知症のリスクを高める要因

血管性認知症のリスク要因の大半は修正可能(治療・生活改善で変えられる)です。これがアルツハイマー型認知症と比較して「予防可能性が高い」と言われる理由です。主なリスク要因と影響度の相対的なイメージは以下のとおりです。

高血圧
95%
最大の修正可能リスク。収縮期血圧が高いほど認知症リスクが増加
糖尿病
80%
脳血管障害のリスクを著しく高める。血糖コントロールが重要
脂質異常症
70%
動脈硬化の促進を通じて脳血管障害リスクを高める
心房細動
75%
脳塞栓(心臓内の血栓が脳に飛ぶ)の最大の原因。抗凝固療法が有効
喫煙
65%
脳血管の動脈硬化を促進。禁煙で有意にリスク低下
肥満・メタボリックシンドローム
60%
複数のリスク因子を合併するため相乗的にリスクが増加
高血圧管理が最も重要研究によると、高血圧の適切な管理だけで血管性認知症のリスクを約35〜40%低下させることができるとされています。「少し血圧が高い」と放置せず、早期から適切な管理を行うことが重要です。
TYPES

血管性認知症の主なタイプ

血管性認知症は一つの疾患ではなく、脳血管障害のパターンによっていくつかのタイプに分類されます。タイプによって症状・経過が異なります。

タイプ別

血管性認知症の4つの主なタイプ

血管性認知症はその原因となる血管病変の種類・部位によって分類されます。実際には複数のタイプが混在することも多くあります。タブから各タイプの詳細を確認できます。

🔴多発梗塞性認知症

大きな脳梗塞が複数回発生することで認知機能が低下するタイプです。各梗塞発作のたびに認知機能が「階段状」に悪化します。脳の特定の領域が傷つくため、傷ついた部位によって症状が異なります。MRIで複数の梗塞巣が確認されます。

  • 大きな脳梗塞を繰り返す
  • 症状が階段状に悪化
  • 各梗塞後に症状が突然変化
  • 傷ついた脳領域によって症状が異なる
DIAGNOSIS

診断の進め方

血管性認知症の診断は、認知機能検査・脳画像検査・病歴聴取を組み合わせて行います。早期診断が再発予防と適切なケアにつながります。

診断基準

血管性認知症の代表的な診断基準

血管性認知症の診断には、国際的に用いられるいくつかの診断基準があります。日本では「認知症疾患診療ガイドライン2017」(日本神経学会)が臨床診断の指針となっています。

🔬NINDS-AIREN基準
米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)と国際神経科学研究教育協会(AIREN)が作成した最も厳密な診断基準。臨床試験への参加基準として広く用いられています。「認知症の存在」「脳血管疾患の存在」「両者の因果関係(発症3ヶ月以内、または急激な悪化)」の3要件を満たす必要があります。
  • 認知症の存在(記憶障害+1つ以上の認知領域の障害)
  • 神経学的所見または脳画像による脳血管疾患の証拠
  • 両者の時間的・解剖学的関連(脳卒中後3ヶ月以内の発症など)
📋DSM-5基準
米国精神医学会の診断統計マニュアル第5版に基づく基準。「神経認知障害」の枠組みで血管性認知症(血管性神経認知障害)を定義します。軽度神経認知障害(vascular MCI相当)から重度まで連続的に捉えられる点が特徴です。
  • 認知機能低下の証拠(神経心理検査)
  • 日常生活能力への支障(重度の場合)
  • 脳血管疾患との因果関係の証明
  • 他の疾患(アルツハイマー等)では説明できない
「可能性が高い(probable)」と「可能性がある(possible)」NINDS-AIREN基準では、すべての要件を完全に満たす場合を「probable VaD(確実性の高い血管性認知症)」、一部の証拠が不十分な場合を「possible VaD(血管性認知症の可能性あり)」と分類します。剖検(死後の脳の検査)でのみ100%確定できる場合もあります。混合型認知症(アルツハイマー型との合併)は生前の正確な診断が特に難しいとされています。
画像診断

MRI・CT画像でわかること

脳画像検査は血管性認知症の診断に不可欠です。MRIはCTより感度が高く、多くの情報をもたらします。

🟡
FLAIR画像
脳梗塞・白質病変の検出に最も優れた撮像法。高齢者の脳に広く見られる「白質高信号域(WMH)」を明確に描出します。WMHの面積・分布が広いほど実行機能障害や歩行障害と相関することが示されています。
🔴
T2*/SWI(磁化率強調画像)
脳内の微小出血(マイクロブリード)を検出するのに優れています。アミロイドアンギオパチー(脳アミロイド血管症)による皮質・皮質下の微小出血と、高血圧性の深部微小出血を区別することで、病型の鑑別や出血リスクの評価に役立ちます。
🔵
DWI(拡散強調画像)
急性期脳梗塞(発症数時間以内)の検出に最も優れています。超急性期の梗塞巣が白く描出されます。
🟢
MRA(MR血管撮影)
脳動脈の狭窄・閉塞・動脈瘤を造影剤なしで評価できます。太い脳血管の病変(中大脳動脈・内頸動脈など)の評価に有用です。
3ヶ月以内
脳卒中発作後この期間内に認知症が発症した場合、血管性認知症と診断される重要な根拠になる
FLAIRが第1選択
白質病変の検出感度が最も高いMRI撮像法。血管性認知症の診断に必須の検査
海馬萎縮も確認
混合型認知症(アルツハイマー型+血管性)の評価に海馬体積の測定が重要
認知機能検査

認知機能検査——何を、どう測るか

認知機能の客観的評価には、標準化された神経心理検査が用いられます。血管性認知症では実行機能・注意機能・処理速度の検査が特に重要です。

📝
MMSE(ミニメンタルステート検査)
最も広く用いられるスクリーニング検査。30点満点で23点以下が認知症疑い。記憶・見当識・計算・言語などを評価。ただし実行機能障害の検出感度はやや低い。
🧮
MoCA(モントリオール認知評価)
MMSEより軽度認知障害(MCI)に感度が高く、実行機能・注意・語想起なども評価できる。血管性認知症のスクリーニングにより適している。30点満点で26点未満が認知障害の目安。
🔢
TMT(トレイルメイキングテスト)
注意の持続・分割・転換と処理速度を評価する検査。前頭葉機能・実行機能の指標として血管性認知症の評価に特に有用。AパートとBパートで所要時間を計測する。
🗓
FAB(前頭葉機能検査)
前頭葉機能を専門的に評価する検査。概念化・メンタルフレキシビリティ・プログラム・葛藤指示・抑制コントロール・把握反射の6項目を評価。白質病変による前頭葉機能低下の評価に有用。
受診の流れ

いつ、どこに、どう受診するか

「もの忘れが気になる」「脳卒中を経験した後、認知機能の変化が心配」という場合、受診のステップは以下のようになります。

STEP ①
まずはかかりつけ医・内科へ
日頃から診ていただいているかかりつけ医に「最近もの忘れが増えた」「歩き方が変わった」などの変化を伝えてください。血圧・血糖・脂質などの血液検査と合わせて、スクリーニング検査(MMSEなど)を受けられます。必要に応じて専門医に紹介されます。
STEP ②
脳神経内科・もの忘れ外来・精神科
専門科では詳細な神経心理検査、MRI・CT画像検査、血液検査(甲状腺機能など鑑別のための検査)が行われます。「もの忘れ外来」を標榜するクリニック・病院では認知症の専門的な評価が受けられます。
STEP ③
診断と治療方針の決定
画像・認知機能検査・病歴の総合判断から診断が下され、血管リスク管理の薬物療法、リハビリテーション、介護保険申請などの方針が決まります。「確定診断がつかない」場合でも、経過観察と血管リスク管理を続けることが重要です。
STEP ④
地域包括支援センターへの相談
診断後は地域包括支援センターに相談することで、介護保険申請のサポート、ケアマネジャーとの調整、地域の認知症支援サービス(認知症カフェ・訪問介護・デイサービス等)につないでもらえます。
⚠️
「様子を見よう」が最も危険血管性認知症は「次の脳血管障害を起こさない」ことが最大の治療です。「まだ大丈夫」「少し様子を見よう」という先延ばしが、その間に起きるかもしれない小さな脳梗塞によって認知症を進行させるリスクになります。気になる症状があれば早めに受診してください。
TREATMENT & PREVENTION

治療・予防

血管性認知症の治療の中心は「再発予防」です。認知症の治療だけでなく、血管リスク因子の管理が最も重要な治療です。

予防

血管性認知症の予防——今日から始められること

血管性認知症は認知症の中で最も「予防可能性が高い」疾患です。以下の生活習慣・医療的管理が予防に直結します。

💊
血圧管理(最も重要)
高血圧の適切な管理が血管性認知症予防の最も重要な柱です。降圧目標を主治医と相談しながら設定し、服薬を継続します。家庭血圧の測定習慣をつけることをおすすめします。
🩺
心房細動の治療
心房細動がある場合は抗凝固薬による治療が脳卒中・血管性認知症予防に有効です。動悸・息切れがある場合は循環器科への受診を。
🏃
定期的な有酸素運動
週150分以上の中強度有酸素運動が脳血管健康を保ちます。ウォーキング・水泳・自転車などが有効。運動は血圧・血糖・脂質を改善します。
🥗
食生活の改善
減塩(1日6g未満)、野菜・魚中心の食事、飽和脂肪酸の制限が動脈硬化予防に有効です。DASH食・地中海食が脳血管健康に有益とされています。
🚭
禁煙
喫煙は脳血管の動脈硬化を促進し、脳卒中リスクを約2倍にします。禁煙補助薬・禁煙外来を積極的に活用してください。
😴
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群は脳血管疾患リスクを高めます。いびきや日中の強い眠気がある場合は睡眠外来への相談を。CPAP療法が有効です。
薬物療法

薬物療法——再発予防と認知症症状への対処

血管性認知症の薬物療法は2つの方向性があります。

最も重要
脳血管障害の再発予防薬
抗血栓薬(アスピリン、クロピドグレルなど)や抗凝固薬(心房細動の場合)が脳梗塞の再発予防に使用されます。降圧薬・血糖降下薬・スタチン(脂質低下薬)なども血管リスク管理に不可欠です。これらの服薬管理が認知症進行抑制の最も重要な手段です。
補助的
認知症症状への薬物療法
血管性認知症単独には認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬・メマンチン)の保険適用はありませんが、アルツハイマー型との混合型や、症状改善を目的に使用されることがあります。抑うつ・アパシーには抗うつ薬が使用されることがあります。
リハビリテーション

リハビリテーション——機能維持と生活の質向上

脳卒中後の血管性認知症では、リハビリテーションが機能維持と生活の質向上に重要な役割を果たします。

🦿
理学療法
歩行訓練・バランス訓練・筋力維持。転倒予防に直結します。
🖐
作業療法
日常生活動作(ADL)の訓練。着替え・食事・入浴などの自立維持を支援します。
🗣
言語聴覚療法
言語訓練・嚥下訓練。コミュニケーション能力の維持と誤嚥性肺炎予防に重要です。
🧠
認知リハビリテーション
残存する認知機能を最大限に活用するための訓練。記憶補助ツールの活用なども含みます。
DAILY LIFE & SUPPORT

日常生活の工夫と社会的支援

血管性認知症と共に生きるためには、日々の生活環境の整備と公的支援の活用が重要です。ご本人と家族が長続きできる体制を整えましょう。

生活環境の整備

認知症に優しい住環境・生活環境づくり

血管性認知症では歩行障害・排尿障害・感情症状が早期から現れるため、住環境の整備が安全と生活の質を守ります。以下の4つのカテゴリーで点検してみましょう。

🛡転倒予防
  • 廊下・浴室・トイレに手すりを設置する
  • 玄関・廊下・居室の段差をなくす
  • 滑り止めマットを浴室・廊下に敷く
  • 夜間のトイレ動線に足元灯を置く
  • 適切な高さ・滑り止め付きの履き物を選ぶ
  • 歩行補助具(杖・歩行器)の導入を検討
🚻排尿・トイレ対策
  • 寝室からトイレまでの動線を短くする
  • 夜間は簡易トイレ・ポータブルトイレを寝室に置く
  • トイレの扉を引き戸にするか広げる
  • 水分摂取のタイミングを工夫する(就寝2〜3時間前は控えめに)
  • 泌尿器科への相談で過活動膀胱の薬物療法を検討
📅認知機能へのサポート
  • 大きな文字の日めくりカレンダーを目立つ場所に
  • 薬はお薬カレンダー・一包化・服薬管理アプリで管理
  • 予定を大きなホワイトボードに書いておく
  • 家の中の重要な場所(トイレ・台所)にラベルを貼る
  • スマートスピーカーで声かけリマインダーを活用
🔒再発予防・安全管理
  • 家庭血圧計を置き、毎朝晩記録する習慣をつける
  • 塩分の多い食品(漬物・加工食品・ラーメン)を減らす
  • コンロは着火が簡単なIHに変更する
  • 定期受診のスケジュールをカレンダー管理する
  • 緊急連絡先を大きく書いて電話の近くに貼る
食事・生活習慣

脳血管を守る食事と生活習慣——毎日の積み重ねが予防につながる

血管性認知症の最大の原因は脳血管障害であり、その背景にある動脈硬化・高血圧・糖尿病・脂質異常症は、食事と生活習慣の改善によって大きく改善できます。DASH食(高血圧食)とMIND食(脳認知症予防食)のエッセンスを取り入れた食事ポイントを紹介します。

積極的に摂りたい食品
  • 野菜(特に緑黄色野菜・葉野菜)
  • 果物(ベリー類は特に脳に良いとされる)
  • 魚介類(青魚:DHA・EPAが豊富)
  • 豆類・大豆製品(植物性タンパク質)
  • ナッツ類(不飽和脂肪酸・ビタミンE)
  • 全粒穀物(白米より玄米・全粒粉パン)
  • 低脂肪乳製品(カルシウム・カリウム)
  • オリーブオイル(一価不飽和脂肪酸)
控えめにしたい食品
  • 食塩・塩分の多い食品(目標6g/日未満)
  • 飽和脂肪酸(脂身の多い肉・バター・生クリーム)
  • トランス脂肪酸(マーガリン・ショートニング)
  • 精製された糖質(白砂糖・菓子類)
  • 加工食品・インスタント食品
  • アルコール(過度な飲酒は脳卒中リスクを高める)
  • 揚げ物・ファストフード
💡
DASH食で冠動脈疾患リスクが約24%、脳卒中リスクが約18%低下するという報告があります。個別の食事療法については管理栄養士・主治医にご相談ください。
🚶
有酸素運動
週150分以上の中強度有酸素運動(ウォーキング・水中ウォーキング・自転車こぎ)が血圧・血糖・脂質を改善し、脳血流を増やします。10分×15回でも効果あり。
🧩
コグニサイズ
国立長寿医療研究センターが開発した「認知+運動」の複合トレーニング。歩きながら計算や数え唱えを行い、運動機能と脳の働きを同時に刺激します。
😴
質の良い睡眠
慢性的な睡眠不足・睡眠時無呼吸は血圧を上昇させ脳血管リスクを高めます。7〜8時間の睡眠確保と、いびきがひどい場合は睡眠外来への受診を。
社会的支援

使える公的制度・サービスを把握しよう

血管性認知症の方とご家族が利用できる公的支援は多くあります。「知らなかった」ために使えなかったということがないよう、主な制度を把握しておきましょう。

  • 🏠介護保険制度40歳以上の方は介護保険の対象です(血管性認知症は40〜64歳でも「特定疾病」として認定対象)。65歳以上は原因を問わず対象。要介護・要支援認定を受けることで、訪問介護・デイサービス・ショートステイ・福祉用具貸与・住宅改修などが1〜3割負担で利用できます。📌 相談先:まず地域包括支援センターか市区町村の介護保険担当窓口に相談
  • 💊自立支援医療制度(精神通院医療)精神科・神経科への通院が必要な方の医療費自己負担を原則1割に軽減する制度です。血管性認知症で精神科・神経内科を受診されている場合、この制度が適用できる可能性があります。所得に応じた月額上限額も設定されています。📌 相談先:主治医に相談の上、市区町村の窓口(精神保健担当)で申請
  • 📄精神障害者保健福祉手帳認知症(血管性認知症を含む)によって精神症状・認知機能障害があり、日常生活が困難な場合に取得できる手帳です。税金の控除・公共交通機関の割引・就労支援サービスなどが受けられます。📌 相談先:主治医に診断書を依頼し、市区町村の窓口で申請
  • 認知症カフェ・家族会「認知症カフェ(オレンジカフェ)」は、認知症の本人・家族・地域住民・専門家が集まれる居場所です。情報交換・専門家への相談・仲間との交流ができます。「認知症の人と家族の会」(全国47都道府県に支部)も、家族の体験共有・情報提供・電話相談などを行っています。📌 相談先:市区町村の認知症担当窓口・地域包括支援センターに場所を確認
  • 💰高額療養費制度月々の医療費が所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。血管性認知症で複数の専門科(神経内科・循環器科・泌尿器科など)を受診し医療費が高額になる場合に活用できます。📌 相談先:加入している健康保険(健康保険組合・国民健康保険)に申請
介護者自身のケア

介護者のバーンアウトを防ぐために

血管性認知症の介護は長期戦です。介護者自身の心身の健康を守ることが、本人への良質なケアにつながります。「自分が倒れたら介護できない」という視点で、自分自身のケアも優先してください。

🗣
話せる場所を持つ
同じ立場の介護家族と話せる「家族会」や「認知症カフェ」への参加、または専門家(ケアマネジャー・精神保健福祉センター・ココトモ)への相談で、孤立を防ぎます。「つらい」と言える場所を最低1つ持ってください。
🛌
定期的に休む時間を作る
週に数時間でも「介護から完全に離れる時間」を確保することが燃え尽きを防ぎます。ショートステイ(短期入所)やデイサービスを積極的に使い、休息を「罪悪感なく」取りましょう。
🏃
自分の体を動かす
介護者自身の健康のためにも、週に数回の散歩や軽い運動が重要です。本人と一緒のウォーキングは一石二鳥。運動はストレス解消にも有効であることが多くの研究で示されています。
💬
早めに専門家に相談する
「もう限界」になってからでは遅いことがあります。「少しきつくなってきた」段階でケアマネジャー・地域包括支援センター・精神保健福祉センターに相談し、サービスの組み合わせを見直すことを躊躇わないでください。
介護者の「共感疲労」も病気のサイン介護を続ける中で、気力・体力の枯渇、感情の麻痺、判断力の低下などが起きてきたら「共感疲労(コンパッション・ファティーグ)」のサインです。これは意志の弱さではなく、長期にわたる感情的負荷の結果です。一人で抱え込まず、ぜひ相談窓口を頼ってください。コロナ以降、チャット・オンラインでの相談窓口も増えています。
REHABILITATION IN DEPTH

リハビリテーション詳細

血管性認知症のリハビリテーションは「回復」だけが目的ではありません。機能の維持・悪化の防止・生活の質の向上が長期的な目標です。

回復期と生活期

リハビリテーションの2つのフェーズ

脳卒中後の血管性認知症のリハビリテーションは、大きく「回復期」と「生活期(維持期)」の2つのフェーズに分けられます。それぞれの目標と内容が異なります。

発症〜6ヶ月程度
回復期リハビリテーション
目標:失われた機能の回復・改善
急性期病院(発症〜2週間)→回復期リハビリ病棟(最大180日)での集中的なリハビリ。理学療法・作業療法・言語聴覚療法を1日3時間以上行える体制が整っています。この時期が最も機能回復の見込める重要な時期です。
  • 1日でも早く離床・起き上がりを始める
  • 廃用症候群(使わないことによる筋力低下)を防ぐ
  • 認知機能評価と並行して身体機能のリハビリを
  • 退院後の生活を見据えた目標設定が大切
退院後・長期的に
生活期(維持期)リハビリテーション
目標:機能の維持・悪化の予防・生活の質の向上
自宅・通所・訪問リハビリなどを組み合わせた継続的なリハビリ。「もう改善しない」と感じる時期でも、維持のためのリハビリを止めないことが重要です。止めると急速に機能が落ちることが知られています。
  • 介護保険のデイケア・訪問リハビリを活用
  • 自宅での自主練習と組み合わせる
  • かかりつけ医・リハビリ科との定期的な評価
  • 生活機能の低下に早めに気づく体制を
認知リハビリ

認知リハビリテーション——残存機能を最大限に活かす

認知リハビリテーションは、残っている認知機能を最大限に活用し、日常生活での障害を最小化することを目標とします。血管性認知症では特に実行機能・注意・処理速度へのアプローチが重要です。

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記憶補助ツールの活用
手帳・メモ帳・スマートフォンのリマインダー・ホワイトボードなど、外部の記憶補助ツールを積極的に活用することで、記憶障害を「道具」で補います。覚えられないことへの罪悪感を持たず、ツールを使いこなすことが重要です。
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注意・実行機能訓練
コンピューターを使った認知トレーニング(脳トレ)、パズル、日常的な作業(料理・買い物・計算)を通じた実行機能の訓練。難しすぎず易しすぎない「少し頑張れば達成できる」課題設定がモチベーション維持に重要です。
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音楽療法・芸術療法
音楽を使った療法(歌う・演奏・リズムを取る)は情動・記憶・注意機能に働きかけ、感情の安定とコミュニケーション能力の維持に効果が報告されています。言語的コミュニケーションが難しくなった段階でも有効です。
🤝
社会参加・コミュニケーション
デイサービスでのグループ活動、地域のボランティア、趣味のサークルなど、社会的なつながりを維持することが認知機能の維持に重要と多くの研究が示しています。「人と話す・笑う・共に活動する」ことが脳を活性化します。
運動療法の実際

家庭でできる運動療法——転倒予防と脳活性化

運動は血圧・血糖・脂質を改善するだけでなく、脳血流を増やし、BDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌を促すことで、認知機能そのものに良い影響を与えることが示されています。毎日少しずつ継続することが最大のポイントです。

下肢筋力強化・転倒予防
椅子を使ったスクワット(椅子スクワット)
椅子の前に立ち、腕を前に伸ばしながらゆっくり座る動作(完全に座り切らない)を繰り返す。ふらつく場合は手すり・壁を使って安全に行う。
1日10〜15回×2セット
バランス訓練・転倒予防
タンデム歩行(継ぎ足歩き)
一方の足のかかとを反対の足のつま先にぴったりつけて前進する歩き方。バランスに自信がない場合は壁に手を添えながら行う。
1日10歩×2セット
運動+認知の複合刺激
コグニサイズ(歩き+計算)
ウォーキングや足踏みをしながら、「100から3を引き続ける」「ある動物を思い出しながら歩く」など認知課題を同時に行う。
10〜15分/日
筋緊張緩和・柔軟性維持
ストレッチ・関節体操
首・肩・腰・股関節・足首をゆっくり動かす。血流改善と筋肉のこわばりを防ぐ。起床時・就寝前の習慣にすると続けやすい。
朝晩各5分
⚠️
運動前に主治医に確認しましょう。心疾患・骨折リスクが高い方は特に注意が必要です。ふらつき・胸痛・息切れが強い場合はすぐに中止してください。
多職種チームアプローチ

リハビリを支える多職種チーム

血管性認知症の包括的なリハビリテーションは、医師一人では完結しません。様々な専門職が連携するチームアプローチが重要です。

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脳神経内科医・リハビリテーション科医
診断・薬物療法・リハビリ全体の方針を決定。認知症の進行評価と再発予防管理も担います。
🦿
理学療法士(PT)
歩行・バランス・筋力・基本動作の訓練。転倒予防のための評価と住環境への提言も行います。
🖐
作業療法士(OT)
日常生活動作(ADL)・手の機能・認知リハビリを担当。補助用具の選定や生活環境の改善提案も。
🗣
言語聴覚士(ST)
言語機能・嚥下機能・高次脳機能の評価と訓練。誤嚥性肺炎予防のための嚥下訓練が特に重要。
🏥
看護師・介護福祉士
日常生活のケア・服薬管理・健康状態の観察。在宅では訪問看護・訪問介護として生活を支えます。
🤝
医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー
介護保険申請・社会資源の調整・家族支援を担当。退院後の生活設計で中心的な役割を果たします。
「チームの一員」として家族も参加する家族も多職種チームの重要な一員です。担当のリハビリスタッフから「自宅でできる自主練習の方法」「声かけの仕方」「転倒予防のポイント」などを教わり、日々のケアに取り入れることで、専門職が介入できない時間のリハビリ効果を維持できます。気になることや困りごとは遠慮なくスタッフに伝えてください。
FOR FAMILY & CAREGIVERS

家族・介護者の方へ

血管性認知症の介護では、再発予防の管理・感情症状への対応・リハビリ継続が特に重要です。チームで支える姿勢が長続きの鍵です。

ケアの方法

血管性認知症のケアで大切なこと

血管性認知症の方への日々のケアでは、規則正しい生活・感情症状への落ち着いた対応・再発予防・誤嚥/転倒予防が柱になります。以下の6つを意識してみてください。

📅
規則正しい生活リズム
毎日同じ時間に起きて、食事をして、活動することが認知機能の安定につながります。日課の予測可能性が不安を軽減します。
💆
感情失禁への対応
急に泣いたり笑ったりが止まらなくなっても、「なだめようとする」必要はありません。静かに待ち、落ち着いたら普通に接します。本人が恥ずかしがっている場合は「病気のせい」と伝えることが助けになります。
🏋
リハビリテーションの継続
脳卒中後の認知症では、理学療法・作業療法・言語聴覚療法のリハビリが機能維持に重要です。「もう改善しない」と諦めず、維持・悪化予防のためのリハビリを継続します。
🔄
再発予防の徹底
血管性認知症は再発した脳血管障害のたびに悪化します。抗血栓薬の服薬管理・血圧管理を徹底し、再発を防ぐことが最大の治療です。
🫁
誤嚥・肺炎予防
嚥下障害がある場合は食事形態の調整(とろみをつけるなど)・口腔ケアの徹底・食後の姿勢管理が重要です。誤嚥性肺炎は命に関わります。
🚶
転倒予防
歩行障害・起立性低血圧による転倒リスクが高いです。手すりの設置、滑り止めマット、適切な靴選び、歩行補助器の使用を検討します。
脳卒中直後の対応

脳卒中後——急性期からの認知症リスク管理

脳卒中の発症後は、認知症予防の観点からも積極的に取り組むことが重要です。以下の4つのポイントを早期から意識してください。

🏃
急性期リハビリを早期開始する
脳卒中後は早期リハビリ開始が機能回復と認知症予防に有効。廃用症候群(使わないことによる機能低下)を予防するために早期から動かすことが重要です。
💊
再発予防薬を確実に服用する
抗血栓薬・降圧薬などの再発予防薬は、自己判断で中断しないことが命に関わります。副作用が出た場合は必ず主治医に相談を。
🧠
認知機能の変化を定期的に確認する
脳卒中後は定期的に認知機能評価を受け、認知症の早期発見・早期介入につなげることが重要です。
😔
脳卒中後うつに注意する
脳卒中後うつは非常に多く(約30〜40%)、認知症リスクを高め、リハビリ意欲を奪います。抑うつ症状が続く場合は精神科・心療内科への相談を。
「もう戻らない」と思わないで脳卒中後の機能低下の一部は、適切なリハビリと管理によって改善・維持できます。また、次の発作を防ぐことで認知症の進行を止めることができます。あきらめず、チームで継続的に取り組むことが大切です。
FAQ

よくある質問

血管性認知症についてよく寄せられる質問にお答えします。ご本人・ご家族の不安の軽減にお役立てください。

Q&A

血管性認知症に関するQ&A

Q1. 血管性認知症はアルツハイマー型とどう違うのですか?

A. 血管性認知症は脳梗塞・脳出血などの脳血管障害によって起こり、症状が階段状に急に悪化するのが特徴です。実行機能障害・歩行障害・感情失禁が早期から目立ちます。一方アルツハイマー型は神経細胞へのタンパク質蓄積により緩やかに進行し、記憶障害が先行します。ただし両者は合併することが多く(混合型認知症)、高齢の方では純粋な血管性より混合型の方が多いとも言われています。正確な診断にはMRI・認知機能検査が必要です。

Q2. 血管性認知症は本当に予防できますか?

A. はい、認知症の中で最も予防可能性が高い疾患とされています。高血圧の適切な管理だけで血管性認知症のリスクは約35〜40%低下すると報告されています。糖尿病・脂質異常症・心房細動の治療、禁煙、週150分以上の有酸素運動、減塩と野菜・魚中心の食事、睡眠時無呼吸症候群の治療など、生活習慣の改善と基礎疾患のコントロールが直接的に予防につながります。40〜50代からの取り組みが最も効果的ですが、高齢になってからの改善にも十分意味があります。

Q3. 軽度認知障害(MCI)と診断されました。認知症になってしまいますか?

A. 血管性MCIは認知症の前段階ですが、必ず認知症に進行するわけではありません。適切な血圧・血糖管理、有酸素運動、知的活動、社会参加によって、進行を遅らせたり、一部は正常域に戻ることも報告されています。重要なのは「様子を見る」のではなく、主治医と一緒に血管リスク管理を徹底することです。半年〜1年ごとの認知機能評価で変化を追い、必要に応じて介入を強化します。

Q4. 親が感情失禁で急に泣き出します。どう接したらよいですか?

A. 感情失禁は本人がコントロールできない脳症状です。「泣かないで」となだめたり止めようとせず、静かにそばにいてあげてください。落ち着いたら何事もなかったかのように普通に接します。本人が恥ずかしがっている場合は「病気のせいだから気にしないで」と伝えると安心します。家族も戸惑いますが、怒ったり責めたりすると本人の自尊心を傷つけます。主治医に相談すればSSRIなどの薬物療法で軽減することもあります。

Q5. 治療費や介護費用の負担が心配です。使える制度はありますか?

A. 複数の公的支援があります。通院治療費については自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると自己負担が原則1割になります。介護が必要になれば40歳以上は介護保険の対象(血管性認知症は特定疾病)、65歳以上は原因を問わず介護保険が使えます。さらに高額療養費制度、障害年金、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳(脳卒中の後遺症がある場合)なども活用できます。お住まいの市区町村の福祉窓口、精神保健福祉センター、地域包括支援センターへご相談ください。

Q6. 再発を防ぐために家族ができることは何ですか?

A. 服薬管理の支援が最も重要です。抗血栓薬・降圧薬・血糖降下薬の飲み忘れは再発に直結します。お薬カレンダーや一包化の活用、家族によるダブルチェックが有効です。また家庭血圧を朝晩測定し記録する、塩分控えめの食事を用意する、禁煙・節酒をサポートする、週に数回の散歩に付き合う、定期受診に同行して主治医と情報共有する——こうした日々の積み重ねが次の脳卒中を防ぎ、結果的に認知症の進行を止めます。

Q7. 介護している家族が疲れ果てています。どこに相談すればよいですか?

A. 介護者の疲弊(介護者バーンアウト)は深刻な問題で、早めの相談が何より大切です。まず地域包括支援センターへ。ケアマネジャーと相談してデイサービス・ショートステイ・訪問介護などを組み合わせ、介護者が休める時間を確保してください。介護者自身のメンタルヘルスについては、精神保健福祉センター、かかりつけ医、ココトモのような無料チャット相談が利用できます。つらい気持ちを抱え込まず、よりそいホットライン(0120-279-338)やいのちの電話(0120-783-556)など匿名の電話相談も活用してください。

Q8. リハビリをいつまで続ければよいですか?効果はありますか?

A. リハビリに「終わり」はなく、維持のためのリハビリを生涯続ける価値があります。回復期のリハビリ(発症から6ヶ月程度)は機能改善が期待できる重要な時期です。その後の生活期リハビリは、機能の維持・廃用症候群の予防・転倒予防が目的になります。「もう良くならない」と止めると、急速に機能が落ちることが知られています。介護保険のデイケア、訪問リハビリ、自宅での運動など、継続できる形を見つけることが大切です。認知機能にも運動の良い影響が確認されています。

一人で抱え込まないで。
相談してみませんか。

ご本人の不安も、介護されているご家族のつらさも、どうかひとりで抱え込まないでください。ココトモがあなたのお話を聞きます。

今すぐ話したい方へ——相談窓口
ココトモ相談するチャット相談・無料
精神保健福祉センター各都道府県・政令市こころの健康相談・無料(お住まいの自治体へ)
いのちの電話0120-783-556毎日16〜21時(毎月10日は24時間)
よりそいホットライン0120-279-33824時間・無料
認知症ほっとライン0120-294-456平日10〜15時

このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、神経内科・内科・精神科への受診をご検討ください。通院医療費の自己負担を軽減する自立支援医療制度(精神通院医療)や、介護保険制度、障害年金などの公的支援の利用も可能です。詳しくはお住まいの市区町村の窓口、精神保健福祉センター、地域包括支援センターへご相談ください。

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