七尾の日記『親友に願ったこと(小説?自作)』
visibility249 edit2023.10.20
愛と咲は自他共に認める親友で、お互いに助け合いながら絆を深めていました
ですが、あるときから咲は塞ぎ込み、その悩みは愛にはどうすることもできないものでした
話を聞くことしかできず、それでは一時しのぎにしかならず、ついには咲は部屋に籠ったきり出てこなくなりました。
無力さに愛が泣いていると、神様が現れ言いました
「右腕を差し出せば願いをひとつ叶えよう」
絵描きを目指していた愛は一晩悩みましたが、神様に頼みました
「右腕をあげるから咲を助けて」
「わかった。ただしこのことは誰にも知られてはいけない。知られたらお前の願ったことをひとつ、叶わないものにしてしまおう」
次の日から、笑顔を見せる咲と、同じく笑顔を浮かべる右腕のない愛が寄り添う姿がありました
理由は知らずとも、愛がいつの間にかなくしていた右腕の代わりになろうと、これまでよりも側にいてくれる咲に、愛はなんの後悔もありませんでした
ところがある日、咲が再び悩みに襲われたとき、それは起こったのです
愛にとって、その悩みはいつかのものより些細に感じ、咲もそのときよりは落ち込んではいなく見えました
なので言ったのです
「大丈夫。あの悩みだって乗り越えたんだから、今回だってなんとかなるよ」
「愛は何も知らないくせに適当なこと言わないで!」
言い終えるか否かのうちに返された敵意に満ちた言葉に動揺したものの、今咲は冷静じゃないからと言い聞かせました
「……適当じゃないよ」
「適当だよ!いつもみんなに助けてもらってへらへらして、そんな愛なんかに誰にも助けてもらえない私の気持ちはわからないよ!」
言葉が次々突き刺さり、頭が痛みでいっぱいになりました
心が痛い。存在しない右腕が痛い。痛い。
「何も知らないのは咲じゃんか!」
痛みに泣き叫ぶように、負けじと大きな声で返すと、もう次々溢れる言葉を抑えられず、全てを話しました
神様との間で起こった全てのことを
何も言わない咲の表情を見ようともせず、最後の言葉を吐き出そうとしたとき、もうひとつの声が割って入りました
「警告はしたぞ」
突然現れた神様は、固まっている2人に構わず咲へと歩み寄りました
「わ、私に何をするの?」
「記憶を消すだけだ。お前には何もしない。そういう話だったからな」
神様は愛の方を見て言いました
それで理解し我に返った愛は、その場から逃げ出しました
それから、愛は部屋に籠り泣き続けました
神様は確かに願ったことを叶わないものにしました
あのとき、愛はこう言おうとしていました
「咲なんか助けるんじゃなかった」
そして願ったのです
もう一度あの地獄に戻ればいいと
全部話したことに怒った神様が、あのとき願った「咲を助けて」を叶わないものに塗り替えてしまえばいいと
神様は、その願いを叶わないものにしたのです
愛は安心より恐ろしさを感じていました
あんな願いを抱いた自分を
親友だと思っていた相手に、しようとしてしまった行為を
スマホが鳴り、画面に咲からLINEが来た通知が表示されました
神様の手により何もかも忘れた咲は、塞ぎ込む親友を気遣うLINEを毎日送ってきていました
スマホの電源を落とした愛は立ち上がり、棚に飾ってあった写真立てをゴミ箱に投げ捨てました
「叶わなくしたの、ひとつじゃないじゃん」
それだけ呟くと、また声をあげながらいつまでも泣きました
捨てられた写真立てには、満面の笑顔で頬を寄せる愛と咲の姿、そして、「ずっと親友でいようね」「いつまでも一緒にいようね」と書かれた2人ぶんの文字がありました
今日よかったこと♪
ココトモにハッピーエンドではない話を載せるのはどうかと思いましたが、道徳の教科書に出てくる話のようなものだと思ってお許しください
「自分の辛さにばかり目を向けて、優しさを忘れてしまった咲も悪いし、現実にはならなかったとはいえ、その場の勢いで酷い言動をしようとした愛も悪いですよね。
2人はどうすれば親友のままでいられたのか、みんなで考えてみましょう。」的な
読んでくれた人へのメッセージ
そのとき思ったことをそのまま言動にするのが素直なんじゃなくて、心の奥の奥にある本当の気持ちに従うのが素直なんだと思います
皆様の明日が、少しだけ素直になれる1日でありますように
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