障害厚生年金とは?
条件・金額・申請方法を精神疾患対応で完全解説
病気やけがで働けなくなったとき、経済的な不安は精神的な負担を重くします。障害厚生年金は、会社員や公務員として厚生年金に加入していた方が障害を負った場合に受け取れる公的年金です。うつ病・統合失調症・双極性障害などの精神疾患でも受給できる制度の、定義・受給要件・等級・金額・申請手続き・診断書のコツ・不服申し立てまでをここにまとめました。
障害厚生年金とは
障害厚生年金は、厚生年金保険に加入している期間中に初診日のある病気やけがにより、一定以上の障害が残った場合に支給される公的年金給付です。会社員や公務員として厚生年金に加入していた方が対象で、精神疾患でも受給できる制度です。
障害厚生年金の基本的な定義
障害厚生年金(しょうがいこうせいねんきん)とは、厚生年金保険に加入している期間中に初診日のある病気やけがにより、一定以上の障害が残った場合に支給される公的年金給付です。日本の公的年金制度は「国民年金(1階部分)」と「厚生年金保険(2階部分)」の二階建て構造になっており、障害年金もこの仕組みに対応して「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類が存在します。
障害厚生年金は、会社員・公務員・一部のパート・アルバイト労働者など、厚生年金保険の被保険者だった方が対象です。国民年金のみに加入していた自営業者や学生は、原則として障害基礎年金のみの対象となり、障害厚生年金は受給できません。
- 支給の根拠法令厚生年金保険法(第47条以下)
- 運営機関日本年金機構(請求窓口は年金事務所・年金相談センター)
- 目的障害によって失われた稼得能力を補い、障害のある方とその家族の生活を経済的に支えること
- 対象障害等級障害厚生年金は1級・2級・3級の3段階。障害基礎年金は1級・2級の2段階のみ
日本の障害年金制度の全体像
日本に居住するすべての方は20歳から60歳まで国民年金に加入する義務があり、その上で会社員や公務員は厚生年金保険にも加入します。障害年金もこの二階建ての構造に対応しています。
どんな病気・けがが対象になるか
障害厚生年金は特定の病名に限定されておらず、病気やけがによって生じた障害全般が対象です。ただし、障害の程度が障害等級表に規定する1級から3級のいずれかに該当することが必要です。
- 精神疾患うつ病、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、不安障害、てんかん、発達障害(ASD・ADHD)、知的障害など
- 内部疾患心臓病、腎臓病、肝臓病、糖尿病の合併症、呼吸器疾患、HIV感染症など
- 肢体の障害脳梗塞・脳出血の後遺症、脊髄損傷、変形性関節症、関節リウマチなど
- 視覚・聴覚・言語の障害失明、高度難聴、失語症など
- がん治療に伴う倦怠感・機能障害・認知機能低下なども対象になりえる
受給要件——3つの条件を満たす必要がある
障害厚生年金を受給するためには、初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件の3つの要件をすべて満たす必要があります。3要件は相互に関連しており、1つでも欠けると受給できません。
初診日・保険料納付・障害認定日
3つの要件は審査の入口となる根幹部分です。とくに初診日の特定が他の要件に連動するため、最初に正確に固めることが重要です。
障害等級の認定基準——1級・2級・3級の違い
障害厚生年金の等級は、厚生労働省が定める障害認定基準に基づいて決定されます。等級が高いほど(1級が最も重い)障害の程度が重く、年金額も高くなります。
1級・2級・3級の状態と支給内容
等級ごとに「障害の状態」「日常生活への影響」「支給内容」が定められています。
精神疾患の障害等級認定基準
精神疾患(気分障害、統合失調症、不安障害等)での等級認定は、主として「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の2つの軸で行われます。診断書に記載される日常生活の各項目(食事・清潔保持・買い物・外出・対人関係・金銭管理など)の評価が認定の要となります。
各障害別の主な認定基準
障害の種類によって、認定基準が細かく定められています。主なものを確認しましょう。
- 眼の障害視力・視野の程度により等級を判定。両眼の視力の和が0.04以下で1級など。
- 聴覚の障害両耳の聴力レベルが100dB以上で1級など。
- 肢体の障害両上肢の機能を全廃または一上肢の機能を全廃で1級など。
- 内部疾患(心臓等)安静時に心不全症状がある状態で1級など。
- 腎臓の障害慢性腎不全で人工透析施行中が2級。
- がんの障害治療に伴う体力低下・認知機能低下・倦怠感の程度により等級を判定。
障害厚生年金の金額(2024年度・2025年度)
障害厚生年金の年金額は、老齢厚生年金と同様に報酬比例の年金額を基に計算されます。等級・配偶者の有無・子の人数によって加算されます。
年金額の計算方法
障害厚生年金の年金額は、報酬比例部分(厚生年金加入期間の平均標準報酬額と加入月数によって決まる)を基に計算されるため、個人によって異なります。
- 2003年3月以前の期間平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 加入月数
- 2003年4月以降の期間平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
- 合算額上記を合算したものが報酬比例の年金額(基本となる障害厚生年金額)
さらに等級によって以下のような倍率・加算がかかります。
- 1級報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額(条件を満たす場合)
- 2級報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金額(条件を満たす場合)
- 3級報酬比例の年金額(最低保障額あり)
2024年度・2025年度の障害年金額(目安)
障害基礎年金は物価・賃金水準に応じて毎年度改定されます。一般的な会社員が20代・30代で障害を負った場合のモデル的な試算では、2級で年間100〜150万円前後(基礎年金含む)となるケースが多いです。
子の加算について
障害基礎年金1級・2級を受給している方には、18歳到達年度末(または20歳未満で障害等級1・2級の子)まで、子1人当たりの加算額が加わります。
- 2人目まで1人あたり年間234,800円(2024年度)・240,700円(2025年度)
- 3人目以降1人あたり年間78,300円(2024年度)・80,200円(2025年度)
- 対象範囲18歳到達年度末まで、または20歳未満で障害等級1・2級の子。子の加算は障害基礎年金に付加されるため、障害厚生年金3級のみ受給の場合は加算されない。
障害基礎年金との違い・両方もらえる場合
障害基礎年金と障害厚生年金は、対象となる加入制度・等級・金額・支給内容が異なります。会社員等の厚生年金加入者が障害を負った場合は、原則として両方が支給されます。
障害基礎年金と障害厚生年金の主な違い
対象者・等級・金額・配偶者加算・子の加算・3級受給の有無で異なります。
会社員が障害を負った場合は両方支給される
厚生年金保険の被保険者が障害等級1級または2級に認定された場合、障害基礎年金(1階部分)と障害厚生年金(2階部分)の両方が支給されます。これが、会社員が受給する場合に自営業者よりも有利な大きな理由のひとつです。
- 1級の場合障害基礎年金1級 + 障害厚生年金1級(報酬比例×1.25)+ 配偶者加給年金(条件付)
- 2級の場合障害基礎年金2級 + 障害厚生年金2級(報酬比例)+ 配偶者加給年金(条件付)
- 3級の場合障害厚生年金3級のみ(障害基礎年金は支給されない)
一方、自営業者・学生など国民年金のみの加入者が障害を負った場合は、3級に相当する状態では年金が受給できず、1級または2級に該当する場合のみ障害基礎年金が支給されます(障害厚生年金は受給不可)。これが、初診日の加入制度によって受給できる年金の種類・金額が大きく変わる理由です。
65歳以降の選択・併給
65歳になると老齢年金の受給権が発生し、障害年金との関係で選択が必要になる場合があります。
- ✓65歳未満:障害年金と老齢年金はどちらか一方しか受給できない(選択一)
- ✓65歳以降(一定の条件を満たす場合):「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせで一部を併給できる
- ✓一般的にどちらがお得か:障害等級が高い場合(特に1級・2級)は障害年金の方が有利なことが多いが、個人の加入歴によって異なる。社会保険労務士や年金事務所に相談して比較検討することを勧める
精神疾患での申請——うつ病・統合失調症・双極性障害
精神の障害による年金受給者数は増加傾向にあり、障害年金の新規裁定受給者に占める精神疾患の割合は全体の約50%にのぼります。疾患ごとに申請のポイントが異なります。
精神疾患で障害年金を受給できる理由
精神疾患は「目に見えない」障害であることから、「年金がもらえるはずがない」と思い込んでいる方も少なくありません。しかし、厚生労働省の障害認定基準では、精神疾患による機能障害は身体障害と同等に扱われており、日常生活や就労への影響が大きければ障害年金の対象となります。
精神の障害による年金受給者数は増加傾向にあり、障害年金の新規裁定受給者に占める精神疾患の割合は全体の約50%にのぼります。特に気分障害(うつ病・双極性障害)と統合失調症群が多くを占めています。
うつ病・統合失調症・双極性障害の申請ポイント
疾患ごとに認定で重視される観点が異なります。診断書・申立書に反映してもらうべきポイントを整理します。
一人暮らしの場合の注意点
精神疾患での障害年金認定においては、一人暮らしをしていることが不利に働く場合があります。これは、「一人で生活できている=日常生活を送る能力がある」と見なされるリスクがあるためです。
申請方法・手続きの流れと必要書類
障害厚生年金の申請は、準備に数ヶ月かかることが多く、段階を追って進める必要があります。7ステップの流れと必要書類、診断書のポイント、社労士への依頼について解説します。
申請手続きの全体の流れ(7ステップ)
準備から審査・決定通知まで、段階を踏んで進めます。書類の準備期間に1〜3ヶ月、申請後3〜6ヶ月で通知が届くため、決断から受給開始まで半年〜1年以上を見込んでおく必要があります。
主な必要書類一覧
障害年金の請求には複数の書類が必要です。請求者本人が書くもの、医師が作成するもの、市区町村役場で取得するものがあります。
社会保険労務士(社労士)への依頼
障害年金の申請手続きは複雑であり、書類の不備や記載内容によって不支給・等級の低下につながることがあります。特に精神疾患での申請は、診断書・申立書の内容が認定に大きく影響するため、障害年金専門の社会保険労務士に依頼することを検討する方も多いです。
- ✓報酬は受給決定時の「成功報酬制」(受給額の1〜2ヶ月分程度)が一般的
- ✓初回相談は無料の事務所が多い
- ✓書類の作成・収集・提出・年金事務所との折衝などをサポートしてもらえる
- ✓NPO法人・障害者団体・精神保健福祉センターなどでも、社会保険労務士を紹介してもらえる場合がある
診断書のポイント——医師への伝え方
障害年金の審査において、診断書は最も重要な書類です。同じ病名・同じ症状であっても、診断書の記載内容によって受給できるかどうか、どの等級になるかが変わります。主治医が忙しい場合、診断書の記載が実態より軽く書かれてしまうことがあるため、患者側からの適切な情報提供が不可欠です。
- 現症時の日常生活活動能力および労働能力「日常生活能力の判定」(各項目4段階評価)と「日常生活能力の程度」(5段階評価)の2つ。これが等級判定の核心部分。
- 精神症状の状態精神病状、神経症状、認知機能、情動・感情、意思・意欲、行動・生活の問題点などを記載。
- 治療の状況現在使用している薬の種類・量、入院歴・在院期間など。
- 就労状況仕事の内容、労働時間、会社からの配慮・援助の内容など。
医師への伝え方の実践的なポイント:
- ✓「日常生活の困難さ」を具体的に書いたメモを渡す(「食事がほとんど作れず、コンビニ弁当で済ませることが多い」「入浴は週1回がやっと」「外出は月に2〜3回のみ」など具体エピソードで)
- ✓最悪の状態を伝える(主治医は診察室での姿しか見ていないことが多いため、悪いときの状態・頻度を必ず伝える)
- ✓障害年金申請の旨を明確に伝える(「障害年金の申請を検討しており、診断書を作成していただきたい」と明示)
- ✓就労状況の詳細(残業免除・業務の限定・休憩の増加・別室勤務等の職場の配慮を伝え、実態以上に「働けている」と評価されないようにする)
- ✓家族や支援者への援助の程度を具体的に伝える
診断書の内容に納得できない場合:
- ✓診断書を受け取ったら、内容を確認し、記入漏れや明らかな事実誤認がないか確認する
- ✓記載内容に不備があれば、具体的な補足情報を文書で渡して修正を依頼する(「等級を上げてほしい」とは言わず「この項目は実際にはこういう状態です」と事実ベースで伝える)
- ✓主治医との関係が難しい場合は、社会保険労務士に相談する
- ✓主治医の変更を検討する(ただし、申請に影響を与えないよう慎重に判断する)
審査請求・就労・配偶者加給・他制度との関係
不支給や等級不服時の審査請求、就労中の受給、配偶者加給年金、自立支援医療や精神障害者保健福祉手帳・生活保護など他制度との関係、申請時の注意点までまとめて解説します。
不支給・等級不服のときの審査請求
審査の結果、不支給(受給権なし)または希望より低い等級の決定通知が届いた場合、その決定に不服があれば不服申し立て(審査請求)を行うことができます。
障害年金の不服申し立ては2段階の手続きになっています。
審査請求・再審査請求の認容率と現実:認容率(覆る割合)は、令和3〜4年度ともに受付件数に対して約4%前後と低い水準です。しかし、認容されるケースもあり、書類の補強・新たな証拠の提出・法的根拠の主張などによって結果が変わることがあります。
- ✓審査請求・再審査請求の認容率(覆る割合)は、令和3〜4年度ともに受付件数に対して約4%前後と低い水準
- ✓審査請求では、新たな診断書・医証(医学的証明)を追加で提出できる
- ✓不支給の理由を分析し、どの点が不足していたかを把握することが重要
- ✓社会保険労務士・弁護士のサポートを受けることで、より適切な書類の作成・提出が可能
- ✓審査請求と並行して、状態の悪化を理由とした「事後重症請求」の再申請を検討することも一つの選択肢
就労中でも受給できるか
結論:働きながら障害厚生年金を受給することは可能です。障害年金は「所得制限」による支給停止の規定はなく(20歳前障害による障害基礎年金を除く)、就労の有無・収入額によって支給が止まることはありません。
ただし、就労の状況は等級の認定に影響を与えます。特に精神疾患での申請において、就労していること・週あたりの労働時間・職場での配慮の有無などが審査官に「それほど障害が重くないのではないか」と判断される材料になりえます。
- フルタイム就労中身体疾患での申請に比べ、精神疾患では就労の事実が等級を下げる要因になりやすい。ただし職場の配慮・援助が多い場合は実態を詳細に記載することで対応可能。
- パート・アルバイト労働時間・業務内容・職場の配慮内容を診断書・申立書に詳細に記載することが重要。
- 障害者雇用枠での就労「障害者として雇用されている」事実自体は不利にはならない。ただし出勤率・業務内容・配慮の程度の記載が重要。
- 休職中・傷病手当金受給中傷病手当金と障害年金の両方を同時に受給することはできない(傷病手当金が先に支給されている場合、重複する期間は傷病手当金が調整される)。
傷病手当金との関係:精神疾患で休職している場合、多くの方が傷病手当金を受給しています。傷病手当金は最長1年6ヶ月間受給できますが、障害年金との関係では以下の調整が行われます。
- ✓傷病手当金の受給期間中に障害年金が認定された場合、同一の疾病に関して重複する期間は、傷病手当金から障害年金の額を差し引いた差額のみが支給される(傷病手当金の方が多い場合)
- ✓障害年金の方が傷病手当金よりも多い場合、傷病手当金は支給されない(差額なし)
- ✓両方の制度を適切に活用するためのタイムラインの検討は、社会保険労務士や健康保険組合に相談することを勧めます
配偶者加給年金について
配偶者加給年金(はいぐうしゃかきゅうねんきん)とは、障害厚生年金の1級または2級を受給している方に、一定の要件を満たす配偶者がいる場合に加算される年金のことです。
- 支給対象障害厚生年金1級または2級の受給者(3級は対象外)
- 配偶者の要件65歳未満であること、かつ受給者に生計を維持されていること(配偶者の年収が850万円未満が目安)
- 金額(2024年度)年額234,800円(月額約19,567円)
- 金額(2025年度)年額239,300円(月額約19,942円)
- 支給停止配偶者が65歳に達した時点で支給停止(配偶者自身が老齢基礎年金を受給し始めるため)
配偶者加給年金が支給されない場合:
- ✓受給者が障害厚生年金3級のみを受給している場合
- ✓配偶者が65歳以上の場合
- ✓配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金・退職共済年金を受給している場合
- ✓配偶者自身が障害基礎年金または障害厚生年金を受給している場合
- ✓配偶者の年収が850万円以上(または所得655万5000円以上)の場合(生計維持関係なし)
他制度との関係
障害厚生年金以外にも、精神疾患を抱える方が活用できる支援制度があります。それぞれ別制度ですが、併用することで生活の安定につながります。
精神疾患で継続的な通院が必要な方の医療費自己負担を原則1割(所得に応じた上限あり)に軽減する制度。申請窓口は市区町村の福祉担当窓口。対象は統合失調症・うつ病・双極性障害・不安障害・PTSD・てんかん・発達障害など。毎年更新が必要(主治医の診断書が必要)。障害厚生年金を受給していても別途申請が必要(自動適用ではない)。
都道府県知事が交付する手帳で、さまざまな福祉サービスや就労支援の利用に必要。手帳の1〜3級と障害年金の1〜3級は連動しておらず、等級が必ずしも同じになるわけではない。手帳取得用と障害年金申請用の診断書は様式が異なるが、一定期間内のものであれば共用できる場合がある。
生活保護受給者が障害年金を受給する場合、障害年金は収入としてカウントされ、生活保護費から控除される(一部の障害年金加算を除く)。ただし障害年金の受給申請は積極的に行うべきであり、受給することで生活保護の負担が軽減される。担当ケースワーカーに相談する。支給総額が増える場合もある。
申請時の注意点とよくある失敗
申請でつまずきやすい4つの典型例を押さえておきましょう。事前に知っておくだけで防げる失敗が多くあります。
「最初に受診した病院」ではなく「障害の原因となった病気・けがについて初めて受診した日」が初診日。転院を繰り返している場合、最初の病院でのカルテが廃棄されていることがある(カルテの保管義務は5年間)。カルテがない場合でも、第三者証明(家族・友人等の証言)や領収書・薬手帳等で証明する方法がある。
「補足的な書類」と軽視しがちだが、審査官が実態を把握する重要な書類。発病の経緯・受診の歴史を時系列で丁寧に記載。「料理ができない」ではなく「台所に立つと目眩がして30分以上立てないため、食事の支度ができない」など具体的に。就労中は業務内容・配慮の内容・出勤率を詳細記載。
事後重症請求は請求月の翌月からしか年金が支給されない。状態が悪化しているのに「どうせもらえない」と思い込んで申請しないと、申請さえすれば受給できた期間の年金が受け取れなくなる。可否不明でもとりあえず年金事務所に相談を。
受給権は永続的な「永久認定」と一定期間ごとに更新が必要な「有期認定」があり、精神疾患は有期認定(1〜5年ごとの更新)が多い。更新(障害状態確認届の提出)を忘れると年金が停止される。更新時に診断書を提出し、等級が変更(上がる・下がる)されることもある。改善していても即座に非該当となるわけではなく、主治医の診断書内容で判断される。
よくある質問
A. 障害厚生年金に年齢の上限はありません。厚生年金保険の被保険者期間中(通常20〜70歳の就労期間中)に初診日がある疾病・けがによる障害であれば、年齢に関係なく申請できます。ただし、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)以降でなければ申請できません。また、65歳以降に初めて発症した場合は初診日要件を満たせないケースもあります(65歳以降に障害が生じた場合は、老齢年金との関係で取り扱いが異なります)。
A. はい、申請できます。重要なのは「初診日に厚生年金保険の被保険者であったかどうか」です。初診日時点で会社員・公務員等として厚生年金に加入していれば、その後転職・退職・自営業に転じていても、その初診日に基づく障害厚生年金を申請できます。例えば、会社員時代に初めて精神科を受診し(初診日)、その後退職・療養を経て1年6ヶ月後(障害認定日)に申請する、という流れは非常に多いケースです。
A. はい、申請できます。休職中であっても、初診日の要件・保険料納付要件・障害の程度の要件を満たしていれば申請可能です。ただし、初診日から1年6ヶ月が経過していることが必要です。現在休職中で傷病手当金を受給している場合、障害年金を同時に受給すると調整(傷病手当金から障害年金相当額が差し引かれる)が行われます。また、傷病手当金の受給終了後に障害年金を申請するタイミングを見計らうことも一つの選択肢です。社会保険労務士に相談して、最適なタイミングを検討することをお勧めします。
A. 申請書類を年金事務所に提出してから、「年金証書・年金決定通知書」が届くまでの期間は、おおむね3〜6ヶ月程度です。書類の不備や審査の混雑状況によっては、さらに長くかかる場合もあります。認定されると、決定した月の翌月分から年金が支給されます。書類の準備期間(初診の証明の取得・診断書の作成・申立書の作成)には1〜3ヶ月程度かかることが多いため、「申請しよう」と決めてから実際に受給開始になるまでは半年〜1年以上を見込んでおく必要があります。
A. 有期認定の場合、定期的な更新(障害状態確認届の提出)で症状の改善が確認されると等級の変更(下がる)や受給停止になる可能性があります。ただし、症状が改善したからといって即座に停止されるわけではなく、診断書の記載内容(主治医の判断)と審査官の総合的な判断によって決まります。「症状が少し改善したけれど、まだ日常生活に著しい支障がある」という状態であれば、更新後も引き続き受給できることが多いです。更新時の診断書作成の際も、現在の生活の困難さを主治医に具体的に伝えることが重要です。
A. はい、申請できる場合があります。障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)から5年以内であれば遡及請求(認定日請求)が可能で、最大5年分の年金を遡及して受給できます。5年以上経過している場合でも事後重症請求(現在の状態で申請し、申請月の翌月から支給)が可能です。ただし、初診日の証明書(受診状況等証明書)の取得が難しくなるケースもあります(カルテの保管義務は5年)。初診から長期間経過している場合でも、あきらめずに年金事務所または社会保険労務士に相談することをお勧めします。
A. はい、利用できます。精神保健福祉センターは障害年金の受給の有無に関係なく、誰でも利用できる相談機関です。精神科医・精神保健福祉士・心理士による無料の相談が提供されており、精神疾患に関する悩み・生活の困難・社会復帰の相談など幅広いサポートを受けられます。障害年金の申請に関する情報提供や、社会保険労務士・支援機関の紹介をしてもらえる場合もあります。
一人で抱え込まないで。
まず相談してみませんか。
障害厚生年金のこと、精神疾患のこと、生活のこと——どんな悩みでも、ぜひ話してみてください。ひとりで解決しなくていい。
このページの情報は、医師による診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。障害年金に関する具体的な申請手続きについては、年金事務所または専門の社会保険労務士にご相談ください。
